怜「んっ……」キィン

怜「……リーチ」チャリッ

セーラ「うぉ、これはきっついなぁ」タン

竜華「あかん、鳴けへんわ」タン

泉「私も無理です」タン

怜「ほい、ツモ。6000,3000でウチの勝ちやで~」

浩子「園城寺先輩、調子ええみたいですね」

怜「まぁな~。なんたって――」

京太郎「あ、怜さん、お疲れ様です。お茶とお菓子、用意してありますよ」

怜「ん~、今はそれより膝枕な気分やで!」

京太郎「また膝枕ですか?男のなんて堅いでしょうに」

怜「ええねんええねん。むしろそれがええんやから♪」

竜華「それにしても、京くんがうちに入ってくれてホンマ良かったよなぁ。『ときシフト』を京くん一人で回せてまうなんて、びっくりしたで」

セーラ「怜も京太郎はよく気が利いてて何でもしてくれる、って上機嫌やもんなぁ」

泉「それで最近調子ええんですか?」

竜華「せやね。ウチとしては怜の膝枕権限取られたみたいで納得いかんけど」ジトー

京太郎「俺も膝枕なら竜華さんの方がいいのでは、ってずっと言ってるんですけどね……」

怜「この守られてるみたいな感じ、一度知ったら止められへんねんよ~」フニャ~

竜華「ぐぬぬ……!」

セーラ「にしても、京太郎ってホンマ何でも出来るよな。仕事も早いし」

泉「買い出しもめっちゃ早いのにミスりませんし、お菓子なんて手作りですし、時々部室の椅子の破れたクッション、凄い手わざで縫ってたりしてますし」

浩子「この前なんか雀卓直してへんかったか?」

怜「ウチが倒れた時の応急処置も完璧やったらしいで~。お医者さんが感心してたわ~」ゴロゴロ

竜華「……京くん、ホンマ何者なん?ってか、何で千里山来たん?なんか、今の話聞いてるともっと他の、特殊部隊みたいなとこにいそうなイメージなんやけど」

京太郎「あ~……千里山を選んだのは、本音を言えば偶々なんですよね。実は兄と折り合いが悪くなってしまいまして……」

怜「へ~、京ちゃんに兄ちゃんおったんや」

セーラ「家飛び出したってことか?何があったらそんなことなんねん?」

京太郎「そうですね……皆さんには話しておきます。俺の苗字って『須賀』ですけど、実はこれ、母方の苗字なんです。こっちではこれを名乗らせて貰ってます」

泉「え!?そうやったん!?」

京太郎「本当の苗字は『萩原』です。まあ、知らないとは思いますけど、日本を代表するようなとある財閥グループの総裁秘書を務める一家です」

浩子「萩原……最近どっかで聞いた気が……」

京太郎「それでまあ、兄も俺も将来的に現総裁の御息女の秘書を務めるべく幼い頃から色々と仕込まれまして」

竜華「だからあんなに何でも出来んねんなぁ」

京太郎「炊事洗濯掃除買物に至るまでの家事全般、裁縫に始まる家庭内スキル、果ては様々な機械類の修理なんかも教えられましたね」

怜「うわ~、京ちゃん、スーパーサイヤ人みたいやな」

京太郎「ですが、出来のいい兄とは違って俺は何もかもが拙くて、一杯一杯だったんです」

セーラ「……は?」

怜「……え?」

泉「……えっと?」

浩子「……んん?」

竜華「いやいやいやいや!」

京太郎「それでまあ、ある時優秀な兄と比べられ続けることに耐えられなくなりまして……」



京太郎『何でも出来る兄さんに俺の気持ちなんか分かるもんかっ!』

ハギヨシ『待ちなさい、京太郎!』

京太郎『嫌だねっ!俺はもう兄さんと競い合う状態なんて懲り懲りだっ!』



京太郎「とまあ、癇癪を起こしてしまって、勢いで親戚の伝手を辿って大阪まで来た、というわけです」

竜華「……なんか、色々言いたいことはあるんやけど、取り敢えず……苦労したんやね、京くん」

怜「京ちゃんの傷ついた心はウチが癒やしたるで~」ゴロゴロ

セーラ「怜、膝枕されながら言っても全く説得力ないで?」

泉「そうですよ、須g 浩子「あ~~っっ!!」 い、いきなりなんですか?船久保先輩?」

浩子「せや!思い出した!一昨日に練習試合を申し込んだ高校、そこの顧問の代わりとか言ってた人が確か――」


ガチャ
雅枝「お~う、ちゃんとやっとるか~?」

竜華「あれ、監督?今日はお客さんが来てるんとちゃいました?」

雅枝「そん人が誰かさんに用事あるとかでな。あ、ここに居ましたわ」スッ

ハギヨシ「お久しぶりです、京太郎。随分と探しましたよ」

京太郎「げっ……兄さん……」

透華「京太郎!この私に黙っていなくなるとは、一体どういうことですの!?」

京太郎「お、お嬢様まで……」

透華「さあ、京太郎!すぐにでも帰りますわよ!」グイッ

京太郎「ちょ、ちょっと待って下さい!私はまだ……」

透華「いいえ、聞く耳持ちませんわ!貴方は私に必要な――痛っ?!」パシッ

竜華「なんや、さっきから黙って聞いてたら、随分好き勝手やろうとしてくれてんなぁ?」

怜「ウチらの京ちゃんに手ぇ出そうとするなんて、ええ度胸しとるやん?」

セーラ「悪いけど、千里山に京太郎はもう必要不可欠な存在やねん。勝手に連れ帰らせはさせへんで!」

透華「なっ、何をっ!!ええいっ、でしたら今度の練習試合で連れ帰りますわ!私たちが見事圧勝を果たし、京太郎がいるに相応しいのはどちらか、はっきり示して差し上げましょう!」

竜華「そういう問題とちゃうんやけどなぁ。でも、その喧嘩、買ったるわ!」

怜「歴代最強と謳われとる現レギュラーの力、存分に魅せつけたるわ!」

透華「望むところですわ!」

ワーワー ギャーギャー



ハギヨシ「……京太郎」

京太郎「……何ですか、兄さん?」

ハギヨシ「どうやら元気にやっているようですね。何よりです」

京太郎「……え?えっと、兄さんは俺を連れ戻しに来たんじゃ……?」

ハギヨシ「私は純粋に京太郎の近況を知りたかっただけですよ。尤も、お嬢様はそうでは無かったようですが」

京太郎「お嬢様は維持になられているだけでしょうから。それよりも、うちの部員がお嬢様に食って掛かってしまって……すいません、兄さん」

ハギヨシ「ふふ、いいんですよ。何より、これだけは私でもあなたには勝てません」

京太郎「??俺が兄さんに勝ってるものなんて無いと思いますけど」

ハギヨシ「案外、自分では気が付かないものなのかも知れませんね」

ハギヨシ(立場に関係無く純粋な好意を向けられる。京太郎、あなたの持つその才能はとても大きなものなのですよ)

ハギヨシ「……いつか、自分の求めるものを見つけてからで構いません。そうしてから、帰って来なさい。その時はきっと、誰よりも良い秘書になっていることでしょう」

京太郎「……はい。ありがとうございます、兄さん」


竜華「練習試合で絶対に!」
透華「ギャフンと言わせてやりますわ!」

カン!