京太郎「え~っと、これとこれが足りなくなりそうだから……よし、リストアップ完了。買い物行ってきます!」

ゆみ「京太郎、待ってくれ。えっと、、、実は部として買っておきたいものがあるんだ。一緒に行こう」

京太郎「言ってくれたら買ってきますよ?」

ゆみ「い、いや、量が多くなりそうなんだ。一人では辛いだろうから二人で行こう!」

京太郎「そうなんですか。分かりました。皆さんは何か欲しいものあります?」

睦月「それじゃあプロ麻雀せんb、んむぐっ」

智美「こっちは何も無いぞ~、ワハハー。気をつけて行って来いよ~」

京太郎「そうですか?それでは、行きましょうか、ゆみさん」

ゆみ「あ、ああ」

ガチャ パタン


智美「いや~、初恋に頑張るゆみちんは見てて初々しいなぁ、ワハハー」

桃子「京さんの方は気付いてなさそうッスけどね」

智美「別に買い出しなんかじゃ無くて休日にでもデートに誘えばいいのにな~」

桃子「先輩は妙なところでお固いッスからねぇ。というか、蒲原先輩からそれ、言ってあげればいいんじゃないッスか?」

智美「大会を目前に控えた今、休日をそんなことには使えない、って言われたぞー」

桃子「あ~……先輩らしいッス」

佳織「え、えっ?!あの2人ってそうだったの?!」

智美「正確にはもう少しで、だなー。ワハハー」

桃子「先輩はずっと頑張って来たッス。だから幸せになって欲しいッスね」

睦月「うむ」

桃子(そう……先輩は一からこの麻雀部を作り上げて頑張ってきたッス。それに、こんな私を気にかけて、見つけてくれて……)

桃子(入学式後の教室で京さんに話しかけられて、それからしばらくしてゆみ先輩に見つけてもらって。この鶴賀に入って私は本当に幸せになれたッス。)

桃子(だから、そんな私の大好きな2人にはもっと幸せになって欲しいッス)

桃子「よし!先輩のためにも今日は一肌脱ぐッスよ!」

智美「お~?なんだか面白そうだな~。ワハハー」







~~~部活終了時間~~~

智美「それじゃあゆみちん、施錠は頼んだぞ~」

ゆみ「ああ。私たちもこれが終わったら直ぐに帰るよ」

京太郎「皆さん、お疲れ様でした」

佳織「お、お疲れ様でした」

睦月「お疲れ様でした」

桃子「お疲れッス~」

ガチャ パタン

ゆみ「さて、京太郎。ラス前のこの場面、君はどう打つのが正しいと思う?」

京太郎「今2位とは言え、もう親は無し。トップとの差は大きく、3位との差は僅差……だったらここは――――」



キィ 桃子(良かった、まだやってるッス。そして、やっぱり本気のステルスはお2人にも見つからないみたいッス。よ~し、それじゃあ……)チャリ

桃子(ゆみ先輩と京さんの携帯を持って……そして予めセットしておいたこの紐を引っ張れば……)スーッ… カタン

桃子(外で箒がつっかえて、もうお2人は出られないッス!)

桃子(閉じ込められた教室で2人っきり。絶好のシチュエーションッスよ、先輩!)

桃子(そして私はそれをじ~っくりと観察させてもらうッス♪ここからはステルスモモの独壇場ッスよ!)



ゆみ「――とまあ、あの場面ではそれくらいのことに注意して打つといいだろう。あまり1位を狙いすぎてもよくは無いからな」

京太郎「なるほど、勉強になりました。ゆみさんもお忙しいのに、いつもありがとうございます」

ゆみ「い、いや、私も好きでやっていることだから。気、気にしないでくれ」

京太郎「そういうわけには……」

ゆみ「いいんだ、いいんだ!さ、さあ、そろそろ帰ろ……あれ?開かない……?」

京太郎「え?そんな、まさか……くっ、このっ!…………何かがつっかえてるみたいですね」

ゆみ「はぁ、仕方が無い。当直の先生が見回りで気付いてくれるまでの我慢だ」

京太郎「そうですね」

ゆみ「…………」

京太郎「…………」

ゆみ(あれ?ちょっと待て、この状況……狭い一室に男女二人きり……しかもあっちには……)チラ

仮眠用ベッド < Hey!Come on!!

ゆみ「っっ!?////」ボンッ!

京太郎「あ、あれ?ゆみさん、顔赤いけど大丈夫ですか?もしかして熱が……」ヌッ

ゆみ「っ?!だ、大丈夫だ!大丈夫だからっ!」ワタワタ

京太郎「そ、そうですか?あ、もし何か大変そうだったら言ってくださいね。最悪俺が扉ぶち破りますから」

ゆみ「あ、ああ。ありがとう……////」



桃子(ちょっと先輩、何やってるッスか!もっとこう、グイッと!ガバッと!鈍い京さんには肉食系女子で行くべきッス!)

桃子(……それにしても、ゆみ先輩、本当に京さんのことに惚れてるんスね。やっぱり私は……)



ゆみ「な、なあ、京太郎」

京太郎「はい、何ですか?」

ゆみ「折角時間があるから少し聞いてみたいんだが、君はこの部活のメンバーのこと、どう思っている?」

京太郎「部活のメンバーのこと、ですか。そうですね~……」

ゆみ「…………」ドキドキ


桃子(先輩、遠回しすぎッス!いや、でも超奥手で乙女な先輩が……ちょ~かわいいよ~!)

桃子(……はっ!今何かに乗り移られていたような気が……?)


京太郎「皆さん、こんな俺にも優しくしてくれますし、素直にすごい人達だと思います。男子は俺一人ですけど、疎外感とかも感じないですし」

ゆみ「えっと、出来ればもっと具体てk」

京太郎「あ、でも、中でもゆみさんとモモはちょっと特別ですね」

ゆみ「え?」  桃子(え?)
京太郎「ゆみさんは俺が部に馴染むように特に尽力してくれましたよね。部長だからかな、って思ってましたけど、そうじゃ無いって知った時はちょっと驚きました」

京太郎「打ってる時のゆみさんは惚れ惚れするほど格好良くて。そんな人に麻雀を教えてもらえるなんて、内心ずっと舞い上がってましたよ」

京太郎「責任感が強くて、それでいていつでも凛々しい。そんなゆみさんに俺は憧れてますし、尊敬してます」

ゆみ「そ、そんなに言われると、その……て、照れる////」カァァァ

京太郎「モモとは麻雀部に入る前からの付き合いですけど、あいつ、最初見た時はすっごく寂しそうだったんですよね」

京太郎「本人は一人の方が気が楽だ、とか言ってましたけど、傍からはそうは見えなくて」

京太郎「だからいろいろこっちから関わって、最終的にここに入って。そうしたらよく輝くような笑顔を見せるようになって」

京太郎「ああやってモモがモモらしくあれる場所ってものを作ってやる手助けを少しでも出来たのなら、それは良かったな、って思うんです」

桃子(京さん……)

京太郎「あ~、あはは。何か変に語っちゃいましたね。あ~、恥ずかしいっ!」

ゆみ「いや、中々に興味深い話を聞かせてもらった。おかげで……」

京太郎「?おかげで、なんです?」

ゆみ「……いや、なんでもない」

京太郎「??はぁ……」

ゆみ(おかげで君の素晴らしさをより一層知れてよかった、なんて、口に出して言えるわけないじゃないか)



桃子(…………京、さん。京さんはそんなに色々と私のことを考えてくれていたんッスね……)

桃子(私はただ私を見つけてくれる京さんに甘えていただけで、それだけでも満足しそうだったのに……)

桃子(やっぱり……やっぱり、私のこの想い、京さんを好きな気持ち、簡単に諦めることなんて出来ないッス)

桃子(でも、同じくこの居場所を与えてくれたゆみ先輩の想いも無碍になんて出来ないッス……)

桃子(だから、せめて……)

トントン
京太郎「ん?あれ?んむっ?!」

桃子(ん……んんっ……)

京太郎「な、なんだ?今、何かに叩かれたような?それに、何かに触れたような……?」

ゆみ「お、おいおい。京太郎、こんな時にそんな怖い冗談、は……」

桃子(はぁ……せめて少しのキスくらいは……っと、気を抜きそうだったッス。いけないいけない)

ゆみ「…………」

ゆみ(何だ?今一瞬、モモが見えたような……それも京太郎の顔に近くに……?まさか……)

京太郎「それにしても、そろそろ……おっ?」



コツ コツ
教師A「おや?なんでこんなところに箒が?」

京太郎「せ、先生!この扉につっかえているもの、退けてくれませんか?!」

教師A「む?中に生徒がいるのか。よっ、と」

ガラッ
教師A「まったく、イタズラにしてもたちの悪い……君たち、今日は仕方がないので見逃すから、すぐに帰りなさい」

京太郎「はい、分かりました。ありがとうございます」

ゆみ「ありがとうございます、先生」



桃子(そろ~っと、そろ~っと……よし。脱出成功ッス)タッタッタッタ

ゆみ「…………モモ」

ゆみ(モモ……お前も京太郎が好き、なのか?いや、好き、なんだろうな)

ゆみ(かわいい後輩の邪魔は極力したくない。だが、京太郎を諦めることも出来ない、したくない)

ゆみ「はぁ……私はどうすればいいんだろうな……」

京太郎「?ゆみさん?」

ゆみ「いや、何でもないよ。君は何も、気にしなくていいんだ」

京太郎「はぁ……?」

ゆみ(……一度、モモと話し合ってみるべき、か。奪い合う、なんて、そんなことはもっとしたくないしな……)

カン!