京太郎「俺に・・・手作りチョコ・・・!?」

バレンタイン。
小中高はたまた職場、色んな場所でチョコが飛び交う特別な日。
チョコなど、今まで咲と家族くらいにしか貰ったことがなかったので
無縁の代物だと思われた手作りチョコ。
それが今、俺の手の中にある。
心なしか手元のハート型のケースから神々しいオーラが出ているように見える。

今年は咲、優希、和の三人から貰えたがどれも手作りなどではなく
義理チョコ丸出しの市販の物であった。
何やら咲は和から手作りチョコを貰っていたが。
何故俺が市販なんだ、マイハニー和・・・。
優希なんて市販のタコスにチョコを入れて
『ほれ、この優希様直々にチョコタコスを食わせてやるじぇ!喜べ!』
とかなんとか言って無理矢理口に突っ込んできたくらいだ。
一気に丸々口の中へと詰め込んできたから飲み込むのに必死で味わうことすらできなかった。
そんな悲惨な俺に、なんと、手作りチョコが!

桃子「そ、そんなじっくり見られたらなんだか恥ずかしいっす・・」

京太郎「おおう、すまんすまん。手作りチョコなんて初めて貰ったから嬉しくてついつい」

桃子「本当っすか!?宮永さん当たりからもう貰ってるものかと」

京太郎「いやぁ、あのポンコツにゃ手作りチョコなんて遠い話よ。目玉焼きすら失敗するようなやつだし」

桃子「へぇ・・・見た目からしてなんだか料理とか得意そうっすけど。人は見た目によらないっすねー」

桃子「とと、それより早く食べてみてください!モモ特性愛情たっぷりチョコっす!」

がっつくように、早く食べろとチョコを押し付けてくる桃をやんわりと押さえて
チョコを慎重に開封していく。

京太郎「おお、これが手作りチョコ・・・!!オーラが違うぜ!」

開封すると、中にはハートで出来たチョコや星型のチョコ、色んな形をした物が入っている。
やばい、感動して涙が出そうだ。
こんな俺に手作りチョコだなんて・・・思えば、桃と出会ったのは一年前だが時が経つのは
早いものだ。
道を歩いてる最中すれ違い様に桃を避けた、それだけなのにしつこく絡んできて
押し当てられる大きなおもちの感触を楽しみながら相手にしてたっけ。

寂しそうな目で俺の持ってる携帯と自分の持ってる携帯を交互に見つつ
ちらちらとこちらの顔を覗いて来ていたので、もしかしてと思いメールアドレス交換をしようと
言った時は顔がキラキラと輝いていたなぁ・・・。
そこからしばらくメールし合って、遊びに行って、となるまでそう時間はかからなかった。
んで四月の後半らへんだっけ、そこらへんで桃が麻雀部に入って地区予選で桃が居る
鶴賀と当たって…そこから勝ち進んで全国まで。
二回目だけどやっぱり時が経つのは早い。

桃子「チョコをじっと見つめてどうしたっすか・・・?まさか美味しくなさそうで食べたくないとか・・・?」

そこで目をウルウルさせてこちらを見つめる桃に気づく。
やっべ、手作りチョコの衝撃で思い出に浸ってしまった・・・。

京太郎「あ、いや、すげぇ美味そうでどの形から食べようかなーって。じゃあ最初はこのハートにするぜ!」

自分で言っておいて下手な言い訳だと思うが美味しそうなのは事実。
なんとなく真ん中付近に置いてあるハート型のチョコに手を伸ばした。

口に放り込んだ瞬間甘い香りが口の中一杯に広がる。
噛むと溶けるようにして口の中へ染み込んでいき甘い味に満たされる。
どうやら苦めではなく甘めで作ったようだ。
俺は昔から甘いのが好きでチョコでも甘いほうが好きだったからしっかり好みに当てはまっていて
気づいた時には中のチョコが半分を切っていた。

京太郎「うめぇ、美味すぎる。これが手作りチョコの味か!!」

桃子「ふふっ美味しそうでなによりっす。作った甲斐があったってもんっすよ~」

桃の顔を良く見ると、僅かに頬を桜色に染め少し目が潤ってきている。
なんだか色気があるような?いやいや、おもちおっきいだけの小動物だしそんな色気なんて。
目が据わっていてこちらの唇をネットリと熱く見てきているのでなんだか食べにくい。

桃子「どうしたっすか?そのまま全部食べちゃっていいっすよ。私の愛情をたっぷり籠めたチョコを」

愛情、の部分で少し強調された気がしなくもない。
桃の様子を見ていると本命チョコかと勘違いしそうになる。
というか今の桃からは謎の色気があって目に悪い。さっさと食ってしまおう。
突然どうしたんだ?さっきまで普通だったのに。

桃子「ふふっ、ふふふっ、私の愛情が一杯京太郎に入ってるっす・・・はぁ・・・」

何故か背筋に寒気が走り桃の方を見る。
桜色に染め上げた頬に両手を当て、口から色っぽい溜め息が漏れている。
なんだか様子がおかしくなっていってる気がする。
風邪でも引いているのだろうか?いや、でも本当にさっきまでぴんぴんしてたしなぁ。

京太郎「い、いや~すげぇ美味いなぁ。何か隠し味でもあるのか?」

とりあえずこの変な雰囲気を変えようと話しかけてみる。

桃子「隠し味っすか。強いて言うなら・・・愛情?」

小さい声で、それだけじゃないっすけどと桃は言ったが不運にも俺にはそれが聞こえていなかった。
そのままチョコを全部胃の中に送り、チョコのケースを元に戻す。
普通に美味しかったし桃が手作りチョコ作れるだけの家庭力があるなんて思わなかったな。
将来、こんなおもちが大きくて可愛い嫁さんがもらえたら幸せなんだろうな。

桃子「あ、それともう一つプレゼントがあるんすよ」

その言葉に期待をしながら桃の方へ向く。
向いた瞬間、肩を押さえつけられ女の子の独特な柔らかく甘い香りが鼻に入って来ると共に目前に桃の顔が広がる。

京太郎「!?」

桃子「はむっ・・・んちゅ」

拙いバードキスなどではなく熱烈なディープキス。
桃の舌が強引に俺の唇の間を押し通り俺の歯茎を舐め上げる。
抵抗しようとして逃げようとするも今度は頭を両端から押さえられ動けなくなる。
一体何が起こっているのかと頭の中が真っ白になるがせめてもの抵抗をしようと舌を伸ばす、が
それすらも自分の舌に絡め唾液を送り込んでくる。
満足したのか桃が唇を離すとお互いの唇にどちらかの涎、はたまた混じって一体化した涎がお互いの唇を厭らしくつなぐ。
あまりにも激しく、息を継ぐ暇も無かった為ぜぇぜぇと無様に息を継ぐ。

京太郎「お、おい、はぁはぁ・・・一体どういうつもりだよ」

桃子「どういうつもりも何もコレがもう一つのプレゼントっすよ」

桃子「お返し、期待してるっすからね?」

そういうと桃は自分の唇をチロっと舐めた。
そんな桃が俺には何故か魅力的に見えた。

カンッ