子供の頃の俺は怖いもの知らずだった。

小さな危険でも楽しんでた子供だった。

ある日俺が知った危険な遊びはスカートめくりだった。

めくって、捕まったら怒られるという危険を乗り越えるというところに快感を得ていた。

……まあ、その中身にも興奮していたわけだが。

ともかくだ、そうしてスカートめくりにハマっていたやんちゃ坊主だった俺は、ある日道を一人で歩いていた女の人に目をつけた。

大人しそうな、黒髪の女の人だ。

今までやっていた相手は基本同じ学校の生徒だ、怒られるのは先生からであり、それほど厳しい処罰も受けなかった。

なら、全くの知らない相手にやって、もしも捕まったら……そう考えるとワクワクが止まらなかった。

……あと、ほら、大人の人はどうなのかも気になったし。

そんなわけで、その人に狙いを定めて一気にスカートをめくったんだ。

白かった。

きゃあっ、って驚いてるその人を尻目に俺は一目散に逃げ出した。

いや、逃げ出そうとしたんだ。

だが逃げ出せなかった。

俺が一歩踏み出すよりも早く、後ろに振り返るより早く女の人は俺の肩を掴んできたんだ。

そりゃあもう、全身に鳥肌が立ったさ。

その人が人間にできないような動きで俺を捕まえたこともそうだが、それよりもその人の放つドス黒いオーラに圧倒されていた。

正直チビってた。

鳥肌がこれ以上立たなくなると、今度は体全体が震え始めた。

確か季節は夏だったはずだが、冬を思い出すような寒気がしていた。

「ふふっ……見られちゃったね」

その人は微笑んでいた

「責任……とってもらわなきゃ」

そして、顔を赤らめていた。

よくわからないが、ヤバイと思った俺は大声を上げてその腕を振りほどき、一目散に逃げ出した。

後ろなんか振り向けなかった。

はやく、はやく、あの人のいないところへ、家へ!

そう思いながら必死に走ったんだ。

……家に着いて、中に入る前に辺りを見回してもその人の姿はなかった。

俺はホッとして家にはいったが、あの人の笑みが消えることはなかった。

夢にも出てくるし、なにもしてないとふと思い出してしまう。

それこそしばらく1人で寝れなかった。

それからだったな、もうスカートめくりは……いや、危険な遊びはやめようと思ったのは。

……

……なんで、こんな話をいきなり思い出したかというと。

「18歳の誕生日おめでとう、京太郎君」

世界的に有名な人が俺の目の前にいるからで

「ふふ、君が結婚できる年齢になるまで待っていたんだよ?」

その人はあの女の人で

「私のぱ……ぱぱ、パンツを見た責任……取ってくれるよね?」

同じような笑みを浮かべて

「ねぇ、あ……あ、な、た? なんて、きゃっ!」

婚姻届を俺に渡しているからだった。


カン