「ねぇ?京ちゃん?」

唐突に、俺をそんな風に読んだ彼女。
会ったのは二、三日前で、親しげな敬称に違和感を覚えつつ返事をする。

「なんでしょうか?宮永先輩」

幼馴染ともいえる少女の姉とはいえ当の本人とは初対面。
当然のことながら言葉づかいは固くなる。
そんな俺に軽く笑みを浮かべつつ、彼女は答えた。

「もう、そんなに固くならなくても…。なんなら、照って呼んでもいいんだよ?」

そう、俺の抱いていたイメージとは違って柔らかくほほ笑む。
その笑顔は見惚れるほどに美しかった。
状況が状況だけに俺は呆けるばかりであったが。


うん。色々な意味で敵いそうもない。
そんな感想を抱きつつ言葉を選ぶ。

「いえいえ、そんな恐れ多い…」


苦笑しつつそう答えた。
それすら周りの心棒者には不快そうだ。

「ふふっ…。まぁこれから仲良くなっていけばいいよね?」

軽やかにほほ笑む宮永先輩を横目に見つつ、これから白糸台で過ごすであろう波乱な日々を、なんとなく予感するのであった。