和「私が淫乱レズピンクだという風潮」

京太郎「なんだよいきなり」

和「だから、風評被害ですよ!」

京太郎「あー、俺もよくホモだとかゲイだとか言われるしな」

和「それはどうでもいいです」

京太郎「どうでもよくないよ!? だってハギヨシさんにはタコス作り教えてもらっただけなんだぞ!?」

和「私だってちょっと手をつないだり顔を赤くしてるだけなんですよ!?」

京太郎「……本当にそれだけか?」

和「……それだけですよ?」

京太郎「だってあのips発言はやっぱり……」

和「わー! わー!」

京太郎「ぐ、ぐるじ……くびは、やめ……」

和「若気の至りです! 優希のおふざけに乗ってみただけなんです!」

京太郎「わかった、ギブ、ギブ……!」

和「あ、ごめんなさい」

京太郎「ぶはっ! あー、死ぬかと思ったー」

和「そんな、少し大げさですよ」

京太郎「お前な……まぁいいや。それで、風評被害ってのはわかったけど、こんな話されてもどうしようもないぞ?」

和「私はそうでもないと思いますよ?」

京太郎「は?」

和「もし私たちが仲良しなふりをしてたら、その噂を払拭できると思いませんか?」

京太郎「なるほど……でも、俺でいいのか?」

和「正直抵抗はありますけど、他の男子よりはマシです」

京太郎「……喜ぶべきか悲しむべきか」

和「とりあえず一緒に帰るところから始めてみましょう」

京太郎「はいはい」

和「あ、接触は厳禁で半径50センチ以内には近づかないでください」

京太郎「お前さっき思いっきり俺の首絞めてたよね!?」


――――――


京太郎「悪い、遅れた!」

和「もう、まがりなりにもデートなんですからしっかりしてください」

京太郎「だから悪かったって。まだ一分しか過ぎてないだろ」

和「でも遅刻は遅刻です。ちゃんと反省してください」

京太郎「わかったよ……」



和「ジェットコースター……ちょっと勇気がいりますね」

京太郎「そうか? 楽しいぞ?」

和「物は試し、ですね」

京太郎「ほら、早く並ぶぞ」

和「あ、隣の席は避けてくださいね」

京太郎「あのな……普段ならともかく、それじゃあんま仲良く見えないだろ」

和「むっ……じゃあ、今回だけ特別に許します」



和「メリーゴーランド……行きましょう!」

京太郎「あれ乗るの? 正直、いやかなり恥ずかしいんだけど」

和「置いていきますよー!」

京太郎「あぁもう、待てって!」


――――――


和「お化け屋敷……ここはやめておきましょうか」

京太郎「怖いの苦手なのか?」

和「……わたしはただ幽霊なんて非現実的なものを題材としたアトラクションに興味を惹かれないだけでそもそも
  恐怖というのは未知という要素が――」

京太郎「あーはいはい。要するに怖いのね」

和「~~っ、入ります!」



京太郎「大丈夫か?」

和「幽霊なんて、しかもこんな作り物に怖がるわけ――ひゃっ!」

京太郎「……」

和「……///」

京太郎「接触は厳禁とか言ってなかったっけ」

和「わ、私からは良いんです! だ、だから出口までは……」

京太郎「りょーかい」



和「いいですか? あれはいきなり飛び出して来たから驚いただけで、怖がってたわけじゃないですから」

京太郎「わかったよ。もう昼飯時だけど、どうする?」

和「もうそんな時間だったんですか? 気づきませんでした」

京太郎「お、あそこでタコス売ってるじゃん。食べてみて後で優希に感想聞かせてやろーぜ」

和「あ、それ悪くないです」


――――――


京太郎「射的だ。やってみるか?」

和(エトペンのキーホルダー……)

和「やりましょう!」

京太郎「うお、すごいやる気だな」



和「えい」スカッ

和「それ」スカッ

和「やっ」スカッ



和「……」ズーン

京太郎「まぁ、元気出せよ」

和「いいんです。所詮遊びですから……」

京太郎(いいんですって顔じゃないだろ)

和「次、行きましょうか」

京太郎「で、どれ狙ってたんだ?」

和「はい?」

京太郎「元全中王者が狙ったものを落とすってのは、良い腕試しになると思ってさ」

和「……なにバカなこと言ってるんですか」

京太郎「いいから。どれなんだ?」

和「あの、エトペンのキーホルダーです……」


――――――


京太郎「よっしゃ、取った!」

和「す、すごい!」

京太郎「へっへーん、ゲットだぜ! ってな」

和「むぅ……」

京太郎「はいこれ。ほしかったんだろ?」

和「え?」

京太郎「落としただけで俺は満足だ。それにどうあがいても俺には似合わないからな」

和「そういうことなら、もらっておきます」

京太郎「じゃ、次行こうぜ」

和「あの……ありがとう、ございます」



京太郎「で、最後はこれに乗るの?」

和「はい、遊園地のデートの締めは観覧車だと聞いたので」

京太郎「そっちがいいならいいけどさ、結構狭いぞこれ」

和「あの、それだったら……半径二十センチまで、許します」

京太郎「……どういった心境の変化?」

和「と、とにかく乗りましょう!」


――――――


京太郎「狭いな……」

和「そう、ですね」

京太郎「高いな……」

和「そう、ですね」

京太郎「顔、赤いぞ?」

和「そう、じゃないです。夕日のせいです」

京太郎「そうか」

和「……」

京太郎「……」

和「……やっぱり、やめにしません?」

京太郎「やめるってデートをか?」

和「その、仲良くするふりを……です」

京太郎「やっぱり俺じゃ荷が勝ちすぎてたかな?」

和「そういうことではなくて……普通に仲良くしたいと言いますか……」

京太郎「それって友達ってこと、だよな?」

和「はい。ひとまずは……」

京太郎「じゃあこうやって、手を握っちゃっても?」

和「ひゃっ」

京太郎「いやか?」

和「いやでは、ないです」

京太郎「抱きしめるのは?」

和「それはまだ……」

京太郎「まだ、ね」

和「……はい」


――――――


和「今日は私のわがままに付き合ってもらって、ありがとうございました」

京太郎「いいよ。俺だって十分楽しんだし」

和「そう言ってもらえるとうれしいです」

京太郎「んじゃ、帰るか。送ってこうか?」

和「父が迎えに来るので」

京太郎「そっか……じゃあ俺は行くよ。明日学校でな」

和「はい、また明日」

京太郎「あ、そういえば一個言い忘れてた。耳貸して」

和「なんですか?」


京太郎「俺、和がいなきゃ麻雀部に入らなかったと思う」


和「――え?」

京太郎「そんだけ。じゃあなー」

和「それって、まさか……///」


――――――


咲「ねぇ、今日の和ちゃん、なんか変じゃない?」

優希「そっかー? のどっちモードのときはいつもあんな感じだじぇ?」

咲「そうだけど、今は対局してないし」

優希「じゃあ風邪とか」

咲「熱でもあるのかな?」

久「二人ともはずれよ」

咲「部長、いたんですか?」

久「引退したんだから元部長よ」

優希「そんなことより、はずれってどういうことなんだじぇ」

久「よく見てみなさい」


和「……はぁ」


久「潤んだ瞳に、紅潮した頬。それに窓の外を見ながらため息と言えば、答えは一つしかないわ」

咲「やっぱり風邪じゃ……」

優希「わかった! ずばり、タコス切れだじぇ!」

久「ダメよダメねダメダメね。あれは――恋よ」

咲「恋? 和ちゃんがですか?」

優希「鯉? タコスじゃなくてお魚が食べたいのか!」

久「ほら、もうすぐ須賀くんが来るからよく見ておきなさい。特に優希は」


京太郎「戻りましたー」

和「――っ」


優希「おお、のどちゃんが鯉みたいに跳ねたじぇ」

久「あなたはそれから離れなさい」

咲「和ちゃん、まさか京ちゃんに?」

久「これは面白いものが見られそうねー」


――――――


京太郎「よう、昨日ぶり」

和「ち、近寄らないでくださいっ」

京太郎「は?」

和「半径二メートル以内には近寄らないでくださいっ」

踞尾卯太郎「いや、いきなり広がりすぎだろ。昨日は手だって握ったのに」

和「そんなオカルトありえませんっ。とにかくダメったらダメなんです!」

京太郎「なに言ってんだよ。ほら、こうやって昨日も……」

和「ひゃっ」

京太郎「ん? 今日も顔赤いな。熱でもあるん――」


和「はっ、半径一キロメートル以内には近寄らないでくださいっ!!」

京太郎「学校いられなくなるからなそれ!?」



咲「……」

優希「……」

まこ「で、なにかあったんか?

久「あの二人よ」

まこ「和と京太郎……喧嘩でもしちょるんか?」

久「さぁてね……でもそのうち犬も食べなくなるんじゃない?」


カンッ