――――――――とんでもないことになった、と思った

ただただ、ため息が出る。この体の火照りは夏の暑さのせいではなかった。
セミのうるさい鳴き声が朝を感じさせる。気分はあまり、優れていない。
こうなる前に、理性は全て吹き飛んで、昨夜のことは思い出したくない。
二人ベッドの中で裸……というのは、つまりそういうことなのだろうと察する。

京太郎「ほんとならさ……やっちまった、この後どうしよう……そうなるはずなのにさ」

布団で丸まって、顔を伏せている少女を見やる。茶色の髪の、端がピンと尖ったショートカット。
体はどうやら震えているようで、様子がおかしい。
おかしいは、おかしいのだが……

京太郎「どうして、お前は……」

少女が、こちらへ顔を向ける。












京太郎「そんなに嬉しそうなんだよ馬鹿」ペシッ
咲「うっ///」ギクゥ

そこには嬉しさで爆発しそうな幼馴染の満面のニヤけ顔がありましたとさ。

きっかけは簡単。1年のインハイが終わって、さて次は俺の番だ、と必死に練習に励んだ。
その時一番熱心に指導してくれたのは他ならぬ咲で、おそらくその時から惚れていたのだと思う。

そして望んだ2回目の地区予選。俺は努力の成果と、仲間の指導による技術も相まってか、辛くも全国に進むことが出来た。
ようやくうちの麻雀部の連中に並べたと思うと、嬉しさが溢れでて止まらなかった。
そのことを元部長や染谷部長達に伝えると、皆自分のように喜んでくれた。
一番喜んでくれていたのは咲だったし、諦めずに麻雀を続けていてよかったと思う一番の瞬間だった。

そして昨日、二人で祝勝会しようと咲からの誘いがあって…本当に色々あってガマンできず、今に至る。
仕方がなかった。いくら幼馴染でありぺったんこだからとは言え、必ずしも欲情しないなどあり得ない話だった。
ましてや入浴中に突撃するなどという凶行に走られては手も足も出ない。極めつけに裸で添い寝だ。我慢なんて出来るわけなかった。

咲「も、元はと言えば京ちゃんが悪いんだよ!結構な頻度でアピールしてるのに!」

京太郎「全然覚えがねえ…けど、今日のはやりすぎだろ……仮にも男子高校生だぞ」

咲「い、いいの!京ちゃんだし、ここまでしないとダメだったんだから!もうっ」

頬を膨らます幼馴染を尻目に、昔のことを思い返す。
すると、ああ確かに……なんとなくそれっぽい日もあった。
部室で二人きりの時に何故か持参した官能小説を読んでいたり
寄り道をして帰ろうとするとバレバレの尾行をしたり……
そういえばうちに来た時に、ソファーで謎のポーズを取っていたことがあったな。あれは女豹だったのか。

京太郎「いや分かるわけないだろ!!変人だよただの!」

咲「うっ…うるさいなぁもう!過ぎたことはいいでしょっ///
  それに京ちゃんは私を…形だけとは言え、レレ、レイ…ゴーカンしたんだから!責任取ってよ!」

京太郎「それについては当然、取らない理由がないだろ。絶対幸せにしてやる」ギュッ

咲「あっ…うんっ/// 大人になったら、すぐ結婚だね!子供は何人いるかなー」

未来に向けて妄想を働かせる幼馴染もとい恋人を見て、俺は口元を綻ばせる。
まだ俺はガキで、どんな困難が待ち受けているか分からないけど……
それを咲と乗り越えていければいいなと、切に願うばかりだ。

京太郎「好きだ、咲。これからも、一緒だな」

咲「うん。これまでも、これからも…ずっと一緒。大好きだよ、京ちゃん」

カンッ







ガチャ…ドタドタ
京太郎「差し当たっての困難は、界さんにどう説明するかだな…」

咲「あっ…」サーッ

もいっこカンッ