久「須賀君って、」

京太郎「はい?」

久「彼女とかいないの?」

京太郎「いたらこんな部活来ねぇよ」

久「……」ギリギリギリギリギリギリギリギリ

京太郎「痛たたたたたた痛いの、人間の関節には稼働限界があるの。肘はそっちにそれ以上曲がらないの!」

久「それで? 実際どうなの?」

京太郎「まずなんでいきなりその話題を振ってきたか、そっちのほうが興味あるんですけど」

久「うちのクラスの女の子達がね、麻雀部のマネージャーの男の子ちょっとカッコいいわねって」

京太郎「マネージャー……」

久「それで実際どうなの?」

京太郎「いるように見えます?」

久「残念ながら」

京太郎「くぅやしいぃ」

久「まぁでもせっかくの高校生活、恋人の一人くらいいないと寂しいわよね」

京太郎「お言葉ですが、逆に部長はどうなんですか?」

久「私は、生徒議会と部長の仕事があるからいいのよ……」

京太郎「こっち向いてしゃべってもらっていいですかね?」

久「まぁでも、もし須賀君に恋人が出来たら、あんまり部活に顔出しできなくなったりするのかしら。なんだか寂しいわね」

京太郎「まず前提として彼女いないわけですが。でも、俺、麻雀も好きですし部活を疎かしにはしませんよ」

久「ありがとう。でももし、そうなったら遠慮なく言って。須賀君にやってもらいたい雑用10項目を作っておくからそれ終わったら帰っていいわよ」

京太郎「部長、ありがとうございます」

久「でも、8項目まで終わったら私を呼んでね。残りを全力で妨害しに行くから」

京太郎「帰らせる気ねぇじゃねぇか」

久「実際、大人しい幼馴染の咲と、学園のアイドル的存在の和。この二人と一緒にいてなんにも進展がないってなに? 面白くないんだけど」

京太郎(俺が言うのもなんだがサラッと省かれる優希……)

久「でもアレね。このままエヴァ○ゲリオンみたいな展開も面白いわね」

京太郎「その心は?」

久「ダブルヒロイン物にホモをぶち込んでいくスタンス」

京太郎「やめてください」

久「彼女が出来たらどんなことしたい?」

京太郎「まだ続くんですかこの話題。……やってみたいことってこれ、エロ系でもいいんですか?」

久「いいけど、全力で相手してあげてもいいわよ」

京太郎「あれッスね! バイクとか車で一緒にツーリングとかドライブとかそういうの!」

久「車、車ね……」

京太郎「? 車が何か?」

久「車はやめたほうがいいわ。アレは人を殺す悪魔の乗り物よ」

京太郎「あれ、なんかトラウマ抉りました?」

久「最近ね、ゆみに用事があって、その……鶴賀の部長、蒲原さんの車に乗せてもらったの」

京太郎「はぁ」

久「絶叫マシンってあるじゃない? ジェットコースターとか」

京太郎「まぁありますね」

久「あれって、一見怖そうだけど実際はきちんと搭乗者の安全が考えられてるの」

京太郎「あー……」

久「安全器具の無い絶叫マシンって、どう思う?」

京太郎「し、シートベルトにワンチャン……」

久「激しい蛇行と上下運動で、内臓攪拌による機能不全で殺すんじゃないの。同乗者をシートに叩きつける打撃で殺すの」

京太郎「えっと、それって現実空間の話ですか? 書籍とか銀幕の中とかじゃなくて」

久「残念ながら……」

京太郎「何故だろう。蒲原さんにすごく惹かれてる自分がいる。容姿とか性格とかじゃなくて、主に行動に」

久「坂道を、すごくいい笑顔で笑いながら追いかけてくるの。地元じゃ〈峠の虐殺魔王〉って呼ばれてるわ」

京太郎「それ、ドライバーに付けられる通り名じゃないですよね」

久「…………」

京太郎「…………」

久「昔、『お父さんのバックドロップ』って映画あったわよね」

京太郎「…………だから何?」

久「そうだ! 須賀君お腹空かない?」

京太郎「ええ、まぁ少し」

久「そうよね? そうよね? ちょっと待ってて」

京太郎「女性のこの繋がらなさはなんなんだ」



久「やっぱりピザはガーリックポテトミックスオリーブ抜きでLサイズね」モグモグ

京太郎「だからって、学校でピザ注文しないでくださいよ」モグモグ

京太郎「騒ぎを聞きつけた教頭、めっちゃこっち睨んでましたよ」

久「いいのいいの、あのハゲ私には逆らえないから」

京太郎「そりゃ、部長が裏から手を回して校長が入れ歯を洗った水を秘密裏に入手して、教頭のお茶に使ったからでしょう」

京太郎「よく立ち直ったほうですよ」

久「あの頃は楽しかったわね」

京太郎「懐かしむほど昔でもないですけどね。付き合わされる方の身にもなってくださいよ」

久「デザートもあるわよ?」

京太郎「もちろんストロベリーサンデーなんでしょうね」


京太郎「結局、誰も来ませんでしたね」

久「みんな今日は用事で来れないってメールがあったもの」

京太郎「先に言ってくださいよ!」

久「こういう、くだらないことが楽しめる関係って、なんかいいわね」

京太郎「どうかな」

久「明日は何しようかしら」

京太郎「麻雀しましょうよ」


カン