学校であった須賀い話



次はウチが話しますーぅ

んとなー、これはウチの話なんやけどね

まあこの前、ちょっとやらかしたわけ

その懺悔みたいなもんと思って欲しいんよね


えーっとな、ウチな

京太郎君を閉じ込めた事あんの


……まあ、聞いて欲しいんですけど


大阪に京太郎君が遊びに来たことあって、
そんときは彼と一緒に…まあ他にも何人かおったけど……街に出たりしてたんやけど、

大阪におる最終日の前の晩、なんでも夜遅くまで長野の友達と電話で話してたら体調悪くして、
ちょっとしんどい状態になったって、

たまたまウチが今日の何時の電車で帰るのかって朝早くメールで聞いた時に知ってな、
すぐに駆けつけたんや

ベッドに寝てる京太郎君はバツが悪そうにしてたけど、体壊したんやからしゃーないもん

家から持ってきた梅のお粥食べさせたり、熱測ったり、頭冷やしたり…とにかく出来ることは色々やった

熱は微熱やったけど、油断はできんから付きっきりで看病する事にしたんや

こんなナース服着ているから妙な使命感もあったんやな、きっと


朝からずーっと京太郎君のそばにおって、早くよくなりますようにって思いながら、
寝ている京太郎君の顔を眺めとった

そうしたら…あれは昼ごろやったかな
寝息立てている京太郎君を見ていたら、ある事に気づいてしまったんやな

彼の体の事が心配で考えもせんかったけど、今は京太郎君と二人きりってこと

ウチ以外は誰も京太郎君がこの状態って事知らんから、邪魔者もいないってこと

そして、このまま病気でいてくれたら今日の電車で帰らせないように出来るってこと…

……とにかく黒い考えに頭が支配されてしまってな
それからウチは当たり前のように、ホテルの前までタクシーを呼んで、京太郎君を起こしていたわ

このままやと、今日のうちに出るはずやったホテルにも迷惑かかるし、
かといって病院いこうにもちょっとお金かかるから、ウチの家に来て、そこでゆっくり体治したらええわ

……って、京太郎君を説得しながらタクシーに無理やり乗せた

タクシーの中で千里山や姫松の連中に、
京太郎君はもう早い時間の電車で帰ってしまったってメールするのも忘れんようにしてな…

家に着いて京太郎君を客間に連れて行くと、すぐに布団敷いて寝かせた

あと三日は家族も留守やから、少なくともその間は二人きりや…って、わくわくしながらな

京太郎君も疲れていたから、ウチに言われるがままに横になって、すぐに夢の中に旅立っていった

……一応断っておくけど、ウチはいかがわしい事なんかするつもりはこれっぽっちもなかった
京太郎君と一緒にいたかっただけ、それだけやったから…


けど、こんな考えもあった

こうやって寝ている間に京太郎君がすっかりよくなってしまったら、もう夢のような三日間は一日で終わってしまう…

と考えたら不謹慎やけど悲しい気持ちになった


…もう、ウチのとる行動は一つしかなかった

懺悔っていうのはここからの話や


京太郎君が起きると体温計を渡して、しばらく待った

電子音が鳴って京太郎君が目盛りを見る前にウチが手にとって、代わりに見る

……案の定、平熱やった

だけどウチは、まだ熱がある、と彼に告げた…


単純な手やったけど、京太郎君は信じてくれた


長野に電話をすると言い出したけど、
ウチが代わりにするから休んでと納得させて京太郎君の家に電話をかけた

流石にちょっと心配しとったけど、ウチがちゃんと看ていますと言ったら、信頼してくれた

ちょっと胸が痛んだけど、
京太郎君の両親に、息子をお願いしますねって言われた時のときめきの方が強かった


その晩は京太郎君のそばでウチも寝た…

翌朝も同じ手を使って京太郎君に寝ているように言った

でな、ご飯の時はお粥をあーんってするんやけど、病人やと思ってするのと、
大丈夫な人だと知ってするのとは全然違ったのは覚えているわ

なんていうか、ウチのほうが熱あるんやないかってぐらいドキドキしたもん

京太郎君も自分は熱があるって思い込んで、もうウチに頼るしかなかったから、
身の回りのことはホテルにいた時よりお世話させてもらった

嫌がっていた体を拭く事も許してくれるようになってな
……まあ、肝心なところは自分でやるって聞かんかったけど

本当は健康なんやから食欲もそれなりにあって、京太郎君が食べたい物を作ってあげたりもした

お話の相手になって、談笑もした
京太郎君の知らん事もたくさん知れたし、ウチの事もたくさん教えてあげられた

そうやって時間いっぱい過ごしたんや


ホンマに…ホンマに幸せな日々やったなぁ……


そんで親が帰ってくる前日に体温計見せて、もうよくなったって言って、
それから電車の切符も買いなおして……うん、そのお金はウチが出させてもらったよ…

京太郎君は次の日の朝に長野へ帰っていった

何度も何度もウチにお礼を言いながらな…


…ウチは自分が怖い

京太郎君を騙して、軟禁に近い事したっていうのに、罪悪感がちっともないんや

むしろ、あの日々をもう一度過ごしたいって、あれからずーっとそればっかり考えてまう…

このままやと、ウチは京太郎君とまた一つ屋根の下で二人きりになるためにとんでもない事しそうや

けど、いつかそうやって暴走せえへんかなって自分に期待しているウチも心の中におるんや


こうやって普通に話してるけど、もしかしたらウチはとっくにどこか壊れてるかもしれんなぁ……



さて、ウチの話は終わりっ

次は誰ですー?


カンッ