話は私が小学校の時にまでさかのぼる


私は当時から全力で何かに取り組むということが嫌だった

誰かを気にかける事も面倒くさくて、誰ともつるまず、遊ばず、クラスでは浮いていた

勉強は大抵聞いていれば「ああ、そう」と頭で理解して、
適当にノートに書いていればテストでも困らなかったし、

背の高かった私は運動もやろうと思えば出来るという確信があったけど、
目立ちたくもないから手を抜いて、まあまあの位置におさまるようにする


…とにかく、子供のときは恥ずかしいくらいにひねくれていたのだ

何をしていても時間は過ぎていくということを、もっと幼い頃に気づいてしまったせいだと思う


そんな私に話しかけてきた男の子がいた


暑い夏の日の昼休みの事だった

教室にいても暑かったので、涼を求めて外に出た

ちょうどいい木陰を見つけて涼んでいると、グラウンドで遊んでいた男の子がこっちにきて私を誘ってきた

日差しを受けて輝く金髪が印象的だった

暑いから嫌だと断っても男の子は引き下がらない

汗をかいたほうが涼しくなる!の一点張りだった

不思議とその男の子に誘われると強く断れなくて、結局彼らの遊びに参加することになった

「よっしゃ!人数そろったしサッカーやろうぜサッカー!」

「きょ、京ちゃん…その子だぁれ…?」

「おいおい咲ぃ、そんな人見知りすんなよ結構優しそうじゃん」

「俺らは須賀が連れてきたんならいいぞー!」

「あたしたちもー!」

「うし、決まりだな!よろしく!」

「……ども」


彼は仲間達からの人望は厚いようだった

だからといって名乗る気はなかったし、さっさと終わって欲しかった


だけど…


「ほら!パス!」

「大丈夫、大丈夫!もっとうまくできるって!」

「そらっ!走れー!」

「あははっ、外しちまった~」



……彼を見ていたら、暑さも忘れて熱中してしまっていた



らしくない事をしてしまった、こんなに汗だくで息を荒くしているなんて…

何をやっていたんだ私は

「おーっすお疲れー!楽しかったかー?」

「………」

「意外と熱いプレーしてたな!かっこよかったぜ!」

「……そう」

「そうさ!」

「……………」

「きょ…京ちゃぁぁ~…ん……わたしあるけないよぉ~……」

「おいおい…ったく、咲はしゃーねーな!ほれ、背中乗れ」

「うぅぅ……ごめんなさ~い…」

「ヒューヒュー!宮永と須賀はあっちっちー!」

「キィィーー!咲ちゃんうらやましぃーー!」

「………」


この時、私は彼らを見て……


『楽しそう』って思ってしまった



だから

「…また」

「ん?」

「また、サッカーやるなら教えて」

「おうっ!」



らしくないことをまたしてしまった




……それから少しすると、私は岩手へ引越しをした



理由は親の転勤という単純なもの

私の転校をクラスの皆は興味なさそうにしていた

それは仕方ない

だけど、あの男の子とはあれっきりになるなんて…

名前をちゃんと聞けばよかった…


「さよなら…京ちゃん」



岩手に行ってからも何となく日々を過ごすつもりだったけど、
何故だか友達がよく出来た

親にも「白望は少し明るくなったね」と言われた


もしかしたら、あの京ちゃんとの出会いのせいだろうか

あれが私を少しでも変化させたとしたら…

…………

それからだいぶ経った今、

私は麻雀のインターハイ会場をふらついている

何だか無性に歩きたくなった、何故だか分からないけど

ぼーっとしながら移動していると…


「まったく、咲はどこいったんだか……」



曲がり角から出てきた彼に気づかず…



「わっ!」

「んっ」



ぶつかった…



「とと…ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!」

「ん、平気…………え?」

「はい?」



そして彼の顔を見て……

『なあ、暇か?暇だよな!』

『いいからこいよ!そんなじめじめしたところにいちゃあダメだぞ!』

『汗かいたほうが涼しいんだって!さ、一緒に遊ぼうぜ!』



思い出がよみがえった…

たった一日だけの出会いの記憶…



「京ちゃん…」

「え…?」



運命ってきっとあるんだと思う



「………」

「あ、あの…どうして俺の…」

「初めまして」



自己紹介、ずいぶん遅れてごめんなさい…

そして…



「小瀬川白望、です…」



これからよろしくお願いします

京ちゃん


カンッ