京ちゃんと過ごす一ヶ月しずもん編



「一日目」


穏乃「おーいっ!そっちは危ないよー!


……はぁ~っ、間に合った!
危ないところだったんだぞ!

今歩こうとしていたところはヤマカガシっていう蛇の巣があるんだよ
こいつは大人しいけど、
もしうっかり踏みそうになったら咬まれるところだったんだから気をつけなよ!

分かった?

うんうん、ならよし!

それじゃ、道を外れないように山を楽しんでねー!ばいばーい!」


………

「三日目」


穏乃「ん?あの人……おーい!おーい!!

やあやあ、二~三日前に会ったよね!

うん!そりゃ覚えてるよー、この辺で山に一人で入る若い子なんて私ぐらいだったからさー!

この町じゃ見ない顔だけど最近引越してきたの?

へー、そうなんだ!
あっ、自己紹介するね!私は高鴨穏乃!

…きょうたろー、かぁ
いい名前じゃん!京太郎!

学校は?

…ふーん、私さ阿知賀女子に通ってるんだけど、割と近いね

じゃあさじゃあさ!今度一緒に山へ遊びに行こうよ!

よしっ決まり!あ、せっかくだから町の案内しようか?

へへ、いいっていいって!今、山から下りてきたところでやる事なかったし!

まずは、いい運動靴を置いてる店へ連れて行くね!

ほら、こっちこっち!」

………

「八日目」


穏乃「京太郎はさ、部活なにか入ったの?

ふーん…

私さ、麻雀同好会立ち上げて活動してるんだー

……なに驚いてるのさ、そりゃ私は頭良くないけど
麻雀はあれだよ、気合と努力と気合があれば出来るんだからね!

ん?なんかおかしい事言った?

…なんか誤魔化された気がするな~


ところで、この漫画の続きどこ?」

………

「十五日目」


穏乃「おっす京太郎!今日も山行こうよ山!

うん?もちろん二人でだよ

?他の人誘わないのかって?


……あははははは!

もー!京太郎以外に私に付き合ってくれる人なんていないよ
安心して!

え?だから、京太郎以外は誘わないから安心してよって意味だよ

分からない?んー、まいっか

そんなことより出発するよ、ほら急いだ!」

………

「二十日目」


穏乃「京太郎~…やっぱりジーンズって動きにくくて嫌だなぁ…


…いやいやっ、京太郎と一緒に出かけるのは凄い嬉しいよ!

うんっ、たまには山以外のところへ行ってみるのもいいよね!」

………

「同日」


穏乃「へー!小物屋ってこんなの置いてあるんだねー!
あははっ、何に使うか分かんないや!

部屋に置くだけ?変なのっ

あ、この指輪バナナの形してるー!おもしろーい!


…え?買ってくれる?そっ、そんな悪いよ!

買わせてくれ、なんて…もうズルいなぁ


……うん、ありがとう

ずっと大切にするよ…」

………

「二十一日目」


穏乃「おっす京太郎!へへっ

指輪、ちゃーんとつけてるよ!ほらっ


・・・?うん、薬指だけど

人差し指か中指じゃなくていいのかって?


…うーん

私はそういうのわかんないからなー


でもさ

薬指でもいいじゃん?


指輪なんだしさ

花じゃないんだからつける位置とかで面倒なこと考えたくないなー


とにかくさ、別に困ってないし


私は薬指につけ続けるよ」


………

「二十二日目」


穏乃「くふふっ♪

あ、なんでもないんだよ何でも…


………んー、実はさ…

指輪つけて学校行ってたら皆から噂されるようになっちゃってね
私に彼氏がいるんじゃないか、って

それでね、京太郎と一緒にいるところをクラスの子に見られていたらしくってさ

きっとあの金髪の男の子が彼氏なんだー、って今日はクラス中で囃し立てられて

もう、まいっちゃったねー♪

皆そういう話大好きなんだもん、私と京太郎が付き合ってるとか、婚約もしてるとか、

あはは、バナナの婚約指輪なんて聞いた事ないっての!

とにかくそんな噂が流れちゃってね
きっともう学校内で私を知っている人みんなに行き届いてるんじゃないかなー?

でさ!京太郎のほうはどうなの!
京太郎のクラスとかではそういう私と付き合ってるっていう話になってない?

ねえ!ねえ!


…あ、そ

ないのか

ふーん、まあ事実じゃないから、
噂として流れても迷惑なだけだよね

よかったね、京太郎」

………

「二十三日目」


穏乃「京太郎、来てくれたんだね

えへへ、馬鹿やっちゃったよ
…うん、電話で言ったとおり自宅謹慎

ちょっと生活指導の先生を殴っちゃってね


……だって、向こうが悪いんだ
指輪を外せ、だなんて言ってきて

嫌だっていったら無理に外そうとしてきたから頭にきて…

まったく、ダメならダメでさ、つけ始めた日に見つけて注意しとけっての
何のための生活指導なんだよ

今更になって言ってくるなんて何考えてんだか

…きっとあの先生も私と京太郎の噂を聞いたんだよ
それで嫉妬したんだ、幸せそうな二人の話にさ

その先生、赤土先生よりずっと年上だけど未婚らしいから

馬鹿な人だよねー

……私が謹慎で済んだのは、きっと赤土先生がすごいかばってくれたからだと思う
やっぱり、馬鹿なのは私だ…

あ、でも安心して

ほら

ちゃんと指輪はつけたままだから

ますます外したくなくなったよ、絶対にね


えへへっ」

………

「二十四日目」


穏乃「……呼び出してごめんね

憧達がさ、さっき家に来てたんだ

京太郎と距離をおけ、って言いにさ………


京太郎のほうには行ってない?


……そう、同じ事言われた?


…………なにそれ

先生殴ったのは私なんだから、京太郎のせいなんかじゃないのに

そこまで言われたの?

ひどいよ憧

…………………それならついでに蹴り飛ばしておけばよかった


ん、なんでも…


ああ、部屋ね…うん、さっきまで荒れてたから
片付けてなくてごめんね


…ねえ、京太郎

京太郎はさ、私の味方だよね?
憧達なんかに言われたからって付き合いをやめるとかそういうことしないよね?


…よかった

私、何があっても京太郎と一緒にいたいもん

ずっと…

ずっと……

ずーっと………」

………

「二十五日目」


穏乃「……………………


……………………


……………………


……………………


……………………



あはっ


こんばんは


京太郎」

………

「二十六日目」


穏乃「あ、目覚めたね

おはよう京太郎

ここ?
ここはね、私の秘密の山小屋

前の持ち主の人がいたんだけど、年で亡くなっちゃってね
それから私がたまに利用してるんだー

もちろん、私以外は誰も知らない場所だよ
これから少しの間、ここで二人で暮らそうと思ってね

…やだなー!京太郎と一緒に決まってるじゃん!

着替えも持ってきてるし、お風呂もついてるんだよ
食べ物はそこら中に山菜があるし、この山は川でたくさん魚がとれるから全く問題ないよ
水は湧き水を利用してるから、冷たくて気持ちいいんだー!

大丈夫!私飲んでるけどお腹も痛くならない安全な水だよ
気になるなら火であたためて消毒するけど


連れてきた理由?

そりゃあ二人きりになりたいからだよ

…だって、おかしいよ
京太郎と一緒にいたいだけなのに周りが邪魔ばかりしてさ

だから、ほとぼりが冷めるまでここで京太郎といることにしたんだ


もー!そんな不安そうな顔しないでよ!少しの間って言ったじゃない!
私は頭おかしい人じゃないんだから、監禁なんてしないよ!

あ、でもさ、無理にここから抜け出そうとしない方がいいかも

結構危険だから

道知ってるの私だけだし


ま!そんなわけだからさ!楽しくやろうよ!

えーと、こういうときは…そうそう


不束者ですが、よろしくお願いいたしますっ

えへ♪」


………

「三十日目」


穏乃「一緒のお風呂、まだ慣れないかな?

狭いからぴたってくっつかないと二人で入れないもんね

でもさ、それって私のこと女の子って思ってくれてるからだよね…えへへ……


……うん、お風呂でも外せないよこの指輪は…

この指輪が私に勇気をくれたから…
見た目はバナナの面白いデザインだけど、私にとっては……


…今さ、本当に幸せだよ
こんな気分になれたの初めて…

全部、全部京太郎がくれたんだよ…


んしょ、ちょっと向き変えるよ
京太郎の顔見たいから


…あはっ、こっちのほうがぴったりくっつけていいね


はあ…京太郎、胸すっごいどきどきしてる
なんだ、京太郎も私のこと好きだったんじゃん

私?もちろん大好きだよ

うん、大好き
大好き、大好き、だぁい好き…

まだ足りないなぁ

まだまだ…足りない

足りないよ


京太郎」


カンッ