和「でもよく考えてみれば、麻雀部と言っただけで別にうちの学校とは言ってませんね」
和「この県の人たちだったら合同合宿で面識もありますし」
和「危うく勘違いをするところでした」
和「思い出したら恥ずかしくて少し顔が熱いです……」
和「思い返せば、須賀君にも少し失礼なことを聞いたかもしれませんね」
和「お詫びと言ってはなんですが、ここは一つ彼の恋のお手伝いでもしてみましょう」
和「まずは好みのタイプを聞いてみましょうか」
和「気になるっていう人も、それに照らし合わせたらわかるかもしれません」
――――――
和「須賀くんはどんな人が好みですか?」
京太郎「……は?」
和「だから好みのタイプを……」
京太郎「いやいやいや待て待て待て!なんだっていきなりそんなことを?」
和(表立って応援すると言えば遠慮してしまうでしょうか?)
和「……なんとなくです」
京太郎「なんとなく?誰かに頼まれたとかでもなく?」
和「はい」
京太郎(おいおいおい、もしかしてこれって……!)
京太郎「……まず髪は長めで」
和「きっと女性らしい方ですね」
京太郎「……頭が良くて」
和「意外ですね。性格なら優希みたいな子が好みかと思ってました」
京太郎「あいつみたいなやつと付き合ったら奢らせられるだろ」
和「まあ、優希はあれで結構気遣いもできるんですけど」
京太郎「そうなのか?んで続けるけど……麻雀は強くて」
和「前に麻雀部の人って言ってましたね」
京太郎「お、おう……それで最後だけど……これちょっと言いにくいな」
和「大丈夫です。どんなことを言っても軽蔑はしませんから」
京太郎「そうか?なら言うぞ……胸の大きい人、かな」
和「胸の大きい人、ですか……」
京太郎「だ、だめか?」
和「ダメも何も、男性がそういった女性を好むことは知ってますから」
京太郎「じゃ、じゃあ……」
和「良くわかりました。それでは先に帰りますね」
京太郎「俺とつきあ……って、いない?」
――――――
和「須賀くんの好みについて大分情報が集まりました」
和「髪が長く、頭が良くて麻雀も強い……そして胸の大きい女性、ですね」
和「これらの条件を、各校の人たちに照らし合わせてみましょう」
和「まずは風越ですね」
和「条件に多く当てはまるのは……キャプテンの福路美穂子さんですか」
和「でも髪はロングというわけではないですね」
和「それ以外の人たちも……完璧に当てはまる人はなし、と」
和「じゃあ今度は鶴賀ですね」
和「東横さんも髪はロングとまではいきませんし、妹尾さんは偶然の役満が目立ちますが、お世辞にも強いとは言えません」
和「最後は龍門渕ですか……ここの人たちはみんな麻雀が強いですね」
和「その中で条件に一致するのは……一人だけですか」
和「沢村智紀さん……あまり話したことがないので頭が良いかどうかはわかりませんが」
和「でも普段から部活に顔を出している須賀くんが、それ以外の麻雀部に知り合いがいるとは思えません」
和「ならこれで決まりですね」
和「善は急げ……手配しましょう」
――――――
和「須賀くん、これ受け取ってください」
京太郎「メモに……電話番号とアドレス?」
和「あとで連絡してくださいね?」
京太郎「あ、ああ……絶対連絡する」
和「それでは、私はお先に失礼します」
京太郎「絶対電話かけるから!」
京太郎「よっしゃ!和の番号とアドレスゲット!」
京太郎「早速だけど、電話かけちゃおう」
京太郎「これで、よし……あぁ緊張する」
?『……もしもし』
京太郎「お、俺っ、須賀京太郎だけど!」
?『須賀京太郎……清澄の雑用』
京太郎「雑用って酷いな……って、なんかテンション低いな」
?『それで、何の用?』
京太郎「いや、連絡してって番号渡したのそっちだろ」
?『渡した覚えなんてない』
京太郎「え、ちょっと待て……もしかして和じゃない?」
智紀『龍門渕高校二年、沢村智紀』
京太郎「……なにがどうなってるんだ?」
智紀「私が聞きたい」
和「良いことをした後は気持ちがいいですね」
和「せっかくだから咲さんと優希を誘ってどこかに行きましょうか」
和「二人が須賀くんの邪魔になると悪いですしね」
カンッ
最終更新:2014年05月15日 16:10