バレンタイン前日……チョコレート専門店前。


和「明日はバレンタイン……ついに来てしまいましたか。どんなチョコなら喜んでもらえるのかばかり考えてて、買いにくるのが遅くなってしまいました……」



モブA「もうチョコ買ったー?」

モブB「当たり前田のクラッカーよ。今年こそハートを射止めてみせる……クククッ、見えるわっ、私の足元に膝まついてむせび泣きながらチョコをしゃぶる奴の姿が!」


和(あちらの方はもうチョコを用意しているんですね。私ももう少し早くに買いにくるべきでした)

和「……とりあえずお店の中に入りましょうか――――?」


モブA「うん、気合い入ってることはよくわかった。あんたは?」

モブC「え……わ、私はまだ……。今日、選びに行こうかなって……」

モブA「え、それって既製品買いにいくってこと?」

モブC「う、うん、ダメかな?」

モブA「えーマジ既製品!?」

モブB「ニワカー」

モブA「既製品が許されるのは小学生までだよねー」

モブB「キャハハハハ」

モブC「」



和「……………………すみません、このバレンタインチョコ製作セットを一つ」(キリッ

店員「アジャーシター」




和(ど、どんなチョコを作ればいいんでしょうか……)(ズーン…



バレンタイン当日……清澄高校麻雀部部室


京太郎「……みんな遅いなー」

和「そ、そうですね……」

京太郎「染谷先輩は部費の申請、優希は宿題忘れて居残り、咲は図書委員……ぬぅ、こういう時に限って元部長は来ないから、三麻もできない……」

和「あ、あの、須賀君……」

京太郎「ん、どしたー和?あ、さてはアレだな―――」

和「『面子が揃うまでの暇潰しに二人麻雀したいんだな!』……なんて言わないでくださいね」

京太郎「面子が揃うまでの暇潰しに二人麻雀したいんだな!……ハッ!?」

和「その二人麻雀がどういうものかは、また今度教えてもらうとして……と、唐突な質問ですが、今日がなんの日か知っていますか?」

京太郎「今日?あれじゃねえの、バレンタイン。咲とか優希にチョコ貰ったし」(ケロ

和「そうですか、咲さんたち、もう……」

京太郎「そんで、バレンタインがどーかしたのか?」(カチャカチャ…

和「あの、あからさまに二人麻雀するための配牌しながら話を進めないでください」

京太郎「…………ちぇ」

和「か、可愛く拗ねても、む、む、無駄ですから……!」

京太郎「へーい」

和「コ、コホン。とりあえず、今日がバレンタインだと須賀君が理解しているなら話は早いです」

京太郎「配牌で役牌暗刻の両面聴牌ぐらい?」

和「咲さんや優希がもうチョコを渡しているので、個人的に十一巡目愚形聴牌の気分ですが」(ムスッ

京太郎「微妙ってことですね、わかります」

和「それはともかくっ、す、須賀君。こ、これ、受け取ってください……!」

京太郎「コレって……もしかしてチョコ、か?」

和「もしかしなくてもチョコ、です……」

京太郎「お、おぉ、サンキュー。和ってこういうイベントに興味なさそうだから、貰えるとは思わなかったよ」

和「や、やっぱり変でしょうか、私がこういうことするの……?」

京太郎「大丈夫だ、問題ない。ギャップは萌えの真髄だって智紀さんが言ってた」

和「そ、そう、ですか」

京太郎「貰ってすぐっていうのもなんだけど、これ開けてもいい?」

和「は、はい、どうぞっ」

京太郎「――――こ、これって……」


チョコエトペン『…………』


和「麻雀牌や点棒の形というのも考えんですけど……さ、さすがにそこまでの技術は……」

京太郎「あー、一筒とか一索は難しいよな」

和「だ……だから代わりに――――私が一番気持ちを込められるものをチョコにしてみましたっ……」

京太郎「――――そりゃ……心して食べないな」(ニコッ

和「ぁ」(パァ…

和(あれ?でも、食べないとな、っていうことは……)

京太郎「いただきまーす」(パリンッ

チョコエトペン『ぬわーーっっ!!』

和(エ……エトペーーーーンッ!)

京太郎「おおっ、ウマイ、ウマイぜ和!」

和「よ、よかったです、頑張って作った甲斐がありました……」

和(エ、エトペン、ありがとうっ……私、あなたのこと……忘れません!)


和編……カンッ!