京太郎「どうしてこうなった……?」

玄「ゴゴゴメンね京太郎君!この料理、菊の間のお客様のとこに運んで!」

京太郎(年末年始、うちの旅館でゆっくり過ごすのはどうでしょうか!って玄さんに誘ってもらって……染谷先輩家の雀荘でアルバイトして資金を貯めて――――)

玄「きょきょきょ京太郎くーんッ、このビールを薔薇の間にー……!」

京太郎「何で奈良に来てまでバイトしてんだ、俺……?」

玄「あーっ、百合の間のお客様にお鍋を持っていってー!」

京太郎「―――ァイ、喜んでー!」

玄「居酒屋さんみたいな挨拶しないでよー!?」



京太郎「――――だはぁ!つ……疲れた……」

宥「ふ、ふふ、ゴメンね……。なんだか夏の大会が終わった後からウチの旅館……とっても人気になっちゃって……」

京太郎「…………あー、全国大会を破竹の勢いで勝ち進んだ選手の実家ですもんね。一度来てみたい、って考える人は多いですか……」

宥「う、うん、そうだねー……」

京太郎「玄さんみたいな美少女が仲居やってたらなおさらですしね……」

宥「玄ちゃん、すごく張り切っちゃってて……頑張りすぎないか、少しだけ心配……」

玄「心配ご無用だよ、お姉ちゃん!」

宥「わ、うわ……く、玄ちゃん驚かせないでよぉ……」

京太郎「玄さん、お客様はもう大丈夫なんですか?」

玄「うん!皆さん酔い潰れたり、二年参りに出掛けたりですっかり落ち着いたから」

京太郎「そですか、それはよかった」

玄「この度はまことに申し訳ありませんでしたー……」(深々

京太郎「え?あぁ、旅館の手伝いのことですか?」

玄「はいー……せっかくウチの旅館に遊びに来てもらったというのに、猫の手も借りたい忙しさに、つい悪魔の囁きに耳を傾けてフラフラとぉ……」

京太郎「ア、アハハ……大丈夫……大丈夫ですから……」

玄「ちゃんとお手伝い料、色をつけてもらえるよう交渉しておくからね!」

京太郎「悪いですよ。ここはいい経験させてもらったってことで、一つ」

宥「うふふ……今年は最後まで京太郎君に助けてもらっちゃったね、玄ちゃん……」

玄「うん、そうだねお姉ちゃん……。何だか年上として肩身が狭いよー……」

京太郎「あの……俺、なにかしましたっけ?」

玄「えっとほら、初めて龍門渕で会った時とか……全国大会でもイロイロとしてもらったでしょ?」

京太郎「…………?」

宥「きょ、京太郎君……?」

京太郎「………………………………あ、会うたびにに、阿知賀のみんなと麻雀したのは覚えてますよ?」

玄宥「………………」

玄「あ、お姉ちゃん、私年越し蕎麦もってくるね。京太郎君もお腹すいたでしょ?いっぱい食べてね!」

宥「うんー、ありがと玄ちゃんー。うふふ、あったかいお蕎麦、楽しみだね……」

京太郎「あ、や、やめてください、そんな腫れ物に触るような反応やめてください……!」


宥「ハム……ン、あったかーい……♪」(チュルチュル

京太郎(……なんか言葉の響きがエロく感じるのは俺だけなんだろーか)(ズルズル

玄「おかわりもあるから、遠慮なく言ってねー♪」

京太郎「うーっす」

宥「――――ぁ……除夜の鐘」

玄「今年もついに終わりだねー」

京太郎「新年かー。なんかあっという間に一年が過ぎた気がしますね」

玄「うん……」

宥「私は……とっても楽しかった、よ?」

玄「私もだよ、お姉ちゃん……」

京太郎「俺もちょー楽しかったです」

玄「麻雀三昧だったもんね!」

京太郎「ハイ!!」

玄「即答ですか……ムムッ、これは病気が悪化してるよね。最近はおもち力も落ちてきてるし……せっかくの同志が……」(ブツブツ

宥「きょ、京太郎君はなにか抱負、あるの?」

京太郎「来年……いや、もう今年のですか?抱負、抱負かー……」

玄「お、それはぜひお聞かせ願いたいですよー」

京太郎「んー……やっぱり麻雀強くなりたい、ですかねー」

玄宥「や、やっぱり……」

京太郎「ああ、あとはあれですね、せっかくの青春なんだからいい加減、彼女が欲しいなー、なんて」

玄「恋人ですかー、ふんふむ」

宥「わ、わー……」(ポッ

京太郎「お二人みたいに、俺ももっと才色兼備な感じだったら、こんなこと抱負にしなくていいんですけどね」

玄「アハハ、お世辞でも嬉しいよ京太郎君」

宥「ああ、あり、ありがとー……」

京太郎「お世辞じゃないですって。…………うん、でも」

玄宥「?」

京太郎「とりあえず今は、こうやって親しくしてくれる人たちとお蕎麦食べられるだけで十分幸せだよなー、って思います」

玄「京太郎君……」

京太郎「玄さん、宥さん……明けましておめでとうございます。今年も、よろしく」

宥「ここっ、こちらこそ、ふ、ふつつかものですがー……」

玄「お姉ちゃん、その挨拶は何か間違ってるよー!?」

宥「はわぅわわ……!?」

京太郎「アハハハ!そんな風に言われたら、もうこのままよろしくお願いされるしかないですね」

玄「やめるのです京太郎君!あまりお姉ちゃんをからかうのはダメー!」

宥「うぅ、か、顔……熱くなってきちゃたよぉ……」


そんなこんなでゆく年くる年が過ぎ……


後日、松実館には須賀京太郎少年が接待してくれるサービスがあるという記事が麻雀TODAYに掲載されて、とあるご新規のお客様が数名同時に訪れて一波乱起きるのだが――――それはまた別のお話。