久「大会が近くなったし、そろそろ県予選出場校の分析資料出しときたいんだけど……生徒会の仕事が忙しくて、ちょっと手が回らないのよねえ」(コマッター

京太郎「へー……えっと、スジの基本になるのが147、258、369で――」(龍門渕印の麻雀指南書パラパラ

久「…………咲や優希には頼めないし、和に任せたら……『そんなオカルトありえません!(裏声)』とか言って、そういう要素抜きのデータ出してくるでしょうし、まこは実家の手伝い……」

京太郎「声真似上手ですね、部長」

久「………………というわけでこの任務、須賀君に丸投げしたいと思いますっ!」

京太郎「…………人をこき使おうっていう……痩せた考え」(ざわ……ざわ……

久「顎削るわよ?」(ジト目

京太郎「――――ク、ククッ、ヤだな部長の頼みを断るわけないじゃないですかっ……!やりますっ、やらせてください……!」

京太郎、身を翻す……!
服従っ……我が身可愛さの従属……!

久「分かればいいのよ、分かれば♪」

久「話が進むにつれて無駄に広がりそうな人脈を駆使して、最高の資料を作ってちょうだいね、須賀君!」

京太郎「ういーっす」

【ミッション内容】県予選出場校の要注意選手を調べろ!

京太郎「さて、まずはどこの学校の資料を作るか……」





京太郎「――――というわけで、各校の要注意選手のデータを作らなきゃいけないんですよー」

智紀「そう……」(パソコンカタカタ

一「それで真っ先に龍門渕へ来たのは、僕たちが一番の難敵って考えてるから……かな?」

京太郎「…………」

一の問いに京太郎、静かに立ち上がる……。

一「返答次第じゃ……透華が悲しむんだけどな」

やはり最後は戦う運命にあるのか……。
寂しげに笑う一に、京太郎が選んだ行動……それはっ………………土下座っ!
地を蹴って跳躍、さらに体を激しく回転っ……回転っ……さらに回転っ!

京太郎「……お願いしますっ!」

一「く、空中で三度も身を捻って、こっちの足下へ滑り込むように土下座してきたっ!?」

智紀「う、美しい……」

純「いや、少しは躊躇えって……つーか、さっきのホントに土下座なのか?」

空中で身を捻り終え、その回転を着地で殺すことなく推進力に変換、そして土下座の態勢のまま一の足下までスライディングしての懇願……!
響き渡るブレーキ音……焦げた床の臭いが漂う。

京太郎「透華さんを悲しませるようなことはしません……だから、どーかっ!」

圧倒されるっ……これがスライディング土下座の完成形……!

衣「待たせたな、京たろー!今日も手慰みに遊んで…………えう?」

透華「まったく、どうしてこういう日に限って面倒な用事が……コホンッ!遅くなりましたわ、さあ京太郎っ、今日もビシバシ鍛えて差し上げますから心して…………ふぇ?」

一「あちゃー」

京太郎「あ、衣さんに透華さん。すみません、今取り込んでたとこなんですよ」

透華「え?え?どうして京太郎が一の足下に這いつくばってますの?」(アホ毛クエスチョン

智紀「…………透華のことを悲しませるかどうかという一の質問に、そんなことはしないと言って京太郎が土下座をしたところ」

透華「え、あの……私を悲しませないと言って土下座、って……それって――――えぇっ!?」(ボンッ

衣「おぉ、トーカの顔が曼珠沙華の色になったぞ!」

純「いや、いろいろ説明をはしょり過ぎだろ」

智紀の杜撰な説明による早とちりに気付いた後、透華が京太郎から点数を毟り取ることになるのだが…………果たして悪いのは誰だったのか。




――――一夜明けて

【清澄高校麻雀部】

京太郎「で……でき、ましたよ部長……」

久「えっ!?い、一日でやっちゃったの!?」

京太郎「透華さんが……寝させてくれなかったから……」(フフッ……

久「ぇ……えぇーっと、かなり聞き捨てならないこと言った気がするけど、たぶん含みはないんでしょうね」

久(咲に聞かせたら、『京ちゃんの不潔ー!』とか泣きながら出てっちゃうわね、うん)

京太郎「え、と……?」

久「あー、いいの気にしないで、こっちの話。それじゃ、作ってくれた資料、預かるわ」

京太郎「ククッ……どうぞ」(ざわ……!

久「なんで資料渡すのにシリアスモードになってるのよ……」

京太郎「じゃあ俺……部室のベッド、使わせてもらいます……ね」(朽木の如く

久「はいはーい……おお、さすが龍門渕のお嬢様が関わっただけあって、よく調べられてるわー…………フムフム、ホムホム」



久「うん、龍門渕のところでお茶を濁してるのがあれだけど……まあ、それぐらい全然許せるデータが集まったわ!」

久「フフ……勝てる、県予選これなら勝てるわ!――――て、あれ?須賀君の胸元から何か覗いてる……」

久「これって………………」

【個人的要注意選手データ】(ズッシリ

久「須賀君ってば……やるじゃない。まさか、学校としてだけじゃなくて個人のデータまで調べてきてるなんて!」(すばらっ

久「これはもう、ご褒美をあげないと申し訳ないレベルね……どらどら」(涙フキフキ

久「『―――が、風越の深堀純代選手にも焦点を当てるべきかもだが、いかんせん彼女は人を選ぶと思われるので、今回は検証を見送る。よって、何よりも注目すべきは鶴賀高校である。県予選出場記録もない無名校だが、その戦力はおそらくあの風越の福路美穂子選手に匹敵し得る逸材が揃っていると思われる』……?」

久「な、なんですって……うちと同じ無名校に、そんなダークホースが……!?」

久「つ、続きは……!『特に気になるのが、部長と見せかけて実は部長ではない加治木ゆみ、妹尾佳織の両名。麻雀歴こそ浅いが一方は冷静な観察眼、もう一方は信じられない幸運での和了りを繰り返している。やはりかねてより提唱していたオモチの大きさが雀力向上に買っているという説が現実味を帯びてきたのではないか』…………ん?」(ナンカオカシイヨ?

久「…………『そして最後に彼女を忘れてはならない。驚くべきことに、鶴賀には選手として登録されていながら、その存在を知覚できない恐るべしオッパイの持ち主がいるのだ。彼女の名は東横桃子……和や福路美穂子選手のオモチと並んだ時、県予選に必ずや嵐が巻き起こるであろうと俺は直感――』」(グシャリッ

久「………………大真面目になんてもの作ってんのよ、キ・ミ・はァァァァァァァァァッ!?」(丸めた紙をペーン!

京太郎「リナリー!?」

久「まったく、感心して損したわ!!」


だが後に、京太郎のこのオモチ分析がそう当たらずとも遠からずであることが実証され、一度本気で彼の思うままに全国の選手を調べさせてみようか――と、久が頭を抱えたのは別の話。


終われ!