うだる様な暑さのなか私は適当に昼食を済ませた後部室へと向かっていた。
今日の午前に行われた2回戦、私はなんとか勝つことが出来た。だが、同時に
限界も感じていたのだ。私の実力では恐らく次の3回戦で負けるであろうと。正
直それでもいいと以前の私なら思っていただろう。勝てたとしても同じ大会に宮
永咲、荒川憩と所謂魔物級がいる上に高校のときに全国でもそれなりに名を馳
せたやつも何人もいる。勝ち進んだところで結局準々決勝くらいにはそいつらに
負けるし私が頑張らなくともそいつらに任せれば労せず女子のうち2,3名は全
国への切符を手に入れるだろう。そう、それでサークルは無事成立する。それで
問題はない。

はずだった。だが2回戦を戦っている途中奴の顔が度々脳裏に浮かんだ。何
故かはわからない。恐らくは日々、それこそ日課のように麻雀の練習を頼まれ
ているせいか奴のことが心配になったといったところだろうか。とっくに私なんか
より上手くなっていると言うのにな。

だが、そもそも何故奴のことを心配するのだろうか。他にも心配する者はいく
らでもいる。サークルの成立という観点で言えば奴が勝ち残ることが実質唯一
の条件だけに心配にはなるが、正直私としては”そんなこと”はあまり重要では
ない。

普段からおちゃらけた言動とは裏腹に麻雀に対して真摯な姿勢。奴が楽しそ
うに振舞う度に私もつられて楽しい気分になった。また、必要にされているという
ことが嬉しかった。そうしていく内に奴といる時間が私のなかで大きくなっていた。
掛け替えのないものへとなっていた。

奴は恐らく全国でもそこそこいい位置にまで行けるだろう。それに比べ私はどうだ。
地区大会の3回戦レベルでは到底練習相手にすらならないだろう。つまり、奴と
の楽しかった時間が無くなってしまう。そう思った瞬間胸が張裂けそうになった。
奴に対する思いは今のところあまり解らないが、あの時間だけは失いたくないと
思った。

だからこそ、1つでも多く勝ち進んで奴との距離を少しでも縮めるためにも、今日
の復習がてら部室で今日の牌譜を振り返ろうと思う。さて、もう着いたか。

「こんにちは誰かいるかー」

「あっ」
「ぁ/////」

そこには床で身体を交錯させている奴と白水がいた。そういった関係の男女がする
様に密接に。そうか、こいつらこの間のデートもあったしもうそこまで進んでいるのか。
流石に学校でするのはどうかと思うがな。邪魔者はさっさと去ろう。

「誰もいないかー」

そう言い放ち私はその場を去った。私が思っているよりもドアは大きな音をたてつつ。
それほど早く歩こうと思っているわけでもないのに足早に。その場から逃げるかのように。
何故か胸の痛みを感じながら。

カン!