和に一目惚れして麻雀部に入部したはいいものの、肝心の麻雀の腕前では皆の足元にも及ばない。
だったら部活動のサポートという形で雑用を引き受けて、少しでも良い所を見せたいのが男心というものだ。
それは買出しだったり。
和「あ、お茶切れてますね」
京太郎「んじゃ、俺買ってくるよ。他に何か欲しいものとかあります?」
久「あら、ありがと。それじゃあ、ホワイトボードに使うペンもついでに買ってきてくれる?」
京太郎「了解っす」
咲「京ちゃん最近打ててないけど大丈夫?」
京太郎「いいって、家でネトマとかやってるから。それにみんなには全国に集中してもらいたいし、俺が出来るのはこれくらいだからな」
久「……」
牌譜整理だったり
久「他校の牌譜を入手してきたわ」ドサドサドサッ
まこ「こいつはまた……」
優希「どえらい数だじぇ」
京太郎「あ、整理必要なら手伝いますよ」
和「いいんですか?」
京太郎「大会に出れないけどせめてこれぐらいは。それに牌譜整理で勉強にもなるしな」
久「ふふ、ありがと」
自動卓のメンテナンスだったり
久「須賀くん、こんなこともできるの?」
京太郎「ええ、ちょっと詳しい人に色々教えてもらいました」
久「へぇ」
タコス作ってきて優希が全力出せるようにしたり
優希「おぬし、メキシカンか!?」
和「意外な特技ですね」
京太郎「習ったんだよ、龍門渕の執事さんに」
まこ「ようやるのう」
京太郎「少しでもみんなの力になれればと思って」
久「……」
とにかく、やれるだけのことはやった。
惚れた女の為とはいえ俺自身も部の役に立てて嬉しかったし、清澄が全国制覇した時はみんなと同じくらい感動した。
そして怒涛の全国大会を終え、夏休み最後の日。
今日は部活動は無く、部室にいるのは俺一人。
明日から新たなスタートを迎えるわけだし、牌磨きでもやっておこうかと思ったのだ。
京太郎「……そういや、そこは和がいつも座ってるんだよなぁ」
牌を磨きながら和の定位置に目を向ける。
京太郎(しかし、こうして他に誰もいない部室ってのも新鮮だなぁ)
京太郎(ただ雑用だけして帰るってのも勿体無い気がしてきたし……そうだ)
京太郎(告白の練習とか、どうだろう。本番に備えて)
京太郎(よしじゃあ、そこの入り口に和が立っていると仮定して――)
久「あ、誰かいる?ちょっと、忘れ物しちゃったんだけど――」ガラッ
京太郎「あなたのことが好きです!俺と、付き合ってください!」
久「――え?」
京太郎「……あっ」
久「……」
京太郎「……」
京太郎(……どうしよう、この空気)
京太郎(ちょっと気合入れてキメ顔作ってたから、かなり恥ずかしいんだけど)
京太郎(部長もビックリして面食らってるし、これは……)
久「……嬉しい」ポロッ
京太郎「……えっ!?」
久「私も、須賀くんのことが、好きで……でも、雑用ばっかり押し付けてて」
久「でも、素直になれなくて……本当、どうしようって思ってたんだけど……」
京太郎「あわわ……」
久「同じ、気持ちだったんだね」チュッ
京太郎「」
久「あげちゃった、私のはじめて」
久「これからよろしくね、須賀くん……いや」
久「京太郎、くん♪」
京太郎「は、ははは――」
こうして、俺の夏休みは終わり。
夏休み明けに他の部員たちとの間で一波乱あるのだが、それはまた別のお話である。
カンッ
最終更新:2014年04月20日 18:26