和「ただいまです。負けてしまいました…」

優希「のどちゃん、おかえりだじぇ!」

京太郎「ドンマイ、和。でも、1年生で準決勝まで残れたのは十分凄いと思うぞ?」

和「ですが、咲さんは決勝にまで進みましたし…」

優希「チャンピオンが同卓してたんじゃ仕方ないじぇ!」

京太郎「だな。まあ、来年も再来年もあるんだ。リベンジすればいいさ」

和「…ですね。あ、そろそろ決勝が始まる時間です」

京太郎「お?ホントだ。ってか、準決と決勝を続けざまって…もうちょっとゆとりを持ったプログラムを作れよ、と言いたくなるな」

優希「その辺はしょうがないじょ。会場の都合で急遽団体戦より先に個人戦を、しかも予定より短い日数で組むことになったらしいし」

和「とにかく急ぎましょう。咲さんの応援をしなければ」

京&優「おう!」
~~~~~
???「決勝のメンバー、聞きましたですか?」

???「ええ、聞いたわ。一体何の因果なのかしら。少しまずいわねぇ…」

???「姫様、気合入ってた。だからこそ、心配…」

???「もしも、”あれ”が出てきたら…もうあの一族の方々は鹿児島を離れてしまっていますし…」

???「う~ん…でも、この時代に宿された4人の現人神候補全員が揃った訳では無いのだし、案外大丈夫かも知れないわね」

???「そうでしょうか…?」

???「取り敢えず、私たちには警戒するくらいしか出来ないのですよー」

???「……そうね」
~~~~~
アナ『さぁ~、いよいよ始まろうとしております、麻雀女子インターハイ個人戦決勝!選手の皆さんもそろそろ…あ、来ました!

まず対局室に入ってきたのは、圧巻の大会2連覇中、今年も勝って前人未到の3連覇を狙うチャンピオン、白糸台高校・宮永照!!

続いてその宮永照と同チーム、通称”虎姫”の大将を務めるビッグルーキー、白糸台高校・大星淡!!

少し遅れて無名の高校から突然の大躍進、今大会のダークホース、清澄高校・宮永咲!!この宮永咲選手はチャンピオンとの血縁も噂されており、そちらも注目の一端を担っています!!』

優希「おぉ~、出てきたじぇ!頑張れ~、咲ちゃ~ん!」

和「もうっ!騒ぎすぎですよ、優希」

京太郎「まぁまぁ。今くらいは……」

和「?どうかしたんですか、須賀くん?」

アナ『そして最後に、昨年のインターハイ、世間を沸かせた”牌に愛された子”!その一角としての実力は今年も健在!永水女子・神代小蒔!!』




京太郎「……姫…様…?」

和「……須賀くん…?」

京太郎「……はっ!あ、いや…何でもないよ、和」

和「……」

~~~~~
アナ『激闘に次ぐ激闘!取っては取られ、取られては取ってを繰り返し、4者の点数はまさに拮抗!!

決勝も残すところこのオーラスのみとなりました!そして、そ・し・て…な、なんと!!全員が全員、優勝の目は濃厚なままです!!』

和「咲さんは現在2位ですが、トップとは僅かに1100差…ツモ和了りなら何でも…!」

優希「うぅ~~、私までドキドキしてくるじぇ…」

京太郎「……これは…やばそうだな…」

和「須賀くん?一体…」

京太郎「悪い、和。俺は席を外す。咲の勇姿、しっかりと見といてやってくれ…」

和「え?ちょ、ちょっと、須賀くん!?」

優希「オーラス、始まるじぇ、のどちゃん!」

~~~~~
照(牌姿は良好…淡はダブリーじゃなくて安全圏を主体にしてきてるけど…それでも、私ならあと3巡で……っ!?)

淡(このままじゃ、テルーは止められない…サキとかいう奴に鳴かせて、テルーを狂わ……っ!?)

咲(うぅ…このままじゃお姉ちゃんが…どうにかしないと……っ!?)

―――――
アナ『おや?宮永照選手、咲選手、大星選手が何かに驚愕しているようですが…』

解説『……こーこちゃん、彼女って、本当に高校生…?』

アナ『はい?すこや~ん、いくらアラフォーだからってボケは早いんじゃな~い?』

解説『アラサーだよ!!って、そうじゃないよ!あの子、神代さん。さっきから凄まじい威圧感があるの。同卓についてる3人はそれを感じ取ったんじゃないかな?』

アナ『ほぇ?威圧感?すこやん、何言っ…お?おぉ!?』
―――――

照(くっ…!有効牌が引けない…)

淡(そんな!?私の支配が全く効いてないどころか、私が支配されてる!?)

咲(何?!何なの、この人ぉ…)

小蒔「……ツモ」タンッ…

―――――
アナ『こ、これは…』

解説『……』
―――――

小蒔「国士無双」パタタタ

―――――
アナ『き…』

アナ『決ぃまった~~~~~っっ!!!優勝は永水女子・神代小蒔選手!!

なんと最後はあまりにも綺麗な国士無双13面待ち!!張った次順に1筒で華麗にツモ和了りました~~!!!』
―――――

照「……ありがとうございました」

淡「あ~あ、負けちゃった。まあ、今回は譲ってあげるけど、次は負けないよ!」

咲「あ、ありがとう…ございました…」

小蒔「…………」コォォォォォッ…

ゴゴゴゴ…

照「?」

淡「あわわ!?じ、地震!?」

大会委員「君達っ!早くこっちに!!」

バンッ!
京太郎「やっぱりかっ!!」

咲「きょ、京ちゃん!?」

京太郎「悪い、咲!今は構ってる暇がねぇ!」

咲「え?ど、どういうこと…?」

大会委員「何をしている!?早く来なさい!」

咲「ま、待って!まだ、京ちゃんが…!」

大会委員「おい!君もその子を連れて早く…」

???「~~~、~~~~~!」

大会委員「な…!?わ、分かった。だが、君達も早く避難するように!」



京太郎「姫様っ!姫様っ!!俺が分かりますかっ!?」

小蒔「……」コォォォォォッ…

京太郎「くそっ…!”持って行かれてる”のか…!霞さん!巴さん!はっちゃん!春!誰かいないのか!?」

初美「ああっ!?姫様…って、京太郎!?」

春「京…どうしてここに?」

京太郎「やっぱ近くにいたか!俺は偶々居合わせただけだ!とにかく、お祓いの準備だ!」

霞「きょ、京太郎くん!あなた、出来るの?!”須賀の血”の依代を使えるの?!」

京太郎「……ぶっつけ本番、です…」

春「!?それだと京の身が危ない!」

京太郎「それ以上に姫様が危ないだろ!このまま”天照大神”を降ろし続けてみろ、すぐに精神も肉体も持たなくなっちまう!」

巴「…苦渋の決断だけど、仕方ない!京太郎くん、今は貴方を信じる!だから…姫様をお願いっ!」

京太郎「はいっ!任せてください!」

初美「京太郎!こっちです!この区画を浄化しました!」

京太郎「サンキュー、はっちゃん!皆さんは下がっててください!行きます!征っ!!」



~~~~~
小蒔「……あれ?ここは…どこなのでしょう?確か、私は個人戦の決勝に…」

女性『我が御霊の一部をその身に宿す現し世の巫女よ、汝は何故我を呼び出さんとする?』

小蒔「ふぇ?あ、あの…貴女は…?」

女性『なに?汝は我を呼び出さんとしておきながら、我を存ぜぬと申すか…』

小蒔「え?えぇ?あの、えっと…す、すいません…」

女性『ふむ……ほぅ、汝は現し世における”神の血”の一族の者であったか。中でも汝の血は特に濃いようだの』

青年『彼女はまだそこまで知らないんだよ、姉さん。今回の件も、どうやら事故のようだし」

天照『須佐之男か。む?……ほぅ、主、依代を得ておるな』

須佐之男『いくら祭神とは言え、三貴子たる俺をたった一人で降ろそうとする無茶な奴さ。

”神の血”の加護から離れているようだが、その子を想う気持ちの強さで無理矢理隙間を埋めてきやがった」

天照『ふふ…お前の好みそうな輩ではないか』

須佐之男『まあな。だからこそ、こうして力貸してやってんだわ。で、だ、姉さん。その子、解放してやってくれないか?

こいつが言うには、邇邇藝(ににぎ)を降ろそうとした強い霊力と、周囲の御霊による誤反応らしいんだ」

天照『邇邇藝の……なるほど。しかし、誤反応とは言え、単身で我を降ろさんとするとは…』

小蒔「…?……??」

天照『娘よ、これからも弛まず精進せい。さすれば、”神の血”に相応しき我が力、扱えるようにもなろう』

小蒔「は、はいっ!頑張りますっ!」フンスッ

須佐之男『おお、そうだ、娘さん」

小蒔「何ですか?」

須佐之男『目、覚ましたら”こいつ”に言っといてくれや。次はねぇぞ、精進しとけ、ってな」

小蒔「は、はい…」

天照『それではの、娘。また見える時を楽しみにしておるぞ』

~~~~~
小蒔「…………う…ぅん……あれ?ここは…」

霞「!!小蒔ちゃん!小蒔ちゃん、私よ!霞!分かる?!」

小蒔「わっ!?か、霞ちゃん!?ど、どうしたんですか?」

初美「姫様~~っ!!」ダキッ

巴「姫様…よくぞご無事で…」ポロッ

春「……良かった」

小蒔「は、はっちゃん。巴ちゃんに春まで…」

霞「小蒔ちゃん、決勝の最後で天照様を降ろしちゃったの。覚えてる?」

小蒔「えぇっ!?そ、そんな…あ、それでは、あの方が……

あっ!そういえば、あの方の弟さんらしい方が、”こいつ”に伝えて欲しいことがある、と仰ってらしたのですけど…」

初美「……姫様。姫様は覚えていますですか?私達がまだ子供の頃、当主の庇護下から去ってしまった一族を…」

小蒔「……はい、覚えております。”須賀家”の方々には良くして頂いていましたし、何より…」

春「京」

小蒔「っ!」ビクッ

春「姫様、京のことが気に入ってたから」

小蒔「……は、い。そうですね…」

巴「…姫様。落ち込んでいるところ失礼しますが、今一度思い出してください。天照様の弟君はどなたでしたでしょうか?」

小蒔「それは、須佐之男様ですね」

巴「では、その須佐之男様の依代と為りうるのは?」

小蒔「!!ま、まさか!?」

霞「小蒔ちゃん、後ろ、ご覧なさい」

小蒔「うし、ろ?……っ!!」

京太郎「…………」スースー

小蒔「京、太郎くん…?そんな…だって、京太郎くんは…」

霞「これも天照様の縁なのかしらねぇ。京太郎くんの高校、女子麻雀部が全国出場を果たしていて、その付き添いみたいよ」

春「制服から分析した」ブイv

巴「京太郎くんが須佐之男様を宿し、天照様と対話を持ってくれたの」

初美「でも、かなりギリギリでしたね~。あと1分遅かったら、京太郎の精神まで持って行かれていましたよ」

小蒔「……どうして、ここまで…」

霞「ふふっ…笑っちゃうわよ?私も同じことを聞いたら、京太郎くんったらね…」
―――――
京太郎「俺が小さい頃、池に嵌って溺れかけたところを姫様が助けてくれたこと、覚えてます?

あの時、俺はたった一つだけ、約束したことがあるんです。それが”何があっても、これからは俺が姫様を守れるようになる”。

その相手が惚れた人とあっちゃあ、命を賭けるなんて安いもんです」
―――――
霞「ですって」

小蒔「そ、そんな////」





京太郎「……ぅ~ん…はっ!ひ、姫様!姫様は無事か!?」バッ

初美「コラコラ、京太郎!もうちょっと寝ているがいいです。まだ回復しきっていませんよ?」

巴「とはいえ、姫様の無事を確認したいでしょうし…私達はしばらく外すから」ギィッ

春「…ガンバ」グッbバタン

京太郎「え?え?ちょっ…行っちゃった…」

小蒔「あの、京太郎くん…」

京太郎「あ~…姫様、ご無事で何よりです。それと長い間のお暇、大変失礼しました」

小蒔「いえ…いえ。もう、それはいいのです…京太郎くん、本当にありがとうございました。話は霞ちゃんから全部聞きました。その…り、理由の方も…////」

京太郎「え゛…あ、あはは~……すいません、身分違いは重々承知していますから、どうk…」

小蒔「きょ、京太郎くんっ!」

京太郎「は、はいっ!?」

小蒔「私も…私も、京太郎くんのことが好きなんですっ!だから…だから、もうどこにも行かないでくださいっ!!」ヒシッ

京太郎「……姫様。姫様と俺とでは身分の違いが…」

小蒔「そんなの、関係ありません!私は私です!」

京太郎「……後悔、しませんか?」

小蒔「勿論です!」

京太郎「そう、ですか…分かりました、姫様、いえ、小蒔さん。一つだけ、約束してください」

小蒔「…何ですか?」

京太郎「何らかの罰が必要な場合、責任は全て俺にある。そういうことにしてください」

小蒔「そ、そんな!それでは…!」

京太郎「勿論、罰が下らないよう尽力はします。ですが、100%回避することは出来ないでしょう。ですから、こうするのが一番なんです。分かってください」

小蒔「……京太郎くんがそうまで言うなら」

京太郎「ありがとうございます、小蒔さん。改めて、これからよろしくお願いしますね」

小蒔「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。京太郎くんっ!」

カン!

霞「さてさて…私達も根回し、頑張らないとね」

巴「姫様の長年の願いでしたからね。隠しているつもりだったのでしょうけれど…」

初美「これは大分骨の折れる仕事になりそうなのですよー」

春「大丈夫。六女仙が揃えば、不可能は無い」

霞「そうね。姫様の幸せの為にも、頑張りましょう!」

巴初春「お~っ!」

モウイッコ、カン!