京ちゃんと過ごす一ヶ月うたたん編


「一日目」


咏「おっとと、いやーすまんね少年、そんじゃっ


ん?おーい、これ落し物……行っちゃったか」


………


「三日目」


咏「んー?

あっ、この前の少年じゃないか!奇遇だねー

そうそう、これ落し物だよ
なんか知らんけど、また会えるような気がしてさ、持ってたんだよ

つっても、私はここにひと月はいる予定だし、暇があったら探しにいったかもなー
それも知らんけど…ほんじゃ、縁があったらまた会おうか」

………

「八日目」


咏「おっ!

おーいおーい少年!私だよ私!

いやー縁ってあるもんなんだねー、もしかしてこの辺に住んでるのかな

あーそうかい、清澄の……へ~、もしかして麻雀部?

当たりか、いやね私も一応プロ雀士だから、そういうのに関わってる奴は直感で分かるんだよ
けどアンタ不思議だねぇ、強そうには見えないのに麻雀との繋がりは深そうだ…

ふふふっ、おねーさんちょっと興味わいてきたよ

おっしゃ、私このホテルに泊まってるから暇なときは遊びにきなよ
打ち方ぐらいなら教えてやれるし

そんじゃ、ちょっと行くとこあっから!」

………

「十五日目」


咏「おうおう!待ってたぞ京太郎少年!
ささ、入った入った

昨日教えた事は覚えているかい?

覚えているならいいや、私は同じ事は二度は言わない主義でね
どんどん次に行くよ

さて今日は実戦っぽくやろうか、私と二人麻雀だ
大丈夫、私は鳴かないし、満貫しか狙わないし、ツモ和了のみ

まあ、それでも今のアンタじゃあ厳しいとは思うけどね、とりあえず食い下がれるだけ食い下がりなよ

じゃ、始めよっか」

………

「同日」


咏「………あら、もう夜かい
アンタもずいぶん熱中してたねー、楽しかったかい?

あははは!それなら結構だ!あんなにボカスカやられてもそんないい顔できるなら上等だよ!
やっぱアンタいい男さ……あっ、じゃっ、雀士としてってことだよ!

…え、な、なんで泣く!?


……………そっか、認められたのが嬉しかった…か

ん、まあ泣きたいなら泣きなよ、私は笑わない


はぁー、腹減ったね~、メシ食っていくかい

……ああ、親御さんは家にいないのか
ほんじゃさ、今日は時間あるってこったね?

メシのあとはもう少しやってかないかい?

よし、決まりだ!」

………

………

「二十日目」


咏「あはは…待ってるのもアレだからさ、来ちゃった…

ここが清澄高校かい、いい学校じゃないか
アンタこれから部活?

…さぼっちゃいなよ

行ってもどうせ雑用だろう?
それなら私と一緒にいた方がいいじゃんか

おたくの部長が文句言ってきたら私の名前だしな、なんなら直接話をつけにいってもいいよ

そうさ

見違えるくらいに成長した姿をみせつけてやりゃ何も言えなくなるだろ
私はそうしてきた
こんなチビっこいナリだから余計にさ、笑われたくなくってね

アンタも誰も笑えなくなるようにしてやるよ


………そうさ、アンタを笑う奴は私が許さない


じゃあ、行こうか」

………

「二十一日目」


咏「よっ、迎えにきたよ

…んー、行く必要ないって
いくら一年だからって打たせなきゃ部活じゃないじゃん

昨日電話かかってきた時に私が言ってやったろ?


あ、そうそうアンタの両親って出張多いんだね
今日からまた何日か出るんだろ?
ちょうどいいから私のホテルに泊まりなよ、そしたら私も手間が省けるし
なーにホテル代くらい出すよ出す、安いもんだしな

え、何で知ってるかって?

あははは、女には色々秘密があるんだよ♪」

………

「二十二日目」


咏「おはよう!すぐに顔見れるから隣に部屋とっといて正解だね!

ああ、そうそう朗報だよ

学校もしばらく行かなくていいから

なーに、私は口が上手いのも特技でね
親の出張についていくことになったってなことをそれっぽく言ったら信じてたよ
だから問題なし、なーんも問題なし

これから朝飯だろ?一緒に食いに行こう
しっかり食っとけよー?

今日から私の部屋で缶詰めでやるからな
忙しくなるぞ~……ふふふふふ


さ、行こう行こう!」

………

「二十三日目」


咏「ふぁ~、いやー徹麻ってのも久しぶりだよ……プロになったら意外とやる機会ないんだな、これが

とうとう、私の部屋で寝ちゃったね、ふふ♪
まったく、そんな距離あけて寝なくてもよかったのに…寝づらかったろ?

しかし、清澄の部長、昨日はガンガン携帯鳴らしてきてうるさかったねー

『須賀くんを返して』って、あんなに泣かなくてもいいだろうに
今まで京太郎を放っておいたのは誰だよって話さ

それがちょっと預かってコーチしてるだけなのに、奪っただのどうする気だの
アンタも気にしなくていいよ、ああいうのは

だんだん成長の兆しが見えてきたところなんだから、ここで邪魔されちゃかなわないって

さあさ、食堂にいこうか


………なあ、せっかくだし腕組んでいかね?

なんでって…面白いじゃん♪」

………

「二十四日目」


咏「……………んふふ、可愛いなぁー…

髪…さらっさらだねぇ…

まだ起きないよな…?

…今のうちにせめてものコーチング料でも、いただこうかな


んー………




うぉわっ!お、起きてたのかい?

うぇっ?あああああ、い、いやいや!何もしてないっ!何もしてないったら!

せっ、先生を疑うのかい!


ふぇ…?か、可愛い…って………

…~~~~~っ!!!

お、大人をからかうなー!」

………

「二十五日目」


咏「おはよ、ふふふ…

とうとう一緒のベッドで寝ちゃったね~♪
何もなかったけど

………何かしろよって感じだけどさ

ん?何も?
さて、朝のニュースでも見ようか


うげ……瑞原プロじゃねーか…私こいつ苦手……って、おい

京太郎


え?じゃねーし
いま、目が輝いてたぞ

はやりん…?
アンタ、この人好きなの?

………ぶっちゃけるけど、この人さ
これキャラじゃなくて素なんだよ
28でだよ?
イタくね?
イタすぎるよ

瑞原プロと結婚した男は四六時中、このぶりっこな年増を見なきゃいけなくなるんだよ

嫌じゃね?

私が男だったらないな…いくら乳でかくてもないわ

………何か気分悪くなってきた
二度寝するわ、アンタもどう?

……こっちきて寝ないか?

昨夜よりそばで、さ…」

………

「二十六日目」


咏「京太郎、今日親御さんが帰ってくるんだったよな

うん、この数日間私は楽しかったよ
アンタと一緒に過ごせて本当によかった

……そうかい、ありがと
それじゃ、また教えてやるからきなよ
じゃあな…
あ……………なんでもないよ、じゃあ…



…行っちゃった
京太郎……


なんか部屋が広いよ京太郎…
さっそく寂しくなっちゃったよ…

また夕方過ぎに京太郎が来てくれるまで待つのか……
それまでここで一人で……やだよ…
おかしくなりそう……寂しすぎるよ…

京太郎……はぁ、はぁ、京太郎がさっきまで寝てたシーツ……
はぁ~………………

私をこんな骨抜きにさせといて……また来るからって…あっさり行きやがって…
卑怯者……

京太郎……………京太郎…………京太郎………京太郎……京太郎…

京太郎…


京太郎」

………

「三十日目」


咏「うふふ、そうなんですよ~

京太郎君と知り合ったのもつい最近なんですけどもう素敵な人で……

あ、帰ってきてたみたいですね、ちょっと失礼…


やあ京太郎
?お義父さんとお義母さんにご挨拶してたところだよ

いやはや、面目ないね~
婚約者なのに将来の両親に何も言ってなかったなんて、お姉さんちょっとうっかりしてたね~

もうこのご近所さんにも挨拶回りは済ませてあるから
『京太郎さんの妻です』っつったらみんな祝福してくれてたよ
人気者だね~このこの


それとさ、もうホテルに来る必要もないよ

私この町に住む事にしたから

うん、家はすぐ隣
ちょうど空き家だったから買い取った

まあ私が京太郎の家に行く事のほうが多くなるだろうけどね
もっとお義父さんとお義母さんとも仲良くなりたいしさ
今度、私の両親にも会わせてあげる

京太郎が結婚できる年齢になるまでは健全なお付き合いを…って言ってあるけど、
気にしないで越えてきていいからね、そんな一線

だってそうだろ

私らは
愛し合ってるんだから

な?

ふふふ…これから末永くお願いいたします


旦那様」


カンッ