第一部から数ヶ月後


怜「はぁ…」

怜(京ちゃん今頃なにしてるんやろか…)

怜(受験勉強かなあ…受験生やもんね)

怜(まかり間違って大阪の高校に来たりせえへんやろか…)

怜(…)

怜(…ないか)

怜「はぁ…」

竜華「心ここにあらずって感じやね」

怜「竜華か…」

竜華「まーた、京ちゃんのこと考えとったん?」クスクス

怜「ま、またってなんやねん。そんなにしょっちゅう…」

竜華「考えとるんやろ?」

怜「はい」

竜華「『筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる』」

怜「急に何言っとるん?」ジトー

竜華「あ、あれ、次の授業の範囲やで?予習してきてないん?」

怜「ふむむ…してないわ」

竜華「最近たるんどるで…。今の歌の意味は…」

竜華「『ほのかだった恋心も時間が経つにつれ、だんだん深くなっていく』」

竜華「今の怜にピッタリやろ?」クスクス

怜「なななに?からかうなや///」

竜華「想い耽るのもええけど、成績落としたらあかんで?」

怜「うん、分かっとるんやけどな…」

怜「良く考えたら、京ちゃんが何処に住んでるかもわからへんやん…」

竜華「今更やな…」

怜「逢いたくても、打つ手なしやで…」

竜華「『また会える気がする』」キリッ

怜「ぅ…」キコエナイ キコエナイ

竜華「カッコつけへんで、素直にケータイ番号渡しとけば良かったやん」

怜「渡しといて電話してくれへんかったら最悪やないの…」

竜華「京ちゃんがそんな事すると思う?」

怜「思わん」キッパリ

竜華「即答やん…」

怜「はぁ…ほんまに何で、また会えるとか思ってしまったんやろか…?」

竜華「知らんがな」

怜「もう、『あのひとは今』みたいな番組に応募するぐらいしか思いつかへん…」

竜華「えっ」

怜「帰りにハガキ買うてこ…」

竜華「いや、ほんまに送る気かい」

竜華「ちゅーか、あーいうのって、会えなくなって数ヶ月程度やと探してくれへんやろ」

怜「あれ、まだ数ヶ月しか経ってないんやったっけ…」

竜華「重症やな…」

怜「どんぐらいなら探してくれるんかな…?」

竜華「最低でも3年ぐらいは必要ちゃう?」

怜「そこをなんとか」

竜華「いや、うちに言われても」



~授業中~

怜「はぁ…」ボー

古典先生「はい、じゃあ次は園城寺さん」

怜「えっ」

古典先生「次、詠んで下さーい」

竜華(…しゃーないなあ)ポイッ

ポテッ

『20番』メモッ

怜(竜華、恩に着るで)

怜「えーと」

怜「『わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ』」

古典先生「はい、では意味ですが」

古典先生「『こんなに思い悩んでしまったのだから、今はどうなっても同じ、この身を滅ぼしてでもあなたに逢いたいと思う』」

怜(!)

古典先生「当時、難波の海あった澪漂(みおつくし)という海の標識のようなものと、身を尽くしてをかけて…」

怜(身を尽くしても…か)

怜(私、逢えん逢えん言いながら、何の努力もしてへんかったやん…)

怜「先生!」

古典先生「はい?」

怜「先生ありがとう!」

古典先生「えっ、な、なにがですか?」

怜「私、進むべき道が見えたような気がします」

古典先生「はぁ、頑張って下さいね」???

ざわ…
     ざわ…

竜華(なにか思いついたんかな?)



怜「なあ竜華、一軍になって全国に行けたら、京ちゃん気付いてくれるやろか?」

竜華「テレビ中継されるしな。きっとビックリするで」ニコッ

竜華「まあ、京ちゃんが麻雀見る人やったらやけどな」

怜「それでも、少しでも可能性があるなら…」

怜「決めたで竜華。一軍に、私はなる!」

竜華「ほな頑張らんとな」クスッ

怜(みをつくしても 逢はむとぞ思ふ)

怜(私頑張るで、京ちゃん!)



~数日後~


怜「ロン!」ハァハァ

……

怜「ツモ!」フラフラ

……

竜華「怜、少し休み」

セーラ「最近無茶しすぎやで」

怜「せやけど、私頑張らんと」

竜華「ちょっと焦りすぎやろ」

怜「三年生が引退した今が。次のレギュラー選抜戦が一番のチャンスやないか」

セーラ「怜は着実に伸びとるから大丈夫やって」

竜華「せやで、インハイまではまだ時間もあるんやから、少しは体力に気いつかわんと」

怜「体力のせいにして休んどった結果がこれやん。竜華やセーラとの圧倒的な差」

怜「休んでる間に他の皆もどんどん強なってく…」

セーラ「…」

竜華「けど、倒れたら逆効果やで…?」

怜「大丈夫やから、ほっといてや…」

……

怜「ロン!」フラフラ

……

怜「ツモ!」フラフラ

怜「まだまだ…」ハァハァ

怜(あ…)クラッ

バタンッ

竜華「怜!」

セーラ「き、救急車!」



~病室~

竜華「はぁ…ただの疲労でよかったわ」

セーラ「せやから言うたやん。無茶しすぎやって」

怜「…」

竜華「ただ我武者羅に打っててもダメやで?少しは反芻して考えんと」

怜「…うるさいな」

セーラ「え?」

竜華「怜?」

怜「最初から強かったあんたらに何が分かるんや」

セーラ「怜、ちょっとそれは…」

竜華「…は?」

竜華「もっぺん言ってみ」

竜華「あんた、最近頑張ってる思うて、多少の事は目え瞑ってきたけどな」

竜華「なんや、うちらが何もせんと強なったみたいな言い草は」

竜華「今のは聞き捨てならんで!」

セーラ「竜華…」

怜「…」

竜華「…」

竜華「はぁ、もう勝手にやっとき…」

ガラガラ…バンッ!

セーラ「…」

怜「…」

セーラ「怜、最初から強い奴なんて、そうおらんで?」

怜「…」

セーラ「そりゃ、中には牌に愛された人間ちゅうのもおるわ…」

セーラ「けど、オレや竜華は違う」

怜「…」

セーラ「努力して、打って、覚えて、考えて、あと…なんやろ?」

怜「…知ってたよ」

セーラ「…」

怜「…ずっと見てたもん」

セーラ「せやな」

怜「ごめんな…ほんまごめん」

セーラ「オレは気にしてへんよ。最強やから!」ニコッ

セーラ「それより竜華に謝らんと」

セーラ「誰より心配しとったんは竜華なんやで?」

怜「せやな…それも知ってたわ」

怜「明日、謝らんとな…」

セーラ「せやな!」

怜「うん」

セーラ「んじゃー帰るわ!」

怜「うん。ありがとうな」

スタスタ…ピタッ

セーラ「怜」

怜「うん?」

セーラ「一緒にインハイ行こうな!」ニコッ

怜「うん!」

ガラガラ…ピシャ

怜(そうや、メール)

怜(は…失礼かな…やっぱ、明日直に謝ろ…)


~深夜~

怜(眠れへん…)

怜(竜華、まだ起きとるかな…)

怜(やっぱりメールでも…)

グッ

怜(あれ…?)

怜(手に…力が入らへん…)

ドクンッ!

怜「うっ!」カハッ

怜(あかん、発作が…)

怜(ナースコールを…)

ポロッ

怜(…っ!)

怜(掴めん…!)

怜「…ぁ」ハァハァ

怜(はよ、押さんと…)ブルブル

ポロッ

怜(…っ!)

怜(だめや、押せへん…)

怜「…ぅぅ」カハッ

怜(…もうあかん)

怜(腕、上がらなくなってもうた…)

怜(はは…罰が当たったんやな…)

……………

怜(セーラ…)

怜(一緒に全国行けなくてごめん)

…………

怜(竜華…)

怜(あんな別れ方で…謝れなくて…ごめん)

………

怜(京ちゃん…)

怜(もう逢えへん…)

怜(ごめんな)

……


フワッ


怜(…)

怜(…キンモクセイ…?)

怜(…キンモクセイの匂い)


『いや、あれキンモクセイだから葉は落ちないだろ…』


怜(…)

怜(そうや…)

怜(私キンモクセイやった…!)

ググッ

怜(枯れて…)ハァハァ

怜(枯れて…たまるかっ!)ハァハァ

ズズッ

怜(手が使えんなら…)ハァハァ

怜(口で…噛み付いてでも…)ハァハァ

ズズッ

怜(生きたる…!)ハァハァ

ガッ

ピピッ

……

「オンジョージサーン ドーシマシター?」

「オンジョージサーン オンジョージサーン!?」

==================


 あれ?ここ、どこやろ?

 見た事無い所…公園?


「京ちゃーん」


 私の声や


「京ちゃん、どこー?」


 ああ、これ夢やな

 夢の中でまで京ちゃん探しとるとか…


『♪』タッタッタ


 あ、これが天使ってやつやろか?

 綺麗な金髪の、可愛い女の子…


『どーしたの?もう帰るの?』


 もう、お空に帰るってこと…?

 ついにお迎えが来たんか…




「うん、帰るで、京華」

『はーい、ママ♪』


 え、ママって…私…?

 …キョウ…カ…


==================

竜華「怜!怜っ!」

怜「あれ、竜華」

竜華「あ、怜…あんま心配させんなや…」グスッ

怜「私どうなったん?お迎えは…」

竜華「三日間、ずっと寝とったんやで…。とんだお寝坊さんやな…」

怜「そか、心配かけてごめんな…」

竜華「あはは、今更ええわ!それより、キョウカって誰やねん!」

怜「誰やろ…?」

竜華「あはは、知らんわ。さっき寝言で言うとったで」

怜「まるで、京ちゃんと竜華の名前が混ざっとるみたいに聞こえるなあ」クスッ

怜「竜華、昨日…やない三日前?あの時はごめんな…」

怜「私、竜華が努力してるの、ちゃんと見とったのにな…」

竜華「ええよ、こっちこそ、売り言葉に買い言葉で、怒鳴ってしまってごめんな」

怜「ほんま、竜華の言うた通りやった。焦った結果が三日のブランク…」

竜華「だから言うたやん。心配せんでも怜は着実に強なっとるんやから、ゆっくりやり」

怜「せやな、逢う前に死んでもうたら元も子もないしな」ハハハ

竜華(あんま笑えんわそれ…)

怜「あ、そうや、キンモクセイ」

竜華「キンモクセイ?」

怜「うん、意識が途切れそうになった時、キンモクセイの匂いがしたんよ」

竜華「えっ、でもキンモクセイって、まだ咲いとらんよ?」

怜「えっ…でもそのおかげでナースコールが押せたんやで?」

竜華「危機一髪やったんか…」

怜「うん…」

竜華「じゃあ…」

竜華「案外、京ちゃんが助けてくれたんかもな」

怜「えっ?」

竜華「キンモクセイの花言葉ってな、『初恋』なんやって」クスッ

怜「そかあ、また京ちゃんに助けられてもうたなー」クスッ

アハハハハ


 それから私は、一巡先が見えるようになった




~数日後~

セーラ「怜ー!頑張れー!」

竜華「それ和了ったらレギュラー確定やでー!」


 あの時の夢は

 死の淵で見た幻かも知れへんけど


怜「リーチ」

セーラ「いっけー!」



 あれが私の


 一巡先の未来に


 なりますように!



怜「ツモ!」


おわり


補足:キンモクセイの花は秋に咲く→秋の大会から才能が開花する的なアレ


そして京ちゃんが全く出ていないので取って付けたようにおまけ
ククク…京太郎…簡単に再会できると思うなよ…?


おまけ

看護士「園城寺さんなら退院しましたよ?」

京太郎「えっ」

京太郎(心配になって、小遣い溜めて来てみたはいいけど)

京太郎(流石にもう退院してたか)

京太郎(受験もあったし、結局春になっちまったもんなあ)

看護士「いつだか来てくださった方?残念ですけど今日は…」

京太郎「いえ!怜が元気になったなら、それより嬉しい事はないんで!」ニコッ

看護士「そですか、次に通院して来た時にでも、来たって伝えときます」

京太郎「ははっ、ありがとうございます」


京太郎(良かった!病気の子供はいなかったんだ!…ってか?)

京太郎(はぁ、タコヤキでも食って帰るか…)

『♪』タッタッタッタ

京太郎(ん?金髪の女の子…)クルッ

京太郎(あれ、いない)

京太郎(気のせいだったのかな?)


フワッ


京太郎(…あ…キンモクセイの匂いだ)

京太郎(…って、今春なのにそりゃないか)

京太郎(気のせい気のせい)ハハハ…


『キノセイキノセイ♪』


おわり

怜外伝・第二部 おまけ2

怜「京ちゃん、来てくれてたんか…」

看護士「うん、こないだ来てたよ?治ったみたいで良かったーって言うとったで」

怜「そですか…」

竜華「…」

看護士「ほな、お大事になー」ヒラヒラ

竜華「あ、はい、さいならー…」

怜「…」

竜華「…」

怜「そ…」フルフル

竜華「と、怜…」

竜華(あかん、なんて声かけたらええか…)

怜「それって両想いってことやろか」グッ

竜華「えっ」

怜「えっ」

竜華「そ、そーやろか?」

怜「だって、わざわざ東京から逢いに来てくれたんやで?」

竜華「東京なん?」

怜「や、知らんけど、標準語やったし…」

竜華「判断基準それだけ?」

怜「じゃ、じゃあ神奈川でええわ…。横須賀とかそこら辺やろ」ナマエテキニ

竜華「…」

怜「ま、まあ、遠くからわざわざ逢いに来てくれたんやし」

怜「きっと、京ちゃんも私の事…///」

竜華「そ、そやね…」

竜華(ただ優しいだけな気がするけど、黙っとこ…)

怜「竜華」

竜華「は、はい!」

怜「勝って絶対に東京行こうな」

竜華「!」

竜華「もちろん!」

怜(京ちゃん、私前向きに生きていくって決めたんや)

怜(東京に行けばきっと逢える…よね?)

おわり



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