名前で呼ぼう!の会
京太郎「本当に良いんですか?奢って貰っちゃって」
ハギヨシ「構いませんよ。私から言い出したことですし、それに金銭に余裕はありますから」
嫁田「そうそう。つーか、主役のお前がそんな遠慮してたら俺の立場がいよいよ無くなるしな」
京太郎「と言ってもなー。全国大会頑張ったのはみんなの方なのに、俺が労われてどーすんだって話なんだが...」
ハギヨシ「本当なら他の方々と一緒に祝福されるべきだと私は思います。表立って評価されないだけで、貴方が彼女達に尽くしてきたからこその栄光ですからね」
京太郎「そんな御大層な事じゃないんですけどね。当たり前の事を当たり前にやって来ただけですし」
嫁田「そうは言うけどな、このご時世当たり前の事を当たり前にやるって、簡単なようで実は難しいことだぞ?実際俺がお前の立場だったら途中で挫けてると思う」
京太郎「そうかぁ?やってみると結構楽しいことはあるんだけどな」
ハギヨシ「なんにせよ、私が君を労りたいのですから、それを素直に受け取っていただけるのが一番ですよ」
嫁田「というか、そうしてくれないとこっそり応援に来てただけの俺が罪悪感で潰れそう」
京太郎「まぁ、そういうことなら...」
嫁田「そういや、こっちに来てどうよ?」
京太郎「どうよ?ってのは?」
嫁田「女の子だよ、女の子。全国大会に出てた子って、美女美少女勢揃いだったじゃんかよ」
ハギヨシ「確かに、どの人も見目麗しき方でした」
京太郎「意外...ハギヨシさんもそういうの興味あるんですね...」
ハギヨシ「執事である前に、男ですから」
嫁田「話戻すけどよー。お前全国の場にいたわけだし、その選手の人達と知り合ってたりしね?」
京太郎「そうだなー...。
Aブロックの千里山、新道寺の人達や、うちと当たった姫松、宮守、永水、臨海、阿知賀、有珠山。それと、照さんを通して白糸台。この高校の人達とは知り合ったな」
嫁田「いや、多くね?」
ハギヨシ「今年の注目株だった高校を見事にコンプリートしていますね...」
京太郎「とは言っても、一応連絡先交換したって程度で、そんなに仲良くはなれてないんですよね」
嫁田「そりゃお前、この短期間でそこまで手ぇ広げといて個人とそこまで仲良くなれるわけないだろ」
京太郎「手を広げたとか言うな。で、なんだか先輩の人達には壁を感じるんですよね。同学年の人とは結構上手くしてるんですが」
嫁田「結構上手くやってんのかよ。相変わらずお前のコミュ力には感服せざるを得んわ。いっそ弟子にしてくんね?」
京太郎「弟子はとらん主義でな。なんて、俺はハギヨシさんに弟子にしてもらってるし。つーか俺から学んだところで、主に末原先輩や弘世先輩とかとはそんなに仲良くできんと思うぞ。姉帯先輩とかは上手くやれるかも知らんが」
ハギヨシ「おや?」
嫁田「あとさっき照さんを通して~とか言ってたけど、何?お前あのチャンピオンと知り合いだったの?」
京太郎「あれ?言ってなかったっけか?」
嫁田「言ってもねーし、聞いてもねーって」
京太郎「あー、考えてみれば言ってなかったな。あんまり他人に言い触らすような事じゃないしよー」
ハギヨシ「京太郎君」
京太郎「はい?」
ハギヨシ「貴方、姫松の方々はどう呼んでいますか?」
京太郎「え?えーっと、上重先輩、真瀬先輩、洋榎先輩、絹恵先輩、末原先輩、ですね」
ハギヨシ「ふむ。やはりそうですか」
嫁田「どうかしたんすか?」
ハギヨシ「京太郎君。貴方は先輩方と壁が出来ている、と仰いますが、その壁は恐らく君の方から作っていますよ」
京太郎「え?」
ハギヨシ「共通の知り合いに親族の方がいない限り、苗字と先輩で呼んでいるんですよ。貴方は」
嫁田「...そーいや、清澄の先輩達にもそんな感じだったよな」
京太郎「いや、それこそ当たり前じゃないですか?友達と言っても、先輩は先輩ですし」
ハギヨシ「親しき仲にも礼儀あり、というのは正しいですが、かといってその呼び方では相手には心を開いてくれていないように受け取られてしまいますよ?」
京太郎「そういうものでしょうか...?」
ハギヨシ「考えてもみてください。嫁田君に突然『須賀君』と呼ばれてみたら、どう思いますか?」
京太郎「...急にフレンドリーさが無くなったなって思いますね」
ハギヨシ「そのフレンドリーさが大切なんですよ。仲良くなりたいと思っているのならば、こちらから歩み寄らなければなりません」
ハギヨシ「私も、出会ったばかりの頃は衣様を天江様と呼んでいましたが、名前で呼ばせて頂くようになってからは、苗字での時よりぐっと距離が縮まったように思っております」
京太郎「ふぅーむ...」
嫁田「ま、難しく考えんなよ。試しに名前をさん付けで呼んでみて、駄目だったら直しゃいいじゃん」
京太郎「それもそうか。すいませーん!レアチーズケーキ一つくださーい!」
ハギヨシ「それと抹茶アイスもお願い致します」
嫁田「俺はストロベリーパフェ頼んまーす」
京太郎「一口交換不可避ェ...」
翌日。
京太郎(と言ってすぐにチャンスは来たわけだが...)
咲「まさか永水の人達とバイキングを一緒にするなんて、思ってませんでしたよ」
霞「ホテルが一緒だったなんて、偶然というのもあるものね」
初美「姫様の力が働いて、こういった運命を呼び寄せたかもですよー」
和「SOA」
京太郎(しかし、どのタイミングで誰を呼ぶべきか...)
優季「それにしても、この犬が巫女さん達を引っ掛けてたとは初耳だじぇ。このおっぱい魔神が!だしぇ!」
小蒔「片岡さん、須賀君に対してそのような呼び方はいけません。知り合ってばかりですけど、彼がとても誠実な方でいらっしゃるのは、私にもわかります。そんな彼を犬、などと呼ばれるのは私としても心外です」
巴「姫様が珍しく強気だ...」
京太郎(部長は部長で良いし、染谷先輩ももうすぐ部長になるから今の時期に呼び方を変える必要はないだろう)
春「...京太郎、どうかした?」
京太郎「ん?あ、ああいや。何でもない」
春「...そう?」
京太郎(薄墨先輩は須賀君のくせに私を名前呼びだなんて生意気ですよー、とか言ってきそうだし、
石戸先輩は怒ると怒られてない周りの人まで震えが止まらなくなるくらい怖いって聞いてるから、迂闊に名前呼びなんて出来ないし)
久「須賀君のくせにモテモテじゃないのよー。一体東京に来てから何人引っ掻けてきたのかしらぁーん?このこのー」
まこ「ウザいからやめときんしゃい...」
京太郎(そうなると神代先輩か狩宿先輩になるわけだが...ここはまず神代先輩からいこう)
小蒔「あ...も、申し訳ありません。つい熱くなってしまいまして...」コクコク
優季「むーーん...いや、巫女のおねーさんの言うことも一理あるじぇ。食事中に失礼したじぇ」
和「いえ、食事外でも控えてほしいですけど、それは...」
京太郎(落ち着け...『小蒔さん』だ...。
不自然にならないタイミングで...)
久「あー、そうそう。試合の時の黒糖ありがとね。お礼にこのエビフライを与えてしんぜよう」
まこ「バイキングに与えるも何もないじゃろ」
春「...ありがとう」
巴「そして普通にお礼言うの...?」
初美「変わった子が多いですねー、このテーブル」
霞「はっちゃんにそれ言われたらねぇ」
小蒔「ふぅ...あ、ドリンク切れちゃいました」
京太郎(今だっ!)
京太郎「俺今からドリンクバーでおかわりしてきますけど、小蒔さんも要ります?」
小蒔「!!」
清澄ズ「!?」
永水ズ「!!?」
京太郎(い...言えたぁ~~~~...。
しかし、これは外した!だってみんなの視線が俺に集中してるもん!不自然でしたよと物語ってるもん!
だが押し切れ!押し切るんだ須賀京太郎!)
京太郎「どうしました?小蒔さん」
小蒔「あ、あの...私の事ですよね...?」
京太郎「当たり前じゃないですか、小蒔さん。その言い方だとまるであなたが小蒔さんじゃあ無いみたいじゃないですか、小蒔さん」
小蒔「えと、その...」
京太郎(...流石に無理矢理過ぎたか?)
小蒔「そ、それじゃあ.........オレンジジュースを、御願いします」
京太郎「あ、はい。分かりました」
.........
京太郎「ま、何とか受け入れてもらえてるみたいだな」スタスタ
京太郎「...それは良かったけど、やっぱいきなり名前呼びするとどんなタイミングでも不自然なるみたいだな」スタスタ
京太郎「よし、他の人はまた別の機会にするか」スタスタ
.........
京太郎「お待たせしました、オレンジジュースですよ」
小蒔「あ、ありがとうございます.........その...」モジモジ
京太郎「ん?」
小蒔「...........きょ」
京太郎「きょ?」
小蒔「.......京太郎、様.........」カァァァァ
京太郎「.........」
京太郎(小蒔さんの性格からして呼び捨てにされる事は無いと思っていたが)
京太郎(何故さん付けを通り越してそんな自分の旦那様みたいな呼び方なのか、疑問には思ったけど...)
京太郎「どういたしまして」
小蒔「えへへ...」ニコニコ
京太郎(まぁいいか。可愛いし)
.........
咲「................................」
優季「じょー...」ムッシャムッシャ
和「.........」ムスッ
霞「」ズーン
初美「...私だって、苗字より名前の方が呼びやすいですよー.........」ナミダメ
春「姫様、抜け駆けずるい...」
巴「.........やっぱり、こっちから名前で読んだ方が...」
久「荒れてるわねぇ......ヒィーサッサッサ...」
まこ「そのキモい笑いはどうにかならんのか?」
ひとまずカンッ!
最終更新:2014年04月08日 19:02