菫「……ここはどこだ?」
菫(しまったな……迷子になった照を探しに来た私が迷子になるとは。周りに人影すら見当たらないぞ)
菫「まったくアイツも去年一昨年と来た場所で迷子になるなよ……」
菫(……私は照を探して普段来ないところに来たんだからノーカンだ、うん)
菫「はぁ、仕方ない。いったん外に出る道を探すか。外に出ればわかるはず……ん? あれは」
???「おーい咲ー! どこだー!?」
菫「良かった、こんなところにも人がいたか。そこの君」
京太郎「え? 俺っすか?」
菫「そうだ。すまないがここがどのあたりかわかるか?」
京太郎「……迷子ですか?」
菫「ぐっ……(やむを得ない事情があるとはいえ、人に言われるとこたえるな)ま、まぁ不本意ながらな」
京太郎「ここ広いですからね、迷うのも無理ないですよ。ロビーまででいいですか?」
菫「いや、そこまでしてもらわなくても道を教えてもらえれば……」
京太郎「そんなこと言って余計に迷子になったらどうするんですか?」
菫「ぐぐっ……(完璧に迷子扱い……くぅ、これも全部照のせいだ!)」
京太郎「それに道が複雑だから俺も説明しにくいですからね」
菫「そ、そうか……ではよろしく頼む」
―――
京太郎「……」
菫「……」
京太郎(く、空気が重い……この人全く喋らねぇ! あれか? やっぱりこの歳で迷子になるって相当恥ずかしいもんなのか? 咲がよく迷子になってるからその辺の感覚麻痺してるな……)
京太郎(と、とりあえず何か会話を!)
京太郎「え、え~と、俺須賀京太郎って言います」
菫「え? あ、ああ。私は弘世菫だ。よろしく」
京太郎「その制服って白糸台の制服ですよね?」
菫「ああ。そうだが」
京太郎「っていうことは照さん……宮永さんと知り合いだった李します?」
菫「同じ麻雀部のレギュラーだよ。君は照の知り合いか?」
京太郎「はい。照さんの妹で咲っていうのがいるんですけど、そいつと俺が同級生で。そいつを通じて知り合ったんです」
菫「宮永咲か……ということは君も清澄なのか?」
京太郎「はい、そうですけど……咲のこと知ってるんですか?」
菫「全国に来た高校のデータには一通り目を通しているからな。それに同じ宮永だと目に付きやすいものだ」
京太郎「そういうもんですか?」
菫「そういうもんだよ。時に須賀君、一つ聞きたいことがあるんだが」
京太郎「? なんですか?」
菫「照と宮永咲の間に、昔何かあったのか?」
京太郎「っ!? それは……」
菫「やはり何かあったのか……アイツが『私には妹なんていない』なんて言ってたのが気になってな」
京太郎「そんな……やっぱりまだ」
菫「……どうやら、思ったよりも更に深刻みたいだな」
京太郎「……すいません。これ以上は聞かないでくれると」
菫「いや、いいんだ。本人以外から聞くものではないだろうし、そもそも私のような他人が立ち入るべきではないだろうからな。深入りはしないさ。ただ私はアイツの友人でもあるんでな、アイツが本当に助けを必要とした時は助けてやるさ」
京太郎「……弘世さんって優しんですね」
菫「そうか?」
京太郎「そうですよ、普通そういうのって聞きたくなるもんですよ。それなのに一歩引いて見守ってるのって、凄く大人の女性って感じがします」
菫「そ、そうか。そこまで言われると照れ臭いな……」
京太郎「え~照れることなんてないじゃないですか」ニヤニヤ
菫「こらっ、年上をからかうな!」
京太郎「すいませ~ん」
菫「ったく……っと着いたな。ありがとう、助かったよ」
京太郎「いえいえ。困った時はお互い様ですから」
菫「ああ、そうだ。よければメールアドレスを交換しないか? また今度お礼したいし、照のこともあるからいろいろと便利だと思うんだが」
京太郎「ええ、もちろんいいっすよ!」
菫「……よし。ではまたな、須賀君」
京太郎「はい。照さんによろしく言っておいてください」
菫「わかったよ」
続く予定だけど続編がいつできるか予定が未定状態
最終更新:2012年07月15日 20:29