京太郎「エイプリルフールだな」

和「え?」

京太郎「今日。エイプリルフールだなって言ったんだ」

和「ああ…」

京太郎「一年で唯一嘘をついても許される日…発祥はどこだったか…」

和「はっきりとはしていませんが、有力なのはフランスですかね」

京太郎「よく知ってるなぁ…」

和「たまたまですよ」

京太郎「そっか」

和「ええ」

京太郎「そういや嘘つきのパラドクスは知ってるか?」

和「もちろん。嘘つきが『私は嘘をついている』と言った場合、その言葉が真であっても嘘であっても矛盾するという話ですね。まあ、これは嘘つきが常に嘘をついているという前提が必要ですけど」

京太郎「それを見てて思ったんだよ。いつも本当のことを言ってる人が唯一嘘をついても許される日なら、いつも嘘を言ってる嘘つきは唯一本当のことを言っても許される日なんじゃないかってな」

和「ふむ」

京太郎「常に嘘をつくってのも疲れるもんだろ?だから今日は唯一心の中を吐露しても良いってことになるわけで、嘘つきにとっては心の休息日になるわけだ」

和「なかなか興味深い考察ではありますね」

京太郎「ま、所詮ただのこじつけだけどな。そこまで律儀につきつづける奴なんざそうそういないよ」

和「ふふふ、確かに。でも、こうは考えられませんか?」

京太郎「ん?」

和「エイプリルフールだからって別に嘘をつく必要はないんですよ。ただ、人って素直になれないことが多いじゃないですか。感謝だったり、愛情だったり」

京太郎「まあなぁ…」

和「でも、今日は嘘をついて良い日なんですから、冗談混じりでもその思いを伝えることができるんです」

京太郎「ふんふん」

和「友人を具体例に出すのは気が引けるんですが…ゆーきは素直じゃないのはわかるでしょう?」

京太郎「まぁ、割と付き合いは長いからな」

和「それがわかっていれば言葉の中の想いは…まあ、少しの違いがあれど読みとれるわけです。直接は言わなくても想いは伝わるってなんだか素敵じゃないですか?」

京太郎「…うん」

和「でしょう?」

京太郎「とりあえず和は少女思考なんだなあって思った」

和「うっ…い、いけませんか?」

京太郎「いや、かわいいよ」

和「っ!?…女たらし」

京太郎「ひっでぇ!?」

和「ふふふ」

京太郎「…はははっ」

…………

京太郎「っと、もうこんな時間か。帰る準備しないとな」

和「それもそうですね…えっと、鍵は確かここに…」

京太郎「なぁ、和」

和「なんですか?」

京太郎「お前が好きだ」

和「…はい」

京太郎「でも今日はエイプリルフールだ」

和「ええ。知ってます」

京太郎「そう言うことだ」

和「はい…ふふ、顔が赤いですよ?」

京太郎「ゆ、夕日のせいだ。帰る時間なんだから急ぐぞ」

和「はい♪」

和(知ってましたか?エイプリルフールで嘘をついて良いのは午前中までなんですよ…なんて)

和(知らないはずが、ないですもんね?)

和「うふふっ♪」

カンッ