大きな改行があるたびに場面が変わっています


それはインハイの帰り道の話だった。

久「そっ。龍門渕さんが企画してくれてね。インハイお疲れ企画~みたいな感じだってさ」

咲「合宿というより旅行ですね、それ」

まこ「夏休み最後の思い出にするんだそうじゃ。太っ腹なことじゃのう……」

京太郎「へぇー。そいじゃ皆とは途中で別れなきゃですね、俺がついてくわけにはいきませんし」

久「いや、今回は須賀君にも来てもらうわよ?」

京太郎「え゛っ」

京太郎「……えー、分かってましたよ、どうせこんなことだろって」

ハギヨシ「すみません須賀君。手伝ってもらってしまって」

流石に練習のためでもないお遊びの企画に大規模な宿を取るわけにもいかず、

今回の集まりは格安の民宿で、しかも料理などは自分達で用意するということになったそうだ。

もちろん俺の師匠であるハギヨシさんがその主力なわけだが、流石に彼一人に任せるわけにはいかず、

俺は今回その手伝いとして呼ばれた、というわけだ。

風越の綺麗なキャプテン(福路さんというらしい)なんかも手伝ってくれてるけど、

基本的に雑用はハギヨシさんと俺の仕事である。

京太郎「いやまぁ、役得って言われたらそうなんだけどさ……あ、ハギヨシさん。料理出来た分から持ってきますねー」

ハギヨシ「宜しくお願いします」

京太郎「お待たせしましたー。今日の晩ごはんですー」

優希「おっ、待ってたじょー!!タコス、タコスはあるか!?」

京太郎「後で気が向いたら作ってやるから待ってろな。皆さん、割り箸ここにあるんで持ってってくださーい」

華菜「悪いなー清澄の一年、色々任せちゃって」

京太郎「はは、まあ役得ですから。それにほとんどはハギヨシさんがやってくれてますし」

透華「ハギヨシはなんでも出来ますからね!龍門渕自慢の執事ですわ!」

京太郎「ほんと、尊敬してますよハギヨシさんのことは」

選手の人達と適当に話しながらハギヨシさん謹製のごはんを並べていく。

……ま、文句言うような環境じゃないよな。眼福眼福。

桃子(……!?私の前にもちゃんと料理が置いてある……!?)

――咲がデジタル意識の徹底により槓材を見極めたのと同じように、

京太郎は雑用意識の徹底により頭数を見極めていたのだが、それはまた別の話。



ハギヨシ「福路様は家事がお上手ですね」

美穂子「そんな、執事さんほどじゃありません」

ハギヨシ「貴女の歳でこれだけ出来れば十分ですよ。……あ、僭越ながら、ここはこうすると更に宜しいかと」

美穂子「えっ?あ、本当だ。執事さん、なんでも知っているんですね」

ハギヨシ「恐縮です」

美穂子「いえいえ、私なんて機械の類は全然だめで……」

ハギヨシ「なんでも出来る人間なんていませんよ」

何でもできる系執事となんでもできる系(機械は除く)女子が見事に意気投合していたことを知る者はいない。




京太郎「それではみなさん手を合わせてー」

全員『いただきまーす』

美穂子(……!このお吸い物、凄く美味しいわ。ほ、他のメニューも、まるで料亭のものみたい……!)

透華「む、どうかしましたの?」

美穂子「い、いえ……この料理、どれも凄く美味しいわ……」

透華「当然ですわ、ウチのハギヨシが作ったものなのですから!」

美穂子「あの執事さん、ハギヨシさんというのね。お料理を教えてもらいたいわ」

透華「ふむ。ハギヨシ!」

ハギヨシ「……は。お呼びになりましたか、透華お嬢様」

透華「この方に料理を教えて差し上げなさい!」

ハギヨシ「は、承りました」

美穂子「えっ?そんな、悪いわ」

ハギヨシ「お気になさらず。お嬢様の命ですので、このハギヨシ、全身全霊を持ってお教えしますよ」


ハギヨシ「それでは、宿泊している皆様のために軽く夜食でも作りましょうか」

美穂子「はいっ。よろしくお願いします」

二人は色々と相談しながら作業を始める。

どちらも日頃から家事には慣れ親しんでいるので、トラブルもなく順調に作業は進む。

ハギヨシ(……ふむ。お教えするとは言っても、既に福路様は十分家事全般がお得意だと思うのですけれど)

手を休めぬままに、ハギヨシは美穂子を観察する。

思うに、彼女はただ自信がないだけなのではないだろうか。

聞いたところ、部の雑用なども日頃から進んで買って出ているという彼女に、

今更自分が教えることも余りない気がする。

ハギヨシ「……福路様。あなたはいつもこのように家事に親しんでいるそうですね?」

美穂子「は、はい。それでも私なんてまだまだで……」

ハギヨシ「そんなことはありませんよ。貴女の努力を認めない人間などいません。もっと自信を持ってください」

美穂子「そ、そんな……」

ハギヨシ「会ったばかりの私でもわかるのです。風越の部員の皆様なら、もっと福路様のことを分かっているかと存じます」

ハギヨシ「一度、風越の皆様に話を聞いてみては?また、考え方も違ってくるかと」

美穂子「そう……ですね。ありがとうございます、ハギヨシさん」


美穂子「……ところで、この最新型のオーブンってどう使えば……」

ハギヨシ(……福路様が学ぶべきは、お料理よりも機械の扱い方のようですね)

可愛らしい彼女の意外な欠点に、思わず笑みをこぼしそうになるハギヨシ。

恐らく透華たちが見れば驚くであろう、普段の彼にはない表情がそこにはあった。



~自由時間~

京太郎「いるかなー、いるかなー……いた!あの、すみませーん!」

華菜「ん、どうしたし?お前は……清澄の一年か」

京太郎「うっす、須賀です!いやー、池田さんに一度会ってみたかったんですよー」

華菜「あたしに?そりゃなんで」

京太郎「その……なんつーか、県決勝の時の池田さん、かっこよかったなって」

華菜「……は?」

京太郎「だってあんな劣勢なのに役満和了って、その後も高い手張りまくって、最後はスッタン見逃しとか。超かっけーっすよ!」

華菜「……あのなー。そもそも劣勢になったのはあたしが振り込みまくったからだろ。客観的に見ればあたしが戦犯だし」

京太郎「うー、そういうもんなんすかねー……俺はかっこよかったと思うんだけどなぁ」

華菜「はは。ま、そう思ってもらえるぶんにはありがたいし」

京太郎「なんかすみません。……ん?げ、咲がいない!あいつまた迷子になりやがった!?ちょっと探してきます!」

華菜「おー、頑張ってこいよ清澄の一年ー」

華菜「……はぁ。県決勝……かぁ」

同卓した連中の前では必死に強がって見せたし、コーチの前でも諦めないとは言ってみせた。

けれど。

華菜(……あー、駄目だ。思い出すだけでしんどいし)

どうあがいても振り込まされ、必死に作った自分の高い手は容赦なくクズ手で押し流されて。

一矢報いることも出来ないまま、あの場はただ宮永咲と天江衣の決戦場でしかなかった。

あたしの存在なんて……あの決戦に、なんの影響も与えてはいなかった。

華菜「……あたし、来年もアレと戦わなきゃいけないんだよなぁ」

ハギヨシ「……おや、どうかなさいましたか池田様」

華菜「……ん?あ、龍門渕の執事さん。いや、何でもないし。すみません心配かけて」

ハギヨシ「それにしては、顔色が優れませんが……」

華菜「し、執事さんは鋭いんですね……」

ハギヨシ「出来れば、相談に乗らせて頂きたく存じます」

華菜「……じゃ、お言葉に甘えて愚痴らせてもらうし」

ハギヨシ「……ふむ。今後も風越の大将としてやっていく自信がない……ですか」

華菜「龍門渕の執事さんに言うのもなんだけど。どうしたって天江衣や宮永咲に勝てる気がしないし」

ハギヨシ「確かに衣様も宮永様も、常軌を逸した強さを持っておられます。しかし、池田様も私から見れば同じようなものですよ」

華菜「は、はぁ!?あたしが!?」

ハギヨシ「先程須賀君と話していたようですが、須賀君もそう思っているでしょう」

ハギヨシ「貴女がたのレベルになるとまた違うのでしょうけれど、私たちのような素人目から見ればあの決勝は実に見応えのあるものでした」

ハギヨシ「確かに全体としては衣様と宮永様が圧倒していました」

ハギヨシ「しかし、加治木様と池田様も惜しいところまで肉薄していたように、私は思います」

ハギヨシ「池田様は、流されてしまったものの高い手を何度も張っています。アレを和了れていれば結果はどうなったか分かりません」

ハギヨシ「加治木様も、オーラスに国士無双を1向聴まで仕上げていました」

ハギヨシ「少なくとも私は、そしておそらく須賀君も……あの場では、誰が勝ってもおかしくなかったと思っています」

華菜「……外から見れば、そういうもんなのかなぁ」

ハギヨシ「はい。それに、男心に池田様の高打点手は胸が躍るようです」

華菜「ははは、執事さんも清澄の一年と同じこと言ってるし」

ハギヨシ「おや、そうですか」

華菜「……そっか。あたしが勝ってもおかしくなかったって、そう思ってくれてる人もいるのか……」

華菜「……ん!ありがとだし、執事さん!あたしこれからも頑張ってみることにするし!」


そう言うと池田様は元気よく駆けていきました。
……そろそろいいんじゃないですか、須賀君?

「……ちぇー。気付かれてましたかハギヨシさん」

「執事ですから」

「ま、でも、池田さんが元気になってよかった。なんか俺が落ち込ませちゃったみたいだったし……」

「須賀君はまだまだ女性への対応を勉強しなければならないようですね?」

「ぐうの音も出ねーっす」




~自由時間~

透華(彼といる時のハギヨシは、なんだか普段と違う感じですわね……)

透華(楽しそうというかなんというか。そもそもハギヨシが君づけで呼ぶ相手は初めて見ました)

京太郎「……ん?どうかしましたか龍門渕さん。ハギヨシさんなら向こうで天江さんの相手をしてると思いますよ」

透華「いえ、そうではなく。用があるのはあなたです」

京太郎「へ、俺?俺に何の用が……」

透華「大した用ではないのですが。ハギヨシがプライベートで仲良くしている相手というものが気になりまして」

京太郎「仲良くっていうか、俺が一方的に世話になってるんですけどねー」

透華「世話、とは?」

京太郎「料理教えてもらったり、ざt……家事全般も。あと麻雀の稽古も付けてもらってますし」

透華「麻雀?あなたも麻雀部員なのだから、部員に教えてもらえばいいでしょうに」

京太郎「そりゃ部活の時は教えてもらってますけど、それだけじゃあいつらにはぜってー追いつけないですし」

京太郎「ってか、そもそも今の俺じゃ全く相手にならなくて練習にもならないですしね、ははは」


透華(ふむ……)

その時透華に電流走る――!!


私が彼を鍛える

原村和「す、すごい!私が教えるよりずっと巧くなっている!こんな人に敵うはずがない!真のアイドルは龍門渕さんなのですね……」

大勝利


透華(いや、流石にこれはないですわ……アイドル関係ないですし)

透華「……でもまあ、じゃあ、今から麻雀の手ほどきをして差し上げましょうか」

京太郎「ぅえ!?いやいや、なんか悪いですって、せっかく遊びに来てるのに」

透華「ふふっ。あのハギヨシと仲良くやってくれていることには、こっちがお礼を言いたいくらいなんですわよ?」

透華「それにやることがなくて退屈でしたし。麻雀でも打ちながら、ハギヨシの話でもしてくださいな」

そう。

私が知らない、彼の話を。




全員分の食器を手際よく洗っていく彼を、背後から見つめる。

透華「……」

いつだって彼は呼べば傍に立ってくれて、頼めばなんでもしてくれて、

いつもその顔に微笑みを浮かべながら私を見てくれる。

透華「……」

でも、この合宿に来てその認識はなんとなくだが変わった。

主従の関係に無い純粋な友人と語らう彼の姿は、私にとってある種の衝撃をもたらした。

……ありていに言って、その時の彼のほうが魅力的だったのだ。

透華「……」

勿論彼に対して思うところがないではない。

けれど絵本の中のお姫様ではないのだ、私と彼がそういう関係にはなり得ないということは分かっている。

……だから。

透華「ハギヨシ」

ハギヨシ「如何なさいましたか、お嬢様」

透華「……今日のお夜食は、特別甘いものがいいですわ」

ハギヨシ「承りました」

……せめて彼の傍で、いつも通りの穏やかな夜を過ごしたいと、そう思うのでした。






京太郎「洗い物~洗い物~っと」

歩「お洗濯終わりましたよー」

京太郎「お疲れ様です。流石に洗濯は俺やハギヨシさんがやるわけにはいかないですしねー」

歩「その分お料理なんかは任せきりになってしまってますし、気にしないでください」

京太郎「いやほんと、ありがたいです。そういえば杉乃さんもやっぱり麻雀できるんですか?」

歩「いえ、私は全然……ルールは把握してるんですけど、お嬢様たちのようには」

京太郎「だったら自由時間、一緒に練習しません?俺も初心者なんで、ちょっとでも上手くなりたいですし」

歩「是非、お付き合いさせていただきます」



咲「カンしたら嶺上がこの牌だからもう一回カンできるでしょ?次の嶺上が和了り牌だからこれでツモだよ」

京太郎「……!?」

衣「海底にはこの牌が眠っているから、対面から鳴いて海底を我が物とすればいい」

歩「……?……?」

京太郎「……ど、どうですか杉乃さん。この二人の言ってること分かります……?」

歩「い、いえ全く……」

この日、清澄の雑用と龍門渕のメイドによる麻雀分からない同盟が結成された。

なお、麻雀の練習については教師役を和と透華に変えることで間に合ったもよう。

変わったことといえば――

京太郎「あ、歩。そろそろ皆を起こしてきてくれー」

歩「はーい。今日の朝ごはんも楽しみにしてるからね」

――この日、清澄の一年男子と龍門渕の一年女子が仲良くなったことだろうか。






元凶はこの二人だった。

華菜「ウチのキャプテンは凄いんだし!家事は何でもできるんだし!」

透華「おーっほっほっほ、ハギヨシはもっと凄くてよ!家事以外でも彼に出来ないことなどありませんの!」

華菜「なぬー!!」

透華「なにおー!!」


純代「……で、こうなったと」

未春「キャプテンと龍門渕の執事さんが今日の晩ごはんを作って料理対決……ねえ」

星夏(確か昨日の晩、キャプテンは執事さんに料理を教わってたような……これ勝負決まってるんじゃ)

美穂子「もう華菜、私のことを自慢に思ってくれるのは嬉しいけれど、あまり余所様に余計なことを言っちゃだめよ」

華菜「う、やらかしたとは思ってます……」


ハギヨシ「……まぁ、私と福路様が腕を振るえば皆様は喜ぶでしょうし料理対決も別にかまいませんが」

透華「で、でしょう?ですから是非……」

ハギヨシ「ですが余所様に喧嘩を売るようなことは止して下さいませ」

透華「う、それについては反省しておりますわ……」


――その日の夕食は、合宿期間中一番の好評だったという。




優希「京太郎ー!」

京太郎「お、どうした優希。いつも通りうるせーくらい元気だな」

優希「お前にタコスの作り方教えたのってあの執事さんだよな?」

京太郎「おう、そうだぞ。ハギヨシさんは割とガチで何でもできるからなー」

優希「そ、それじゃあだな、あの……」

京太郎「わーってるって、ハギヨシさんのタコス食ってみてーんだろ?」

優希「そういうことだじょ!」


京太郎「……とまあ、そういうわけなんですが」

ハギヨシ「はい、既にご用意できております」

京太郎「ファッ!?」

優希「な、なんでだじぇ!?」

ハギヨシ「片岡様がおられるのですから、タコスはいつでも用意できるようにしておりました」

ハギヨシ「先程お二人が話しているのが見えましたので、その間に用意してまいりました」

京太郎「執事って凄い、改めてそう思った」

優希「と、ともかく、いただきまーす!」


優希(生地も中身も、京太郎が作ったタコスよりもうまいじょ……!)

優希(……でもなー、なんだかなー。何故だか分からないけど、京太郎のタコスのほうが美味しいような気が……)

優希(なんでかなー?)

優希「……?」

京太郎(なんであいつ釈然としねえみたいな表情してんだ……?)

ハギヨシ「ふふ……」






桃子(ご飯の時、毎回ちゃんと私の前にも料理が届けられるのは私が見えてる人がいるってことっすかね?)

桃子(おっぱいさんが料理を運んできてるならまだ納得なんすけどそうじゃないっぽいっすし)

桃子(これは調査が必要っすね!)


こうしてわりと可哀相な過去を持ってるわりにやたらとエキセントリックな少女の探偵ごっこが始まった!


フェイズ1.まずは聞き込み

ゆみ「ん?ああ、食事を用意してくれてる人か。清澄の1年らしい」

ゆみ「ああ、原村和とかじゃなくな。男子部員が1人いて、その子がやってくれてるらしい」

ゆみ「あとは龍門渕の執事さんだな。でも料理を運んできてくれてるのはだいたい清澄の子の方だろう」


フェイズ2.アポを取ろう!

久「ん?須賀君に用でもあるの?あの子も隅に置けないわねー」

久「え、ああ分かった、分かったから落ち着いて。もう、ちょっとからかっただけじゃない」

久「別に須賀君も常時雑用してるわけじゃないし、好きに話しかけたらいいんじゃない?多分彼も喜ぶわよ」


京太郎「ふんふふーんふーん♪」

桃子(……彼が清澄の雑用さんっすか。とても私が見える程特別な何かを持ってる人には見えないっすけど)

桃子(……手に持ってる荷物は今日の晩ごはん用っすかね?)

桃子(まあ、悪い人には見えないっすけど……)

京太郎「ん?そこにいるの、誰だ?」

桃子「……!?」

京太郎「ああ、鶴賀のky東横さん。部長の蒲原さんには買い出しの度に車出してもらって、助かってます」

京太郎(あー、鶴賀の巨乳枠さんだー。お近づきになれないもんかなー)

京太郎(……あぶなっ!今時本音と建前が入れ替わっちゃったテヘペロとか流行らないっつーの!)

桃子「……私が見えるっすか?」

京太郎「は?そりゃ見えますけど」

桃子「……まあこの際それはいいっす。荷物運ぶの、手伝うっすよ」

京太郎「女の子に荷物持たせるわけにはいかないですって」

桃子「同じ一年なんだから敬語はいいっす。それに……元部長さんの運転、酷かったっすよね?」

京太郎「……実は相当酔ってます、はい」

桃子「じゃ、とっとと運んじゃうっすよ。今日も美味しいご飯期待してるっす」

京太郎「作ってるのはほとんどハギヨシさんだけどな」

桃子(……期待してるのは、ご飯そのものじゃないっすけどね)

彼女にとって、ちゃんと彼女本人の前に差し出される料理がいかほどの意味を持つのか。

それは、本人しか知らなくていい話。






桃子「……というわけで、どういうわけだか私が見えてる以外はふつーの男子だったっす」

ゆみ「ふーん。ま、良かったんじゃないか?モモのことが見えるのが悪い奴じゃなくて」

桃子「それはそうっすけど。まあ少なからずつまんないなーって思ってることは確かっす」

ゆみ「お前は普通の高校一年生に何を求めてるんだ……」

桃子「うーん……おっぱいさんくらいの麻雀の強さとか?」

ゆみ「無茶を言うなぁモモは……」


ゆみ(ま、後輩の望みはお節介と分かってても叶えてやりたいし)

ゆみ(私も興味が無いでもないし。一度会ってみるか)

ゆみ「久。須賀君とやらはいるか?」

久「あら、ゆみ。須賀君なら確かさっき龍門渕さんと話してたけど……」

久「執事さんもいることだし、多分今は龍門渕の部屋にいるんじゃないかしら?」

ゆみ「ありがとう、行ってみる」



透華「だからなんでそうなるんですの!?それじゃあ和了っても目立ちませんわ!」

京太郎「いやいやいやこの状況ではこうするって和に教わりましたよ!?」

ゆみ(……一体何が起こってるんだ……)

ハギヨシ「透華お嬢様が須賀君に麻雀を教えようとなさっているのですが、難航しているようですね」

ゆみ(……透華、お前1年生相手に何をムキになってるんだ……)

ゆみ「というか、彼もよく透華を相手にあそこまで本気で当たれるな」

ハギヨシ「透華お嬢様も須賀君も、方向性こそ違えど人当たりはいいですからね」

ゆみ(そういう問題なのか……?)

ゆみ(でもまあ、金持ちのお嬢様だなんだと色眼鏡で見ず本気で当たれるからこそ、モモが見えたのかもしれないな)

ゆみ(雀士として見れば恐るべき力を持ってる宮永咲とも普通に接していると聞くし)

ゆみ(須賀京太郎……面白い人材かもしれない)

ゆみ「せっかくだから、本気で鍛えてみようか」

ハギヨシ「……?」






ハギヨシ(さて、今日の晩ごはんの買い出しはどうしましょうか)

ハギヨシ(須賀君は透華お嬢様と加治木様に麻雀を教わっていますし、私が買い出しに行くしかないのですが)

ハギヨシ(……買い出しに、龍門渕所有のリムジンを使うというのも馬鹿な話ですしねえ)

智美「わははー、お困りのようだな執事さん」

ハギヨシ「おや、蒲原さん」

智美「買い出しに行くんだろ?車なら出すぞ-」

ハギヨシ「ありがとうございます。手間をかけさせてしまい申し訳ありません」

智美「ワハハ、気にしないでくれ。いつも美味しいご飯作ってくれて皆感謝してるんだー」

ハギヨシ「……か、蒲原様。運転ありがとうございました」

智美「わははー、どういたしまして。買い出しの材料を見る限り今日はカレーなのかな?期待してるぞー」

ハギヨシ「……期待に応えられるよう努力いたします」

智美「ワハハ。また車が必要になったらいつでも言ってくれ」


ハギヨシ「……」

ハギヨシ「」







京太郎「んー、なんか皆に出すほどの味にするのは難しいよな……」

ハギヨシ「調味料の配分を考えてみれば如何でしょう。この場合は――」

京太郎「どれどれ……おー、見違えるようだとはこのことかって感じっすね!流石ハギヨシさん!」


歩「洗濯物、流石に多いなあ……けっこう時間がかかりそう」

ハギヨシ「男性に任せてはまずいものだけ選り分けて、こちらに幾らか渡してください。協力しますよ」

歩「あ、ありがとうございます!じゃあ、これくらい……」

ハギヨシ「承りました」

歩(は、速い…!?)


~自由時間~

京太郎「いやー、ハギヨシさんってすげーよなぁ。ホントになんでも出来るんだもん」

歩「うん、本当に……どれほどの努力をすればあんな風になれるのかな」

京太郎「せっかくの自由時間だし、ハギヨシさんの観察でもしてみっか」

歩「いいね、それ!行ってみよう!」

ハギヨシ「……」


京太郎(うーん、流石執事。常につかず離れず龍門渕さんを視界に入れてるな……)

歩(それでいて他の誰にも注目されないような位置にいるね……)

京太郎(よく考えたらハギヨシさんって龍門渕さん個人の執事なわけだし、いつ休んでるんだ……?)

歩(……そういえばハギヨシさんが休んでるところって見たことない気がする)

京太郎(マジで!?……はっ、話してる間に見失ったぞ!?)

歩(えっ、嘘!?いつの間に!?透華様はまだあそこに――)


ハギヨシ「お二人とも、如何なさいましたか?」


京歩『ファッ!?』

ハギヨシ「お二人の視線を感じましたもので、何か用があるのかと」

京太郎「い、いえ、別に……」

歩「か、かかか勘違いじゃないですかね……」

ハギヨシ「それなら構わないのですが……では、一つだけ」


ハギヨシ「私も人間ですので、休息は必要なんですよ?」


京太郎(聞いてたし!!)

歩(ハギヨシさんってほんと何者なの!?)







~対局中~

佳織「あっ、ツモです。えーっと、これは……七対子のみで……えっと、1600点?」

星夏「……ツモチートイなら3200点ですし、それは字一色で32000点、ツモなので8000・16000ですね……」

佳織「……だそうです、すみません」

和「はい、4000点バックお願いします」

佳織「は、はいっ」


和「……ノーテン。終局ですね」

純「オレもノーテン。んー……と、鶴賀のが1位、オレが2位だな。お疲れっすー」


和(……はぁ。最近どうにも上手くいきませんね)

和(この合宿でもそうですし、大会中もどうにか微プラスには出来ましたがほとんど稼げませんでしたし)

和(……この先、どうすればいいのでしょう)

ハギヨシ「……おや。原村様、こんなところで如何なされましたか」

和「……龍門渕の執事さんですか。いえ、何でも」

ハギヨシ「合宿期間中は、皆様が差支えなく過ごすために尽力させて頂いております。悩みや不安などがあるならば、何卒」

和「……はい」

ハギヨシ「……やはり麻雀について、ですか」

和「はい、まあ執事さんに言っても仕方のないことですけれど」

ハギヨシ(……まあ、大方そうだろうと分かっていて声をかけた自分もなんだという話ですね)

ハギヨシ「ですが、原村様は既にデジタル打ちをほぼ極めているように存じます。今から何を変えるべきということもないのでは?」

和「……執事さんは、私の大会での成績を知ってますか?」

ハギヨシ「?インターハイのことでしたら、ほとんどの対局をプラス収支で終えていたように思いますが」

和「そうですね。確かに、プラス収支ではありました」


和「エース区間どころか基本的には穴場として扱われる、副将戦でです」


和「ゆーきはエース区間で踏み留まってくれましたし、咲さんは反対に大将戦で頑張ってくれました」

和「ですが私は副将戦で、10000点にも満たない僅かなプラスしか持って帰れなかった……」

和「私が皆の前で誇れることって、あるんでしょうか」

ハギヨシ「……まあ、確かに大会での結果は大事です。しかし、大事なことはそれだけではないでしょう?」

和「……他に何があると言うんですか」

ハギヨシ「須賀君に聞きましたよ。安心して麻雀を教われるのは、原村様だけだと」

和「……えっ?」

ハギヨシ「確かに対局で勝つ力は必要不可欠なものですが、麻雀に必要な力はそれだけではありませんし」

ハギヨシ「原村様はデジタル打ちに秀でておられます。それに加え、自分の打ち方を他人にちゃんと説明できる。これは大きな事でしょう」

ハギヨシ「須賀君のような初心者にとって優しいのもそうですし、説明できる打ち方であればその分研鑽を重ねることも容易い」

ハギヨシ「何より、原村様は龍門渕のメンバーと違ってまだ1年生。先は長いのです、まだ悩まずとも幾らでも道はあります」

和「……はぁ。結局、対局で結果を出せないという悩みの答えにはなっていないと思いますけど」

ハギヨシ「……」

和「……それでも、まあ、ありがとうございます」








ゆみ「……というわけで、この場合はこう打つのが正着なわけだ」

京太郎「ほー。分かり易いですね、加治木さんの教え方は」

ゆみ「そうでもないさ。事実を端的に述べてるだけだ」

京太郎「『カンすれば和了れるよ』とか『東場にゼンツだじぇ』とかと比べると、どうしても」

ゆみ(……流石にそれと比べないでほしい……)

ゆみ「まあ、君も思っていたよりは基礎が出来てるようだし、牌効率よりも押し引きを鍛えるべきかもしれないな」

京太郎「押し引き、ですか」

ゆみ「平場でもそうだし、オカルトじみたヒキを持ってる相手との対局なら、尚更」

京太郎「確かに……咲と対局するときは普段より生牌が切り辛いですし」

ゆみ「分かってるじゃないか。つまりはそういう考えを体系立てて戦術へと昇華させていくってことだよ」

京太郎「へえ……」

ゆみ「まあ、こればかりは経験を積んで鍛えるしかないことだからな。頑張ってくれ」

京太郎「はい!今日はほんとありがとうございました」


~後日、清澄部内練習中~

京太郎(加治木さんに教わったこと、活かせたらいいな)

京太郎(いや、絶対に活かすんだ……!)

咲「ポンッ」8筒

京太郎(来た!咲なら何巡か後にアレをもう一回ツモってカンするはず……!)

京太郎(丁度7筒が浮いてた……6筒か9筒がくっつけば、咲のカン材で待てる!槍槓で和了れる!)

咲「カンッ」6筒

京太郎「え゛っ」

咲「もいっこ、カンッ!」9筒

京太郎「あ゛っ」

咲「……もいっこ、カン!!」8筒

京太郎「」







久(私達の大会も終わったことだし、これからは須賀君をメインで鍛えなきゃよね……)

久(これまでは彼一人に負担を集中させる形になってしまっていたし)

久(……だというのに)


京太郎「~…」

ゆみ「――」

透華「!!」


久(……他の人に教わってるし……なんか悔しい)

久(はぁ。そりゃ、あれだけこき使ってて慕われてるわけないし、しょうがないけど)

ハギヨシ「おや、竹井様。どうかなさいましたか」

久「あら、執事さん。いやぁ、自分が情けなくて……」

ハギヨシ「須賀君のことなら、ご心配なさらずともよろしいと思いますよ?」

久「……それは、何故?」

ハギヨシ「彼が貴女がたと並び立つために努力を重ねているから、です」

ハギヨシ「貴女がたの練習相手になれるくらいに強くなりたい、と彼は言っていました」

久「……練習相手、か」

ハギヨシ「勿論貴女がたが彼を鍛えるのも正しいやり方なのでしょうが、今は彼を待ってやっては頂けないでしょうか」

ハギヨシ「……彼にも、彼なりの考えがあるのだと思います。私が言えるのは、それだけです」

久「……須賀、君……」







~自由時間~

咲「おーい、京ちゃーん」

京太郎「お、どうしたよ咲。お前から話しかけてくるなんて珍しい」

咲「せっかく自由時間だし、久しぶりにゆっくり京ちゃんと話したいなって思って……」

京太郎「俺は構わないけどさ、お前はいいのかよ。せっかく他校の知り合いも来てるだろうに」

咲「んー。ま、今はもう京ちゃんの感じになってるから」

京太郎「なんだそのカレーの口になってるみたいなアレは……ま、いいか。じゃあちょっと外出ようぜ」

咲「ふぇっ?い、いいけど……」


京太郎「いやー、このクレープ屋美味そうだったんだけど、何分男一人じゃ入り辛くてさぁ」

咲「そんなことだろうと思った……」

京太郎「買い出しの帰りに見かけたんだよ。せっかくだから他の人も誘ってくりゃ良かったかな」

咲「む……」

京太郎「まっ、久しぶりに咲とサシで喋れることだし、いっか。他の皆には内緒ってことで」

咲「う、うん。二人だけの秘密……だからね?」

京太郎「おうよ。そいじゃ駄弁るかー」

咲「うん。そういえば昨日の晩ごはんさ……」









貴子(なんつーか……厳しすぎだったのかもな)

貴子(生徒を委縮させるようなことがあってでも、厳しく律して指導してやることがコーチの役目なんだと思ってた)

貴子(けど……結果は、二年連続の決勝敗退)

貴子(この調子だと来年はコーチの役目も続けられないだろうし、いっぺん自分の指導方針を考え直してみるべきかもな)

貴子(ん?あれは……)


ハギヨシ「……」

まこ「――」

京太郎「~!」


貴子(清澄の染谷と……須賀っつったか。あと龍門渕の執事)

貴子(そうだな。あんな風に和気藹々とでも麻雀は教えられるんだ。もっと自分も見習わないと)


ハギヨシ「では、実践してみましょうか」

透華「足りない席は私が埋めますので」

京太郎「ういっす!」


貴子(……どれ、見習うためにもちょっと覗いてってみるか)

京太郎「んー……これだっ」

まこ「チー」


貴子(おいおい下家染め手気配だろ……安易に鳴かせやがって)


まこ「ロン。混一ドラ2、7700じゃの」

京太郎「げっ」


貴子(ほら言わんこっちゃねェ!まだ初心者だってのは本当らしいな……)


ハギヨシ「御無礼、ロンです。3900」

京太郎「げっ、早いな……」


貴子(真ん中の両面落としてるんだからもっと警戒しろっつの……!)


京太郎(まずいな……一度大きい手を作って点数を回復したい……)


貴子(なんでそこで勝負に行く……!南場の親番残ってんだから落ち着いて攻めていけばいいものを……!)

貴子「~~~ッ……おい須賀ァッッ!!」


京太郎「ひいっ!?なんすか!?」








京太郎「あー、ひでぇ目に遭った……風越のコーチ、鬼かよ……」

ハギヨシ「しかし指導の内容は的確でしたね。流石は本業、餅は餅屋といったところでしょうか」

京太郎「まぁ確かにそうですけど……」

華菜「お?どうしたし、清澄の一年」

京太郎「いやぁ、あはは……」

ハギヨシ「久保様の指導を受けて疲労困憊といったところです」

華菜「あっ(察し)」

京太郎「言わないでほしかったっすハギヨシさん……」

京太郎(女の子の前で弱音吐きたくないし、てかそもそも風越のコーチのせいみたいな言い方だと角が立つし……)

華菜「……須賀ァァッ!!」

京太郎「ひいっ!!」

華菜「……お前はよく頑張ったし。向こうで語り合うし。あたし達は今日から同志だし」

京太郎「ファッ!?」








一「……萩原さん、さ」

ハギヨシ「はい、如何なさいましたか国広さん」

一「透華のこと、どう思ってる?」

ハギヨシ「無論、仕えるべき主と。それ以外に何か?」

一「……たぶん萩原さんのことだから、透華のほうはそう思うのを嫌がってるってことも分かってると思うんだけど」

ハギヨシ「無論です。ですが、透華お嬢様自身、それは禁忌であると理解しておられることも分かっておりますので」

一「そこが問題なんだよねー。普段はこれでもかってくらいやりたい放題なのに、こんなときだけ物分りいいんだから……」

ハギヨシ「……私から言えることはありません」

一「これが絵本か何かなら、萩原さんが透華をさらっちゃえば解決するのにね」

ハギヨシ「国広さん」

一「分かってるよ、ボクだって。この世界は絵本でも童話でもないし、いくら透華だって何もかもを思い通りには出来ない」


一「けど、さ……主の幸せくらい、願ったっていいじゃないか」


ハギヨシ「……」

一「ごめん、聞かなかったことにして。忘れて」

ハギヨシ「……御意に」







透華「ツモですわっ!4000・8000で私がトップですわね!」

京太郎「いぎぃ、最後の最後で親っ被りかよ……ラスでーす」

歩「お、お疲れ様でした……」

ハギヨシ「お疲れ様でした。では、お茶でも淹れてきますね」

歩「あ、手伝います」


京太郎「っはー。にしても透華さん、トップ目がオーラスでタンピン赤1を曲げるってどうなんすか」

透華「最後の最後に1300・2600なんか和了っても目立ちませんから。当然ですわ」

京太郎「いっそ清々しい」

透華「……それより、あなた本当にハギヨシの好きなものとか知らないんですの?」

京太郎「だから言ってるじゃないすか……ハギヨシさん、自分のことなんて全然話さないんですって」

京太郎「つか、そもそも一緒に住んでる透華さんが知らねーのに俺が知ってるわけないでしょ」

透華「……!」

透華(……そうか、よく考えたら私、ハギヨシと同じ家に住んでるんですわよね……同棲……?)

透華「……じゃなくてっ!あなたと同じく、ハギヨシは私に自分のことなんて話してくれませんから」


話してくれない、そう言う彼女の目が、寂しさや悲しさとはまた違う何かを感じさせる。

決して察しのいいほうではない京太郎も、言外に含まれるその意味に気付かざるを得ないほどには。


京太郎(そうか、透華さんは……)

京太郎「……あの、

ハギヨシ「お茶が入りました」


京透「」ビックゥゥゥウウーンッ


ハギヨシ「……?」










久「それでですね……なんか、自然と雑用とか任せる感じになっちゃって……」

ハギヨシ「はい」

久「そもそも須賀君が悪いのよ……もっと嫌がってくれればこっちだって対応のしようがあるのに……」

ハギヨシ(あの時の会話から、自然に相談に乗る感じになってしまいましたが……)

久「……分かってるのよ、一番悪いのは私なの……だけど……」

ハギヨシ(……紅茶で酔っている……?いや、まさか……)

久「……秋の新人戦では、須賀君を勝たせてあげたいなぁ……」

ハギヨシ(……!これは紅茶ではありませんね……久保様のワイン……間違えて持ってきたのでしょうか)

久「出来るかなぁ……頑張って、須賀君を鍛えてあげなきゃいけないのに……私がこんなんじゃ……」

ハギヨシ(……今夜は、長くなりそうですねぇ……)








京太郎「おーい、咲ー。荷物まとめ終わったかー?」

咲「あ、うん。忘れ物とかもたぶん、無い、はず」

京太郎「自信なさそうなのやめろよ……不安になるだろ。もう皆出てるぞ、急げ」

咲「うん。京ちゃんのほうは大丈夫なの?」

京太郎「お前じゃないんだから。荷物は昨日のうちにまとめてます」

咲「うぅ……中学の頃は京ちゃんもそんなにしっかりしてなかったと思うんだけど」

京太郎「麻雀部に入ってから注意深くなったのさ(対局相手をしっかり観察的な意味で)」

咲「へぇ……(雑用的な意味でかな?)」

京太郎「ま、早く帰ろうぜ。インハイの遠出がヘンに長引いたもんだから家が恋しいぜ」

咲「……京ちゃんは、この合宿、楽しかった?」

京太郎「はぁ?そんなの……」


京太郎「楽しかったに、決まってるだろっ」


咲「……料理運んだり、雑用ばっかだったのに?」

京太郎「そこはそれ、別だよ別」