「きょーちゃんきょーちゃん」

薄ぼんやりとした中、俺を呼ぶ声が聞こえる。
それは、どこか聞き覚えがある声で。
なぜか思い出せなくて。

「なんだよ、ついてくるなよー」

言葉は予めインプットされていたかのように勝手に口から吐き出される。
口ではついてくるなと言ってるが、“俺”の頬はだらしなく緩んでいた。
そりゃあ、そうだ。女の子に好かれて悪い気分はしない。

「きょーちゃんはどうしてわたしといつもいっしょにいてくれるの?」

目に涙を貯めて、女の子は“俺”の手を握り締める。
女の子の手は微かに震えていて、答えを聞くことを恐れているかのように見えた。

「おれがいっしょにいたいからにきまってるだろ」

赤く染まった顔を見られたくないのか、“俺”はそっぽを向いてぶっきらぼうに答える。

「じゃあ、やくそく。きょーちゃんとわたしはずっといっしょだよ?」
「ああ。いっしょだ。おれと『』はずっといっしょだ」

“俺”の言葉に女の子――髪を短いツインテールにした女の子は笑顔で応えて。



――――それ以上、思い出してはいけない。まだ、君には早すぎる。



消えた、記憶。もう思い出せない、遠い日の女の子。
約束、壊れる。全部、なくなる。
真実の世界。既知感。崩壊。
歪む、自分。
血の涙に塗れた、“俺”。



【京太郎の部屋】

京太郎「うーん、夢も見ない快眠とは思わなんだ」

京太郎(昨日は鶴賀まで行ったからな、やっぱり身体が疲れていたんだろうか)

京太郎(だるくて身体も動かすの辛いし)

京太郎(どうしよう、学校サボるかな……)

京太郎(サボったらサボったで咲達とか押し寄せてくるかもしれねーしな)

京太郎(あー、どっちにしろかったるいことにはなるんだろうな)

京太郎「よし、サボろう。こんな状態で学校行っても疲れるだけだしな。母さーん!」



~少年説明中~



京太郎母「わーった、あんま顔色も良くなさそうだし休め休めー」

京太郎「サンキュー母さん」

京太郎母「大丈夫だ、学校なんて出席足りていればどうにかなる。受験までまだ長いしねー」ケラケラ

京太郎「とりあえず、今日は家にいるよ。飯は勝手に作って食べるから」

京太郎母「そうしろそうしろ。馬鹿夫も早々と出たことだし私も仕事に行きますかね」

京太郎「いってらー」

京太郎母「ちゃんと寝ているんだぞー」ドアバタン

京太郎「……さてと、どうするかな」

京太郎(パソコンでもいじるかな……麻雀サイトでも見て雀力アップを目指したり)

京太郎(メールでもいいけど。授業中だろうし迷惑かかるだろうからなー)

京太郎(午前中はどうすっか?)

京太郎(うーん、メールしてみるか。なんとなく、東横さんとメールしたい気分だ)メルメル

『今、大丈夫かな?ちょっと風邪引いちゃってさ。話し相手になってくれると助かるんだけど』

京太郎「よし、これでおっけーっと。送信」

マワッレメッリーゴーランメクルメクフューチャー

『はぁ!なにやってるんすか!身体はだいじょうぶなんすか!し、心配しているわけじゃないっすよ?一応、知り合いとして気になっただけっす!』

京太郎(心配してくれているのかな?何か嬉しいな)

『いや、大したことはないんだけど……体がだるくて』

『それを風邪っていうんすよ!それで、今は家にいるんすか?』

『ああ。さすがに学校には行けないから家で休んでるんだ』

『で、私にメールをしてきたと、暇人っすね。全然っ嬉しくないっすけど!』

京太郎(そこまで言われると、ショックだなあ……)

『こんな時間にごめんな。何か、東横さんとメールしたくなっちゃってさ』

京太郎(返信が遅いな……)

『そんんんなkといってもだみゃされnいすよ!』

京太郎(その後も何だかんだ言ってメールしてくれた東横さんはやさしいな)

京太郎(家に来て看病しに行ってもいいっすよとか言われた時はビビったけど)

京太郎(冗談にしてはドキッとする言葉だったなあ)

京太郎(まあ、心配してくれているっていうのはやっぱ嬉しい)

京太郎(とりあえず、午前中は東横さんとのメールで過ごせたけど)

京太郎(午後はどうしよう?)


京太郎「これ以上迷惑をかける訳にもいかないし……パソコンでもやるか」

ピンポーン

京太郎「はーい」

京太郎(宅急便か?居留守を使っておきたいけど後々面倒だし)

京太郎「どちら様ですかー」

桃子「私っすよ、須賀。約束通り看病しに来たっす」

京太郎「うそーん」

桃子「早くドアを開けて下さい。立っているのもたるいんすから」

京太郎「お、おう……」ガチャッ

桃子「べ、別に須賀のことが心配で下校と同時に飛び出してきた訳じゃないっすよ!?ほら、私服に着替えてるっす!」

京太郎「と、とりあえず、上がっていけよ」

桃子「では遠慮無く。おじゃましまーす」

桃子(先輩以外の友達の家に初めて上がるっす!感激っすよおおおおおおおおおお!!!)

桃子「これ、お見舞いのお菓子っす。カントリーマ◯ムっす」

京太郎「バニラ味かー。俺も好きなんだよな」

桃子「……!?き、奇遇っすね、私もその味が一番好きで!」

桃子「というか、やっと敬語が抜けてきたっすね。別に同じ年なんすからタメでいいっす」

京太郎「そうか、そうだな。じゃあ、改めて……サンキュ、東横」

桃子(友達とタメで喋ってるっすううううう!!あわわわわわわ!)

京太郎「その、何だ……来てくれて嬉しい」

桃子「だから、私はたまたまっすよ!たまたま授業が午前で終わって時間があったから!
それだけで他意はない!」

京太郎「それでもだよ。こういうのってマジ嬉しいもんだぜ?せっかくだし、飯食ってけよ」

桃子「飯ってカップ麺っすよね?別にいいっすよ?」

京太郎「いんや、手作り。これでも家事はできる男なんだよ、俺」

桃子「そ、そうなんすか……」

桃子(あれ?これってまるで夫婦みたい……)カーッ

京太郎「おい、顔が赤いけどどうした!まさか、熱が感染ったのか!?」

桃子「ち、違うっすよ!ただちょっと暑いなーってだけで!」

京太郎「そうか?じゃあ、冷房でもつけるかな」

桃子(言えないっすよ。夫婦みたいだって妄想して赤くなったなんて……!こんな事バレたら幻滅されるっすよ)

京太郎「じゃあ、ちょっくら作ってくるからテレビでも見て待っててくれよ」

桃子「分かったっす。でも、いいんすか、私が一緒に食べても?」

京太郎「いーんだよ。もし母さん達が帰ってきてもダチだって説明すっから」

桃子「う、うん……」

桃子(ダチ。友達!えへへ……)



~少年調理中~



京太郎「できたぞー」

桃子「どうせ、大したことないんすよねー」

京太郎「ふっふっふ、それはどうかな?」デデーン

桃子「おおっ、なんかすごい美味しそうじゃないっすか!?」

京太郎「軽くペペロンチーノを作ってみたんだ。付け合せはカボチャの冷製スープ。
まあありあわせの材料を使ったやつだから美味しいかどうかはわからんけど」

桃子「これ、食べてもいいんすよね?」

京太郎「いいぞー。それじゃあ、食べようぜ」

「「頂きます!」」

桃子「これ、めちゃくちゃうまいじゃないっすか!」

京太郎「喜んでもらえて何よりだ。東横みたいな女の友達に作るのは始めてでさ、ちょっと不安だったんだ」

桃子「ということは、私が初めてっすか?」

京太郎「そうなるな。しかし、ホント安心したよ。東横の口に合わなかったらどうしようかと思ってたんだ……」

桃子「……モモっす」

京太郎「ん?」

桃子「東横って何か他人行儀で嫌っす。だから、モモ。そう呼んでほしいっすよ……京太郎」

京太郎「……ああ、モモ!」

桃子「はぁ……これじゃあ看病しに来た意味がないっすよ。一応、おかゆぐらい作ろうかなって思っていたのに」

京太郎「じゃあ、今度作ってくれよ。また、こうして俺の家に来てさ」

桃子「……いいんすか?」

京太郎「いいに決まってるだろ。何度も言うようだけどダチなんだからさ」

桃子「そ、そこまで言うんなら来てやらないこともないっすよ」

桃子(わーーーーい!友達と家を行き来するなんて夢のようっす!!!!)

京太郎「そういえば、モモはこれからどうすんだ?まだいるか?」

桃子「んー……」

桃子「じゃあ、まだいるっす。京太郎が倒れでもしたら……嫌だし」

京太郎「そっか。じゃあ、もうちっといろよ。それじゃあ洗い物すっから」

桃子「お昼を作ってもらった自分が言うのもおかしいっすけど、病人はおとなしくしているべきっすよ」

京太郎「でも、客人に皿洗いさせるって」

桃子「というか、元々は看病しにきたんすからそれぐらいやるっすよ。京太郎は座っていてください」

京太郎「わかったよ。つうか、これって夫婦みたいで何かいいなーとか言ってみたり」

桃子「~~~~~~~~~~~!!!」

京太郎「お、おい、冗談だからそんな怒るなって」

桃子「お、怒ってなんかいないっす!変なこと言ってないでさっさと座れ~~~~!!!」ブンブン

京太郎「うわっ!わかったから拳を振り回すなっ!」

桃子「うるさーーーーい!元はと言えば京太郎がっ……!」グラッ

京太郎「危ないっ!」ダキッ

桃子「……ううっ」

京太郎「ったく、怪我したらどうすんだよ」

桃子「だ、だって京太郎が!」

京太郎「あーあー!聞こえなーい!」

桃子「全く、京太郎は意地悪っすよ……」

京太郎「お互い様だ。ほら、さっさと皿洗うぞ。二人でやれば早く終わるだろ」

桃子「……うん」

【京太郎の部屋】

京太郎「ここが俺の部屋だ。まあ、適当にくつろいでくれ」

桃子「ふーん、意外と綺麗にしてるっすね」

京太郎「まあな。家事が趣味ってことだからそれなりに気を使うんだよ」

桃子(私の部屋よりも綺麗だなんて……今度掃除を手伝ってもらおうかな)

桃子「そういえば、私が来る前は何をやっていたんすか」

京太郎「ああ、パソコンでネットサーフィンしてたんだ……ん?」

桃子「どうかしたんすか?」

京太郎「いや、開いた覚えがないページが出ていてさ……【ChatWithAlice】ってなってるけど」

京太郎(画面には女の子の絵しかねーし。どうやってこのサイトに来たんだ、俺?)

『あなたは誰!?』

桃子「何か、気味が悪いっすね……」

京太郎「同感、さっさと閉じよう」

『ああ、思い出したわ。こんにちは、消える少女に関節が外れてしまった少年』

京桃「「……!」」

京太郎(こいつ、俺達のことを知っている!?)

桃子(どうして、私が消えるってわかったんすか!?)

京太郎「お前、何なんだよ」

『外れてしまった関節はもう治らない。外れたまま、もがき苦しんでいく』

京太郎「……テメエ!」

桃子「落ち着くっすよ、京太郎!」

『貴方の答えに期待しているわ、この世界にどう折り合いをつけるか。それとも、抗い続けるか』

『私の名前は【ALICE】。次に会う時には答えが出ているといいわね』

『それと――早く記憶を取り戻した方がいいわ。でないと、きっと貴方は……絶望に染まる』

『囚われのお姫様は待ってくれないわよ?ジャバウオックが食べちゃうもの』


『――――全ては愛により成就されるでありましょう』


京太郎「何が絶望だ、ざけんなよ」

京太郎「俺は負けねえ、諦めねえ」

桃子「京太郎……」

京太郎「散々言ってばかりなんだ、少しはこっちの質問に答えろよ」

『いいわ。ただし、一つだけよ。それ以上は答えないわ』

京太郎「十分だ、俺が言いたいのは……」

京太郎「モモに手を出すなよ」

桃子「へっ?」

京太郎「俺はいい、このサイトを開いたのは俺の責任だ。だけど、こいつはたまたまだ」

『…………』

京太郎「俺の大事な友達に傷でもつけてみろ、ぶっ潰すぞ?」

桃子「きょ、京太郎……」

京太郎「心配すんなって。何かあったら、俺に言えよ。大事な友達なんだ、絶対に護るからさ」

桃子「うん、ありがとう。京太郎……」カーッ

桃子(もう、京太郎はたらしっすよ……素でそういうことを言うなんて)

桃子(でも、嬉しいっすよ。先輩といい、京太郎といい。私のことをこんなにも思ってくれているなんて)

京太郎「聞きたいことなんてない、ただこいつに手を出すな。俺が言いたいことはそれだけだ」

『…………アハ』

京太郎「ん?」

『アハハハハハハハハハハハ!面白いわ、とても!』

京太郎「うるせえ笑い声上げてるんじゃねえよ、耳障りだ」

『いいわ、笑わせてくれたお礼よ。その子には手を出さないであげる』

京太郎「ふん、約束を破ってみろ。絶対にぶっ潰してやるからな

『怖い怖い』プツン

京太郎「……ッチ。言いたいことを散々言って消えやがった」



――――ただし、貴方は別よねぇ。貴方に手を出さないなんて約束は、してないわよ?


桃子「……京太郎」

京太郎「大丈夫だって。訳わかんねーけど、心配するな」ニカッ

京太郎「加治木さんがいる、蒲原さんがいる、俺だっている。これだけ仲間がいるんだ、モモに危害なんて及ばないって」

桃子「うん。でも、その分京太郎が危険な目に合うかもしれないじゃないっすか!?」

京太郎「バーカ、俺の心配してんじゃねーよ。自分の身は自分で護れるからさ」ポンッ

桃子「……わかったっすよ。ただし、何か困ったことがあったらいつでもメールして欲しいっすよ」

桃子「京太郎は、私にとって大事な友達なんすから」

京太郎「おう、遠慮なく頼るよ。大船に乗らせてもらうぜ?」

京太郎(とはいっても、頼るなんて出来ねえよな。もし、モモを巻き込んだら加治木さん達に申し訳が立たないし)

京太郎(何かあっても、俺一人で解決しないと。他人を頼っちゃいけねえ)

京太郎(誰にもバレないようにしないと)

【須賀家・玄関】


京太郎「悪いな、せっかく来てもらったのに」

桃子「何言ってるんすか、御飯までごちそうになったのにこれ以上を求めるなんて図々しいっすよ」

京太郎「そう言ってもらえると気分が軽くなるわ。今日はありがとな、元気でたよ」

桃子「べ、別にこれぐらいどうってことないっすから!」

桃子「……も、もう一回来てやってもいいっすよ?」チラッ

京太郎「ああ!今度はもっと美味い飯作ってやるからさ」

桃子「まあ、あまり期待しないで待ってるっすよ。じゃ、私はこれで」

京太郎「おう、またなー」

京太郎(モモが来るなんて思いがけなかったけど……楽しかったな)

京太郎(これからも仲良くやっていきたいなー)バタンッ





???「…………」ギリッ

【京太郎の部屋】


京太郎(学校を休んだから思ったより疲れてないな)

京太郎(モモが来てくれたおかげで気分もめげてないし)

京太郎「ぶつくさ言いながらも御飯も美味しく食べてくれたのは嬉しかったなぁ」

京太郎「さてと、寝る前にメールでもすっか」

京太郎「やっぱ送るのはやめとくか、下手に心配されても嫌だし」

京太郎「そのかわりに、メールを送るのはモモにしよう」


『今日はすまなかったな。今度ゆっくり遊ぼうぜ』

京太郎「やっぱり、ちゃんと謝っとかないと」ソウシーン

オートナニナレナイボクラノーツヨガリヲヒトツキイテクレー

京太郎「おっ、きたきたー」

『私は気にしてないっすよ、大体押しかけたのは私の方だし。それよりも、遊ぶってどこに行くっすか!!』

京太郎「さてと、どう返したものやら」

『今度、うちの高校とか来いよー。モモ消えれるし中に入れると思うぜ?』

京太郎「勢いで書いちゃったけどまあいいや」ソウシンッ

オートナニナレナイボクラノーツヨガリヲヒトツキイテクレー

『いいんすか!?確かに京太郎が通う高校ってどんなとこか気になるっすけどね。』

『別に大したことないぜ?普通の高校だよ』

『それでも気になるっす。じゃあ、気が向いたら行くっすよ。その時は電話するんで出て欲しいっす』

京太郎「何かすごいことになりそうだけど……たぶん、大丈夫だろう」

京太郎(今日の変なチャットのやつもあるし、最近おかしいよな)

京太郎(見えない所で歯車が狂っているみたいだ)

京太郎(注意しとかないとな、俺も)






二件メールが届いています。





From#########

『何で、返信してくれないの?』



From#########

『須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき
須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき須賀京太郎は死ぬべき惨たらしく死ぬべき』


――――本当に、消えてしまうよ?


京太郎「何だよ、このメール……」

京太郎(あのアリスってやつの仕業か?昨日も変なメールが来てたし……)

京太郎(どこで恨みをかったのかはわかんねーけど……)

京太郎(きな臭くなってきたぞ、最近。被害が周りに広がらなきゃいいけど)

京太郎(このメールを送りつけてきた奴を捕まえないとヤバいことになりかねないし)

京太郎(本当は相談したいけど……誰も巻き込みたくない)

京太郎(ぶっちゃけ、すげー怖い。麻雀どころじゃなくなりそうで)

京太郎(とりあえず、今日は学校に行こう……)

京太郎(どこで、誰が見ているか分かんねーから油断できないな)

京太郎(こうして考えると、怖くてたまんねーよ……誰かに助けてって言いたい)

京太郎(……誰か、頼ってもいいって奴がいればどんなに助かるか)ドンッ

池田「うにゃーー!またかよ!」

京太郎「あっ!この前の……」

池田「全く、前をちゃんと向いて歩けよなー」

京太郎「マジ、すいません……」

池田「いいよ、別に。というか、お前大丈夫か?顔色悪いぞ?」

京太郎「だ、大丈夫ですよ。至って健康体です」

池田「それ、嘘だろ。華菜ちゃんの目はごまかせないぞ?」

池田「顔色は悪いし、目元にクマができている。よく寝ていない証拠だ。
加えて、足もふらふらして歩くこともおぼついていない」

京太郎「!?」

池田「赤の他人のあたしから見てもヤバけなんだよ、お前」

京太郎(そこまで、俺は追い詰められているのか……!?)

池田「そういう奴をほっとくのはなんかさ、気分悪いんだよ」

京太郎「……俺は」

池田「言いたくないなら言わなくてもいいよ。でもさ、困った時、誰かに頼るのも一つの道なんだぞ」

池田「あたしも昔はそうだったからわかる。今のお前は後一歩踏み間違えれば底に落ちそうだ」

池田「悪い、説教臭くなっちゃったな。あたしはもう行くよ」

京太郎「あ、あの!」

池田「何だ、少年?」

京太郎「名前、教えてもらってもいいですか?」

池田「あたしか?池田華菜。風越の二年だ」

京太郎「俺は、須賀京太郎です。清澄の一年」

池田「清澄ってあの……うわっもうこんな時間だ!急がないといけない!
ごめん、続きはまた今度な!」

京太郎「また、会えますか?」

池田「運が良ければなー。じゃっ、またコーチにどやされる!」タッタッタッ

京太郎(誰かを頼る、か……それが出来れば苦労しないんだよ)



【清住高校・教室】


京太郎「おっす」

モブ友1「おう、はよー」

モブ友2「どした、顔色悪いぞ?」

京太郎「……俺は大丈夫だっつーの」

モブ友1「そっか、ならいいんだけどさ」

モブ友2「それよりもさ。お前に言っておくべきことがあるんだ」

京太郎「何だよ、いきなり」

モブ友1「お前、ヤバいことに首を突っ込んでないか?」

京太郎「いや、別に……」

モブ友2「ならいいんだ。最近、一部の女子と野郎達の空気がきな臭いんだよ」

モブ友1「いつもとは違うんだよな、はっきりとはいえないけどさ」

モブ友1「昨日さ。俺、聞いちまったんだ……女子がお前のことをとぼしめようって話していたのをさ」

京太郎「……それ、マジか」

モブ友2「マジネタらしいな。よく考えると、お前のいる麻雀部の女子達って女子からすげー人気があるんだよ」

モブ友1「当然、野郎からも人気だ。話を戻すと、麻雀部の中でお前は野郎一人だからな。恨み妬みを買ってるんだろ」

京太郎「そんなことがあったのかよ」

モブ友2「俺らはお前のことをわかってるから騙されねーけどさ。他の知らない奴等は……」

モブ友1「一応さ、俺らもダチのとこ回って信じるんじゃねーぞって言ってるけどさ」

京太郎「広がるのは止められない……か」

モブ友2「悪い、俺達もできる限り協力したいんだが」

モブ友1「女まではフォローしきれない……くっそ、何も出来ない俺自身がムカツクぜ」

京太郎「ありがとう、お前ら。俺にはお前らがいてくれるだけで十分だ」

モブ友1「気にすんな、ダチなんだから当然だ」

モブ友2「そうそう。つーか、いきなり全国出場したからって上げすぎなんだよ。この前までは全然気にしてなかったくせによ」

モブ友1「ったくだ。態度をころころ変えすぎなんだよ。気持ち悪い奴等だ」

京太郎「わかった、とりあえず注意しておく。あんま迷惑かけないようにするからさ、これからも俺と話してくれるか?」

モブ友2「たりめーだ。何年ダチやってると思っているんだ」

モブ友1「おう。それよりも、京太郎。お前、麻雀部行くのやめた方がいいんじゃね?」

京太郎「そうだな……アイツらに迷惑をかける可能性もあるし」

モブ友2「それも多少はあるけど違う。アイツら、お前のことを本当に感謝してんのか?」

京太郎「…………えっ」

モブ友1「いや、聞く話によるとお前雑用ばっかじゃん。麻雀部なのに麻雀やってないってどうよ?」

モブ友2「俺としてはアイツらの誰かが怪しいと思うけどな。お前に対して嫌がらせしてるんじゃね?」

京太郎「そんなことねえよ……俺は信頼してるしさ」

モブ友1「とりあえずだ、注意しておいて損はねーよ」

京太郎「わかった……」

モブ友2「それと、俺達の言ってることもあんま真に受けるんじゃねーぞ?もしかすると言ってることが外れてるかもしれないし」

京太郎「ただ、心の奥底にちょっと置いておけってことだろ?」

モブ友1「ああ。辛かったら言えよ、愚痴ならいつでも聞くからよ」

モブ友2「最悪、転校も考えておけ。最悪の事態を考えておいてもバチは当たらねー」

京太郎「そこまで、根が深くなってるとはな……サンキュな」

モブ友1「さてと、授業が始まるぜー。いっちょがんばりますかー」

京太郎「おう……」

京太郎(アイツらの誰かが裏にいるのか……アリスも嫌がらせのメールも?)

京太郎(影で嗤っているのか?咲が、優希が、和が、部長が、染谷先輩が)

京太郎(信じることが、怖い……)

京太郎(ああ、首が痒いなぁ)




京太郎(昼飯はどうしようか?)

京太郎(今までは咲とかと食ってたけど……)

京太郎(ん、誰かが来たぞ?)


咲「あ、京ちゃんいたいた」

京太郎「……咲か」

咲「昨日はどうしたの?突然学校を休んでさ」

京太郎「ちょっと風邪を引いただけだ、心配する必要はねーよ」

咲「む、その言い方はないんじゃないかな?」

京太郎(この笑顔も嘘だとしたら……)ガリッ

和「宮永さん、どうかしたんですか?早く行かないとご飯が食べれませんよ」

京太郎(嘘じゃない、仲間だ。信じたい、信じたいけど……!)

咲「まあ、いいよ。後でちゃんと聞かせてもらうから。それよりも、行こう京ちゃんっ」

京太郎「行こうってどこに?」

和「この前みたいに皆でご飯を食べようって思ったんです。一応、メールを送ったんですが見ていなかったんですか?」

京太郎「あー、悪い。気づかなかったわ」

咲「いいから、早く行こう!このままだと食べる時間がなくなっちゃうよ!」

京太郎「ああ……」

京太郎(いい機会だ。この際、皆にそれとなく探りを入れよう)

京太郎(誰が嘘つきか、シロじゃねえかはっきりさせないと)

和「それじゃあ、行きましょうか」ニコッ

京太郎(こういう風に笑顔を向けても、裏で何を思っているかわからないからな)

京太郎(慎重に流れを読み切れ、須賀京太郎……!笑顔の仮面を貼り付けろ!
絶対に暴いてやるんだ、真実を!)

久「来たわね。それじゃあ、また屋上に行きましょうか」

優希「今日は晴れているから絶好の屋上日和だじぇ!」

京太郎(全員がグルって可能性だってあるんだ……。くそっ、一度疑いはじめたらキリがない。
違う、違う……!関係ない人もいるかもしれないんだ)


まこ「…………」

京太郎(俺は、どうすればいい?)

優希「あははーそれでなー」

和「優希、いけませんよ。人に迷惑をかけては」

久「そういえば、咲。この前貸した本なんだけど」

咲「ああ、され竜ですね。重厚で読んでて疲れます……」

京太郎(クールになれ、須賀京太郎。何かあるはずだ、手がかりが……)

まこ「おい、京太郎」

京太郎「どうかしましたか、染谷先輩?」

まこ「後で、メールを送るから」ボソッ

京太郎「……!はい、わかりました」

まこ「うむ、よろしい。ちゃんと返事をするんじゃぞ」

咲「…………」

京太郎「ん?どうかしたか、咲」

咲「何でもないよ、別に」

京太郎「それならわざわざ呼ぶなよ……」

優希「なんだなんだ、最近犬のくせに冷たいぞ~!」

京太郎「暑苦しい、離れろって」

京太郎(怖い……こいつらに裏で嗤われているかもしれないって考えてから震えがたまにでる)

京太郎「夏も近いのにひっつくなよ」

優希「むっ」

京太郎(何とか、顔色とか震えとかは色々ごまかしているけど辛い……)

京太郎(朝の時よりは大分落ち着いたのが幸いだ。昼にはいつも通りに戻ってよかった。
一応、保健室でビタミン剤飲んだし)

京太郎(顔色悪いとか無駄に心配されそうだったからなあ)

京太郎(俺ってば詐欺師の素質があるかもしれねー。こんな時じゃなきゃネタにもなるんだろうけど)

京太郎(頑張れ、俺……隠し通すんだ。バレちゃいけないんだ)

京太郎(時たま手が震えたり、顔色が悪いのは、昨日の風邪が抜けなくてってことで部長達は信じてくれたけどいつまでもつことやら)

京太郎(染谷先輩には気づかれたっぽいけど)

久「須賀君、大丈夫?ぼーっとしてたけど」

京太郎「すいません、まだ風邪が完全に抜けてないみたいですね。顔色も悪いですし」

まこ「今日もやすめばよかったんじゃ」

京太郎「そういう訳にもいきませんよ。授業もありますし」ニカッ

京太郎(笑うってこんなにつらいことだったかなぁ……)

和「体調が悪かったら休むべきですよ」

京太郎「あはは……まあ明日になったらよくなっているって」

京太郎(生きるって辛いなあ……若くして真理に到達しそうだ、なんてな。ジョークにしては笑えねえや)

京太郎(ほんと、何やってるんだろう、俺……)

京太郎「ああ、そういえば……昨日って皆何やっていたんですか?」

久「普段通り、麻雀を打っていたわよ?」

まこ「まあ、全国大会も近いしなぁ」

咲「ああ、そういえば京ちゃん」

京太郎「ん?何だ?」

咲「昨日ね、心配で京ちゃんの家に行ったんだけど」

咲「京ちゃんと一緒に話していた子って誰かな?」

京太郎(――――っ!)

京太郎「ああ、モ……東横さんのことを言ってるのか」

咲「東横さんって鶴賀学園の?」

京太郎「そうだ。縁があって仲良くなったんだよ」

咲「ふーん……」

京太郎「それで、風邪引いたんだーってメールを送ったら心配して見舞いに来てくれてさ。それだけ」

咲「ほんとうに?」

京太郎「いやに突っかかるな……別になんでもねーって」

優希「嘘くさいじぇ~!」

京太郎「信じる信じないは勝手だっつの。ともかく、やましいことがねーから言い訳も何もないんだよ」

咲「……わかった、信じるよ」

まこ「まあ、京太郎にも京太郎の付き合いがあるもんじゃ。それに首を突っ込むのはよくないぞ」

キーンコーンカーンコーン

京太郎「さてと、もうチャイムが鳴ったし、戻らねーとな」

京太郎(結局、麻雀部の誰が疑わしいかなんてわかんねえ。つーことは、外部の誰かがやってんのか、あのメール?)




京太郎(さてと、放課後だ。モブ友に言われた通り、まっすぐに帰るか?それとも部室によっていくか?)



京太郎(部室によろう……そもそも、俺の目的は麻雀で強くなることなんだ。ここで、麻雀をやめたら駄目だろ)

京太郎「ということで来たけど、誰も居ないな……」

京太郎(ああ、首が痒い……虫に刺されたのかな?)

京太郎(とにかく、誰もいねーしベッドで寝て待ってるか……)

ガタン

京太郎「ん、何だ?」

京太郎(ロッカーの中で音がしたけど……)ガチャン

京太郎「……バット?何で麻雀部なのに?しかも、悟史って名前がついてるし)

京太郎(今の麻雀部に悟史なんて奴いないよな)

久「あら、須賀君。そんな所でどうしたのかしら?」

京太郎「うわあっ!」


久「もう、そんなに驚くことないじゃない。それよりも、体調は大丈夫なの?やっぱり顔色悪いわよ」

京太郎「ご心配なく。昼にも言った通り、まだ病み上がりなだけです」

久「そっ。須賀君がそこまで言うなら気にしないけど……無理はダメよ?」

京太郎「わかってます。それよりも、部長。このバットってどうしたんです?」

久「ああ、懐かしいわね……私が一年の頃は部員もいてね。男子部員に悟史君っていてね……たまに気分転換にって素振りをしていたのよ」

京太郎「そうですか、それで……その悟史ってやつは?」

久「転校しちゃったのよ」

京太郎「そうなんですか?珍しいこともあるもんですね」

久「そうね、本当に珍しいわ……ねえ、須賀君?」

京太郎「はい?」

久「須賀君は転校しないよね?」

京太郎「こんな高校にいられるか、俺は鹿児島に行くぞ!」

久「……!」

京太郎(冗談のつもりで言ったけど、まあいいか。ちょっとだけ、悪ふざけしてもバチは当たらないだろ?
気も滅入ってるし、こんな事でも言わないとやってられん)

京太郎「鹿児島には可愛い女の子の知り合いもいますしねー」

京太郎「やっぱ、鹿児島ですよ、鹿児島!」

久「そう、悟史君と同じで須賀君も転校しちゃうのね……」

京太郎(あ、あれ?何か予想していた反応と違うぞ?)

久「須賀君、鹿児島に転校するらしいわよ?」

咲「…………」

優希「…………」

和「…………」

まこ「まーた、お前さんはいらんことを……」

京太郎(あ、アルェー?)

咲「……京ちゃん、そうなの?」

優希「そうかそうか、私達のことはどうでもいいと?」

和「…………」ジーッ

まこ「京太郎、はよフォローせい!こいつらマジでヤバい!」ボソッ

京太郎「そんな事言われても!まさか、冗談でここまで狂うなんて!」

まこ「ドアホッ!最悪のタイミングじゃ!こいつら、お前さんが最近冷たいって落ち込んでいる所だったんじゃ!」

京太郎「ははは、そんなまっさかー」

まこ「現実を見ろぉぉぉぉ!はよ、この空気をどうにかせい!」

咲「京ちゃん、さっきから染谷先輩と何コソコソしているのかな?かな?」

優希「京太郎……調教……仕方なかった……犬……飼う……」

和「わ、私は別になんとも思っていませんよ」

京太郎(そんな目で見られて説得力がねーよ!)

久「で、どうなの?須賀君はいつ転校するのかしら?」

京太郎「ははは、いやだな、本気にして。ジョークも通じないなんてどうしたんだよ、お前等」ニッコリ

まこ(真正面からいったああああああああああ!!!!)

京太郎(まあ、俺に惚れてくれる可愛い巨乳の巫女さんと添い遂げたいのはマジだけど。
そんな都合のいい女の人なんているはずねーけど夢は見たいじゃん?)

咲「へぇ……ジョークか。そうだよね、京ちゃんは転校しないよね?」

京太郎「おう、当たり前だろ!」ニッコリ

優希「安心したじぇ……お前がいなくなったら誰がタコスを作ってくれるのか」

京太郎「俺はお前のタコス係じゃねーんだぞ?」

和「ともかく、これで一件落着ですね」

久「そうねぇ……全く、冗談にしてはたちが悪いわ」

京太郎(まさか、ここまでジョークが通じないとは思わなんだ)

まこ(だから、タイミングを考えて言えっちゅうに)

久「じゃあ、みんな揃ったことだし部活を始めるわよー」