久「それで須賀君?こんな時間に呼び出してどうしたのかしら?」
京太郎「今夜は星が綺麗だったんで…」
久「あら、曇ってみえるけど?」
京太郎「ええ、この街ではね…でも隣街にいけば少しは晴れているから星も見えますよ」
久「そう……ふふ、それで今から行こうってこと?」
京太郎「お手を」
久「うーん…そうね、何だか眠れなかったしいいわ……はい、エスコートしなさい」
京太郎「それっ」
久「あっ、こら急に走り出さないで」
…………
京太郎「タクシーってこんな時間でも結構走ってるものなんですね」
久「そりゃあ飲みに歩いているお父さん方とかいるじゃない?その人らのためよ」
京太郎「そっか…………さあ、見上げてみてどうですか?」
久「本当に…こっちは晴れているのね………綺麗」
京太郎「………」
久「………」
京太郎「俺……部長――久さんがいたこと忘れませんから」
久「ん……ありがと」
京太郎「………」
久「星といえば、さ…」
京太郎「はい?」
久「須賀君が私の手を引っ張ってね、タクシー探して走り回ってた時ね……
なんだか星々の間を飛んでいく流れ星になれた感じがしたの」
京太郎「流れ星か……じゃあお願いすればよかったですね」
久「今しちゃったら?私達が流れ星なんだから」
京太郎「ああ、それもそうか……うーんと、じゃあ」
久「………」
京太郎「俺、やっぱり久さんと離れ離れになるの嫌だな……」
久「あら、残念ね…私は新しい街でも上手くやっていけますように、って願ったのに」
京太郎「あらら…参ったな」
久「……ね、ちょっとそばに寄っていい?何だか冷えるわ」
京太郎「そうですね…どうぞ」
久「………あったかいわ」
京太郎「……俺達、まだ流れ星でしょうかね?」
久「もう違うわ」
京太郎「………」
久「――私が嘘をついたから」
京太郎「え?」
久「あ、いまキラって光らなかった?」
京太郎「へ、あ、流れ星!…あっ、行っちゃった!くそう…流れ星め、俺はさっきまではお前の兄弟だったんだぞ」
久「ふふふ…私はちゃっかりお願い事したけどね~、本気のお願いだから今度は口に出さないわ」
京太郎「なにそれずっこいっすよ!」
久「それより星座わかる?あの大きいのが並んでるのって何て言うの?」
京太郎「…ああ、あれは――」
久「………」
久「(『ずっとこうしていたい』……そんな事考えるだけならアリでしょ、カミ様?)」
カンッ
最終更新:2014年03月31日 22:30