それでね、須賀君ったらデートの終わりはホテルか自分の家へつれて行きたがるの

 目的なんて見え透いているのに家へ寄らせようとする時は『ちょっとお菓子を作りすぎた』とか、

 『カピバラが会いたがってた』とかそんな理由つけるのよ

 須賀君の下心がわかっててついていっちゃう私も私なんだけどね…

 あぁ、でも『面白そうな映画を借りたから一緒にみよう』って言われた時は本当に映画観て終わっちゃったから、

 逆に聞いちゃったわよ『今日はこれで終わり?』って、そのときのキョトンとした彼の顔ったら!

 ……それでどこまで話したっけ

 ああ、そうそう須賀君の下心の話だったわね

 で、家についていくじゃない?

 靴を脱いで上がったら、もう逃げ場がなくなるわ

 後ろからぎゅって抱きしめられて、首筋にキスをされちゃうんだもの

 それで、やめてって言う間もなく、抵抗する気力を奪われちゃうのよ

 須賀君って不思議な人よね

 あなたは経験あるかしら?

 ないわよね、そうよね…ごめんなさい、変なこと聞いちゃったわね

 で、そうなったら須賀君はもう遠慮なんかしてくれないわ

 服の上から体をまさぐってきてね、皺になっちゃうって事を言っても止まらないわ

 まあ、皺になったらなったで丁寧にアイロンがけしてくれるから、寧ろデートに行く前より綺麗になるぐらいよ

 だからといって、女の子が男の子のために悩みぬいて選んだ服装に対して失礼じゃない

 あなたもそう思うわよね?

 そしてね、須賀君のお気に入りはやっぱりおっぱい、もう揉んだり、こねたり、引っ張ったり、

 そりゃあ痛いわよ、それでも彼には関係ないのね、息を荒くしながらめちゃくちゃに指を動かすの

 人の体を何だと思ってるのかしら

 自分の物だからって何でも好きにしていいわけじゃないわよ

 この頃になると私も立っていられなくなって、座り込んじゃうの

 そうしたら待ってましたと言わんばかりに、背中と膝の裏に腕を回して持ち上げて…

 …お姫様抱っこって言った方が分かりやすかったわね

 そうやって抱えて自分の部屋へ運んでいくの

 で、ベッドまできたら、放るように置かれて服を脱がしにかかるの

 興奮しきっているから乱暴な手つきでね

 そうして私を裸にしたら、後は吸い付いて――文字通り吸い付いてくるように愛撫するの、それが何十分とずーっと続くの

 ケダモノ、それ以外に表現できないわ

 こんな体を重ねる行為は何回も何回もしているのに、須賀君ったらちっとも飽きがこないみたい

 どれだけ私のことが好きなのかしら、こっちが呆れちゃうわ

 それでいてちゃんと避妊はしてくれるんだから、理性があるのかないのか分からないわね

 終わりが近づいてくると決まって耳元で『良いよ、凄く良い』って囁いてくれるし、そこは愛なのかしらね


 ………とりあえずここまでの話を聞いてどう思ってくれたかしら?」


椅子に縛り付けた私を見据えて、女はようやく話を終えた

涙が止まらない、ひどい吐き気がする

実際、猿轡の中で一度戻している

延々と初対面の女から私の愛する男と寝ているという事実と、その性行為を語られるなんて…

こんな拷問、地獄の釜茹でだってもっとぬるい筈だ

女は竹井久と名乗っていた

竹井久…今はそんな惨めな私を見て微笑んでいる女、

その表情が恍惚としているのも京太郎との日々を話しながら思い出している為だろう

許さない

絶対に殺してやる


「大星さん」


確固たる殺意が宿った瞬間を悟ったのか、私の名前を呼んで話しかける


 彼も寂しかったのよ、だから私に走っちゃったの

 彼に責任はないわ、悪いのは私」


しらじらしい


「それにしてもあなたって、須賀君に体を許していなかったなんて…

 いいえ、身持ちがかたいのはいいことよね」


黙れ、黙れ黙れ

お前に私達の何が分かる

体じゃない、もっと深いところで結ばれていた私達の愛を壊そうとしている悪魔


「ふふふ…じゃあ、こんな軽い女のお話をもっとしてあげましょう

 簡単に須賀君に処女をささげてしまった馬鹿な私の思い出話…

 これからの二人の役に立てれば幸いよ」


地獄はまだ終わりそうもない


カンッ