京太郎「花火やるべー!」

穏乃「花火やるべー!」

優希「花火やるじぇー!」

淡「花火やるべー!」


ワーワー キャーキャー

まこ「さっきの今で元気な奴じゃな」

久「まぁ、寝込むよりは良いんじゃないかしら?」

京太郎「先生、花火持ってくるなんてやりますね!」

晴絵「でしょう? もっと褒めていいわよ」

灼「煩わし……」

和「少々古めかしい花火ですね。パッケージの厚紙がだいぶくたびれてますけど」

晴絵「ああ、それ貰い物だから。1年寝かせたビンテージものなんだって」

穏乃「んー! んー!」グイグイ

玄「どうしたの? 穏乃ちゃん?」

穏乃「これ、口のビニールが固まってて開かない……」

憧「これ絶対1年じゃないでしょ!?」


シュゴォォォ

淡「あはは、見て見てキョータロー! すごいキレー」

京太郎「わかったからこっちに向けるんじゃねぇ!」

尭深「終わった花火はこっちにもらうね」

京太郎「あ、すみません渋谷先輩」

尭深「……」コクッ


ジュッ シュー

ワー ワー

尭深「……」


ジュッ シュー

憧「渋谷さん。これも」

尭深「あ、はい」コクッ


ジュッ シュー

尭深「……」

誠子「尭深。それ、楽しい?」

尭深「割と」ニコ


玄「花火とは火薬に金属の粉末を混ぜ込んだもので、火を付けたときの燃焼、破裂時の音や火花の色を鑑賞して楽しむものです」

玄「それぞれ色が異なるのは混ぜ合わせた金属の種類による炎色反応を利用しているからですのだ」

和「詳しいですね。玄さん」


パシュ ジュゥ ゴー ボボボボボ

宥「あったか~い」

玄「ただし、うちのおねーちゃんのばやい、色や音や形ではなく火の勢いや発熱量のが重視されます」

京太郎「え? ちょ、え……そういう価値基準なの?」

憧「宥姉も普通に噴射花火で暖をとろうとしないで」

まこ「これは……」

咲「ロケット花火ですね」

まこ「ふ~ん……」

久「どうしたの? 不思議そうな顔して」

まこ「いや、わし。今までこれやったことないなと思ってな」

優希「お! じゃあやってみるか?」

咲「けどロケット花火やったことないって珍しいですね」

まこ「咲はあるんか?」

咲「私じゃないですけど、京ちゃんが」

久「須賀君?」

咲「はい。中学の頃に、クラスの男の子たちと鉄パイプの先端に挿して撃ち合いしてるのを他のクラスの子たちと見てまして」

まこ「どこまでバカなんじゃあやつは」

照「どうして染谷さんはロケット花火をやったことがないの?」

まこ「ん? いや、実はうちのおじいがなんかやったら街中大騒ぎになるとか言っとっての」

まこ「なぜかは知らんのじゃが」

菫「久。確か染谷さんのお爺様は……」ヒソヒソ

久「ええ、そういえば広島の……」ヒソヒソ

優希「仁義なき戦いだじぇ……」


咲「まぁ近くに民家もあまりないですし。一本くらいなら」

まこ「すまんの」

優希「手頃なものがないから空き缶でいいか?」

咲「うん」


シュッ ジジジ

まこ「ん? なんでみんな耳を塞いどるんじゃ?」


パシュッ ヒュー パン!

まこ「なっ、ええ!?」

まこ「げ、迎撃されたんか!?」

菫「いや、ああいうものなんだよ」

久「はっ!? みんな、まこの貴重なボケよ。全力で拾いなさい!」

咲「え? え!?」

照「私達はどうすれば……」

菫「とりあえず見てるか」


ザッ

京太郎「呼びましたか!?」


ザザッ

穏乃「なんかわからないけどセンターは任せてください!」


ザザザッ

淡「守りにもそこそこ自信があるよ!」

まこ「いや、お前さんらのボケのが切れっ切れじゃぞ? 普段通り」

穏乃「みんなで護ってみんながセンター!」

京太郎「いや、みんなセンターだと偏りが酷いだろ」

穏乃「じゃあどうするの?」

京太郎「穏乃は反射神経と瞬発力があるからショートとかいいんじゃないか?」

穏乃「おーショート。じゃあじゃあ玄さんは?」

京太郎「玄さんか……」ウーム

玄「……」ドキドキ

京太郎「シューティングガードとか?」

玄「シューティングガード?」

穏乃「おーシューティングガード」


まこ「なんの会話をしとるんじゃ」

久「まぁいつものことよね」

穏乃「最後はみんなで線香花火しよう!」

淡「なら100本勝負だ! 高鴨穏乃!」

穏乃「おお! 望むところですよ!」

憧「いや、そんなに量ないから……」


ワーワー ギャーギャー

<アー! センタンモギトッテイクナー!?

<コレガ、センコウハナビズモウ…!


咲「京ちゃん。一緒にやろう」

京太郎「おう。いいぜ」


パチパチパチ

咲「綺麗だね」

京太郎「そうだな」

咲「今年は……一緒に花火出来てよかったね」

京太郎「お前、まだ去年のこと根に持ってんのか?」

咲「そうじゃないけど……あ」


ポト

京太郎「落ちちまったな」

咲「うん……」

咲「私、線香花火ってなんだか苦手」

京太郎「へぇ、そうなのか? 初めて聞いたな」

咲「うん。なんだか寂しい気持ちになるから」

京太郎「………………まぁな」

京太郎「歓楽極まりて哀情多し……いや、夏草や兵どもが夢の跡って感じか?」

咲「松尾芭蕉? 京ちゃんのくせに生意気ー」

京太郎「うっせやい」

京太郎「まぁ、あれだ。来年ももまた、こうやってみんなで騒げたらいいよな」ポンポン

咲「うん。えへへ……そうだね」

咲「ねぇ、京ちゃん」

京太郎「ん?」

咲「約束だよ?」

京太郎「ははっ。ああ、約束だ」


<サキー、キョータロー

京太郎「行こうぜ」

咲「うん」


ワーワー、キャーキャー

<アーオチチャッター

<ワタシモー

灼「……」パチパチパチ

優希「おお! ボウリングのお姉さんすごいじぇ!」

玄「ホントだー灼ちゃんすごいねー」

灼「そ、そんなことないと思……」テレテレ


スタスタ

京太郎「おお、ホントだ! すげぇ」

灼「///」テレ


パチパチパチパチ…

京太郎「あの、そろそろ手ぇ放した方が……」

灼「あ、うん。そうだね」

優希「手に持つ部分まで昇ってきてるの初めて見たじぇ」

京太郎「規格外過ぎる」


玄「私たちももう一本やろっか」

優希「望むところだじぇ!」

京太郎「あ、ありがとうございます」

玄「はい、咲ちゃんも」

咲「ありがとうございます」

優希「じゃあ、私たちも誰が一番長くもつか勝負だじぇ」

京太郎「お、いいぜ。ジュースでも賭けるか?」

咲「もう、またそういうの」

玄「あはは」

灼「じゃあ私も」

優京咲玄「「「「いえ、あなたは不動のチャンピオンですので!」」」」

灼「」


ダダダダッ

穏乃「勝負なら私も混ぜて!」

淡「横綱、横綱!」

京太郎「うおっ!? なんだその火の塊!?」

穏乃「8連勝中!」

京太郎「危ねぇ!! こっちに持って来るんじゃねぇ!」


晴絵「おーし、そろそろ帰るぞー! ゴミ片付けろー」

全員「はーい!!」


ガヤガヤ、ゾロゾロ

咲「今度こそ本当に終わりだね」

京太郎「ああ……」

咲「さっきの約束。忘れちゃだめだからね?」

京太郎「忘れねぇよ」

咲「絶対?」

京太郎「ああ、絶対だ」




照「……」ボケー

ガチャ

憧「あ……」

照「新子さん……」

憧「えっと、おはようございます。チャンピオン」

照「……おはよう」

照「その、チャンピオンっていうの……」

憧「はい?」

照「私はチャンピオンって名前じゃないし、もうチャンピオンでもない」

憧「あ、ご、ごめんなさい……」

憧「えと、じゃあ宮永さん?」

照「……」ウーン

照「新子さんは、ご兄弟は?」

憧「え~、姉が1人」

照「そう……」

憧(とっつき辛い!)

照「お姉さんのことはなんて?」

憧「普通にお姉ちゃんですけど」

照「そう……」

照「じゃあ私のこともお姉ちゃんって呼んでもいいよ?」

憧「え?」

照「さぁ」

憧「ええ~っと…………お姉ちゃん?」

照「なぁに? 憧ちゃん」テルーン



後日

照「……」ボケー


ガチャ

京太郎「あ、おはようございます。照さん」

照「京ちゃん。おはよう」

京太郎「今から朝飯の準備しますけど、なにかリクエストありますか?」

照「卵焼き。甘いの」

京太郎「はいはい」クス


ガチャ

憧「おはよー」

京太郎「おう憧か。おはよう」

憧「おはよ、早いじゃない」クス

京太郎「お前もな」ニカ

憧「あ、照姉もおっはー」

照「おはよう。憧ちゃん」

京太郎「え? なに君ら、いつからそんな仲良くなったの?」

憧「ん、ないしょー」ネー

照「……」コクコク


ジャー カチャカチャ バシャバシャ

京太郎「……ンジャンジャンジャーン、ジャンジャジャンジャジャンジャジャーン!」


カチャカチャ バシャバシャ

京太郎「ジャンジャジャーンジャジャジャジャンンンジャジャジャジャーン!」


カチャカチャ バシャバシャ

京太郎「ジャジャジャッジャジャンジャントゥルータタタタタターン!」

京太郎「トゥルトゥチャチャチャ、ジャンジャンジャ、タタカ! タカダ!」

京太郎「ランランルー! ルンルランラランラルー! ランラランララトゥルラララー!」


ガチャ

灼「京太郎。残りの食器も持ってきた」

京太郎「」

灼「京太郎?」

京太郎「は! あ、はい。そこ置いておいてください」

灼「ん」


カチャ

灼「なにか手伝うことは?」

京太郎「いえ、もう後これだけなんで大丈夫ですよ」

灼「そう?」

京太郎「はい。お茶でも淹れるんで食堂で座って待っててください」

灼「わかった」コク


ガチャ、バタン

京太郎「あー、心臓止まるかと思った」


ガチャ

灼「やっぱり、情熱大陸は今時ないと思……」

京太郎「い、言わなくていいですよ!///」

灼「あと、所々音外れて」

京太郎「だかた言わなくていいですってば!」



食堂

京太郎「ニコ兄のパニッシャーやチャペルの銃はそこそこ有名なのになんでファンゴラムのセンターヘッドって認知度低いんですかね?」

誠子「それはたぶんゲーム自体の知名度が低いからだよ」

京太郎「けどガングレイヴはアニメ化もしてそこそこ知名度あると思うんですよ」

誠子「アニメはともかくゲームは良くも悪くも中堅って感じだからなぁ」

ワイノワイノ ナンチャラカンチャラ

久「須賀君ってさ……」

京太郎「はい?」

久「意外とモテるわよね?」


シーン…

京太郎「…………はぁ?」

咲「ぶ、ぶぶぶ部長!? なに言ってるんですか?」

優希「そうだじぇ! そんなこと言ったらまたこの犬が調子に乗り出すじぇ!!」


黙殺!


京太郎「はぁ……」

久「なにそのため息」

京太郎「部長。なにを、なにをゆっとるんですか貴女は?」

京太郎「モテる? 俺が? じゃあ俺のこの、彼女居ない歴=年齢っていうこの、この事実はどう扱われていくんですかね?」

京太郎「厳然たる事実がそこには横たわっていますよ?」

久「あ、変なスイッチ入った。やめればよかったわこの話題」

久「また須賀君が変な絡み方をしてくるわね」

京太郎「っていうかなに? まったそういう話?」

京太郎「最近色恋沙汰の話が多くてイライラするんですけど」

久「けどあなた、普段の部活にしてもそうだけど今のこの状況」

久「女子複数に対して男一人というこの状況でなにか思うところはないの?」

京太郎「……」ウーン

京太郎「なるほど」

京太郎「まぁそんな俺ですが。実は中学の時にラブレターを渡されたことがあります」


シーン……

優希「どどどどどどういうことだじぇ!?」

咲「聞いてない!? 京ちゃん、それ私聞いてないよ!!」

玄「おもちは!? おもちはどうっだったんでうのだ!?」

淡「ま、まさかそれで付き合ったりとか……」アワワワワ

照「京ちゃん、その娘なんて名前なの? その、あれ、あの頭パーンってさせてくるから」ギュルルルル

京太郎「え、なに君ら? いきなりどうしちゃったの?」

京太郎「ちなみに玄さん。おもちは可もなく不可もなくって感じでした」

玄「ほっっほぉ~~う」

京太郎「思い返せば、あれは中学2年の夏頃……」

女性陣「……」

京太郎「え、なにこの俺が話を語って聞かせるタイムみたいな空気?」

京太郎「皆さんこんな与太話に付き合わずにもっと各々好きにしてくれていいんですよ」

憧「いいから早く続き。話なさいよ」

京太郎「お、おう……」

京太郎「季節は移り、長袖から半袖に衣替え済ませ、初夏の陽射しが降り注ぐ頃」

京太郎「俺は学び舎の屋上に呼び出された」

京太郎「待っていたのは別のクラスの女の子。肩口までの黒髪に、タレ目がちの柔和な笑顔を湛えた優しそうな娘だった」

京太郎「夏場にも白さを失わない頬を微かに朱に染め、差し出される恋文の封書」

京太郎「秘めた想いを文章に託し、勇気を振り絞ってこう言った」


京太郎「『これ、同じクラスの中村君に渡してほしいの』」


女性陣「あ~、あるある」

京太郎「だあああああああああああ!!」ボルッテクバチコーン!!

淡「な~んだ。そんなことかー」ニコニコ

優希「まぁ京太郎なんてそんなもんだじぇ」ウンウン

宥「あったかいね」

菫「まぁ、その、なんだ。ドンマイ」

咲「ほっ……」

京太郎「冷静に考えると女の子が嫌がらせ以外の理由で、言い寄ってくる魅力が俺にあるとは思えないしなぁ」

まこ「恐ろしく後ろ向きな自己認識じゃな……」

憧「あながち間違ってないけど」

京太郎「だいたいなぁっ!!」

京太郎「クソッ、どいつもこいつも猫も杓子も愛だの恋だの!」

京太郎「そんなもんよりねぇ世の中もっと大事な事ややるべき事はたくさんあるんですよ」

灼「たとえば?」

京太郎「ちくしょう、代替案など……」ガクッ

久「まぁそう落ち込まないの」

京太郎「部長?」

久「須賀君だって惑星の直列とか、気象の変化とか、地磁気の影響で人の好かれたりもするわよ」

久「男には人生で3回モテ期があるらしいものね。人に好かれることが重なり、時には周囲からまとめて嫌われることもあるわよ」ウンウン

京太郎「なるほど。…………なんかその、俺のモテるモテないの話と天変地異を同列に扱うのやめてもらえません?」

久「言葉の綾よ」

京太郎「言葉の綾ねぇ。ところでなんで人生で3回なんですかね?」

久「え? さぁ? でも3回っていうじゃない?」

京太郎「世界には3人自分とのそっくりさんがいるって言いますよね」

久「中学、高校は3年制だし」

京太郎「そういえば、千里山の船久保先輩がインターハイになると3年生が強くなるとか言う」

京太郎「わけのわからない意味不明な仮説を立ててました」

久「将棋なら後一回昇段したらプロ入りよね」


京久「「3って不思議な数字(です)ね」」


まこ「お前さんらのその会話の拡張性みたいなのが一番不思議じゃ」


京太郎「っていうか、」

京太郎「部長が俺を誘いさえしなければ、俺は他に適当な運動部にでも入って」

京太郎「可愛い彼女でも作ってひと夏の思い出を謳歌していただろうに」

京太郎「なにが悲しくてこんなところで皿なんか洗ってんでしょうね」

久「いやあなた、後半の妄言は置いておくとして、私が部に誘った時点で他の部の誘い全部断ってたじゃない」

京太郎「そでしたっけ?」

穏乃「ねーねー京太郎」

京太郎「あん?」

穏乃「京太郎は、なんで麻雀部に入ったの?」

京太郎「え?」

淡「キョータローのことだからどうせ、ノドカのおっぱいに釣られたんでしょ」プププ

和「いえ、須賀君が入部したのは私が入部するより前ですよ?」

女性陣「え?」


ざわ…… ざわ……

照「あの、おっぱい県民の京ちゃんが?」

尭深「私や弘世先輩や松実さんたちの胸をチラチラ盗み見している須賀君が?」

玄「京太郎くん! おもちに興味が無くなってしまったのですか!?」

玄「死ぬまでに一度は和ちゃんのおもちを触ってみたいって言ってたではないですか!」

京太郎「なんで今ここでそれを言うんですか!?」

和「須賀君……」ササッ

京太郎「違、あの違うんです。言い訳をさせてください」

照「京ちゃん……」ギュルルル

京太郎「ピーンチ。殺さないで、俺まだやりたいことある」

淡「ノドカのおっぱい触るまで死ねないってこと?」

京太郎「俺の人生をそこに集約するんじゃねぇ!!」

咲「……」

京太郎「さ、咲~? 咲さ~ん? 無言はやめてー」


ざわ…… ざわ……

京太郎「ちょっと君ら黙ってくれる? 俺にもしゃべらてくれ。慎んで拝聴しろ」

久「私、自身疑問だったんだけど。ねぇなんであの時、誘いに応じたの?」

京太郎「それは……」

久「それは?」

京太郎「麻雀って人気のある競技じゃないですか?」

京太郎「もしこれで活躍とかしちゃったらさぁ、いやモテちゃうでしょ? 常識的に考えて」

京太郎「だから、俺の隠された才能が覚醒して大活躍とかしちゃう少年漫画的展開を期待してたんですよ」

女性陣「……」シラ~

京太郎「うっわ、みんななにその微妙な顔」

久「それ本当?」

京太郎「あ、すんません。嘘つきました」

京太郎「本当はただ麻雀経験者なら進路選択の時に有利かなって」

京太郎「一昔前なら政治家に剣道経験者が多かったし今なら麻雀かなって、あ、いやすんません。これも嘘です」

誠子「このタイミングで嘘をつく意味がわからない」

京太郎「ホントは部長が」

久「私?」

京太郎「部長が、俺を誘ってきた時なんて言ったか覚えてますか?」

久「? いえ、ぜんぜん」

京太郎「『部員一人の部だけど、全国大会目指してるから一緒にどう?』ですよ?」

京太郎「もうね。アホかと。あんた3年だろさっさと帰って勉強しろと。そう思ったんですよ」

久「あっそう。いい度胸ね」ボキボキボキボキ

京太郎「ちょ、最後まで聞いてくださいよ!」

京太郎「けど、部長の目が」

久「目?」

京太郎「部長の目が、すげー真っ直ぐで本気でやる気なんだってそう感じた」

京太郎「だから見てみたくなったんですよ」

京太郎「この人が何処までやれるのか。その結果を」

久「須賀君……」

京太郎「逆に部長はなんで俺を誘ったんですか?」

京太郎「団体戦に出るなら、どうしたって俺は戦力にはなれません」

京太郎「どうして俺だったんですか?」

久「ん~、しいて言うなら一目惚れってとこかしら」

京太郎「は?」

久「今ちょっと期待した?」

京太郎「チッ、うぜぇ~」

久「まぁ半分冗談で半分本当かしら。須賀君を見た瞬間感じたのよ」

久「この子をは使える! ってね」

京太郎「おい」

久「あの時の須賀君。すごくつまらなそうな顔してた」

京太郎「え?」

久「だからね、見せてあげたくなったの。この世界はまだまだ面白いことで溢れてるんだってね」

久「まっ、背は高いし、顔は割と整ってるし、真面目そうだし世話を焼いてあげたくなったのよ」

京太郎「部長……」

久「実は私、変っ……て言うものが好きなの」キリッ

京太郎「ちょっと待って。今し方俺を褒めちぎっておいてのその発言はなに?」


【中途あらすじ】

淡「あーわーいーだーYOッ!」

淡「ジャンジャジャ~ン! 今明かされる衝撃の真実ー」

淡「なんと私こと淡ちゃんと、キョータローは小さい頃に生き別れた双子の姉弟なのでしたー!」

玄「ええっ!? そうだったの?」

咲「なんだか、すごい込み入った話。そんな事が……」

京太郎「あれ、ねぇちょっと幼馴染だと思ってたの俺だけ!? 小学校から一緒でしょ」 

和「そんな過去があったなんて……」

照「ぜんぜん知らなかった」

京太郎「信じちゃってるよ!?」

京太郎「大丈夫かこの人たち。将来、壷とか買わされたりしないだろうな」



京太郎「今思い出すとねぇ。俺、前回の合宿のとき一人だけ置いてけぼり食らってずっと家にいたんですけど」

京太郎「あの、期間誰とも会話しなかったからな」

京太郎「両親は、新婚かよってテンションで旅行に出かけるし」

京太郎「クラスの奴には合宿に行くって言ってたから当然連絡なんて来ないし」

京太郎「俺のこの漲るやる気をどうしてくれるんだって感じで」

京太郎「ペットのカピーやネトマのPCに向かって一人でブツブツなんかしゃべってて」

京太郎「ちょっとあれは、今思い出しても自分でもドン引きするくらい気持ち悪かったな。うん」


シーン…

照「京ちゃん、お菓子食べる?」

優希「タコス! タコスを分けてやるじぇ!」

尭深「お茶、飲む?」

宥「え~っと、え~っと……手、握ってあげるね?」ポヤーン

京太郎「あれ? みんなが急に優しい」

久「やめて! 私を、私を悪者にするのはやめて!」

まこ「弁解したいが、こればっかりは出来ん」

和「思えば、雑用から何から任せっぱなしで」

咲「うう、ごめんね。京ちゃん」

灼「部の事はみんなで分担した方がいいと思……」

憧「まぁ、任せっきりはよくないわね」

京太郎「まぁまぁ、そう言わないであげてください。良いんですよ俺はそれくらいしか役に立てませんし」

京太郎「迷子の捜索に、タコス作りに、ぬいぐるみの縫合。寝起きのムーミンにコーヒー淹れたり、喫茶店手伝ったり」

京太郎「デスクトップPCとか自動雀卓担いで移動したり」

京太郎「清澄の雑用は皆さんこれ、特殊な訓練を受けてないと出来ませんのでね。オススメはしません」

京太郎「用法用量は計画的に」

菫「なにを言ってるんだ君は」

久「あの、これ前から言いたかったんだけど私、そんなに言うほど須賀君に雑用押し付けてないわよね?」

久「そりゃ、もちろんないとは言わないけど。けどそんな酷い扱いもしてないわよね?」

久「まぁ平行世界じゃどうだか知らないけど」

京太郎「またそういう……そういうねぇメタな発言してるとまた世論からパッシングを受けますよ」

京太郎「まぁ、でも? この世界にではいい先輩ですよ?」

京太郎「いい上司、竹井先輩。経理部長」

まこ「役職変わっとるぞ」

京太郎「むしろ、逆に部内の雑用全部先取りして『それもう終わってますけどぉ?』みたいな、ドヤ顔をしてやろうかなって」

菫「従順なのか反抗的なのかよくわからない奴だな……」

久「ちょいちょいあるわよね須賀君、突如として私に反旗を翻してくるときが」

京太郎「部長忘れたんですか? 俺が部に入ってすぐのときの第一回清澄麻雀部大議会を」

咲「なに、清澄大議会って?」

京太郎「おう。部長のその日の気分が俺の自由意志のすべてを超越するという独裁性議会だ」

京太郎「あの日の約定により俺は雑用大臣に任命された」

京太郎「ちなみに世襲制な」


久『じゃあ、私は麻雀担当。須賀君はその他の担当』

久『私は和了るのが担当。須賀君は点棒を差し出すのが担当』

久『私は勝利担当。須賀君は画面の端で失神して泡吹きながら解説する担当ね』

―――――――
―――――
―――

京太郎「なにもかも皆懐かしい」

女性陣「……」ジー

久「視線が痛い!?」

まこ「お前さんらは最初の頃からそんなアホな事やっとたんか」

和「そういえば、染谷先輩はその頃は部にはいなかったんでしたっけ?」

まこ「ん? ああ、そうじゃな。あん頃は部員もおらんから、なんとなくわしも流れで部活離れしとってな」

まこ「自分のうちで客相手に打っとる事のが多かったな」

淡「ねーねー! マコのうちって喫茶店なんだよね?」

まこ「ん? おお、麻雀喫茶じゃな」

淡「へー、なんか楽しそう。行ってみたい!」

穏乃「あ、私も私も!」

照「お菓子ある?」

まこ「お菓子なぁ~」チラッ

京太郎「……」ダラダラ

まこ「まぁ、運が良けりゃ出会える裏メニューってとこじゃな」ニヤ

優希「染谷先輩はどんな経緯で部に復帰したんだじぇ?」

まこ「どんな、か。そうじゃな……」


―――――――
―――――
―――

カランカラン

まこ「いらっしゃ、」


バーン

久「まこ!」

まこ「ん、おお。久か。珍しいの」

久「ええ、久し振りね。ってそんなことはいいのよ」

久「まこ。今日はあなたを連れ戻しにきたわ!」

まこ「ほう。っということは新入部員でも入ったんか?」

久「紹介するわ。須賀君」


カランカラン

京太郎「どうもはじめまして。突如として現れたサテライトの流れ星。須賀京太郎です」

まこ「男子か。まぁええじゃろ。わしは染谷まこ、2年じゃ」

久「早速だけどまこ。一人とは言え部員も入った事だし、本格的に部活を再開するわ」

まこ「ほうか。ほんなら明日からにで、」

久「いやわかってるの! まこにもお店の手伝いがあるというのは」

まこ「は? いや、人の話を」

久「そこでこういうのはどう? 私たちと麻雀を打って私たちが勝ったらまこは部に戻る」

まこ(相変わらず人の話を聞かん奴じゃな)

まこ「わしが勝ったら?」

久「須賀君を一週間、無料で貸し出すわ」

京太郎「え」

まこ「乗った」

京太郎「ちょ」

久「ただ働いてもらうだけじゃつまらないからメイド服でも着てもらいましょうかしら」

京太郎「何故レートを上げるのか」

まこ「ちなみにお前さん麻雀の腕の程は?」

京太郎「将棋で言ったら羽生名人クラスで、」

久「最近ようやく全体の流れを覚えたくらいよ」

京太郎「あ、はい……そうです。はい……」

まこ「ほうか。まぁええが、3麻でもいいんか?」

京太郎「3麻って?」

久「書いて字の如く3人でする麻雀よ」

京太郎「へぇ」

久「まぁ今回は気にしなくていいわ。私ががんばるから須賀君は気楽に楽しんでくれればいいから」

まこ「それじゃ、はじめるとするか」


京太郎「え、っと。これ、かな……」ビクビク、トン…

久「あ、須賀君それまたロン」

京太郎「」

京太郎「はっ!? だからなんで部長が俺から和了るんですか!?」

久「いやー、須賀君ってば面白いくらい振り込んでくれるから和了り甲斐があるわー」

まこ(アホかこいつら)

久「まぁまぁ、そう熱くならないで。気楽にね気楽に」

京太郎「部長、残念ですけど遊びの時間はとっくに終わっています」

京太郎「ここはすでに地獄の賭博場。交わされるのは言葉の銃弾。振るわれるのは悪意の刃」

京太郎「掛け替えのない己の魂の尊厳を賭け金(ベッド)にして紅(ルージュ)か玄(ノワール)か!」

久「なにこのやる気」

まこ「お前さんが焚きつけたんじゃろが」


まこ:なんやかんやあって1位

久:終盤に京太郎のビギナーズラック的役満親っかぶりで2位転落

京太郎:安定のラス


京久「「ああああああああああああああああっ!?」」ガクッ


まこ「なにしに来たんじゃお前ら」

久「ふ、ふふふ……こんなことで私が諦めると思ったら大間違いよ。いかなる手段を使ってもまこを部に引き入れるわ」

京太郎(悪役みたいなセリフだな)

まこ「わしは部に戻らんなど、一言も言っとらんが」


京久「「えっ?」」


まこ「最初からそう言おうとしとるのにお前さんらがどんどん話を進めていくからじゃろうが」

京太郎「なんだじゃあまた、まった部長が一人で騒いでただけじゃないッスか!」

久「須賀君だって凄まじいやる気を発揮してたじゃない!」

まこ「最初から最後まで人の話を聞かん奴らじゃな」

京太郎「ち、ちなみに負けた時の話は……」

まこ「そっちが賭け金を吊り上げたんじゃからきっちり払ってもらおうかのう。身体で」ニヤニヤ

京太郎「ですよねー」トホホ


ギャーギャー、ワーワー

まこ「しかし、久よ。まだ全国出場の夢を諦めてなかったのか」

久「当たり前じゃない。後、訂正しとくと出場じゃないわ優勝よ」

まこ「須賀といったか? お前さんもようこんなのに付き合っとるな」

京太郎「ええ、まぁ、自分でもなんでかなって思うんですけどね」

京太郎「見てみたいんですよ、この人がどこまでやるのか。全国の景色って奴を」

久「高校最後の夏だもの。全国優勝の夢くらい見させてよ」

まこ「全国優秀の景色……か」

まこ「ふふ、はははは」

久「まこ?」

京太郎「染谷先輩?」

まこ「ええじゃろ。わしも見てみとうなったわ。全国の景色っちゅうんをな」


京久「「っ!!」」ビシバシグッグッ!!


まこ「今日はもう遅いが、明日からはまた部室に顔を出すとするか」

京太郎「これでようやく2人」

久「3人でしょ? 須賀君も大事な部員なんだから」

京太郎「部長……」ジーン

まこ「ふふ」

京太郎「じゃあ、染谷先輩!」

久「行きましょう。まこ」


京久「「我等と共に全国へ!!」」




京太郎「へぇ、この学校、学食のメニューにタコスなんてあったのか」


どういうチョイスだ? っと疑問に思うと同時に興味も沸いてきた。試しに買ってみるか。
この清澄高校の学食は食券制なので、券売機に硬貨を投入してボタンを押し、取り出し口から食券を取り出す。
顔を上げると、ボタンの下半分が赤く点灯。蛍光板が「売り切れ」の文字を点していた。
気にせず食券を持って厨房前のカウンターへ向かう。


?「ぬおおおお!? タコスが売り切れてるじぇ!?」

?「残念でしたね。ゆーき」ポン

ゆーき?「だけどのどちゃん……私はタコスを食べないと」

のどちゃん?「食べないと?」

ゆーき?「私自身がタコスになってしまうんだじぇ!」バーン! いや、ドーン!

のどちゃん?「なんですかそれは?」


まったくだ。
俺は自分の手の中に納まる食券を見下ろす。
まぁ、俺は今これを食べなくても死にはしないし。………………タコスになるわけてもないし。


京太郎「あのー」

「「はい?」」

京太郎「あの、これよかったら……」


そういって俺は手にしていたタコスの食券を2人に差し出した。
あれ? なんかこれ、俺今すげーギャルゲの主人公みたいじゃね?


ゆーき?「うおおお!! それはタコスの食券!」

のどちゃん?「ち、ちょっとゆーき。あの、いいんですか? それはあなたが買ったものじゃ」

京太郎「いや、まぁうん。そうなんだけどね」チラ

ゆーき?「……」ダバァー


なんかすっごい涎垂れてるんだけど……。
たとえば平均体重の人間の血液総量は約6リットルとされ、約2リットルの血液が流れ出ると失血死となる。
もし2リットル以上唾液が流出したら人間はどうなるんだろう? 脱水症状で死にのかな?
そう思うとこの高がタコスの食券といえど、この少女の命運を握っていると考えられ途端に重みが増したような気がする。


京太郎「まぁ、これもなんかの縁と思って受け取ってくれよ」

京太郎「なんかさっきの会話とか聞いてると、譲ってあげないとって思えてきたし」



和「それが、私たちと須賀君のファーストコンタクトでした」

みんな「へぇ~」

優希「京太郎、お前覚えてるか?」

京太郎「いや、ぜんぜん。優希、お前は?」

優希「いや、ぜんぜん」

京太郎「ってか、なんで和の回想なのに俺視点なんだ?」

和「それから、食堂で何度か会って話してみると須賀君は麻雀部だと言うではないですか」

京太郎「なんか、話したような話してないような……ほぼタコスに印象塗り潰されてあんまり覚えてないな」

照「京ちゃん、その歳で若年性健忘症なんだ……」

宥「可哀想……」ブルブル

京太郎「やめて、なんかその生暖かい同情の目はホントやめて。違うからほんとそんなんじゃないから」

京太郎「えっと、ほらあれだよ。なんだっけ? 当時はなんとか部を存続させようと必死だったからどうにか2人を巻き込めないかなと」

久「そういえば、八方いろいろ手を尽くしたわね」

京太郎「備品が足りねぇってんで夜中に校舎に侵入して使えるものかっぱらって来ようぜ!」

京太郎「みたいな、後に『冒険野郎事件』って呼ばれたあれ」

久「あー、やったやった」

まこ「お前さんらそんなことやっとたんか」アキレ

優希「その陰謀に巻き込まれたから、私たちの今この結果があるのか」

和「私の美しい思い出をよくも汚してくれましたね」

京久「「いや、あの……なんかすんませんでした。なにかの作用で一連の会話を記憶喪失してください」」ペッコリン

和「無理に決まってるじゃないですか!」

淡「それでノドカは麻雀部に入ったの?」

和「それで、と言いますか」

―――――――
―――――
―――

優希「おー、京太郎だじぇ」

京太郎「ん、優希。…………和も一緒か」カチカチ

和「こんにちわ」

優希「そんなに一生懸命ケータイいじって何してるんだじぇ?」ヒョコ

和「優希、失礼ですよ」

京太郎「これか? 麻雀だよマージャン」

和「!」ピク

優希「ほう、お主も麻雀をやるのか」

京太郎「やるっていうか、俺、麻雀部なんだよ。っても、初心者だからこうやって空いた時間で練習してるんだ」

京太郎「っというか、『も』ってことは?」

優希「ふっ! なにを隠そう私達も元麻雀部だじぇ! そしてなんと~」

優希「こののどちゃんはインターミドルのチャンピオンだじぇ!」

和「ゆ、ゆーき!///」アセアセ

京太郎「インターミドル?」

和「えと、インターミドルっていうのは中学生のインターハイのようなもので」

京太郎「SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEッ!?」

京太郎「なんだよ! 和ってそんなすげー奴だったのか!?」

和「え? あ、いやその……それほどでも///」

京太郎「そうか、2人とも麻雀部だったのか。ん? でもじゃあなんで麻雀部に入らないんだ?」

優希「私は今のところ部活にはあんまり興味ないかなーって」

和「私は、その……麻雀は部活動でなくても出来ますし」

京太郎(優希はともかく和はなんかわけでもあんのかな?)

京太郎(でも、もし2人が入ってくれれば女子は4人。もう1人を見付ければ団体戦に出れる)

京太郎(なら俺のやることは一つ!)

京太郎「じゃあ、見学だけでもどうだ?」

和「見学、ですか」

優希「どうする? のどちゃん」

和「まぁそのくらいなら……」

京太郎「ありがとう! じゃあ行こう、さぁ行こう! すぐ行こう!」

和「あの、そんなに急がなくても」

優希「やれやれだじぇ」



部室

京太郎「こんちゃーっす! …………った、まだ誰も来てないのか」

和「部室ってここなんですか?」

京太郎「え? そうだけど」

和「ここって確か『クロックタワー事件』の……」

優希「クロックタワー?」

和「先週、この部室棟から学校中に聞こえるくらいの音量でたくさんの目覚まし時計の音が響いていたの覚えていませんか? ゆーき」

優希「おー、そういえば」

京太郎「ああ、あれそんな風に呼ばれてんだ」

和「心当たりがあるんですね」

京太郎「俺の買い置きのお菓子を勝手に食べちゃった部長に素敵な仕返しだテヘ!」

京太郎「みたいな感じでそこらじゅうからかき集めてきた目覚ましをこう、一斉に、ね?」

和(ここの部の人たちはなにやっているんでしょうか)

優希(ここ本当に麻雀部なのか?)

和「私たちしかいませんけど、どうしますか? ほかの部員の方を待ちますか?」

京太郎「ん、まぁ三麻でいいんじゃないか?」

和「その、失礼ですけど須賀君は初心者ということでしたが、大丈夫ですか? 三麻は少々ルールが複雑ですけど」

京太郎「大丈夫だ! 何故なら先日から先輩たちにボコボコにされてるからな!」グッ


和優「「なんて逞しい……」」



で、

1位:優希

2位:和

3位:京太郎


優希「さすが私、のどちゃん相手にもまったく引けを取らないじぇ!」フフン

和「逃げ切られてしまいましたか。もう少しだったんですが」


優和「「それにしても……」」


京太郎「」ボーゼン

優希「まさか、ここまで初心者だったとは」

和「まぁまぁ、ゆーき」

和(しかし、手付きもあまりなれているとは言い難かったですね)

京太郎「はっ!?」

優希「お、帰ってきた」

京太郎「っ~~~~~~~っはぁ! 2人ともすっげぇな!」

優希「んあ?」

和「はい?」

京太郎「ごめん! 実は俺さ、2人のこと団体戦の頭数になればってくらいにしか考えてなかったんだ」

京太郎「でも、和と優希と麻雀打ってすげー楽しかった。だから、もっともっと2人と楽しみたい」

京太郎「だから改めてお願いする。2人ともうちの部に入ってくれ! そんで俺にもっといろいろ麻雀のことを教えてくれ!」ペッコリン

優希「団体戦ってのはなんのことだじぇ?」

京太郎「ああ、うちのアホ部長がいい歳して全国大会優勝とか言う夢見がちなこと言っててさ、その、どうにか叶えてあげたいなぁって」

和「全国大会、ですか。でも長野には名門の風越や、昨年度県大会優勝の龍門渕もいますし」

和「正直、無名のうちが彼らに勝つのは難しいのでは?」

京太郎「大丈夫! なんてったってうちの部長は、性根の腐り切り具合なら負の人間国宝級だから」

京太郎「きっと俺なんかじゃ及びもつかないような、こそ浅ましいあらゆる権謀術数を用いてきっと全国へ連れて行ってくれる」

京太郎「それに、2人がいてくれたら心強い。だから一緒に全国を目指してみないか!?」

和「全国……」ポォ

優希「私は、のどちゃんが入るなら、いいじょ」

和「ゆーき?」

優希「のどちゃんは、東京の進学校や風越や龍なんとかって学校の誘いを断って私と一緒のこの清澄に来てくれたじぇ」

優希「だから今度は、私がのどちゃんについて行く番だじぇ!」

和「ゆーき……」

和「っ!」グッ

和「わかりました! 麻雀部、入部させていただきます」ニコ

京太郎「! やったー!」

優希「よろしく頼むじぇ! のどちゃん、京太郎!」

京太郎「おう! よろしくな、2人とも」

和「ふふ、よろしくお願いします」


―――
―――――
―――――――


淡「そっかー、キョータローに誘われたからノドカは麻雀続けることにしたんだね」

和「ええ、でもそれだけではないんですよ?」

憧「どゆこと?」

和「その時の楽しそうに麻雀を打つ須賀君の姿が、記憶の中の友人と重なって」

穏乃「そ、それって」

和「はい。阿知賀にいたころの、穏乃と憧と玄さんと赤土先生とクラブのみんなとの思い出が私の背を押してくれて」

和「この人と麻雀を打てたらあの時のように、きっと楽しいだろうなって。だから」

晴絵「和……」

玄「和ちゃん。えへへ、なんか照れちゃうね」


京太郎「ちょ、部長待ってください。ね? 昔のことじゃないですか、お互いにさぁ許し合おう? 分かち合おう?」

久「うふふふふ。なにを許し合うのかしら? さ、2人だけでちょっと向こうに行きましょうねー? そんなに首を振ったってダメよ?」

久「大丈夫大丈夫。最初は痛いけど次第に気持ちよくなってくるから。自己啓発セミナー、悟りを開くみたいなものよ」ウフフフフ

咲「じゃあ、うちの部って実質京ちゃんがメンバー集めたってことですか?」


京久「「っ!?」」


久「そう、なるのかしら?」

まこ「まぁ、わしもお前さんらの熱意に中てられたわけじゃしな」


咲「ねぇ京ちゃん」

京太郎「うん?」

咲「私を誘ってくれたのはなんで? それも、部のためとか、団体戦のメンバー集めだったから?」

京太郎「ん、ん~まぁ。それもあるけどさ」

京太郎「お前、俺が置いてくと泣くだろ?」

咲「な、泣かないもん!」

京太郎「いーや、泣く。絶対泣く」

咲「泣かないったら泣かないもん!」

京太郎「本当は?」

咲「ちょっと、泣くかも……」

京太郎「ほーらな」

咲「うう……」

京太郎「それにさ、やっぱ楽しいことは咲と一緒にやりたいなって思ってさ」

咲「京ちゃん……」ジーン


久(楽しい、か……)

久「ねぇ。須賀君」

京太郎「はい?」

久「今まで怖くて聞けなかったけど、うちの部に入ってどうだった?」

久「みんなが入部して、県大会で優勝して、全国を目指して……」

久「私たち2人で再建した部なのに、どんどんあなたのことを蔑ろにしてしまって」

久「正直、いつか退部されても、嫌われても仕方ないって思ってたけど。あなたはあの時と変わらずここにいる」

久「須賀君にとってこの半年間は、有意義だった?」

京太郎「……」

京太郎「部長。部長が俺のことそんな気にかけててくれたってのは正直意外でした。でもこれだけは言えます」

京太郎「この半年間は本当に楽しかった。ここにいる人たちも、ここにいないけど麻雀を通して出会った人たちも」

京太郎「俺にとっては出会ってから今日まで、夢中で見つめ続けた光そのものです」

京太郎「俺、なんの役にも立てなかったけど、それでもみんなの夢を叶える手助けになれたなら俺は嬉しい」

京太郎「なぁ、部長。あの時、あんたについて行ってよかった」

久「っ!? ……バカね」ボソッ

久「私の方こそ感謝してる。須賀君、あなたがいてくれてよかった」



翌日

京太郎「荷物はこれで全部ですか?」

晴絵「オッケー。悪いねぇ積み込むの手伝ってもらっちゃって」

京太郎「いいっすよぅ、これくらい」

憧「こっちも準備出来たわよ」

晴絵「おーう。忘れ物とかないかい?」

穏乃「ないでーす!」


玄「短い間だったけど楽しかったよ!」

京太郎「はい、俺もみんなに会えて楽しかったです」


宥「これから寒くなるから、暖かくしないとダメだよ?」

京太郎「あはは、宥さんもですよ」


灼「吉野にも、また遊びに来て」

京太郎「はい。その時は是非、先輩のところにも寄らせてもらいます」


憧「……」

京太郎「……」


京憧「「ははっ……」」


憧「元気でやんなさいよ」トン

京太郎「お前もな」


穏乃「京太郎、手ぇ出して」

京太郎「? ほい」

穏乃「ターッチ! また遊ぼうね京太郎!」

京太郎「おう!」


菫「短い間だが世話になったな」

京太郎「いえ、こちらこそお世話になりました」

菫「また東京に来ることがあれば呼んでくれ。そのときは喜んで照の世話を押し付けてあげよう」

京太郎「あはは、お手柔らかに」


尭深「またね」フリフリ

京太郎「はい。渋谷先輩もまた。今度、茶葉とお茶菓子もって訪ねますよ」

尭深「うん。待ってる」


誠子「また一緒に釣りに行こう。そうだな、冬場に静岡の田貫湖でワカサギ釣りなんてどうだい?」

京太郎「お、いいッスね!」

誠子「朝霧の中で富士山が見えるんだけど、朝日が昇ってくるとこう、凍りついた足場が一気にバキバキバキバキってひび割れてね」

京太郎「クレイジーッスね……」


照「京ちゃん。咲のこと見ててあげてね」

京太郎「任せてください」

照「冬休みには一度帰るから」

京太郎「待ってますね。咲もつれて久々に3人で初詣行きましょうか」

照「うん」


淡「……」

京太郎「どうしたよ」

淡「だって、またキョータローと会えなくなっちゃうもん」

京太郎「なんだ、そんなことかよ」

淡「そんなことって、長野と東京だよ! すっごく遠いんだよ!」

京太郎「距離も時間も関係ない。会いたくなったら会いに行けばいい、それだけだろ?」

淡「! うん、会いに行く! 今度は私から!」

京太郎「おう! いつでも来い」ポン

久「短い期間でしたが此度の合同合宿に参加していただきありがとうございました」

久「って、もうこんな堅苦しい挨拶はもういいわね」


咲「ねぇ、京ちゃん」ヒソ

京太郎「ん?」ヒソ

咲「合宿、楽しかった?」ヒソ

京太郎「へっ、わかってんだろ?」ニカ

咲「えへへ、一応聞いておきたくて」

京太郎「もちろん楽しかったに決まってんだろ!」

咲「うん。私も!」


久「では、これにて清澄・白糸台・阿知賀による三校合同合宿を終えたいと思います」


全員『お疲れ様でした!!』


カン!