ガラス製の丸テーブルの上にはアップルパイにチョコレートケーキ、エクルズケーキ、シュークリーム、マカロン、クッキー、
スコーンとその添え物の生クリームとストロベリージャムが所狭しと並び、それから人数分のミルクティーが置かれている。


咲「わぁすごいね」

京太郎「まぁな。ちょっといろいろ奮発してみた」


半分は買ってきたものだが、もう半分は俺の手作りだ。


京太郎「照さんも遠慮せずにたくさん食べてくださ、……」

照「……」サクサクサクサクサクサクサク


言う前から、すでにマカロンやクッキーを頬張っていた。はえぇよ。
ちょっと用意しすぎたかとも思ったが杞憂だったようだ。


咲「お姉ちゃん……」

京太郎「あ、はは……まぁ咲も遠慮せずに食べてくれよ」

咲「えっと、京ちゃんが作ったのはどれかな?」

京太郎「ん~っと、アップルパイとシュークリームとクッキーかな。後そのイチゴジャムは俺の自作」

咲「じゃあシュークリームを」


そういって咲がシュークリームに手を伸ばそうとした瞬間、まるで小動物を強襲する猛禽類のような速度で照さんの手が翻る。
一瞬早く、照さんが菓子を掻っ攫っていく。
双眸には猛獣の眼光。


咲「……」

京太郎「てい」


指先で照さんの額を弾く。


照「あう」

京太郎「まったく。大人気ないことしおって」

京太郎「ほら、咲」

咲「あ、うん。ありがと京ちゃん」

照「京ちゃん。酷い……」サスサス

京太郎「あんたが悪い」


用意したお菓子の半分が照さんの手によって消費された頃、ようやく一息つく。


咲「美味しかったよありがと京ちゃん」

京太郎「どっちが?」

咲「どっちも、と言いたいところだけど、身内贔屓で京ちゃんかな」

京太郎「花を持たせてもらったって感じがするけどまぁ良いか。俺も久々に思いっきり料理が出来て楽しかった、ありがとな」

咲「うん」

照「……」サクサク

京太郎「照さんは……うん、まぁ作り甲斐があってよかったです。うん」

照「?」

照「ふぅ……」


ようやく照さんも一息。


咲「なんだか久し振りだね。この雰囲気」

京太郎「3人で集まったのはインハイの決勝の後だったっけ?」

咲「そうだけど、なんかそれよりももっと長く感じる」

京太郎「まぁ実際そうだしな」

照「……」ジー

京太郎「? どうかしました? 照さん」


こちらをジッと見ている照さんを疑問に思いつつミルクティーの注がれたカップに口をつける。


照「京ちゃんは、今好きな人っているの?」

京太郎「ぶふぅっ!?」


吹いた。盛大に。


咲「ちょ! おおおお、お姉ちゃん、いきなりなに聞いてるの!?」

京太郎「ゴホッ、ゴホッ!」


いかん、気管支に入った。苦しくて涙が滲む。

咲「京ちゃん、大丈夫?」サスサス

京太郎「ゴホッ、ああ、うん。すまん咲、ありがとう。ゴホッ」

咲に背中をなでてもらってなんとか持ち直す。

京太郎「あ、えー照さん?」

照「なに?」

京太郎「なんでいきなりそんな話に?」

照「京ちゃんは清澄の人たちはもちろん、うちや阿知賀のみんなと仲が良い。だからどうなのかなって」


もしかしてこの人この間ずっとそのこと考えてたのか?


京太郎「それ答えないとダメなの?」

照「ダメ」

京太郎「言い切ったな」

京太郎「大体なんでこんな話を、咲からもなんか言ってやってく、」

咲「……」モジモジ


わーお。君もそっち側なの?
咲は俺と目を合わせないように、けどチラチラこちらを伺いながら早く話せと無言で続きを催促してくる。


京太郎「好きな人ねぇ。好きな人……いません」

照「京ちゃんは私たちのこと嫌いなんだって咲」メソメソ

咲「ええ!? そうなの京ちゃん!」

京太郎「なんでそうなった!? どんな飛躍だよ!」

照「じゃあ好き?」

咲「///」

京太郎「はぁ……究極の二択ですね。もちろん好きですよ」

照「だって、やったね咲」

咲「わ、私は別に……///」

京太郎「あの、ゆっときますけどそんな深刻な意味じゃないですよ?」

照「にやり」

京太郎「おい、その『してやったり』みたいな顔やめろ」

照「でも今好きって言った」

京太郎「いいよそういう言葉のマジック!」

照「京ちゃん、うちの淡や阿知賀の玄ちゃんとも仲いいよね」

咲「!」ピク

京太郎「あの、もうちょっと会話の前後の繋がり重視してもらっていいですか?」

京太郎「そりゃまぁいいですけど、別にそんな、そういうアレじゃないですよ」

照「付き合いたいとか、そういった考えはないの?」

京太郎「俺だって別にそういった願望がないわけじゃないですよ。たとえばその2人に限らずに」

京太郎「ただ、俺のポンコツ許容量は君ら2人で本体、予備、緊急用、来世の前借分までいっぱいなんでそういった隙がないだけです」


ポンコツの姉とポンコツの妹、両方面倒を見なくちゃいけないのが中間管理職の辛いところだ。


咲「ホッ」

照「よかった」

照「好きな人がいないなら、じゃあ好きなタイプとかは?」

京太郎「好きなタイプ~?」

照「たとえば年上と年下ならどっち?」

京太郎「俺、どっちかって言うと同い年か年下がいいんだけど」

咲「ホント!?」ガタッ

京太郎「お、おう?」タジ

照「ちなみにどうして?」

京太郎「俺が主導権を握りたいから……」

京太郎「っと最近まで思っていたんだけどどうも俺は年齢に関わらず女性に頭が上がらない気質らしく、正直これはどっちでも良くなった」

照「じゃあ次の質問」

京太郎「あ、これ続くのね」

照「家事は出来るほうがいい?」

京太郎「家事ねぇ、別にどっちでも。最初は出来なくてもやってくうちに上手くなるだろうし」

京太郎「最悪、俺が自分でやるし」

咲「京ちゃん……」ホロリ

照「では最後の質問です」

京太郎「へぇ」

照「胸は小さいほうがいいよね?」

京太郎「なにその質問」

京太郎「おも、胸は大きいほうが……いや待て今のは無しだ。なんで幼馴染の女の子2人に俺の性癖暴露せにゃならんのだ」

照「そもそも京ちゃんのその趣向はおかしい」ズビシ

京太郎「ほう、言ったな。一席打つか?」

照「たとえば人の価値観って育ってきた環境に影響さえたりするよね」

照「たとえば、お金持ちの人から見たら価値のないものでも、貧しい人から見たら価値があるとか」

京太郎「はぁ」

照「京ちゃんは、私たちの一緒に育ってきたんだから、私や咲みたいなポンコツで胸の無い娘を好きになるはず」

京太郎「いやむしろその環境にあったが故のというか。後、自分で言ってて悲しくありません?」

照「少し」

咲「私! 私はまだこれから大きくなるよね! 牛乳だって飲んでるし」

照「……」

京太郎「……」

咲「お姉ちゃん!? 京ちゃん!?」

京太郎「なぁ咲、遺伝学的に考えてこの先そんなことが起こりうると本気で思ってるのか?」

咲「それは……」チラッ

照「」テルーン

咲「ふえぇぇぇぇぇぇ、京ちゃぁぁぁぁん!」


こうまで科学的な証拠を提示されてはさしもの咲も納得せざるを得ない。
咲は止め処もなく、失意の涙を滂沱と流した。


照「2人とも失礼」ムゥー

咲「やっぱり京ちゃんは胸が大きいほうがいいんだ!」

咲「だから和ちゃんとか渋谷さんとか松実さんのお姉さんとかには対応が妙に優しいんだ!」

京太郎「ん? ん、まぁそうだけど」


けどそれ宗教上の理由であって、いやまあ可愛いと思うしぶっちゃけ結婚するならああいった人たちがいいけど。


京太郎「それがすべてじゃないから、な? なんで泣いてるかわかんないけど泣き止めよ。お前が泣いてると俺も悲しい」

照「咲を泣かせるなんてダメだぞ。京ちゃん。お姉ちゃんは憤慨します」

京太郎「あの、ちょっと黙っててもらっていいですか?」

照「胸なんて飾りです! 京ちゃんにはそれがわからんのです!」

咲「そうだ! そうだ! 胸はなくても人権はあるぞ!」

京太郎「ちょっと落ち着け! っていうかなんか会話の方向性おかしくない? 後、俺ばっか質問されてて釈然としない」

京太郎「逆に聞きたいんだけど、2人はどうなの? 好きな人とかいるの?」

照「黙秘権を行使します」

咲「お、同じく……」

京太郎「まぁ絶対そういうと思ってたけどね!」


この俺ルールっぷり。これについては我々はもう熟知してるのでね、最早なんの感慨もないですが。



京太郎「淡はいるかあああああああっ!!!」バーン!


白糸台の面々が泊まっている部屋の戸を盛大にブチ開ける。
何故俺がこんなに怒り心頭なのか。昼飯の後サロンのソファーで昼寝をしていた俺は、
目を覚ましてから洗面所で顔を洗おうとして鏡を覗き込んで驚愕した。
それはもうなんか、なんかすごいとんでもなく面白い顔になっていた。噴飯ものである。
根拠はないがこんなことをするのはきっと淡だ。俺の本能がそう言っている!


菫「!?」


部屋にいたのは弘世先輩だけ。突然の不躾な訪問に驚いているようだ。そういえばノックするのを忘れていた。
普段、礼節を重んじる俺だがそんな精神的余裕は存在しなかった。


菫「す、おま、……!?//////」

京太郎「?」


真っ赤になりながら口をパクパク開閉させる。弘世先輩。
よく見れば服の胸元が肌蹴ている。微かな違和感。
一瞬で状況把握。
はっはっはっ。な~んだ、今日は俺の命日だったのか。…………っておいぃぃ!?


京太郎「すんませんっした!? さーせんっした!!」


即座に土下座した。有史以来最も美しい形だったと自分でも思う。


菫「いいからさっさと出ていってくれ!」


曰く至言。
俺は速攻で回れ右をし、部屋を出て行こうとする。


パタパタパタ

響いたのは足音、しかも複数。おそらくこの部屋に向かってきているらしい。


京太郎「」


ちょっと待て、この状況はすごくまずいんじゃないか?


菫「くっ! 来い!」


弘世先輩に襟首を掴まれ、次の瞬間世界が回転。
暗闇の中に放り込まれる。背中には柔らかな感触を感じ、
次いで身体の前面にも背中に感じるものとは違う柔らかくまた仄かに温かななにか。


ガラッ

淡「あれー? スミレいないねー」

誠子「どこかに出かけたのかな」

尭深「別の場所も探してみよう?」


パタパタパタ

声と足音が遠ざかっていく。っていうかちょっと待て! そこにいるのは世界の根源悪である淡か!
ちくしょう! そこを動くな!


菫「おい須賀! モゾモゾ動くな!」ボソボソ


かなり近い位置から弘世先輩のこれが聞こえる。
まさかこのあったかくて柔らかいものは……。


京太郎「弘世、先輩……だと」モゾリ

菫「こらだから動くなと、あ、ん……」


なにか手のひらに一際やわっこいものが掠めた。
一瞬だが弘世先輩の声に色が混じった。
これはもしや……おもち!?
玄さん、俺やりましたよ。初めておもちに触れました。今晩は赤飯だな。

ようやく理解できた。
ここはどうやら備え付けの押入れの中で、布団やその他の雑多なものに紛れて俺と、
俺に抱えられるようにして弘世先輩が押し込まれているようだ。


菫「くっ、いいか須賀。とりあえずいったんここから出るぞ。貴様を尋問するのはその後だ」


そういって身を捩るが完全にはまり込んでしまっており俺達は抜け出せない。


菫「どういうことだ? 無理矢理とは言え入れたなら出れるはずだろう!?」

京太郎「……」

菫「そんな短時間で人間の体積が大きくなるわけ……」


暗闇に慣れてきた目に弘世先輩の顔が薄ぼんやりと映る。その顔には極大の嫌悪感。


菫「おい、この腰の辺りに当たる硬いものはなんだ?」

京太郎「えっと、その……リー棒とか、じゃないでしょうか?」

菫「こんな大きなリー棒があるか!?」

京太郎「いやいや、わかりませんよ? 大判トランプとかありますし、それにほら悪魔の証明ってあるでしょう?」

京太郎「まずは存在しないことを証明しないと」

京太郎「案外、大きなリー棒とかジョークで作られたりとかも痛たたたったたたっい!?」


弘世先輩が遮二無二にでも出ていこうとして俺の下半身に凄まじい荷重が加わる。


菫「うるさい! こんな不愉快な状況1秒たりとも我慢できるか」

京太郎「ちょっ! ホント、ホントに痛いんですって! 悪魔? 悪魔は実在したの!? 弘世先輩自身が悪魔なの!?」


俺は這い出そうとする弘世先輩の身体をガッチリ抱きしめる。


菫「あ、こら! なにを抱きついている! 離さないか!」

京太郎「いや、もうホント勘弁してください。ホント、マジで」

菫「じゃあこの状況をどうしてくれるんだ?」

京太郎「少しだけ時間をくれませんか? 時間が、そう優しい時の流れだけが僕らを癒してくれるんです」

菫「よし、わかった。君を気絶させよう。そうすればその超局部的体積膨張も解消され、ここから抜け出せる。そこから改めて君を処刑しようか」

京太郎「ひぃ!? なんでそんな実力行使なんですか!?」

菫「心配するな、これでも私は武道の心得があるし人体急所もきちんと把握している。顎を出せ、一瞬で昇天させてやろう」

京太郎「死にますよね!? それ死んでますよね!?」

菫「いいから早くしろ。私はあまり気が長いほうではない」

京太郎「あの、えっと……そうだ! そもそも弘世先まで一緒にここ入る必要なかったですよね!?


必死に捻り出した俺の疑問をぶつけると、押し入れ内に充満していた凄まじいまでの怒気が収まっていく。逸らせたか!?


菫「須賀。貴様、私の胸に触れたな。どう思った?」

京太郎「すみませんだした! お願い殺さないで! 俺まだ命が惜しい……」

菫「いいから答えろ」

京太郎「えっと、なんていうか。やんごとなき手触りで。いやすいません、正直思ってたより小さいというか」

菫「そうか……」


先輩の声には落胆。


京太郎「弘世先輩?」

菫「実は普段のあれはパットだ」

京太郎「」


最初に感じた違和感の正体はこれか。
ってかマジかよ。世界は嘘と欺瞞に満ちていた。もう、もう俺は誰も信じない。世界なんて信じない。


菫「……」

京太郎「あの……じゃあここに一緒に入ったのはそれを他に人にバレないようにってことですか?」

菫「……」コクン

京太郎「隠すくらいならなんでそんなこと……」

菫「元からこうだったわけではないんだ。ある日突然、朝目が覚めたら小さくなっていて……」

京太郎「」


どゆこったい。
アレか? 世界の修正力か? いや知らんけど。
玄さんがいっていたのはこれか。さすがおもちソムリエ、その審美眼に一点の曇りなし。


京太郎「だからってそんな隠さなくても」

菫「だって……」

京太郎「だって?」

菫「恥ずかしいじゃないか///」

京太郎「」キュン

可愛いなぁもう!

菫「だから須賀、できればこのことは他言無用で」

京太郎「わかりました。誰にも言いません」ナデナデ

菫「お、おい//////」


気付けば俺は弘世先輩の頭を撫でていた。


京太郎「は!? すみませんつい」

菫「いや、いい……ちょっとビックリしただけだ」

京太郎「そ、そうですか……」

菫「その、続けてもいぞ……?」

京太郎「え?」

菫「だから、頭、撫でてもいいぞ///」

京太郎「クスッ、はい」


なんだか腕の中に納まる弘世先輩の身体が一回りだけ小さく感じられた。
おおよそ四半刻が経ったころ。ようやく俺達は狭苦しい押入れから抜け出した。


菫「い、いいぞ」


背中越しに声。肌蹴ていたブラウスを正した弘世先輩に向き直る。


京太郎「あの、いろいろすみませんでした」


そしてありがとうございました。


菫「いや、いい。もう……///」


いつもハキハキとした弘世先輩にしては歯切れが悪い。


京太郎「そうですか? けどそれじゃあ俺の気が済みません。いずれこのお詫びは必ず」

菫「君の気が済むのなら、じゃあそれで」

京太郎「はい!」

菫「いいか、念を押しておくがこの件は絶対に他言無用だぞ」

京太郎「はい! 2人だけの秘密ですね」

菫「2人だけ、そうか2人だけの秘密か。ふふ」

京太郎「?」


なにやら嬉しそうだ。ぶっちゃけ玄さんにもバレてたし、案外知ってる人いそうだけども。


菫「頼むぞ京太郎」

京太郎「!? はい! 菫先輩」


いろいろあったが少しだけ弘世、いや菫先輩と仲良くなれた気がした。

―――――
―――

淡「そういえばスミレって胸小さくなったよねー」アハハハ

照「知ってた」テルーン

菫「貴様らあああああああああ!!!」


それはそれは凄まじい折檻だったという。


京太郎「ってなんで俺まで!?」

菫「連帯責任だ!」

京太郎「理不尽だ!?」





みんな忘れてると思うけど、この合宿はインターハイ後の8月中旬から下旬にかけての期間に行われている。
8月といえば我々学生は夏休みの真っ最中なわけだが、っとくれば日本全国の学生諸君の大敵である、
そう夏休みの宿題も当然あるわけである。


優希「うあ~なんでこんな遠出してまで宿題なんてやらないといけないんだじぇ~」

京太郎「そら、お前がぜんぜんやってないからだろ」

優希「こちとらインハイ優勝チームなのに!」

和「たとえそうでも学生の本分は勉学ですよゆーき」

京太郎「事実そうなんだけど、ちょっとその意見には同意しかねる」

京太郎「そっちも悪いね。付き合わせちゃって」

玄「あはは、いいよ。ぜんぜん」

憧「まぁこっちも同じようなのがいるからね」

穏乃「あ~なんでこんなことしなきゃいけないの~」


どこも苦労するな。
そしてもう1人……。


淡「む~ん」


こいつ……。


京太郎「ペンくらい持てよ。やる気ゼロだな」

淡「だって~つーまんないー」アワーン

優希「大体京太郎! なんでお前はそんな呑気にしてるんだじぇ!」ガタッ

穏乃「そうだそうだ! 京太郎はどう考えてもこっち側の人間だ!」ガタタッ


ぎゃーぎゃー騒ぎ出す。いいから口じゃなくて手を動かせ絶頂バカ2人!


京太郎「は? そりゃお前俺は時間だけはあったからな。コツコツやってたんだよ」

京太郎「まぁ大半テキトーに埋めただけだけど」

和「それもどうなんでしょうか」

優希「くっ、のどちゃんや咲ちゃんはともかく京太郎はこっち側だと思って高を括っていたのに」

穏乃「酷い裏切りだよ! こんなのってないよ!」

京太郎「ちょっとその俺も同じタイプ認定やめてくれる? お前らが仲良いのわかったからさぁ。俺そっちのグループ入りたくないんだけど」


優希「春は曙、曙って?」

京太郎「明け方ってことだ」

優希「やうやう白く、やうやうって?」

京太郎「徐々にとか、だんだんととかってことだ」

優希「なりゆく山際、山際って?」

京太郎「山と空の境界線の、っていうかあのさぁ」

優希「なんだじぇ?」

京太郎「一節ごとに聞いてくるのやめてくれない。なんかそういう規約でもあるの?」

優希「そんなのこの文章に言ってほしいじぇ! なんでこんな読みにくいんだ、そういいたいなら最初っからそう書けばいいのに!」

京太郎「いや、うん、まぁ、そうだけどさ、これ古典だし。言い回しってのも覚えると結構便利なんだぞ?」

優希「知らないんだじぇ! 私には関係ないんだじぇ!」

京太郎「だじぇだじぇ言いやがってこいっつぅ~」


穏乃「なんで英語なんて勉強しなくちゃいけないの~」ムーン

憧「なんでって」

穏乃「大体私達は日本人なんだから! 日本語だけで十分じゃん!」

京太郎「地球人だろ地球語勉強しろ」

京太郎「それに日本語の勉強って、それはそれでアレだぞ」

俺はうんうん唸っている優希の方を指差す。

優希「のどちゃ~ん、これ教えて~」

和「この『たなびきたる』の『たる』は、助動詞『たり』の連体形止めで、これは体言止めと同じ働きを」

穏乃「日本語って難しい……」

京太郎「英語といえばさ。俺、以前部長の指令で姫松に遠征に行った事があるんだけど」

憧「ふぅん、それで」

京太郎「そこの主将の洋榎先輩が英語の授業で『I can fly』のlがrになってたらしく」

憧「ぷふっ」


察した憧が小さく噴出す。


京太郎「これって直訳すると『私はからあげになるぞ!』って意味なんだよな」

京太郎「主将これは痛恨のミス! 末原先輩達にしばらくネタにされてたんだわな」

玄「それは、なかなかのなかなかだね……」アハハ


玄さんのリアクションに困ったかのようなぎこちない笑い。わかります。


京太郎「今どうしてんだろな、からあげ先輩」

―――――
―――

洋榎「はっ! 今ガースーがうちのこと考えてるような気ィする」

絹恵「おねーちゃん頭大丈夫?」

恭子「あかんやろなぁ」



淡「クロー、これはー?」

玄「あ、えっとね。これは3ページ前の……これ。この公式に数字を当て嵌めて」

京太郎「あなたそれ20分くらい前にも聞いてなかった?」

淡「だって忘れちゃったんだもーん」


博士の愛した数式かよ……4分の1しか保ててないけど。


京太郎「淡って得意な科目とかあんの?」

淡「ありまへん」

京太郎「え、じゃあ苦手な科目は?」

淡「恋?」アワ?


ぶ、ぶん殴ってしまいたい……。


優希「淡ちゃんがんばるんだじぇ! 私も痛みに耐えてがんばるから!」

淡「ユッキーがそこまで言うならがんばる!」ムン

和「痛みに耐えて?」

京太郎「なんか政治みたいな話になってきたな」

玄「け、けど。京太郎くんって意外と真面目なんでね」


間を取り持とうと話題を振ってくる玄さん。


京太郎「俺って基本どんな風に見られてんだろうな?」

憧「見た目通りでしょうよ」

京太郎「左様で」

和「そういえば咲さんが、須賀君は赤点の補習でインターハイ一緒に行けるか、なんて話を以前してましたよ」

優希「ほら見ろ! ほーら見ろ! やっぱり犬は所詮犬だじぇ!」

京太郎「うっせ! 俺だって真面目にやれば赤点なんて取らねぇんだよ!」

憧「じゃあ不真面目にやったらどうなるのよ」

京太郎「実は中2の一学期にな、クラスの奴と赤点チキンレースなるものをやってな」

憧「なにその聞くからに頭の悪そうなレース」

京太郎「まぁその名の通り、いかに赤点ギリギリを多くの科目で取れるかという過酷な競技でな」

和「あ、大体察しました」

京太郎「まぁ予想の通り盛大にオーバーランしたんだわ俺、その数なんと7つ。で、補習で夏休みの大半を消費しちまってな」

京太郎「咲と約束していたプールだとか夏祭りだとかをほとんどぶっちぎってしまい」

京太郎「これには普段温厚で通ってる咲さんもぶち切れてね」

京太郎「機嫌を直すまでしばらくかかってな、二学期になっても1週間くらい口利いてくれなった」

優希「アホだじぇ」

穏乃「アホだ」

憧「アホね」

和「アホですかあなたは」

淡「アーホー!」


ぼろくそ言うなこいつら。


玄「でもほら、今年は大丈夫だったみたいだし合宿もこうして一緒に参加出来てるから良かったよね!」アセアセ

京太郎「さすが玄さん! 俺のことをわかってくれる高徳の聖者はあなただけだ!」ニギ


俺は身を乗り出し、対面に座る玄さんの手を握る。


玄「はわわわわわ!?///」


急に顔を赤らめる玄さん。熱かったのだろうか。冷房の設定いくつだったっけ?


京太郎「玄さん……」ジッ

玄「京太郎くん……///」ポォ


しばし見詰め合う俺達。


淡「むぅ~いつまで見詰め合ってんの!」ピシッピシッ!


小さく刻んだ消しゴムの欠片を指先で弾いて跳ばしてくる淡。


京太郎「くっ、地味な攻撃ながら心にズンとく来る!?」

玄「……」ニギニギ


ガチャ

晴絵「ん……お! 雁首揃えて何してるかと思ったら」


扉が開き、そこから顔を覗かせたのは赤土先生。


晴絵「ほぉ、宿題とは関心関心」

憧「やだハルエ、そんな教師みたいなこと言って」アハハ

晴絵「教師ですが」

穏乃「センセー! なんで学校ってこんな勉強しなくちゃいけないんですか!?」

晴絵「なんでってそりゃ、将来のためとかいろいろあるでしょ」

穏乃「学校の勉強なんて将来役に立つわけないじゃないですか!」

晴絵「先生もそう思ってた時期があったんだけどね」

晴絵「社会に出てから、これが案外使うから困り物なのよ」

京太郎「先生も苦労してるんですね」

晴絵「ありがとよ」


心底嫌そうにお礼を言われた。


京太郎「どういたしまして」

憧「ハルエはこれから?」

晴絵「灼とちょっとドライブ」

和「そういえば、小学校の頃から気になっていたんですが憧は何故先生に対して呼び捨てなんですか?」

晴絵「私が許可してんの。気安いほうが私も楽だし、年功序列は年寄りに悪しき風習だからね」

穏乃「私は先生は先生って感じだな~」

晴絵「穏乃は良い子だね!」グリグリ

穏乃「あはは、やーめーてーよー!」


口では拒否しつつも決して振り解こうとはしない穏乃。師弟、微笑ましい光景である。


京太郎「ふむ……気安い感じか」

優希「どうしたんだじぇ?」

京太郎「よっしゃ、ハルエちょっと焼きそばパン買って来い!」ピッ!

晴絵「調子に乗るなよ青二才」


先生が去って再びここ。



京太郎「なぁ、俺、今どんな顔してる?」

穏乃「んとね、ストⅡの負けたキャラの顔グラみたいな顔」

京太郎「マジか。ちょっと写メ撮っとこうかな」パシャ

憧「はいはい。横槍入ったけどほら、宿題の続き」パンパン


手を叩いてその場を仕切り直す憧。


優希「ちぇ~このまま煙に巻けるかと思ったのに」

穏乃「憧は容赦ないな~」

憧「このまま見限ってもいいのよ?」

穏乃「やるよ! ゆーき!」

優希「合点だじぇ! しずちゃん!」

淡「スピー……」Zzzz

全員「え?」

玄「寝ちゃってるね」

憧「やけに静かだと思ったら」

京太郎「あの、もうホント俺こいつもう見放したいんだけど」

和「大星さんは寝てしまったようですし、どうしましょうか?」

京太郎「起こす? 起こす!? 鉄拳で!」


俺は右の拳を硬く握り締める。淡を叩き起こせと轟き叫ぶ。


玄「可哀想だよ~こんな気持ち良さそうに寝ちゃってるのに」ナデナデ

淡「ふにゃ……」Zzz

京太郎「じょうがねぇなぁ」ガタ


悪態をつきながら俺は席を立つ。


穏乃「どかしたの?」

京太郎「そのまま寝てて風邪でも引かれても寝覚めが悪いからな」

京太郎「なんかかけるもん取ってくる」


ガチャ、バタン

穏乃「なんだかんだいって優しいよね、京太郎って」

玄「だね~、気配り上手だよね」

和「そうですね。須賀君自身はなんでもないことのように振舞ってますけど」

優希「それがあいつの良いところだじぇ」フンス

和「特にゆーきは日頃からお世話になりっぱなしですよね」


和の声に僅かにからかいの要素が含有されていた。普段の彼女からは珍しい行為である。


優希「ちょ、違うじょ! 私は犬の飼い主として普段から躾を」

憧「とかなんとか言って~ホントは構ってもらいたいだけのくせに~」ニヤニヤ


その空気に便乗し、ここぞとばかりに優希を弄りだす。


玄「あはは、仲良しさんだ~」ニコニコ


一緒になって笑う玄。この人に関しては本気でそう思っているんだろう。


ガチャ

穏乃「お、帰ってきた」

京太郎「ただい、……なにこの雰囲気?」


帰ってきてみると、女性陣はなんともいえない雰囲気に包まれていた。
和と玄さんは楽しそうにニコニコと微笑み、憧は訳知り顔で朗笑している。穏乃だけは平常運転。
優希だけがなにやら納得いかないといった顔で俺を睨んでくる。心なしか顔も赤い。何故だ?


京太郎「なに怒ってんのお前?」

優希「なんでもないじぇ!」


怒鳴られた。不合理だ。


憧「それよりかけるもの取ってきたんじゃないの?」

京太郎「おっとそうだった」


憧の指摘で本来の目的を思い出す。


京太郎「タオルケットみたいな手頃なものが無かったからダンボール持ってきた」

憧「何故そうなる」


俺は畳んであったダンボールを広げ、底辺だけをガムテープで止めると即席で箱を組み上げる。


京太郎「そうだ、名前も書いといてやろう大、星、淡っと」


油性マジックで側面に超前衛的な字で署名をしておいてやった。


京太郎「どうだこの特別仕様感。きっと喜ぶぞこの天然記念物バカは!」


ダンボールといえば咲のアイデンティティーだが今回は同い年のよしみで見逃してもらおう。
俺は机に突っ伏して寝ている淡の上にそっとダンボールを被せる。
うん、完璧。


和「あれは絶対根に持ってますね」

憧「淡が起きた後がさぞ見ものね」


不穏当な会話が聞こえるが華麗にスルー。


              ___________
            .... -‐'''¨´        .... -‐''''¨^|
          | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|        |
          |                |        |__
          |                |  大星淡.  | /  <Zzz…
          |                |       .. ''´
          |________|_.. -‐'''¨´
            /             /
        '――――――――'




京太郎「『だよー』、『なのよー』、『ですよー』……『三よー』!!」

和「なにを言ってるんでしょうか彼は」

憧「あたしに聞かないでよ」

穏乃「わかった! つまり『よー』の部分がかかってるんだ」

京太郎「さすが穏乃! よくわかってくれた、俺のこの難解なギャグをよくわかってくれた」

玄「わかる?」

優希「さすがに無理だじぇ」

穏乃「understand、う、うんだー……?」

京太郎「アンダースタンドな」

穏乃「意味は?」

京太郎「理解する」

穏乃「ほうほう。り、か、い、す、る……っと」

京太郎「ちなみにアンダー(下)がスタンド(勃つ)するって意味じゃないぜ! アンダスタン?」

憧「ちょっと、京太郎ちょっと」

京太郎「なんじゃらほい」

憧「黙れ」

京太郎「はい」

穏乃「さぁいい具合に場が白けてきたところでなんかして遊ぼう!」

憧「いやシズは宿題やりなさいよ」

優希「今日はもう十分やったよ! もうそろお開きでいいと思うじぇ」

京太郎「そんんだからお前らは、今この結果があるんだろうが」


厳然たる事実がそこには横たわってますよ?


京太郎「そんなんで休み明けのテストとか大丈夫なんか?」

穏乃「大丈夫! 私、本番に強いタイプだから」

優希「私も私も!」

京太郎「ホントか~」


自信満々で言ってのける穏乃に怪訝な視線を向ける。


穏乃「ホントだよ!」

京太郎「じゃあ得意な科目は?」

穏乃「ずがこーさく!」


『折り紙』とは、
正方形の色紙を決まった手順で折り動植物や生活用品などを形作る日本伝統かつ、日本起源の遊び。
古くは千代紙と呼ばれる和紙を使用した。
もっとも一般的な正方形の紙を使用する不切正方形一枚折り。
いくつかの部分に分けてそれを組み合わせる複合折り。
紙に切り込みを入れて角の数を増やしたり一部を切り取ったりする切り込み折り。
形作ったものを動かせる玩具として作られた仕掛け折りなのどがある。


憧「ってなんであたしたち折り紙なんてやってるのよ」

京太郎「そらお前、穏乃が工作得意だって言うから」


完成した風船を机に置く。


京太郎「まぁいった本人はアレだが」

穏乃「うにゃ!? またズレた!」

和「…………」バババババババババ

玄「和ちゃんは折り紙を見た瞬間、折鶴職人みたいになってるね」


和の周りには出来上がった折鶴が群舞となって散乱する。

京太郎「ああ……いるいる、クラス1人はこういう女子」

和「ふぅ……」


一段落したからか洗脳が解けたのか、和は忙しなく動かしていた手を止め額を拭う真似をする。


京太郎「和はなんていうか、……すごいね」


俺が賛辞を送ると、和は今で見たこともないような朗らかな顔で笑う。


和「そうですか!? 私、折鶴には少し自信があるんです!」


やや興奮気味に詰め寄ってくる。こんな和かつてないな。


和「実は『秘伝千羽鶴折形』も愛読してまして」


なにそれ? 魔導書?


和「これは原本はもう手に入らないんですが、改訂版が出版されてて」


なんだこいつの目。目が離せねぇ、キラキラ輝いてまるで星みたいな……。


玄「そういえば和ちゃんがまだ吉野にいたころ」

玄「赤土先生のお誕生日会をやろうってなった時もこんな風に折り紙で飾り付けとかしたよね」

憧「やったやった。色紙切って連環にして飾ったりね」

穏乃「花とかも作ったよね。紙だけど」

和「懐かしいですね」


言葉の通り、昔を懐かしむように和が目を細める。


玄「またこうやってみんなで集まれたらなってずっと思ってたから、とっても嬉しいよ」

憧「ま、それもシズの行動力のおかげかしら」

穏乃「憧は最初、断ったくせに~」

憧「もう! そのときの話はもういいでしょ!」

玄「あははは」


幼馴染組が仲良く談笑しているのをよそに俺は何かに没頭している優希を観察する。


京太郎「それ、さっきからなにやってんの?」

優希「これか? ふふふ、見ろ! 折り紙で作ったタコスだじぇ!」


優希はドヤねん顔でその白と緑と赤と橙の色紙を重ねて折っただけの物を俺に突き出してくる。
眼前の物体を反芻するがやっぱり白と緑と赤と橙の色紙を重ねて折っただけの物にしか見えない。


京太郎「いやどう見ても色紙を重ねて折っただけの物にしか見えんのだが?」

優希「犬の目は節穴か! よく見るんだじぇ!」


そういって優希は同じ物を大量に作り出す。
なんだこの不毛な生産光景……。


京太郎「よし! お前のそのタコスに対する飽くなき執着心はわかった。ちょっと待ってろ!」


それだけ言い残すと俺は再び部屋を出て行った。


穏乃「またどっか行ったね」

和「ゆーき。まさかまたなにか無茶を言ったんですか?」

優希「言い掛かりだじぇのどちゃん! 私はなにも言ってないじょ」

憧「どうせいつもの発作でしょ? 放っておけばその内戻ってくるわよ」

玄「て、手厳しいね……」アハハ


トン

憧「あ、玄それ……バラ?」

玄「うん!」

穏乃「へぇーよく出来てますね」

憧「これ難しい? 簡単?」

玄「簡単だよ。慣れれば2分もかからないくらい。良かったら教えようか?」

玄「他にもアサガオ、アジサイ、コスモスとかもあるよ」

穏乃「教えて教えてー!」

憧「玄先生教えてくださーい!」

和「この感じ……」

園児『のどか先生ー!』ワーワーキャッキャッ

和「~~~///」ポワァー

玄「和ちゃん?」

憧「なんか咲いてる」


ガチャ

京太郎「待たせたな!」

穏乃「遅かった
じゃないか」

俺は開いた片手で後ろ手に扉を閉めつつ、もう片方で持っていたトレイをテーブルの上に置……こうとしてその異常性に気付く。


京太郎「って、うお!? なにこの薔薇園? ちょっと退けて退けて」


俺が手で横に退けるようにジェスチャーを送ると、女性陣によってテーブルにスペースが作られそこに持ってきたトレイを今度こそ置く。


穏乃「なにして来たの?」

京太郎「これよ!」


トレイの上の皿に山積みにされいていたのは、


優希「タコスだじぇ!」


言うが早いか、優希の手がサッと翻り我先にとタコスを頬張る。
後、ついでにみんな喉渇いたんじゃないかと思ってお茶淹れてきた。


京太郎「どうよ優希、これが本物のタコスだ」

優希「ん、ん~?」


咀嚼しながら、自身が先ほど作っていた良くわからない紙の集合体に目をやる優希。


優希「んぐ、なんだぁ!? この紙切れはぁ!!」


そういって紙切れをテーブルに叩きつける。


京太郎「いや、それお前が作ったんだろ」

穏乃「これ私たちも貰っていいの?」

京太郎「おう! たくさん作ったからいっぱい食ってくれよ」

和「ありがとうございます♪」

玄「いただきます!」

憧「それにしても見事な手際ね」

京太郎「慣れりゃ簡単なもんよ」

憧「高1の男子が料理に慣れって……」

京太郎「いや~、実は1学期の家庭科の調理実習と裁縫の実技でA評価を貰ってしまってな」

京太郎「これは喜んでいいのかどうか……」

和「ま、まぁ成績が上がるのは良い事ですよね?」タジ

京太郎「そういうそっちはどうなんだよ。一応、女子高だろ?」

憧「あたしはそれなりには出来るわよ」

玄「旅館のまかないは私の担当ですのだ」


優希「タコスうまー!」バクバク

穏乃「これなら毎日でも食べたいよー!」バクバク


こいつらはダメそうだ。


優希「やはり犬のタコスは絶品だじぇ、まぁそこにこそ価値があるからな!」

京太郎「お前は俺を全自動タコス製造機かなんかと勘違いしてないか?」

憧「前脚の使い方がお上手だものね」


そう言いながら憧が俺の右手の甲を摘んでくる。それを振り払いつつ、俺も負けじと言い返す。


京太郎「お前もさり気無さを装うことなく俺を犬扱いするんじゃねぇ」

憧「そうね、犬の方が賢い物ね」プクク

京太郎「玄さん! あいつが、あいつがー!」


悪びれる素振りを見せない憧を指差しつつ、玄さんに泣き付く俺。
この上なく情けない光景だが、そんなん知るか! 俺は味方がほしい。


玄「もう! そんな言い方ダメだよ憧ちゃん」ナデナデ

京太郎「そうだよ! 憧ちゃん!」

憧「ちゃっとなにいきなりちゃん付けで呼んでんのよ!」

京太郎「だって~」

玄「女の子だも~ん」

京玄「「ね~♪」」


そういって笑い合う俺と玄さん。うん、見事なコンビネーション。


憧「しゃぁぁ~~らくっせぇぇぇぇ~~……(巻き舌気味)」

穏乃「ぶふぅ!? ちょ、憧! 顔、顔!? すごいことになってる!」


放送コードに引っ掛かりそうな凄まじい、筆舌し難い憤怒の形相を浮かべる憧。
マジで怖いんだけど。



京太郎「よっと、これで完成」


玄さんに教えてもらった通りにバラを折る。
顔に真っ赤な紅葉を浮かべながら赤いバラを折る俺。う~ん、マンダム。


京太郎「ちょっとよれてるかな?」

玄「そんなことないと思うよ?」

和「須賀君は本当に器用ですね」

京太郎「こういうチマチマした作業は昔から得意なんだよ」

京太郎「なんか俺の人生そのものみたいで」

和「嫌な表現ですね」

京太郎「しかし、これはちょっと作り過ぎじゃないか?」

穏乃「調子に乗って遊びすぎたね」


俺と穏乃は今やすっかり忘れ去られた眠れる淡、
その淡が被るダンボール箱に作った花や鶴、連環や切り紙のレリーフを糊で飾り付けている。
なんか邪教の祭壇みたいになってきたな。


淡「ふにゅ……」Zzz


俺は細く切った紙に花やレリーフをくっ付け即席の花冠を作る。
それをソッと、穏乃の頭に載せる。


京太郎「結構似合うじゃん」

穏乃「任しといて」フフン

京太郎「うん?」


溢れかえる折りバラの中に1つ珍しい物を見付ける。


京太郎「なんか青いバラが混じってるぞ」

玄「ホントだね」

玄「そういえばブルーローズは自然界には存在しない花という事で、花言葉には『不可能』や『奇跡』って意味があるらしいよ」

玄「後、『神の祝福』とか」

玄「もっとも今は品種改良が進んで実在するそうなんだけどね」

和「なんだかロマンチックですね」

京太郎「玄さん詳しいですね」

玄「おねーちゃんがお花とか好きで、一緒に見てたら自然とね」


あー、なんか納得。


憧「へぇ。で、誰がこれ作ったの?」

穏乃「あ、それ私」


なんでもない事のように普通に穏乃が手を挙げる。


京太郎「え”」

憧「しししし、シズがバラを創造した!?」

和「しかしこれはなんとも見事の川崎ローズ!」

京太郎「まさに奇跡!」

穏乃「いや、それアサガオのつもりだったんだけど」

京太郎「え、なに? お前んち実は錬金術師の家系なの? とうとう摂理超えちゃったの?」

穏乃「いえ家は代々和菓子屋ですが?」

穏乃「だって私、山登りばっかりしててこういうのあんまりやったことないんだもん」ブーブー


お前さっき得意科目は図画工作って言ってたですやん。


京太郎「なに、じゃあそんな小さい頃から山に登ってたのか?」

穏乃「そうだよ! 吉野の街の子は5歳も過ぎればみんな山で修行して育つんだよ!」

京太郎「……」チラッ


俺はさり気無く穏乃の同郷の友に視線を送る。


憧玄「「」」ブンブンブンブンブンブン!!


すげー勢いで首を左右に振る阿知賀メンバー。
さすがにそのレベルはお前だけらしいぞ。


穏乃「いやー、うち、おかーさんがさぁ『穏乃はもっと女らしくしなさい! 山は危ないから無闇に入っちゃダメ!』って」

穏乃「その抑圧された感情が、ね? だから私、日頃からいかにして山に行こうかってそればっかり考えてたよー!」タハー

京太郎「猛獣かお前は」

和「花言葉って面白いですよね」

憧「いろいろあるわよね。しかも大体2つ通りで、意味が反転してたりするの」

京太郎「タロットに通じる物があるな」

玄「たとえばこの黄色いバラだと、『友情』または『誠意がない』とかかな」

京太郎「なんか今日の玄さん格調高いね」

憧「友情、誠意がない……」

憧「京太郎は後者かしらね~」


したり顔でそんなことを言う憧。


京太郎「どーゆー意味かなそれ?」

憧「言葉通りの意味だけど」

京太郎「おいおい俺は誠実さと爽やかさと透明感でここまでやってきたんだ」

憧「ああ、モテない男が大事にしてそうな語群ね」

京太郎「言ったなこの野郎っ!! ちょっと澄ましたキャラ気取りやがって実はこっそり絵日記つけてるくせに!」

憧「ななな、なんであんただそんなこと知ってるのよ!? 見たの!? 読んだの!?//////」カァァァ

京太郎「穏乃に教えてもらった」ケロ

憧「シィィィィィズゥゥゥゥアァァァァァァ!!」

穏乃「うわぁぁこっちに振るなぁ!?」

和「もう! どうしてあなたあなた達は仲良く出来ないんですか」バン


机を勢いよく叩きさすがに和が仲裁に入る。


京太郎「い、いや待て和。これは俺と憧なりのスキンシップなんだよ!」アセアセ

憧「そうそう、仲の良さって別にベタベタするだけじゃないと思うのよね!」ワタワタ

和「本当ですか~?」ジトッ


うろんげな表情でこちらを伺う和。
あ、これぜってー信じてねぇ。


京太郎「憧もほら、嘘でもいいからいっぺん俺のこと好きって言ってみ?」

憧「え~しょうがないな~」


まさに不承不承を絵に描いたような表情である。


憧「コホン」



                _. .-. . . . ̄. .゙. . . 、
             , '´: . . . . /. . . . . . . . . .ヽ
            /:;ィ´: : : : :/: : : : : : . . . .ヽ. .\
        _,-─tァヽゝL:_/_:,': : : : : :|: : : : . . .゙ . . ヽ
      ,〃,r‐'7ハ: レ!__,'_ : ;イ | : : : /!!: : : : : ヽ. l . . .、
      /:〃  l: ト、|:.|: ハ Tハ!:|: : : :{ ||: : : :.|: |:゙. .!_l |ミヽ、
     ,':./   !: |: :|::LL_ヽ| !:||: : : ! |'T:‐:-|、: :|: ト、 !| \:ヽ
     ,':/    .|:.:|: :| ハチ≧ト、|ハ: : :!土_ヽ: :|: |: !:.|. .ヽ!!  ヾ.、
    ,'/     λ:.r=|: |.{:;;::Cヾ  ヽ|チ不≧!/! |: !. ./,'|    ヾ:、
    |l     ハ: | (!: !`ー''     { {゚:;;:C |>|:.!:.|,:'./|j     ヽl    好きよ、京太郎。
    ||    |: :|ヽト、!:.!xxx   '   ` ー'' ,イハ|: |:/.:l      ||
    |:!.    |N:l:.ミト、!:.|  、     xxx /ノノ !:.|: _;|      |:!
    |:l  r、 .N:.ト {ヽ: !、    ー    ,イf.l´.:.:|:.j//ハ      l:.|
     i!:|  \\:|:゙、| |:ヽ:|:>、_ .... -≦|:.:.:.| !:.:.:.|,.'/:.:∧      .|:.|
.    从!   l\\:| |: :l: !:|      |ヽ|: !:.:.:.| |: :/ ,イ|:゙、:ヘ      !:.|
    ハ:ト:l   Lf~ヽ `_ヽ_:!|ヽ    ||、-、ヽ:_L`_r"∠!: :!:∧    |:.:!
   ,' :|::!ミ、 | >、ゝ.|´ヽ ヽヽ:ヽ-、 ,.r!::>‐'{ | |ノ|ノ7: |:.:.ヘ.   ,':.:|!
   |,' |!| ヾ,へ.ヽハノ、/ ̄`ヽヾ´ ̄`|::::\_ヽ_!__! .| /|: :.!:.: ∧ ./:.:.:!i!
   |i| !:|  |\,ゝ       |: :ヽ  |::::/´   /` ̄ヽ: |:.: :.∧/:.:.:.:||i!


言わせておいてなんだけど凄まじく疑わしい。


京太郎「本当かよ」

憧「いや、嘘だけど」

京太郎「嘘とか言うなよ」

憧「いや、だって嘘でも言えっていったじゃない」

京太郎「憧ってもしかして俺のこと嫌いのか?」

憧「好かれてるとでも思ってるんなら京太郎の頭はおかしい」

京太郎「」


なんだこの一連のやり取り。


和「嘘をつきましたね。嘘をついた須賀君には罰を下します」

京太郎「え!? 嘘ついたの俺じゃなくね!?」

和「言い訳は聞きたくありません。罰として原稿用紙3枚分の反省文を書いてください」

和「もしくは『将来の夢』をテーマに作文を書いてください」

京太郎「うう、僕の将来の夢は~……」カリカリ


俺の将来の夢か。
やはりそれを語るに当たって欠かせないのが俺の中学生の頃の話だろう。
それは遡ること3年前……ブツブツブツブツ


ガチャ

咲「こんにちわ~」

和「咲さん?」

優希「んぐ、いや~食べた食べた」

穏乃「まだ食べてたんだ……」

憧「あれ? 咲ってチャンピオンと出掛けてたんじゃなかったっけ?」

咲「うん、そうなんだけど。今帰ってきて聞いたらみんなここだって」

玄「おかえり、紅茶飲む?」

咲「あ、ありがとうございます」

玄「どういたしまして♪」

咲「ところでさっきから京ちゃんはなしてるの?」

京太郎「ん? おお、咲か。今ちょうどお前の自叙伝書いてたところだ」

咲「なにしてるの!?」

京太郎「タイトルはこう、単純に『咲』と」

京太郎「いや、これは過去話に当たるわけだからなんか副題つけるか『咲~過去編~』。いや、『咲~中学生編~』

京太郎「ん~『咲-Saki-中学生編 episode of Once Upon a Time 在りし日の二人』ちょっとくどいかな? いやいいか」

京太郎「これは面白い! これは売れる!」

京太郎「皆さんも是非、お茶の間の皆さんも是非これ買ってくださいこれ。全国の書店にて絶賛発売中!」

和「誰に向かってしゃべってるんですか?」

憧「壁のほう向いてることはだけは間違いないわね」

京太郎「あれ? 俺今なにしゃべってた? なんか一時のテンションに身を委ねてわけのわからないこと口走ってた?」

咲「うん。そこだけは間違ってないね」

京太郎「まぁいいや。どうせここ編集でカットするし」

憧「残念これはライブ中継」

和「人生に編集点なんてそんなオカルトありえません」


僕の将来の夢は本の印税で優雅に暮らすことです。


咲「なにこれ?」


咲が怪訝な表情を向けたのは邪神崇拝の祭壇。……ではなく淡が被るダンボール箱。


京太郎「バカ! 不用意に近付くなその下には世界によって封印された暴虐の邪神が眠ってるんだ」

京太郎「静かに、静かにこっちに来い」

咲「う、うん……」


頷くとゆっくりと戻ってくる。……と。


ガタッ

咲「あ……」


咲が淡の座っている椅子に脚を引っ掛けた。


京太郎「あ……」

淡「う、う~ん」


呻きを零しながら、ダンボールがモゾモゾと鳴動する。


淡「あわ!? なにこれ暗い!?」

淡「なにこれ? なにこれ!?」


ガタガタと動くダンボールもとい、淡。


優希「京太郎の仕業だじぇ」ボソ


あこらバカ! 優希てめぇなに火ぃくべてんだよ!?
動きがピタリと止まる。
ダンボールの天面に貼られたガムテープが白磁のような10本の指で押し上げられ、
張力限界を超えて剥がれ落ち、蓋の部分がゆっくりと開かれる。


淡「キョォォォォォォタロォォォォォォォ…………」


地鳴りのような底冷えする声。現れたのは髪を大きく逆立て、口元は憎悪に痙攣し、眼球には毛細血管が浮かんでいる、
これでもかというほど装飾のあしらえられたダンボールを胴体とし、赫怒の炎を背景効果に纏った異形の邪神がそこにいた。
麻雀の対局中ですら、こんな激烈な殺気を放っている奴になどいまだかつて出逢ったことがない。


京太郎「なぁ、俺、今どんな状態になってる?」

穏乃「んとね、わかりやすくいうと小説版デビルメイクライのギルバ」

京太郎「つまり包帯でぐるぐる巻きってことだな?」

和「わかりにくいネタ持ってこないでください」

淡「ふんだ!」バクバク

京太郎「ちくしょう、愚かしいほどの真摯な善意でやったことなのになんでこうなるんだ」

淡「そりゃ寝たのは私だけどさ! ダンボールは無いでしょダンボールは!」

京太郎「だから手頃なもんがなかったんだって」

淡「じゃあ、……その、上着とかでもいいじゃん」ボソボソ

京太郎「え? なんだって?(難聴)」

淡「なんでもないもん!」

優希「すまんじぇ淡ちゃん、うちの僕用犬が」

淡「ううん。ユッキーは悪くないよ」フルフル

京太郎「わかるぞ、その『ぼくよう』って字が牧羊じゃなくて『しもべ』って意味の僕ってことが俺にはわかる」

優希「うっさじょ犬」

淡「そーだそーだ犬~」

京太郎「なにこの仕打ち。ちくしょう淡まで俺を犬扱いしてきやがる」

淡「犬~犬犬犬犬犬!」

京太郎「あ? 俺が犬ならじゃあお前は猫か?」

淡「私のどこが猫なのよ!」

京太郎「その自分勝手なところとか、気分屋なところとか、後エサやってるとき以外はまったく可愛げないところだろうが!」

淡「ふ~んだ、猫らしさっていうのは自分でルールを決める自由さ。飼い犬とは違うのよこの首輪ヤロー!」

京太郎「こっの……はぁ、なんか疲れた。これやるから機嫌直せよな」


俺は手元に残っていた折りバラの中から白いバラを1つ取り上げ淡の頭に載せる。


淡「ふん、こんなんで誤魔化されるわけ、」

玄「淡ちゃん、淡ちゃん」チョイチョイ

淡「なぁに? クロ」

玄「白いバラの花言葉はね、『私はあなたに相応しい』って意味なんだよ?」ボソボソ


淡の目が見開かれる。玄さんがなにやら耳打ちしているが俺の位置からでは聞き取れない。


淡「もうもう! しょうがないな~キョータローは~」アワアワ


え?! なんか一瞬で機嫌が直ってるんだけど? 白いバラを手に握り360度どこからどう見てもニコニコ顔である。
視線を向けると、玄さんが指でOKの形を作りサインを送ってくる。
よくわからんがさすがベスト・オブ・マイフレンズ。


京太郎「そういえば、一番代表的な赤いバラの花言葉ってなんなんですか?」

玄「え?」


俺の質問に、玄さんは一瞬虚をつかれたような顔になる。


玄「え、え~とそれは……///」


口ごもる玄さん。
え? そんな言いにくいことなん? 
映画や小説でもよく贈り物とかになってるし良い意味なものだとばかり思ってたけど実は不吉な意味があるとか。


和「あ、それなら私も聞いたことありますよ。確か……」

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      i: : :/ リ/i \_  ´ー ′ /|:.:|:|.: : :|
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            ̄´  |∧  {  Vリ ∨'   Vり /' /- }  / }
               / 从ム   ,      ム,イ-、/l ,
                  :.            r ' /|/
                 八   __ _     / /
                     、         イ Ⅵ
                    \___  イ   |ヽ
                   「 、 |    r <///|
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        {;  |::::|八::::i≫ぅ斥   \  r'::ノrい》:::::::::Ll:::::::::|::::
         |::::|:::::ヽ《 r'::ぃ       ∨:.(ソ |::::::::::ト|:::::::::|:::::,
         |::::l::::::::::  V(ソ          |::::::::::|:!:::::::::|:::::′
         |::::i::::::::小 ,,,   ,     ''''  |::::::::::|j::::::::::|::::::::
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          /  ゝ _ ノ              \ 、 \
         ′     「   l   |   | ヽ ヽ    X x ヌ
            |     |l    j| }  |   |  j  ヽ   ぃ ヽヌ
            |   ′ j|   从/ /}I  j|  }   ハ    ぃ  リ
            |   ′ 〃  孑天らリ ノノ ノ「乏らメ、 }  ぃ
            | / //    |ィ爪示らヽ     イ示うヽル  ハ
        .ノxイ{l  !    |{ |i:::::℃|       !:::℃} ||   j| !
           |l  !  l刈 弋辷:ソ     弋zソ !| l| 八}
           || jI jl ハ⊂⊃  r──‐v⊂⊃ 从ハリ ヽ
            .ノヽ八从乂> . _  ゝx‐'x ノ _ .≠   _
                 ≪.:.:.:.:ア二二ニフ"       つ ま ~
                    / ≫/⌒}   {⌒ヽ、
                / /{ (  )    (    )}
                 〈    \ヽ/ー===ゝ=彡′


           -‐==‐-
         ´            `
      /             ヽ

     / ,      !   :  |   |     i
.    / |i  , ‐‐i|  .:ト、_|‐‐ |  :i|  |
    l :/:|i  | |/八 .:|     | |  :i|  |
    |/ :〔!|  N ○ \|  ○ |ノ  ,リ
.   〔 八! l圦 ,,   '   ,, l //  |
       N |  .   ワ   . ∨/  .:|
        ヽ|:| l_≧=ァ≦ト /_,′  八
       ノ厂| l  〔,   / / `丶、 `
      /∧ i| |  「⌒ / /  /∧
    / イ′ j ト、∧  / ′´ .イ
   :'  /    | |\ハヒ/| |ニニ/   〉    :
  /  ノ〈    i i   >ニ| |  ´y'    !     |
  .' /   〉  / j / ノ<i| |  〔___!   ト、〕
. 〔′|  `ー‐'  ///  | |  i| Υ─|  | .′


/`ヽ            .  - ─ ─-  .
 /`ヽ   . - ───<_人 _ : : : : : : : : :.┼  .
/  /´    __.rr.─‐┐ノ:´Y´ .: : : : : : : : :_ 人 _: \
し '   r<´  |ll:    | : : : : : : /. : : : : : :.`Y´. : : : ヽ
   } └ .─ ┴‐─ ┴,. : ://: : : : / : : : : :!: : : : : _人_
、 .斗 ‐‐─ァ── <:./: :/: /: /: : /: : : : :.:/:i: : : : :.`Y´
 > ´  ̄ フ./: : :/: : :.// :./_:/_:/:_: /. : : : : :/:/: : :! : : : ∧
___..斗< /: : :/i: : : :{: : /: /: /: : /`ヽ. :./:/: :i: :.! : : :/:∧
.       /: : /´:!: :.:从: :芹竿ミx.:|: : :./:/:`メ: :.! : :/:/:.∧
     /: : /!/ |: : : |人{弋 _メckj /:/:/. :ム:リ :/:/: /:.∧
.    /: : /人.N: : : |  ⌒ ー ''     「笊ckくj /:/:./: /:.∧
    /: : //: : ヽ!: : :.| """"        辷..ソXl|: : :/: /: /:.∧
.   /: : //__人_:j: : : |        ,   """ノリルイ⌒ `ヽ/:.∧
  /: : //: :.`Y´.|: : : ト、    、_       /. :i: :.:|      `マ}
ー/: : //: _人_: :.j: : :.:|:.|\     ー '     . イ. :人_ |    i
∨`Ⅴ「ー`Y´─.! : : |:.|.  \    .  イ: :.!:.`Y´. ! ___ 人 ___
 \ \       !: : ::l:.|     ̄「:i: : : : :j: :.:|: : :l: :.:l   `Y´
   \ \    从: :.j:.|      |N\: : :l: : :!: :.リ:.:.リ    l
      ト、\   人: l:.|      } jト、 \j : リ: :/: :/
     | .\ \   ヽ j\ _ _j ハハ  ` <': :./
     |:::\\ \     \   ⌒ } i    `<}ト、
     |: :: :::\\ \      \   .N      // ト、


たぶん今の俺達は外人四コマの2コマ目みたいな顔してるんだろうな。


和「ああああああああああ//////」

和「だったような気がするんですが、咲き方とかによってもいろいろ違うみたいでえええ///」

京太郎「へぇ」

和「あの、須賀君」

京太郎「ん? なんだ和」

和「人生の編集点ってどこで入れれば良いんでしょうか?」

京太郎「そうさな、やらかしちゃった時点から大体10秒前くらいに血痕が落ちてるから。まず、それを回収して……」

照「……」タコスー