京太郎「これを机に仕込んで…」

京太郎「おおっ!?チョコが入ってる!一体誰が…」

京太郎「………」

京太郎「俺は何をやっているんだ…」

京太郎「もういい。食っちまえ」ベリベリ


咲「おはよう、京ちゃん」

京太郎「おー、咲か」モグモグ

咲「…えっと、京ちゃん、それは……」

京太郎「ん?これ?チョコ」

咲「……一体誰が……私を出し抜こうなんて……」

京太郎「なんか言ったか? 咲」

咲「……京ちゃんそれ誰からもらったの?」

京太郎「あ、いやこれはだな……その……」

京太郎(チョコもらえないだろうから自分で作ってきたなんて口が裂けても言えねえ……)

京太郎「わ、わかんないんだよそれが。メッセージカードも入ってなくてさ」

咲「……」

京太郎「はは……」

京太郎(ろ、露骨に怪しんでる……!)

咲(メッセージカードが入ってない……?)

咲(入れ忘れたのか、それともあえて入れなかったのか……)

咲(でもそんなことする必要あるの……?)

咲(あ、もしかしたら後で打ち明けるつもりなのかも……)

咲(はっ! そしてその時に京ちゃんに告白を……!)

京太郎「い、いったい誰だろうな。おっちょこちょいにもほどがあるぜ……」

咲「京ちゃん、机の中まだ全部見てない?」

京太郎「ん、ああ。まだだけど」

咲「……見てみて」

京太郎「え、なんで?」

咲「いいから」

京太郎「わ、わかったよ」ガサゴソ

咲「……」ドキドキ

京太郎(まあ、実はさっき見たからもうひとつあるのは知ってるんだが……)

京太郎(もしや、咲も知ってたのか?)

京太郎「……お、またチョコだ」

咲「!」

咲(私の入れたのと包装が違う!)

咲「き、京ちゃんそれ誰から!?」

京太郎「え、」

咲「ねえ誰!?」

京太郎「さ、咲がどうしてそんな知りたがるんだよ」

咲「京ちゃん!」

京太郎「わ、わかったわかった。ちょっと待て」ベリベリ

咲「……」

咲(誰……? まだ他にも京ちゃんにチョコを渡した子がいるの?)

咲(京ちゃんなんて女の子から全っ然モテそうにないのに!!)

京太郎「えっと、はらむら……原村和!?」

咲「!!」

咲(の、和ちゃんがどうして!?)

京太郎「『ずっと前から好きでした。受け取ってください』……だと」

咲「そ、そそそそそれって……」

咲(こ、告白!!?)

京太郎「え、これマジ……? ドッキリとかじゃないよな?」

咲「ちょっとそのカード貸して!」ガシッ

京太郎「お、おい!」

咲「……」

咲(和ちゃんの筆跡……間違いない。けどどうして?)

咲(和ちゃんも京ちゃんが好きだったっていうの? そんな素振りまったくなかったのに!)

京太郎「咲、返してくれよ」

咲「う、うん……」

咲(そんな……和ちゃんがライバルだったなんて)

京太郎「うへへ……マジで和のやつ、俺のこと好きだったのかあ……」

咲(和ちゃんは頭もいいしカワイイ……私じゃ勝ち目なんてないよ……)

京太郎「……ん?」

咲「……!!」ガサゴソ

京太郎「お、おい! なに人の机荒らしてんだよ」

咲「……じゃあね、京ちゃん。お幸せに」

京太郎「え、」

タタッ

京太郎(今、チラッと箱みたいなのが見えたような……)

京太郎「ま、いいか。それよりも……」

京太郎「おい友彦! お前チョコもらったか?」

友彦「あん? そっちはどうなんだよ」

京太郎「フフフフフ……聞きたいか?」

友彦「気持ちわりぃな。はよ言えや」

京太郎「ほらよ、じゃじゃーん!」

友彦「……悔しいがよかったじゃねえか。相手は咲ちゃんか?」

京太郎「ちげーよ! なんでそこで咲が出てくんだよ!」

京太郎「聞いて驚け。相手はなんと……あの和だ!」

友彦「はぁああん!? 和って、原村和か!?」

友彦「おい嘘だろ! 証拠見せろ証拠!」

京太郎「このメッセージカードにちゃんと書いてあるぜ」スッ

友彦「マジだ……すげえ」

京太郎「へっへーん、だろ?」

友彦「返事はどうすんだよ」

京太郎「もち、ふたつ返事でイエス! 決まってんだろ?」

友彦「そりゃそうか。しっかしお前があの学年一の美少女となぁ……」

京太郎「羨ましいか、友彦ちゃんよぉ?」

友彦「……お前、浮かれてるようだが咲ちゃんはどうすんだよ」

京太郎「は? だからなんで咲が話に出てくんだよ」

友彦「……いや、なんでもね」

京太郎「気持ちわりぃな。教えろよ!」

友彦「そんくらい自分で考えろ」

京太郎「はぁ?」

友彦「それより早くそれしまっとけよ」

京太郎「ん、ああ」

キーンコーンカーンコーン

京太郎(にひひ……放課後の部活が楽しみだぜ)

京太郎(あれ、そういや咲戻ってきてないな)

京太郎(具合でも悪くなったのか? あとで保健室に様子見に行ってやるか……)




放課後

京太郎(結局保健室にはいなかったし、咲のやつどこ行ったんだろうな)

京太郎(メールしたけど返事ないし)

ガチャ

京太郎「ちわーっす」

まこ「おう、きたか。遅かったのう」

京太郎「数学の授業が長引いちゃいまして。すんません」

久「いいわ、とにかく四人そろったんだし半荘打ちましょ」

優希「……」モジモジ

京太郎「? 優希、お前元気ないな」

優希「ひゃっ! な、なんだじぇ?」

京太郎「いや、いつもより元気ないなって」

優希「そ、そうか? そんなことないじょ……」

京太郎「ふーん、ならいいけど」

優希「……」

まこ「部室きたときからずーっとこうなんじゃ。どこかソワソワしちょって」

優希「そ、染谷先輩!」

京太郎「そうなんすか?」

まこ「ああ、いったい誰のせいじゃろね」ククッ

久「さぁね~」

京太郎「??」

優希「……///」

京太郎「あ、あの」

まこ「ん? なんじゃ」コトッ

京太郎「和って、まだ来てないっすよね?」

久「来てないけど、どうしたの?」コトッ

京太郎「い、いや、別になんもないっすよ!」

京太郎(授業が遅れてんのかな。メールは……来てないか)

久「……?」

優希「……」コトッ

京太郎「……あ、それロン」

優希「うっ……」

京太郎「お前、リーチかけてんのにそりゃないだろ」

優希「う、うるさいじょ! ちょっとよそ見してただけだ!」

久「そういえば須賀君」

京太郎「はい?」

久「今日は何日だっけ?」

優希「っ!」ビクッ

京太郎「えっと、14日。バレンタインですよね?」

久「そそ。ご名答~」

京太郎「もしかして俺にくれるんすか?」

久「まっさか~。私はあげるってよりもらう側だし」

京太郎「ですよね~、あはは」

まこ「なんじゃ、残念そうじゃないのう」

京太郎「え? いえ、もちろん残念ですよ!」

久「ほんと~? じゃあげちゃおっかな~」チラッ

優希「……っ」

京太郎「またまた~。冗談はいいっすよ、寂しくなるだけなんで」

久「冗談じゃないんだけど」

京太郎「えっ」

久「……」

京太郎「……部長」

久「……なに?」

京太郎「顔がニヤついてて気持ち悪いです」

久「くっそ~! あと少しで引っかけられると思ったのに!」

まこ「なにいうとる。バレバレじゃ」

久「それはそうと、もし須賀君にあげる人がいるとしたら……」チラッ

優希「……っ!」

久「はやく渡さないと誰かに先を越されちゃうんじゃないかしらね~」ニヤニヤ

優希「……」プルプル

まこ(久のやつ、もうちっと自然にやることはできんのかい)

京太郎(あれ……もしかして俺まだもらえてないと思われてるのか?)

京太郎(ま、そりゃそうか。去年も咲からの義理だけだったし)

京太郎(もし和からもらったって言ったらびっくりするんだろうなぁ……)

京太郎(だが堪えろ須賀京太郎! これは和のためだ)

京太郎(チョコはともかく、告白カードなんて誰だって見られたくないに決まってる)

京太郎(打ち明けるとしたら俺たちが付き合い始めたそん時だな……)ニヘラ

まこ「京太郎、なにあんたもニヤついとるんじゃ」

京太郎「あ、すんません。ちょっと心の旅に出かけてました」

久「……」ジー

優希「……」モジモジ

久(こりゃもうひと押ししないとダメね……まこ)

まこ(……了解)ガタッ

まこ「いたたたた……!」

京太郎「ど、どうしたんですか!?」

まこ「と、突然腹が……!」

優希「だ、大丈夫かじょ? は、早く保健室に!」

まこ「うぅ……」

久「昨日チョコ食べ過ぎたからよ! バカね!」

京太郎「俺が連れて行きますよ」

久「いいえ、須賀君はここに残って。私が連れて行くわ」

まこ「すまんが頼む」

優希(なんで二人とも鞄をしっかり持っていくんだ……?)

久「それじゃあね。そこで二人で待ってるのよ!」

京太郎「は、はい」

バタンッ



廊下

久「……ふぅ。なかなかの演技だったわ、まこ」

まこ「腹痛の演技で褒められてもうれしくもなんともないがの……」

久「じゃ、私たちは隣の部屋に行って観察よ」

まこ「はぁ……ほんとにするんか? 優希に悪いじゃろ」

久「なに言ってんの! どっかの部長も言ってたように、部長としての部員の管理は大事よ」

まこ「……仕方ないのう」

久「そうはいってもまこだって気になるくせに。本当に素直じゃないのは誰かしら?」

まこ「じ、じゃかしいわ!」

久「ん、あら」

まこ「どうした?」

久「私、間違えて須賀君のカバン持ってきちゃったみたい」

まこ「なにしとるんじゃこのトンチンカンは……」

久「う、うるさいわね!」

まこ「どうする、今戻ってすり替えてくるか?」

久「いや、それはダメでしょ……あ、いいこと思いついた」ニヤッ

まこ「……どう考えても悪いことにしか思えんわい」

久「まこ、あのチョコ貸して」

まこ「ん? わしが京太郎に作ってきた義理チョコか?」

久「そう、須賀君がだれからももらえなかったら可哀そうだと思ってまこが余計なおせっかいを焼いて作ってきた義理チョコ」

まこ「二言三言余計じゃ! ……ほれ」

久「これを須賀君のカバンに忍ばせてっと……」

まこ「なにしとるんじゃ!」

久「優希からチョコをもらって悶々としてるところにカバンから正体不明のチョコが見つかったら……須賀君どうなると思う?」

まこ「ん、まぁ混乱するじゃろうな」

久「そう、その通り! おもしろそうじゃない?」

まこ「この女狐が……」

久「ん、んんん???」

まこ「今度はどうしたんじゃ」

久「これ……見て」

まこ「おお……なんと」

久「須賀君、チョコもらってたんじゃない!!」

まこ「声がでかいわ!」バシッ

久「えっとどうやら二つあるみたいね」

まこ「ほう」

久「ひとつは青い包装紙に包まれた食べかけのチョコ」

まこ「誰からじゃ」

久「差出人は……書いてないわ。直接受け取ったってことかしら」

まこ「ふたつ目はピンクの包装紙に包まれたチョコじゃの。メッセージカードがある」

久「なになに……『ずっと前から好きでした。受け取ってください 原村和』ですってぇ!!!??」

まこ「だから声が大きい!」バシッ

まこ「まさか和がのう……」

久「え~……絶対和はレズだと思ってたのに」

まこ「レズって……ひどい偏見じゃの」

久「ピンク髪はエロくてレズ。これ常識よ?」

まこ「どこの常識じゃ」

久「それはそうとこれ、マズいことになるんじゃない?」

まこ「たしかに……優希のやつ、立ち直れるかの」

久「もうフラれる前提? あなたの偏見こそねじ曲がってるんじゃないの」

まこ「だが、勝つ見込ゼロじゃろ」

久「ふむ……胸で負け、スタイルで負け、勉強で負け、麻雀で負け……たしかにそうだわ」

まこ「だんだん優希がかわいそうになってくるからそのへんにしときんさい」

久「早く優希を止めた方がいいんじゃないかしら。もういい感じの空気になってそうだし」

まこ「そうじゃの……」

??「そこで何をしてるんですか? 先輩たち」

久・まこ「!!?」ビクッ

久「の、和!?」

まこ「い、いつの間に……」

和「先輩方が話に夢中で気づかなかったんでしょう」

久「そ、それはそうと遅かったわね」

和「ええ……ちょっと人を探してまして」

まこ「ほ、ほう……見つかったんか?」

和「いえ、結局……」

久「そ、そう……それは残念ねぇ……」

和「……」

久・まこ「……」アセアセ

和「……どうして中に入らないんですか?」

久「え、あぁ……それは……」

まこ「いたたたたっ!!」

久「あ、ああそう! そうなのよ! まこが腹痛で保健室へ行こうとしてたの!」

まこ「うぐぅ……こんなに痛いのは初めてじゃァ……」

和「……」ジトー

久「悪いんだけど和、まこを保健室へ連れて行ってくれないかしら?」

和「……部長が連れて行けばいいんじゃないですか?」

久「う……そ、そうかも」

まこ「うぐぅううう……久は嫌じゃァ……!」

久「いや、やっぱり和じゃなきゃダメよ! 私じゃイヤって言ってる!」

和「……」ジトー

久「お願い、連れてってあげて和!」

和「……なにか私に隠してるんですか?」

久「え? べ、別に隠してないわよ?」

和「じゃあ先ほどから私を部室に入れないようにしてるのはなぜですか?」

久「うぐ……そ、それは」

まこ「……」

和「……悪いですけど、入らせてもらいます」

久「待って! 和違うの! 誤解なの!」

和「なにが誤解なんですか!? そこどいてください!」

まこ「うぐぅうう!! 和ァ、腹が痛いぃい!」

和「染谷先輩、足をつかむのやめてください!」

久「和、落ち着きなさい! あなたは間違ってる!」

和「何が間違ってるんですか! はっきり言ってください!」

まこ「和ァ! 和ァ!」

ガチャ



少し時は遡って……部室

京太郎「大丈夫かね、染谷先輩」

優希「ぶ、部長はチョコの食いすぎだって言ってたじょ……」

京太郎「もしかして染谷先輩もバレンタインチョコ作ったのかもな」

優希「っ!」

京太郎「誰にあげたんかな。部長とか?」

優希「……」

京太郎「俺にはないだろうし、もしかしてクラスの男子とかに……優希、何か知らないか?」

優希「……」

京太郎「おい、優希」

優希「ひぇっ!」グラッ

京太郎「おっと……」ガシッ

優希「あっ……」

京太郎「お前、呼んだだけで驚きすぎだって。どうした?」

優希「な、なんでもないじょ……そ、それより……」

京太郎「ん?」

優希「て、手が……///」

京太郎「あ、悪い」

優希「……っ」

京太郎「……」

優希「……」

優希(なにしてる私……こんなはずじゃなかったのに)

優希(なんでかいつもより数倍マシで京太郎を意識しちゃうじょ……)

優希(部長たちがいない、今この瞬間に……カバンに入ってるアレを……)

優希(ん、部長たちがいない……? 京太郎とふたり……)

優希「……っ!!///」

京太郎「……優希、お前熱でもあるのか?」

優希「えっ、なんで……」

京太郎「いや、さっきから顔真っ赤だし……今なんて茹でダコみたいだぞ」

優希「ち、違うじょこれは!!」バッ

京太郎「んー……ほんとに大丈夫か?」

優希「大丈夫っ! こっち見るな!」

京太郎「……へいへい」

優希「……っ///」

優希(あーダメダメ! せっかく京太郎が気にかけてくれるのに……)

優希(私……いつもこんなだじょ)

優希(いつだって素直になれなくて……今日こそはって思ったのに)

優希「……っ」

京太郎「……優希、思い出さないか?」

優希「えっ……」

京太郎「こうして二人でいるとさ。4月の頭のこと」

優希「4月……たしか」

京太郎「ああ、俺が部の見学に来た日。部室にいたのがお前だけでさ」

京太郎「いろいろ教えてくれたよな、部のこと。麻雀のこと」

優希「……っ」

優希(忘れるわけないじょ……っ)

京太郎「この部に入ろうと思ったきっかけは色々あるけどさ」

優希「……」

京太郎「なんだかんだであの日お前に出会ってなかったら、俺は入部してなかったかもしれない」

京太郎「女子だけって聞いてたから、俺一人浮いちまうんじゃないかって不安もあったしさ。けど、お前は気兼ねなく接してくれた」

京太郎「ほんとありがたかったし嬉しかったよ。だからお前には感謝してるぜ、優希」

優希「……っ!!///」

優希「わ、私だって……嬉しかったじょ……」ボソッ

京太郎「え……」

優希「あ、い、今のは……独り言でっ!///」

京太郎「……はは、照れんなよ」ナデナデ

優希「うぅ……っ///」

優希(……今しかない。渡すなら……今しかないじょ!)

優希(勇気を出せ、片岡優希……!)ガサッ

優希「き、京太郎……」

京太郎「? なんだ?」

優希「あ、の……これ……っ」

京太郎「え、これ……」

京太郎(きれいなラッピングに……ハートの便箋……もしかして)

優希「私の、今までの感謝の……しるしだじょ」

京太郎「……」

優希「う、受け取れ……っ!///」

ガチャ

和「っ、……し、失礼します!」

京太郎「あ……」

優希「え……」

久・まこ「あ、あちゃー……」

和「……はっ! ご、ごめんなさい!!///」タタッ

京太郎「お、おい! 和!」

優希「うぅ……///」

優希(み、見られた……)

京太郎(くそっ、どうする……いや、追うしかないだろ!)

京太郎「すまん優希、返事はあとでだ!」タタッ

優希「え……」

京太郎「はぁ、はぁ……っ」

京太郎(和のやつ、どこに行ったんだ……)

京太郎「……」

京太郎(まさか優希がバレンタインチョコをくれるとは思わなかったけど……その現場を和に見られるなんて)

京太郎(とにかく和を見つけて誤解を解かねえと……!)ダッ

ドンッ

京太郎「いてっ」

??「きゃっ!」

京太郎「す、すみません……って」

京太郎「咲!」

咲「き、京ちゃん……」

京太郎「どうしたんだ。朝からいなくなったと思ったら……」

咲「うん、そのことなんだけど……これ」サッ

京太郎「え、これ……」

京太郎(もしや……)

咲「は、ハッピーバレンタイン……京ちゃん……///」

京太郎「お、おう……」

咲「……最初は渡すのやめようと思ったんだ……だから、朝逃げ出したの」

京太郎「……?」

咲「……けど、和ちゃんにはやっぱり負けたくない! 京ちゃんを渡したくない!」

京太郎「……え、なに言ってんだよ咲。これ義理だろ?」

咲「……っ! ほ、本命だよッ!!///」

京太郎「え……」

京太郎(やべえ……頭が混乱してきた)

京太郎「き、去年のは……?」

咲「去年も本命のつもりだったよ……けど、京ちゃん返事聞かずに部活行っちゃったから……」

京太郎「……」

咲「まさか、ずっと義理だと思ってたの……?」

京太郎「い、いや……」

咲「私の気持ち、気づいてくれなかったの……!?」

京太郎「さ、咲……落ちつ……」

咲「バカッ!!!」バシッ

ダダッ

京太郎「さ、咲!」

??「咲さん!?」

咲「の、のどか……ちゃん……」

和「さ、探してたんですよ」

咲「……っ!」ダッ

和「さ、咲さん!!」

京太郎「……」

和「す、須賀君! 咲さんに何かしたんですか!?」

京太郎「い、いや……その……」

和「……」

京太郎「そ、それよりさ和。今朝のあれの返事、お前に言いたくて」

和「今朝の……返事?」

京太郎「ああ、バレンタインチョコに入ってたメッセージカード」

和「……っ!!///」

和「な、なんでそのことを……!」

京太郎「へ?」

和「勝手に見たんですか!!?」グイッ

京太郎「い、いやだって俺の机の中に……」

和(そうか……あれを須賀君に勝手に見られたから咲さんは怒って……)

和「最低ですっ!! こんな無神経なことするなんて、見損ないました!!」パシンッ

京太郎「……え、あ……」

和「咲さん! 待ってください、咲さん!!」

タタッ

京太郎「ど、どういうこと……?」

部室

まこ「……と、そういうわけなんじゃ」

優希「……」

久「残念ながら、彼はあなたよりも和を選んだってことね」

優希「……っ」グスッ

まこ「……泣きんさい。今なら誰もこん」

優希「うぅ……うぇえええ……」ポロポロ

まこ「……」ギュッ

久「……」

久(須賀君……罪な男ね)

ガチャ

京太郎「……」ヨロヨロ

久「え、どうしたの須賀君!?」

まこ「和を追いかけたんじゃなかったんか……」

久「ていうかその頬……」

京太郎「いや、あのですね……実は……」

カクカクシカジカ(説明中)

京太郎「……つまり、俺の勘違いだったみたいなんです……はは」

久「そ、それはなんというか……同情するわ」

まこ「なんちゅー哀れな男じゃ……」

京太郎「……ほんと、なんというか泣くに泣けないっすよ」

京太郎「ってわけで、優希。バレンタインのチョコもらうわ」

優希「なっ……」

京太郎「うめー……身体にしみるぜ」モグモグ

久「ちょっと須賀君……」

優希「……っ」プルプル

京太郎「ん、どうした優希?」

優希「の、のどちゃんにフラれたから……私に乗り換えるのか……?」

京太郎「ん? なんだって?」

優希「き、京太郎の……っ」

優希「アホーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」バッシーン

京太郎「うぎゃああっ!!!」

久(須賀君、さすがに無神経すぎよ……)

まこ(とことん哀れなやつじゃ……)



後日

京太郎「あの……優希」

優希「……ふんっ」

京太郎「さ、咲さん……?」

咲「……」

京太郎(無言こええ……)

和「あの……なんというか本当にすみません」

京太郎「いや、気にすんなよ……」

和「はぁ……」

和(咲さんもなぜだか私に冷たいですし……一体どうしたら……)

京太郎(早く部長たちこねーかな……)

京太郎「……ん?」

京太郎(カバンの中にチョコが……)ガサゴソ

京太郎「……誰からだろ」ベリベリ

京太郎(差出人が書いてねえ……)

京太郎(……ま、うまそうだしいいか)

京太郎「……」モグモグ



京太郎「…………………………うめぇ」



カン