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    モモ「ちょっと!」キュッ

    京太郎「痛っ!尻をつねるなよ!」

    モモ「こういう時は『俺も今着いたとこだよ』っすよ!」

    京太郎「はあ?そりゃ漫画の読みすぎだろ」

    モモ「やれやれ……女心を全然理解してないっすね」

    京太郎「……帰ろっかな」

    モモ「やだな~。ちょっとした冗談じゃないっすか」アセアセ

    京太郎「そっちがお願いしてきたんだろ」

    京太郎「部の先輩に『彼氏とかいないんだろ』って言われて売り言葉に買い言葉で彼氏がいるって嘘ついて」

    京太郎「そんで俺に偽物の彼氏としてデートしてくれってさ」

    モモ「もちろん京太郎には感謝してるっすよ」

    モモ「でも多分、先輩達が何処かから隠れてこっちを見てるっすからちゃんと演技して欲しいっす」

    京太郎「おう、分かってる」

    モモ「デートのプランはそっちに任せるっすよ」

    京太郎「え、てっきりモモが全部お膳立てしてくれてるもんだと……」

    モモ「こういう時は男がリードするもんっす!」

    京太郎「え~。じゃあ映画館にでも行くか」

    モモ「ベタっすけどまぁいいっすよ。はい」サッ

    京太郎「ん?」

    モモ「何してるんすか。先輩達が見てるんすから手繋がないと」

    京太郎「あ、そっか」ギュッ

    モモ「///」

    京太郎「さてと、何を観ようか」

    モモ「こ、この恋愛ものの洋画観ないっすか!カップルなんすから恋愛もの観ないと」

    京太郎「あ、これ先週咲と観たわ」

    モモ「……」キュッ

    京太郎「いてっ!だから尻をつねるな!」

    モモ「一応デートなんすから他の女性の名前を出すのはマナー違反っすよ」

    京太郎「どっかから見張ってる先輩達だって声までは聞こえないだろうからいいだろ、別に」

    モモ「ふんっ」



    ──映画視聴後──

    京太郎「いやぁ良かったな」

    モモ「むっちゃ感動したっす」ウルウル

    京太郎「仕方なく聞いたこともない麻雀映画観たけどこれは正解だったな」

    モモ「はいっす。あの終盤で虎に噛まれながらも天和を出すシーンとか最高っす!」

    京太郎「俺は象と格闘してボロボロの状態で10段昇格試験に合格したシーンかな」

    京太郎「(というか映画館出てから腕組んでる肘にモモのおもちの感触が……)」

    モモ「~♪」

    モモ「次は何処に行くんすか?」

    京太郎「そうだな~。映画観た後はどっかで昼飯にしようかと思ってたんだけどな」

    京太郎「あの映画短かったからまだ昼には早いかもな」

    モモ「何処かで時間を潰すんすか?」

    京太郎「う~ん……よしゲーセンにでも行くか」

    モモ「ゲームセンターっすか?」

    京太郎「ああ。この近くに最近できたやつで、飲食店とかレジャー施設とか併設のとこだからな」

    京太郎「何でも出来るぞ。食事もカラオケも麻雀もボウリングもIDの数だけ腹筋するのも」

    京太郎「ところで、その先輩達とやらは見かけたか? プロのスパイじゃないんだし、一度くらい見かけてもおかしくなさそうだが……」

    モモ「ど、どうっすかね……みんなスニーキング上手いみたいっすね」

    智美「やっぱり、モモだ。モモがいたぞ」ワハハ

    モモ「!?」

    京太郎「えっ?」

    ゆみ「モモ、済まないな。蒲原が急にお前の匂いがすると言い出して……失礼、そちらの男性は?」

    京太郎「えっ、知らないんですか?」

    ゆみ「?」

    モモ「しまったっす!」

    ゆみ「いや、知りませんが……ご兄弟ですか?」

    京太郎「いや、違いますよ」

    モモ「えーと、えーと」

    智美「なんだー、モモも隅に置けないなー。ゆみちんも察してあげないと」ニヤヤ

    ゆみ「蒲原、それって……」

    蒲原「恋人なんだろ」ワハハ

    モモ「ちょっ、それは」

    京太郎「はい! 東横さんとお付き合いさせていただいております、須賀京太郎と申します!!」

    モモ「きょ、京太郎~」

    ゆみ「なん……だと……!?」

    京太郎「……なあモモ、先輩のリアクションおかしくないか?」

    モモ「それはその……」

    ゆみ「そうでしたか、モモの……その、彼氏さんで」

    京太郎「ああ、敬語はいらないです。モモと同学年なんで」

    ゆみ「そ、そうか。見えないな」

    モモ「あわわわわ……」

    智美「どうしたんだーモモ? そんな慌てて」

    ゆみ「ところで2人は今……」

    京太郎「もちろんデート中ですよ! ほら、こんなにラブラブ!」ギュッ

    モモ「ちょ、ちょっと京太郎///」

    京太郎(これでいいんだよな、モモ)

    ゆみ「そんな、公衆の面前で手を繋ぐなんて……」

    蒲原「ワハハ、いやー羨ましい限りだなー」

    京太郎「えっ?」

    蒲原「ん?」

    京太郎「あれ、先輩方は恋人とかいらっしゃらないんですか?」

    蒲原「ワハハ、喧嘩売ってるのかこいつ?」

    京太郎「あれ、でもモモの説明だと……」

    モモ「!」

    モモ(ここで嘘だとバラした方が……いや、でもこの状態もなかなかおいし)

    ゆみ「蒲原、あまり邪魔をしては」

    蒲原「あー、そうだな。後は若い2人に任せて」ワハハ

    モモ「ちょっまっ」

    京太郎「若い2人って……」ハハハ

    ゆみ「須賀君……と言ったな」

    京太郎「は、はい」

    ゆみ「私はモモと出会ってまだ一年も経っていない」

    ゆみ「だが、部の先輩として、大切な仲間として、モモのことを大事に思っている、そのつもりだ」

    京太郎「は、はい」

    モモ(何すかこの空気)

    ゆみ「須賀君。モモのことは、あー……特殊な性質については知っているよな?」

    京太郎「はい。……大丈夫ですよ。こうして手を握っていれば、見失うこともありません」ギュッ

    モモ「ちょ、ちょっと」

    ゆみ「ふふっ、そうだな」

    智美(くさいなー)

    ゆみ「須賀君。モモのこと、大切にしてあげてくれないか。私が頼むのもおかしな話だが」

    京太郎「勿論ですよ」

    ゆみ「頼んだ。それじゃあ行くぞ蒲原」

    智美「あー、私からも頼んだぞ」ワハハ

    京太郎「はい!」


    京太郎「……」

    モモ「……」

    京太郎「……なあモモ、すごい胸が痛むんだが」

    モモ「そうっすかね」

    京太郎「これもう、完全に偽恋人って言えない雰囲気じゃないか」

    モモ「外堀が埋まったとも言うっすね」

    京太郎「あの人の顔見ろよ! お前のことを大切に思ってる良い先輩じゃないか! あんな先輩を騙そうとするなんて!」

    モモ「ガッカリさせる訳にはいかないっすね」

    京太郎「何でそんな嬉しそうなの」

    モモ「そうっすかね?」

    モモ「んー、でもデートだけじゃ先輩も安心できないかもしれないっすね……」

    京太郎「安心って……」

    モモ「そうだ! 今度部活に招待するっすよ! かおりん先輩とむっきー先輩にも紹介するっす!」

    京太郎「これ以上俺の胸を痛めないでくれ」

    モモ「それで次は清澄に紹介してもらうっす!」

    京太郎「それ先輩関係ないよな!」

    モモ「ありありっすよ。清澄との交流からバレるかもしれないっすから。そしたら先輩は悲しんで……」

    京太郎「……あーもう分かった、ウチにも紹介するよ!」

    モモ「楽しみっすね!」




    京太郎「おじゃましま~す。って誰もいないな」

    モモ「そうっすね。ちょっと早かったっすかね」

    京太郎「本当に今日部活あるのか?」

    モモ「あるっすよ。でもまあ、弱小部だから緩いっすけどね」

    京太郎「確かにうちも……いや、部長は結構スパルタだな」

    モモ「へえ、そうなんすか。割と緩そうに見えるっすけど」

    京太郎「小さい部活ではあるけど……緩そうって、部長のことじゃないよな?」

    モモ「さあ、どうっすかね」


    京太郎「うーん、待ってる間どうしようか」

    モモ「でもすぐ来るかもしれないっすよ」

    京太郎「それはそうだけど」

    モモ「ほら」スッ

    京太郎「なんだ? 手のばして」

    モモ「ほら、恋人らしく振る舞ってないと。いつ先輩達が来るか分かんないっすよ」

    京太郎「……いや、誰も見てないからいらないんじゃないか?」

    モモ「油断大敵っすよ。今も天井裏に潜んでいるかもしれないし」

    京太郎「プロの忍者じゃあるまいし。というか今会話聞かれてたらどっちにしろアウトだろ」

    モモ「ほら後ろに先輩が!」

    京太郎「先輩はお化けか何かか」

    京太郎「しょうがないな……とりあえず、隣に座ろうか」

    モモ「そうっすね」

    京太郎「……」

    モモ「……」ドキドキ

    京太郎「えーと、恋人ってのはどういう風に過ごすものなんだろうな」

    モモ「そ、そうっすね……まずやっぱり手を繋いでるんじゃないっすかね」

    京太郎「手か……」

    モモ「はい」スッ

    京太郎「おう」ギュッ

    モモ「……」ドキドキ

    京太郎「……な、なんか違うんじゃないか? 部屋の中で手繋ぐか?」ドキドキ

    モモ「確かにそうっすね」

    京太郎「だよな」

    モモ「部屋の中なら……抱きしめたり、とか?」

    京太郎「えっ」

    モモ「……」ドキドキ

    京太郎「あー、そういうのは流石にまずいんじゃないか? 付き合ってるわけでもないのに」

    モモ「だ、大丈夫っすよ! 先輩を安心させるため、やむを得ないっす!」

    京太郎「ちょくちょく聖人先輩を人質に出すのやめい」

    モモ「ほら、京太郎。前からがいいっすか? それとも後ろからが」

    京太郎「部屋で抱きしめるとなれば、後ろからが普通なんじゃ」

    モモ「よし、いくっすよ!」

    京太郎「待て、やるとは言ってない! お尻を向けるな!」


    ポスッ

    モモ「……ふ、踏んでないっすか」

    京太郎「……いや、それは大丈夫だけど」

    モモ「……これで恋人らしく見えるっすかね?」

    京太郎「……見えるんじゃないか、多分」

    モモ(……これ、すごい安心感あるな)

    京太郎(……髪、いい匂いするな)

    モモ「手」

    京太郎「ん? 繋ぐのか、この体勢で」

    モモ「いや、手を前に回して欲しいっす。ほら、ぎゅっと抱き締めるように」

    京太郎「お、おう」ギュッ

    モモ「んっ……」

    京太郎「だ、大丈夫か? キツく締めすぎたか?」

    モモ「大丈夫っすよ。それに、強く抱き締められた方が安心するっす」

    京太郎「……なんか、すごく気恥ずかしいんだが」

    モモ「私は嬉しいっすよ。京太郎の体温が感じられて。まるで本当の恋人みたいに―――」

    京太郎「でも、俺達は付き合ってないんだ」

    モモ「……そうっすね」

    京太郎「みんな先輩達が来た時のための芝居で、本当ならこんなことはしてないはずなんだ」

    モモ「そうっすね」

    京太郎「……でも、なあモモ」

    モモ「京太郎、どうしたんすか?」

    京太郎「フリなんて止めたいって言ったらどうする?」

    モモ「それって……」

    京太郎「好きなんだよ、モモのこと。あの、先輩と会った時に言ったことは、みんな本当なんだ。お前のことを大切にしたいと思ってる」

    モモ「京太郎……」

    京太郎「モモは、俺のことどう思ってる?」

    モモ「それは……」クルッ

    京太郎「モモ?」

    モモ「こう……っすよ」チュッ

    京太郎「モモ……」

    モモ「え、えへへ、何かスかしたやり方っすかね?」

    京太郎「スかしてるというか、いきなり過ぎっていうか……」

    モモ「好き、っすよ」

    京太郎「……」ドキドキ

    モモ「好きっすよ、京太郎のこと。じゃなきゃ偽恋人なんて頼まないし」

    京太郎「そういうものなのか」

    モモ「そもそも偽恋人云々ってアレ全部嘘ですし」

    京太郎「あー……って嘘!? 何処から何処まで!?」

    モモ「むっきー先輩が天井裏に隠れてるってところとか」

    京太郎「いや、それは丸わかりだから」

    モモ「先輩達に彼氏がいるって嘘をついたってことが嘘っす。ほとんどバレてるって思ってたんすけど」

    京太郎「あー、なるほど」

    モモ「でもまあ、そんなのもう関係ないっすけどね」

    京太郎「……そうだな。もう本当の恋人な訳だし。先輩を安心させないと、ってところは変わらないが」

    モモ「そうっすよ。さて、京太郎。不束者ですがよろしくっす」

    京太郎「抱き合いながら言うことか。……こちらこそ、よろしく。大切にするからな」

    モモ「大切にされるっす」

    京太郎「ああ」

    モモ「……ところで、もう一度いいっすかね?」

    京太郎「告白を? いいぜ、好きだ好きだ好きだ!」

    モモ「違うっす! いや、嬉しいっすけどそうじゃなくて、その……キスのことっす」

    京太郎「そっちからしたのに、何で恥ずかしがるんだ」

    モモ「あれは勢いでしたっすから……」

    モモ「……いいっすか?」

    京太郎「お、おう」

    モモ「……んっ」チュッ

    京太郎「……な、何か二回目の方が恥ずかしいな」

    モモ「三回目は、どうっすかね?」

    京太郎「ちょっ、モモ!? やめっ」

    ………

    蒲原「ワハハ、部活あるってメール出し忘れてたけど、みんな来てるかなー?」ガラッ

    チュッチュッチュルッレロッチュッチュバッチュチュッ

    蒲原「なんだこいつら……」




    カンッ