「ぁ…ぅ……」


目の前で小さく震える優希がいた。

以前着たことがあるメイド服。

学園祭で再び着ることになった為、現在ウチで試着してみようということになったのだ。

前は自分でスカートをめくり上げてパンチラだのなんだの言っていた癖に、

今じゃ着て前に立っているだけなのに借りてきた猫のように大人しい。

これも俺と優希の関係が変わったからからだろうか。


「どうした優希。早く言ってみろ」

「うぅ……。ご、ごしゅ……ぁぅ」


消え入りそうな声。

目の端からは涙が小さく見え、俺の中の何かが掻き立てられる。

やべぇ…ゾクゾクする。

普段から犬だのバカだの散々言われてきた。

自分をご主人様といい威勢良く俺につっかかってきた。

それが今、完全に逆転している。

優希がメイドで俺がご主人様。

背徳感。

今すぐにでもこの小動物のような可愛い生き物を抱きしめたい衝動に駆られる。


「おいおい。ちゃんと言えよ。じゃねぇと話になんねぇだろ?」

「だ、だって…その……京太郎に言うのは恥ずかしいんだじぇ……」


こいつは俺を萌え殺す気か。

ほんのりと頬を紅く染めての圧倒的破壊力。

これがギャップというものなら俺はこれに完膚なきまでにやられたよ。

だけど、それでも、ノックダウンするわけにはいかない。

妙な加虐心に火が灯り、俺は優希を追い詰める。


「それでも言うんだ。ご主人様って」

「ううぅぅぅっ…。い、一度だけだじょ……?」

「あぁ、一度で充分だ。言えるか?」


子供をあやすようにヘッドドレス部分をゆっくり丁寧に撫でる。

優希は更に頬を染めつつも、こくりと小さく頷いて短めのスカートの端をぎゅっと握った。

そしてその小さな蕾のような口から、絞りとるようなか細い声で俺の要求したそのセリフを発する。


「ご、ご主人様……お待ちしていたじぇ……」


あ、これもう無理ですわ。

精一杯絞りだした一言。

優希は言い終わるやいなやさっと顔を伏せて目を背けた。


「よく言えたな優希」


そっと手を伸ばし、スカートの裾を握ったままの手を掴む。

そのままゆっくりと引き寄せると、優希は何の抵抗もなく俺の胸に収まった。


「京太郎以外にだったら普通に言えたのに…」

「それはそれで腹立つな。俺だけあんなに可愛いお前を見れないなんて」

「か、可愛いとか今言うな!」

「可愛い可愛い可愛い。優希めっちゃ可愛い」

「あぅあぅ…」


頭を丁寧に撫でながら囁けば優希の顔が真っ赤に染まっていったのが分かった。


「恥ずかしがんなって。俺とお前の仲だろ?」

「前と今は違うじぇ…」

「ったく…。ま、ちょっとずつ慣れていけばいいか」


カンッ