全国大会も終わり、季節も少しずつ変わり始めた頃。
引退した竹井久の後を染谷まこが引き継ぎ、新しくスタートを切った清澄高校麻雀部。
やる気も十分で順調な滑り出しを迎えるはずが、一つ問題があった。

優希「……犬のヤツ、最近付き合いが悪いじぇ」

咲「この前の連休中にも来なかったね」

まこ「そうじゃのう、新入生が入ってくる前に鍛えときたいんじゃが」

咲「……でも、その割に腕自体は上達しているんだよね」

和「雀荘にでも通っているのでしょうか」

まこ「こりゃ、今度問い詰めてやる必要があるの」


――翌日。

咲「京ちゃん、一緒に部室いこう?」

京太郎「悪い、今日も用事あるんだ」

咲「京ちゃんも清澄麻雀部の一員なんだよ? そんなので大丈夫なの?」

京太郎「……まさか、お前から心配される日が来るとは」

咲「もう、茶化さないでよ」

京太郎「悪い悪い、でも問題ないぜ」

京太郎「毎晩、彼女に教えて貰ってるからな」

咲「……え?」

京太郎「パソコン越しだけど、付きっきりで教えてくれるんだ」

咲「……は?」

咲「……は?」

ほら、この人なんだけど、と懐から携帯を取り出して咲に見せる京太郎。
手慣れた操作で呼び出された画面には、京太郎と仲良くツーショットを決める長身の女性が写っていた。
長い黒髪と赤い瞳、そして黒い帽子がよく似合っている。
一見すると怖い印象を抱かせる格好だが、京太郎の腕に抱きついて無邪気な笑顔を浮かべる様子は、
ギャップという形で彼女の可愛らしさを引き立てていた。

咲「えっと、たしか宮守の大将の……」

京太郎「そそ。あの大会の後で知り合ってさ、色々あって付き合うことになったんだ」

咲「色々って……」

京太郎「大学は推薦でもう決まってるらしくて……って言ってなかったっけ?」

咲「初耳だけど……」

京太郎「この前の連休には家にお邪魔してきてさ。岩手も中々良いところだったぜ。土産買うのは忘れちゃったけど」

咲「えええ……」

京太郎「今度は向こうからこっちに来てくれるって。だから今色々準備してるんだ」

咲「聞いて無いよ……」

京太郎「悪い悪い。でも豊音さんと宮守の人たちがチャットやメールで色々教えてくれるから、勉強は出来てるんだ」

咲「そんなのって……」

京太郎「それにさ……ああ見えて結構可愛いところあるんだ、豊音さん」

咲「……」

京太郎「おっと、噂をすれば電話だ……じゃ、そういうことで! みんなにはよろしくいっといてくれ!」

咲「……」

咲「……」

咲「……気がついたら、幼なじみが寝取られてました」

咲「……みんなには、なんて言おう……?」

その後、宮守と清澄の間で一悶着が起きるのだが、それはまた別のお話である。


カンッ