園城寺「ツモ… 12000…」

池田(また一発ツモ! 何なんだよ こいつは!?)

久保「!」

久保(まさかこれほどとはな… 池田だが赤子扱いだ…)

久保(これが関西最強と評されている高校 千里山女子高校のレギュラーの実力か…)

池田(普通の打ち方じゃこいつには勝てない… それなら!)


池田「チー!」

園城寺「!」

池田(スピードで勝負だし!)ニヤッ

園城寺(風越の… なんて言うたっけ? 池田さん? 中々の洞察力やな…)

園城寺(確かに スピードで勝負を挑まれたらこっちが不利やけど… 今は二人で打っとるんや)

園城寺(考えは良かったけど 二人麻雀でスピード勝負は 全くの無意味やで)


園城寺「リーチ…」タンッ

久保「!」

池田(!?スピード勝負すらさせてくれないのかよ! くそっ!)タンッ

園城寺「ツモ… 倍満であんたの3度目の飛びや…」

池田「くっそ~! また負けた~」

久保(そういえば 知り合いが妙な事を言っていたな…)

久保(倒れて生死の境をさまよってから一巡先を見る能力が身についた…と 。半信半疑だったが… どうやら本当のようだな)

久保「池田ァ… 今日のところはここまでだ 園城寺は元々 この病院に用があってただけだからな あんまり無理をさせられない」

池田「わかりました… コーチ…」

園城寺「風越のコーチさん 私ならまだ打てるで? 今日は体調がええから まだ大丈夫や」

久保「そういうわけにはいかん そっちの監督に無理をさせない程度にと言われてるんだ ここに来てから まだ 休んでないだろ?」

園城寺「車の中でぐっすり眠っとったから平気や」

久保「あんな状態でぐっすり眠れるか とにかく! 今日はもう駄目だ ほら 部屋に戻るぞ」

園城寺「あんたのところのコーチ 意外とケチやな」

久保「何か言ったか?」ギロッ

園城寺「別に何も… ほな さいなら 池田さん… 」


ガチャ

池田「(結局 一回も勝てなかったし…)くそっ!」ドンッ


――――
―――
――


園城寺「ここが私の泊まる部屋なんか? 随分としけた部屋やな… 」

久保「文句を言うな とりあえず ここが お前の部屋だ 鍵は渡しておくから 何かあったら電話してこい」

園城寺「私はいつになったら帰れるん?」

久保「心配しなくても あと二、三日で帰れる」

園城寺「そか それは良かったわ」

久保「あぁ あと さっきの病院の先生が 発作や気分が悪くなったら この薬を飲めだと」ポイ

園城寺「何の薬なん?」

久保「発作の症状を和らげる薬だそうだ」

園城寺「ふ~ん 了解 わかったわ」

久保「散歩に行く程度なら構わないが 遠くに行って迷うなよ?」

園城寺「私 もう大人やで? そんなアホみたいな事せんへんわ」

久保「それならいいがな それじゃ私は行くから」

園城寺「ん…」


ガチャ

園城寺「随分と恐そうな人やったな… なんか暇やしテレビでも見るか…」ピッ

園城寺(………録なテレビしとらんし つまらんわ…)

園城寺(あと二、三日もこんなところに居るとか何の拷問なん…)

園城寺「はぁ…(竜華の膝が恋しいな…)」


~次の日~

園城寺「ふわぁ~ 今何時や… 8時15分………って!? 学校に遅れてしまうわ! 制服どこや!? どこにもないで!? 」

園城寺「目覚ましセットしたはずなのに… なんでや」

園城寺「このままやと 完全に遅刻やわ… どないしょう…」

園城寺「………」


園城寺(よくよく考えたら 長野に来とるんやったわ… しかも今日は休みの日やったし…)

園城寺「………眠」

園城寺「もう一眠りしよ…」


『竜華「怜は そんなんやから身体が弱いんや もっと身体動かさんと!」』


園城寺「…いらん事 思いだしてしもうたわ…」

園城寺「」ゴロン

園城寺(たまには身体… 動かしてみよか…)ヨイショ


――――
―――
――


園城寺「………」トコトコ

園城寺「大阪と違ってあまり 賑やかやないな(長野の人って何を楽しみに生きとるんやろ…)」

園城寺「(病院の時間には早過ぎるし かと言って 何か 珍しいものがあるわけでもないし… ん?)なんか ええ匂いすんな…」クンクン


<いらっしゃいませ~>

園城寺「! あ、あれって もしかして!」


園城寺「長野県のみ限定と噂されとる 幻の クレープ屋とちゃうやろか?」

園城寺((もし そうなら 食べてみたいけど… 財布 部屋に忘れてきてもうたわ…)

園城寺「はぁ…」


――――
―――
――


園城寺「それにしても…」

園城寺「随分 歩いた気するけど… ここ… どこや?」


シーン

園城寺(………ちょっとまずいんとちゃうか? 何やここ… 人っ子 一人おらんやんか)ダラダラ

園城寺「と、とりあえず… 風越のコーチに……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


久保『散歩に行く程度なら構わないが 遠くに行って迷うなよ?』

園城寺『私 もう大人やで? そんなアホみたいな事せんへんわ』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


園城寺「無理や… あんだけの事 言うとって 電話なんかかけたら 馬鹿にされるの みえみえやん」

園城寺「どないしょう…」


ドクンッ

園城寺「!?」

園城寺「うっ… (しもた… 今日の分の薬 まだ飲んでなかったわ…)」

園城寺「く、薬…」ポロ

園城寺「!?」

園城寺「ううっ… (神様にまでも見捨てられてもうたんか…)」


バタン

園城寺「ハァハァハァ (こんな わけのわからん所で 野垂れ死にとかいややな…)」

園城寺「うっ…(苦しい…)」

園城寺「(助けを呼ぼうにも人っ子 一人 おらんし 完全に詰んだわ…)竜華 後の事は頼んだで…」


?「ちょ! 大丈夫ですか!?」


園城寺(?………誰や?)

?「意識は… よし 大丈夫だ! 待ってて下さい 今 救急車を呼びますんで」

園城寺「く、 ゴホッ 薬… 」

?「薬? 薬ですか? えっと…」

園城寺「バ、バッグ…」

?「バッグですね!? どこだ… えっと ええっと あった! これですよね?」

園城寺「」コクッ

?「水は… 俺の飲みかけしかないけど このさい何でも…口を開けて下さい」

園城寺「ん…」パクッ

?「ゆっくり 飲んで下さいね」

園城寺「」ゴクッ

園城寺「あ、ありがと…」

?「いえいえ… とりあえず ここは日ざしが凄いんで 日陰に移動させますけど? いいですね?」

園城寺「」コクッ

?「ヨイショっと… って軽!? ちゃんと飯食ってんですか!?」

園城寺「助けてもろとってなんやけど… 少し… 黙っといてもらってもかまへんか?」

?「は、はい」


――――
―――
――


?「気分はどうですか?」パタパタ

園城寺「少し… 良くなってきたわ…」

?「そうですか それは良かったです」

園城寺「ありがとな…」

?「いえ! 全然 気にしないで下さい 困った時はお互い様じゃないですか」

園城寺「優しいな あんた…」

?「そんな事は… それより救急車 呼ばなくて 本当に大丈夫なんですか?」

園城寺「あんたに 薬 飲ましてもろたから 平気や 流石に薬がなかったら ヤバ気やったけどな…」

?「間一髪ってところですか?」

園城寺「まさにそれや」

?「そうですか…(部長のお使いで水 多めに買っといて良かった~)」


園城寺「ところで あんたの名前 教えてくれへんか?」

?「へっ? 俺? 俺は… 清澄高校麻雀部一年 須賀京太郎って言います」

園城寺「須賀君やね? 私も 自己紹介するわ 千里山女子 三年の園城寺 怜って言います よろしゅうな?」

京太郎「せ、千里山女子って あの大阪の超名門の!?」

園城寺「そやけど それが どないしたん?」

京太郎「す、すっげー!」キラキラ

園城寺「そ、そうか?」

京太郎「凄いに決まってるじゃないですか!?

京太郎「千里山女子って言ったら関西最強と評されている高校で 激戦区の北大阪地区を10年連続で制覇!」

京太郎「過去30回以上インターハイに出場している 名門中の名門ですよ!?麻雀やってる人が知らないわけないじゃないですか!」

園城寺「まぁ 確かに 名門って言えば 名門やったな」

京太郎「怜さんも麻雀部なんですか?」

園城寺「一応 麻雀部員やで」

京太郎「おぉ~ でも 千里山でレギュラーとるのって大変なんじゃ」

園城寺「大変なんてもんやないわ 全国各地から名のある強豪が集結するんや」

園城寺「生半可な覚悟やと レギュラーどころか 二軍にすら入れへんわ」

京太郎「へぇ~ 怜さんはどれぐらいなんですか?」

園城寺「私か? 麻雀の技量は三軍と同じぐらいやな(まぁ あくまで 麻雀の技量はやけど…)」

京太郎「なるほど… ところで 大阪から長野まで遠征か何かですか?」

園城寺「こっちの病院に少し用事があってな? それで 大阪から長野まで来たんや」

京太郎「そうゆう事ですか」

京太郎「ん? でも病院に用事があるんですよね? なんで こんな 病院とは 真逆の方にいるんですか?」

園城寺「病院に行くにはまだ時間が早かったんや だから… 少し散歩を… 」

京太郎「あぁ! 暇だったから散歩してたら 迷子になったってわけですか」

園城寺「うっ…」グサッ

園城寺「ま、迷子になったんやない 少し道がわからんようになってしもうただけや」

京太郎「一般的にそれを迷子って言うんですよ」

園城寺「迷子やない 道がわからんようになってしもうただけや」

京太郎「はいはい」

園城寺「~~~」カァー


――――
―――
――


京太郎「ト~キさ~ん 拗ねないで下さいよ~」

園城寺「拗ねとらんし 迷子にも なっとらんわ!」

京太郎「それは もう わかりましたから」

園城寺「」グゥ

京太郎「? お腹減ってるんですか?」

園城寺「わ、私やないで?」アセアセ

京太郎「流石に無理があるかと…」

園城寺「うっ… 朝から なんも食べてないんや… しょうがないやろ…」

京太郎「最初からそう言って下さいよ 確か この辺りに…」

園城寺「? 何探しとるん?」

京太郎「この近くに長野限定のクレープ屋が珍しく来てるんですけど そこのクレープがちょ~ 美味しいんですよ」

園城寺「!? クレープか!? 私も 大好物や!」

京太郎「そこのクレープを一口でも食べたら 今まで食べてきたクレープが食べれなくなりますよ」

園城寺「そんなに旨いんか!?」ゴクッ

京太郎「それはもう 旨すぎますよ」

園城寺「それは楽しみやな… あっ… 」

京太郎「? どうかしましたか?」

園城寺「私… 今 お金持っとらんやったわ…」

京太郎「それなら 俺が奢りますよ せっかく 大阪から来たんだし 長野の有名クレープを食べて行って下さいよ」

園城寺「ほんまか!? で、でも… 助けてもろた挙げ句 その恩人に 集るなんて… 」

京太郎「大丈夫ですよ! この間 奈良に行った時のお金が大分余ってるんで 問題ナッシングですよ!」

園城寺「で、でも…」

京太郎「怜さんが食べてくれないなら 俺も 食べませんよ?」

園城寺「な、なんやそれ 須賀君は関係ないやろ」

京太郎「あ~ 怜さんが食べてくれないから 俺も 食べれないな~」チラ

園城寺「うぅ…」

京太郎「滅多に 来ないんだけどな~」チラ

園城寺「うぅぅ…」

京太郎「食べt」

園城寺「あ~ もう わかったわ 奢って下さい お願いします これで ええか!?」

京太郎「良く言えました~」ナデナデ

園城寺「頭 撫でるん やめい!」


~~~クレープ屋~~~

京太郎「クレープ二つお願いします」

店主「はいよ~ 1000円な」

京太郎「はい」

店主「まいど~」

園城寺「ほんま ええ香りやな~」

京太郎「この匂いは多分 バニラですかね?」

園城寺「美味しそうやわ~」

京太郎(聞いちゃないないよ この人…)

園城寺「? なぁ~ 須賀君? あれ なんや?」

京太郎「どれですか?」

園城寺「あの 小さい瓶に入っとる奴」

京太郎「多分… バニラエッセンスじゃないですかね?」

園城寺「バニラエッセンス? なんや それ? そんなん知らへんわ」

京太郎「えっ… マジ?」

園城寺「? そっち系はあんま 詳しくないんや」

京太郎(そうゆうもんなんだろうか…)


京太郎「ええっと 確か… バニラの香り成分「バニリン」のエキスをアルコールで溶かしたものを バニラエッセンスと言います」

京太郎「主に甘い香り付けとしてお菓子づくりに使われますね」

園城寺「なるほどな… なぁ おっちゃん バニラエッセンス舐めてみても構わへんか?」

店主「えっ? バニラエッセンスをかい?」

京太郎「ブッ 怜さん 何言ってんですか!?」

園城寺「須賀君の話 聞いとったら どんな味なんか知りとうなったんや」

京太郎「だからって その…」

店主「俺は別に構わねぇけど…」

園城寺「ほんまか!? なら早速…」ペロッ

京太郎(あ~あ 舐めちゃったよ… )

園城寺「うっ…………なんやこれ?」

京太郎「水… いりますか?」

園城寺「当たり前や! なんや この 苦い液体は! 全然甘くないやんか!」

京太郎「そもそも 『甘い香り付けとしてお菓子づくりに用いられる』って言ったじゃないですか」

園城寺「うぅ~ 舌が苦い…」

店主「ハッハハ 中々 面白いお嬢ちゃんだな! そうだ! 良いもん見せてやろう!」

京・園「「?」」

店主「ほれ これだ!」トンッ

京太郎「何ですか? これ?」

店主「バニラ・エキストラクトと呼ばれる天然品だ 舐めてみろ」

京太郎「これをですか?」チラ

園城寺「須賀君に譲るわ…」

京太郎「別にいいですけど…」ペロッ

京太郎「! 甘い! 凄く甘いですよ これ!」

園城寺「えっ… ほんまか?」

京太郎「本当ですって! 怜さんも舐めてみて下さいよ!」

園城寺「わ、私は… もうええわ… 」

京太郎「言いから舐めてみて下さいって ほら!」

園城寺「ん…」パクッ

店主(自分の指につけて 舐めさすとは… 意外と大胆な性格した 兄ちゃんだな…)

園城寺「んん… ん… プハァ~ ほんまや! 凄く 甘かったわ♪」

京太郎「でしょ~?」


店主「バニラエッセンスの元となるバニラ・ビーンズってのは非常に高価でな」

店主「人工的に合成された成分を大なり小なり溶かした物が多いんだが、このバニラ・エキストラクトってのは人工香料を使わない」

店主「酒類にバニラ・ビーンズを直接漬け込み作られたもんだからバニラエッセンスと違って甘いんだよ」

京・園「「へぇ~」」

園城寺「なら 最初からこっちだしてくれたらええのに…」

店主「まさか バニラエッセンス舐めたいなんて客がいるとは思ってもみなかったからな それに 言っただろ? 高いんだよ それ」

京太郎「確かに バニラエッセンスを舐めたいなんて言う客なんて そうそう いませんよね?」

園城寺「むぅ なんや 須賀君まで私の事 馬鹿にしとんのか?」

京太郎「と、とんでもない そんな事 思ってもいませんよ」

園城寺「ほんまか~?」

京太郎「本当ですって」

店主「おぅ おぅ お熱いねぇ~」

園城寺「な、何言うてんの! 須賀君とはそんなんじゃ あらへんわ!」

京太郎「真っ向から全否定ですか」

園城寺「あんたも何 わけのわからん事、言うてんの!」

京太郎「いやあ~」

園城寺「いやあ~ や ない! まったく… また余計な体力使ってもうたやん…」

京太郎「それじゃあ 体力回復しなくちゃですね おやっさん!」

店主「言われなくても もうできとるよ ほれ」

京・園「「おぉ~」」

店主「向こうに椅子があるから座って食べな」

京太郎「ありがとうございます」

園城寺「おおきに♪」


――――
―――
――


園城寺「」ジー

京太郎「さっきから何やってるんですか?」

園城寺「いやな? これほんまに クレープなんやろうか?」

京太郎「正確にはミルクレープですね」

園城寺「ミルクレープ? 聞いた事はあるけど…」

京太郎「簡単に言うとクレープを使ったケーキですね」

園城寺「あぁ~ 何となく納得したわ」

京太郎「さっさと食べないと 温くなっちゃいますよ?」

園城寺「はよ食べんとな…」パクッ

園城寺「~~~」

園城寺「お、お、お、………」

京太郎「オーマイガー?」

園城寺「なんでやねん! って何言わせるんや!」バシッ

京太郎「グハッ」

園城寺「私が食っとった クレープは偽もんやったんやな… しみじみ感動したわ…」グスッ

京太郎「何も泣くほどの事じゃ…」

園城寺「何言うとんの!? クレープに生クリームやらアイスをトッピングするって ところに驚きっぱなしやわ」

京太郎「へっ? クリームって 普通は生クリーム使いません?」

園城寺「そんなもん使わへんわ」

京太郎「えっ? じゃ、じゃあ 何でトッピングを?」

園城寺「えっと確か… 牛肉やら野菜やらが入っとったな」

京太郎「もしかして辛いですか?」

園城寺「ん~ 少しピリ辛やったような…」

京太郎(怜さん… それ クレープ ちゃいます 90% タコスだと思います…)

園城寺「うまいわ~♪」


――――
―――
――


園城寺「おいしかったわ~ ご馳走さん♪」

京太郎「どう致しまして」


ドクン

園城寺「うっ…」

園城寺「須賀君 水… 貰えるか?…」

京太郎「大丈夫ですか!?」

園城寺「ちょっと はしゃぎすぎただけや それより水…」

京太郎「水ですね? どうぞ」ガサゴソ

園城寺「ありがとな…」ゴクッ

京太郎「せっかくなんで ここで 休んでいきましょうか?」

園城寺「そうしてくれると 有り難いわ」

京太郎「了解!」


――――
―――
――


園城寺(須賀君からもろた水って 須賀君も飲んどるんよな… 間接キスになってしもうたわ)カァー

園城寺(って、何考えてんの私)ブンブン

園城寺(よくよく考えてみたら あの店で とんでもない事をやっとったような… 他の客に見られとったらどないしよう…)サァー

京太郎(この百面相はいつまで続くんだろうか…)


ピリリリリリ~

京太郎「? 怜さん 電話 鳴ってますよ?」

園城寺「なんでやねん!」バシッ

京太郎「なぜに!?」

園城寺「あっ…? す、すまんな… 少し違う世界に迷い込んどったわ…」

京太郎「(怖えよ!)電話鳴ってますよ?」

園城寺「? なんやろ? もしもし?」ピッ

?「もしもしじゃねぇだろ!!!」

園城寺「」ビクッ

?「お前 今 どこほっつき回ってんだ! 診察の時間 とっくにすぎてるぞ!」

園城寺「風越のコーチさん? 診察の時間って 3時からやと思うけど…」チラ


[10時29分]


園城寺「まだ11時前やで?」

久保「………園城寺 今日 何時に起きた?」

園城寺「何でそんなk「さっさと答えろ」8時15分やった気がするわ…」

久保「昨日… 私が 帰る時も7時00分だったのに8時15分だったぞ…」

園城寺「」

園城寺「ま、まさか…」チラ

京太郎「? 何ですか?」

園城寺「い、今何時や?」

京太郎「今ですか? 4時11分ですね」

園城寺「やってしもうたわ…」

久保「はぁ… 私が事情を話ておくから 今すぐ 病院に来い わかったな?」

園城寺「はい…」


ピッ

園城寺「はぁ… 風越のコーチさん 相変わらず 恐いわ…」

京太郎「何と無く 内容はわかりますけど… 」

園城寺「ここから 病院まで どれくらいか わかるか?」

京太郎「ここからだと30分ぐらい歩いたら着きますね」

園城寺「はぁ… しんどいわ…」

京太郎「大丈夫ですか?」

園城寺「須賀君~ おぶってくれへんか?」

京太郎「ええ~っ! な、何言ってんですか!?」

園城寺「もう一歩も歩けへんわ…」

京太郎「しかしですね… 何と言うか…」

園城寺「人の口に指突っ込んだ男が何言うとんの? あんた 意外に あかんたれやな」

京太郎「あ、あかんたれ?」

園城寺「情けない奴ってゆう意味や」

京太郎「oh…」

園城寺「ん? 乗っても ええんか? なら…」ガバッ

京太郎「うおっ!? ちょ いきなり 何するんですか!?」

園城寺「おぶってくれるんやろ? 現に私が乗り易いように 四つん這いになっとるやん」

京太郎(落ち込んでただけだよ!)


園城寺「なんか 猿の親子みたいやな…」ヨイショ

京太郎「? 降りるんですか?」

園城寺「その体勢からやと 少しキツイやろ?」

京太郎「ハハハッ…(おぶらせる気満々だな…)わかりましたよ …はい 乗って下さい」

園城寺「さすが須賀君や♪」ムニュ

京太郎(こ、この感触は… もしや!?)

園城寺「重ないか?」

京太郎「軽すぎですよ もっと食べた方がいいかと…(柔らかけ~)」

園城寺「私は少食やからな… あんま食べれんのや…」

京太郎「そんなんだから すぐに体力がなくなるんですよ」

園城寺「体力がなくなっても 須賀君がおぶってくれるから 安心や」

京太郎「俺に大阪に住めと!?」

園城寺「冗談や 冗談」

京太郎「冗談に聞こえませんよ…」


――――
―――
――


園城寺「ところで 須賀君の通うてる学校… 清澄、言うたっけ? 女子の麻雀部は強いんか? 原村 和 がいる事は知っとるけど」

京太郎「公式試合にはまだ出ていませんが 多分 強いと思いますよ」

園城寺「去年の長野の代表は凄まじいほどの怪物がおったけど 勝てるんか?」

京太郎「天江 衣って選手の事ですよね? 話には聞いてますよ 人間じゃないって」

園城寺「………」

園城寺「インターハイ団体1回戦で2校、2回戦で3校を同時に飛ばして、最多獲得点数記録を樹立」

園城寺「同年行われたプロアマ親善試合で優勝…これが天江 衣や」

京太郎「全国の強豪を相手に二戦続けて飛ばしたんですか!?」

園城寺「三回戦は臨海女子の選手が他家を飛ばしてしもうたから 天江 衣 まで回らずに負けてしもうたけどな…」

京太郎「とんでもない選手ですね… 天江 衣…」ゴクッ

園城寺「私の学校も 龍門渕が今年も 勝ち上がって来る事を予想しとるわ」

京太郎「そうですか… いや! それでも 清澄高校は全国大会に出場します!」

京太郎「なんたって うちの部員達は 相手が強ければ強いほど 燃え上がるタイプなんで」

園城寺「そか… ほな 私も頑張らんとな…」ヨイショ

京太郎「? 病院まで まだ先ですよ?」

園城寺「恐ろしいお迎えが来たようや」

京太郎「?」

久保「園城寺! 迎えに来てやったから、さっさと乗れ!」

園城寺「今行くわー! 須賀君 ありがとな? お蔭さまで 新しい目標が出来たわ」

京太郎「目標?」

園城寺「そや 清澄は今年 絶対に全国出場するんやろ?」

京太郎「します 絶対に!」

園城寺「絶対に?」

京太郎「絶対に!」

園城寺「ほんまに?」

京太郎「絶対 ぜ~ったいに全国出場します!」

園城寺「ほな 約束やで? 私の学校も絶対に全国大会出場してみせるさかい 須賀君も 絶対に出場するんやで?」

京太郎「お、俺は まだ初心者なんで… 今年は無理ですけど… 女子の方は必ず全国に出場すると思います」

園城寺「いつか須賀君も全国出場できると ええな」

京太郎「あと二年、死ぬ気で頑張ります!」

園城寺「フフッ 死なれたら 私が困るわ ………頑張ってな?」

京太郎「はい!」


久保「何してる! 早くこい!」

園城寺「兇悪な悪魔さまが呼んどるんで ここいらで さよならや」

京太郎「また会えますかね?」

園城寺「全国に行くんやろ? そこで また会えるわ」

久保「早くしろ!」

園城寺「ほんま 煩い女やな… 須賀君 今日はほんと楽しかったわ 今度は大阪に来てな? 美味しい店 紹介するで」

京太郎「その時はお願いします」

園城寺「ほなな」

京太郎「今度は全国でー!」フリフリ

京太郎(………さぁ~て 怒られに行くか…)

園城寺「須賀君!」

京太郎「怜さん? 忘れものですか?」

園城寺「助けてくれた お礼とおぶってくれたお礼や♪」

京太郎「えっ?」


チュッ

園城寺「ほな またな~」

京太郎「」

京太郎(す、須賀京太郎… 生まれてからの16年で これ程までに嬉しい事があっただろうか…………)

京太郎「………」

京太郎「我が生涯に一片の悔いなし!!」ドンッ!


~~~車~~~

久保「…飲むか?」コトッ

園城寺「すまんな…」

久保「………なぁ? 園城寺」

園城寺「なんですか?」

久保「意外と 積極的なんだな…」

園城寺「ブッ ゲホッ ゴホッ なななな、何言いだすんや突然!」

久保「いや まさか お前があんな事をするとは思ってもみなくてな…」

園城寺「見とったんか! 信じられへんわ!」 

久保「見せつけているのかと思ったが… 違うのか?」

園城寺「んなわけあるか!」

久保「まぁまぁ そう興奮するな 症状が悪化するぞ?」

園城寺「誰のせいやと…」ブツブツ

久保「それで あの子とはもう会わないのか? 二、三日はここにいるんだぞ?」

園城寺「次は全国で会う約束したさかい ここでは もう会わんわ…」

久保「ベタ惚れだな 迷子になって正解だったか?」ニヤニヤ

園城寺「んなっ! ま、迷子になったんやないわ!」

久保「お前… 嘘つくの苦手だろ…」

園城寺「うぅ…」

久保(最初に会った時とは別人のようだな… 何があったかは知らんが… 間違いなくさっきの男が関係しているのはわかるな…)

久保「園城寺 もうすぐ着くから 眠るなよ?」

園城寺「………」

久保「? 園城寺?」

園城寺「………」スゥ

久保(まったく… 言ったそばからこれか…)

久保(体調も少しだが 良くなってきてる… あとはイップスの克服だな…)

園城寺「………」スゥ

久保「少し… 遠回りするか…」

園城寺「………」スゥ


~回想~

清水谷「なんでや!? なんで 部活辞めるとか言いだすんや!」

園城寺「もう打ちとうないんや…」

清水谷「なんで打ちとうなくなったのか 聞いとるんや!」

園城寺「理由なんてあらへんわ…」

清水谷「怜… なんでや… 一緒に全国目指すってゆうたやんか…」グスッ

園城寺「ごめんな… 私も時間がないさかい そこ 通らしてもらうわ…」

清水谷「!」バッ

園城寺「…なんのマネや?」

清水谷「怜が 打ちとうない理由がわかるまで ここは通さへんわ!」

園城寺「竜華もしつこいな…」

園城寺「さっきも 言うたやろ? 理由なんてあらへん… 」

清水谷「嘘や! 怜がそないな理由で辞めたいなんて 言うはずない! お願いや… 教えてくれへんか?…」

園城寺「………」

園城寺「はぁ… プレッシャーや…」

清水谷「えっ? プレッシャー…?」

園城寺「私が… 千里山の先鋒を任されとるのは 竜華も当然知っとるな?」

清水谷「う、うん…」

園城寺「今まで 三軍やった私が あの千里山の先鋒やで? 試合をするたびに 身体が震えるんや…」

清水谷「身体が震えるって…」

園城寺「恐いんや… もし… 私のせいでチームが敗退したらと思うとな…」

清水谷「うちらがいるやん!」

園城寺「竜華やセーラがあとに控えとるって思っとっても 身体が震えるんや… この間もしょうもないポカやったばかりやで?…」

清水谷「怜…」

園城寺「それに 直ぐに部活辞めるなんて言うとらんで?」

清水谷「えっ?」

園城寺「長野に… いわゆるイップスを専門に見とる、有名な心理療法士がいるらしいんや…」

清水谷「イップス?」

園城寺「精神的な病気みたいなもんや…」

園城寺「監督の知り合いが長野の病院を紹介してくれてな? 明後日にでも行くつもりなんや…」

清水谷「でも さっき辞めるって…」

園城寺「向こう行っても 治らんかった時は辞めるって事や… 皆に迷惑かけとうないしな…」

清水谷「迷惑なんて 思ってないで!」

園城寺「ありがとな…」

清水谷「怜… う、うちも怜が治るよう、応援しとるからな!」

園城寺「よろしゅう頼むわ…」

~~~~~~~~~~~

園城寺(竜華… イップス… もしかしたら治ったかも知れへんわ… )

久保「着いたぞ~ 起きろ 園城寺」

園城寺(必ず出場してみせるわ… 全国大会!)


――――
―――
――


咲「京ちゃん遅いね…」

和「確かに 少し遅いですね…」

優希「少しどころか遅すぎだじぇ! 10時に行ったっきり帰って来ないじょ」

久「う~ん あまりにも遅すぎるわね…」

染谷「寄り道するような奴とは思えんしの…」


ガチャ

咲・和・優・久・染「「「「「!」」」」」

マホ「失礼しま~す」

ムロ「し、失礼します」

咲「京ちゃん!?」

マホ「」ビクッ

マホ「えっ? えっ? な、何なんですか?」

優希「まぎらわしいわー!」

マホ「マホ… な、なんの事なのかわからないのです…」

和「貴女達は!」

久「知り合いなの?」

和「はい 中学の友人です」

マホ「の、和先輩がこの高校にいるって聞いて…」

ムロ「マホったら 絶対行くって聞かなくって」

和「そうですか…」

マホ「あの… 和先輩? なにやら空気が重いんですけど…」ヒソヒソ

和「部員の一人が買い出しに行ったっきり 戻ってきていないんです…」

ムロ「清澄にはマネージャーまでいるんですか?」

和「マネージャー… とは違うんですけど…」


マホ「マホ知ってます 確か… パシリって言うんですよね?」


咲・和・優・久・染「「「「「………」」」」」

マホ「ち、違うんですか?」

久「パシリ… じゃないと思うわ ねっ? まこ?」

染谷「(わしに話をふるな!)お、おぉ そうじゃな パシリとは違うんじゃないかの?」チラ

優希「」ビクッ

優希「そ、そうだじぇ 京太郎はパシリなんかじゃないじぇ!」チラ

咲「(わ、私~?)う、うん そうなんじゃないかな? ハハッ…」チラ

和(宮永さんが困っている!)

和「はい… 須賀君は 私達 麻雀部に居なくてはならない存在です」

和「マホちゃん? 私達は決して 須賀君をパシリなんて思ってはいません それだけは 分かって下さい…」

マホ「えっ? あっ… はい… マ、マホ 須賀君って人がどんな人かはわかりませんけど…」

マホ「皆さんに好かれているって事は何と無くわかりました」

和「マホちゃん…」

ムロ(洗脳されてる!?)


久「いい子じゃない♪」

和「自慢の後輩達です」

マホ「ほぁ~ マホ 和先輩に褒められちゃった」

ムロ「よかったじゃないか」

久「咲 貴女の携帯で須賀君に電話、繋がらないかしら?」

咲「繋がらないです…」

久「ん~ こりゃ 何かの事件に巻き込まれたのかも…」

咲「そんな!?」

染谷「こら久! 後輩を驚かすのはやめい」

久「そうは言ってもね~」

マホ「あ、あの…」

久「ん~?」

マホ「もし宜しければ 捜すの手伝いますよ?」

久「そうね… それならお願いしちゃおうかしら」

ムロ「おいおい マホ、大丈夫なのか?」

マホ「問題ないのですよ!」

マホ「それで和先輩! その人の特徴を教えて下さい」

和「特徴… ですか…」

優希「金髪でマヌケ面した変態がいたら それが正解だじぇ!」

染谷「酷い言われようじゃの」


ムロ「なぁ… マホ? その特徴に当て嵌まってる人を見た気がするんだけど…」

マホ「奇遇ですね マホもなのですよ」


咲「えっ!? 京ちゃんがどこに居るか知ってるの!?」

ムロ「今 どこに居るのかは わかりませんけど… クレープ屋で似たような人を見かけました」

和「そうなんですか? マホちゃん?」

マホ「は、はい 女性と一緒に食べてました」

咲・和・優・久・染「「「「「(あの野郎…)」」」」」

久「OK ありがとう いい情報をもらったわ」

咲「また違う子と…」ブツブツ

染谷「帰って来たら ちぃ~とばかし お仕置きが必要かの?」

和(皆さんが心配しているにも関わらず 女性とイチャコラですか…)

優希「いいか!? お前達も気をつけるんだじょ? そいつに出会ったら 最後だじぇ」

マホ「そ、そんなにもヤバい人なんですか!? マホ、危うく 捕まるところでした」

ムロ(これが清澄高校麻雀部… 殺気がケタ違いだ)


ガチャ

京太郎「いや~ 遅くなって すいません 少し寄り道してもんで」

マホ「あ、あ、あの人です! あの人ですよ 和先輩!」

ムロ(最悪のタイミングで帰って来たよ…)

京太郎「おっ? 新入部員ですか? 初めまして 須賀京太郎と言います よろしく」

マホ(この人に出会ったら最後…)ブルブル

マホ「あわわわわわっ」バタン

ムロ「おいマホ! 大丈夫か? しっかりしろ!」

京太郎「あまりの俺のかっこよさに気絶してしまうとは… 可愛いいお嬢ちゃんだぜ」

ムロ(ヤバいヤバいヤバい この人ヤバ過ぎる)

咲「京太郎ちゃん…」ボワッ

京太郎(!?なんだ!? この殺気は!?)

咲「私… 本気で京ちゃんの事 心配してたんだよ?」

京太郎「す、少し寄り道をしてて…」

咲「そう… 寄り道… ね…」ゴワッ

京太郎「!? (更に跳ね上がった!?)さ、咲さん?」

ムロ(私にはわかる… この後に訪れるだろう未来が…)

咲「京ちゃんの馬鹿ーーー!!!」

京太郎「ヘプシッ!?」



~園城寺怜編・完~