智葉「ッ!」ザンッ!

「辻垣内さんかっこいい!」

「委員長で真剣使えて格好いいって最高だよ!」

「いつも真面目で凛としてるし、辻垣内さんが男だったら告ってるよ」

「インターハイも頑張ってね!」

智葉「ああ、全国優勝してくるさ」

智葉「―――ッ」ズキッ




京太郎「おーい!智葉姐さーん!」

智葉「……京太郎、また中等部から来ていたのか」

京太郎「そんなに距離があるわけじゃないし、姐さんの居合切りが見たかったから!」

智葉「ほぼ毎日来ているじゃないか」

京太郎「来年から俺も居合道やるんだ!姐さんみたいにズバッって!」

京太郎「今は来年のための見学だぜー」

智葉「サッカーの方はいいのか?」

京太郎「俺は高校まで続ける気は無いよ」

京太郎「サッカーなんて適当に選んだ部活だったし」

智葉「そうか」

「辻垣内さーん」

「一緒に帰ろー」

「近くでお茶しよー」

「あれ、その子は?」

智葉「私の幼馴染、中等部の二年生だ」

京太郎「あー……俺、帰るよ」

智葉「……そうか、また明日」

京太郎「うん、じゃあな」


――――それから数日後


「辻垣内、インターハイには期待しているぞ」

智葉「……はい」

「少し様子がおかしいが、どうした?」

智葉「いえ……なんでもありません」



智葉「ッ!」ザシュッ!

キャーッ!カッコイイー!

智葉「―――くっ」ズキッ

京太郎「…………」

ジャーッ

智葉(何故、このタイミングで痛むんだ)

智葉(……何故だ)

京太郎「姐さん、なんで腕に水かけてんだ?」

智葉「京太郎!」

京太郎「……何だよ、その腕」

京太郎「すっげえ腫れてるじゃねえか」

智葉「このことは誰にも言うな」

京太郎「駄目だろそんなん、お医者さんに診てもらった方がいいって」

智葉「私には、インターハイがあるんだ」

智葉「一人で続けて、ここまで来て」

智葉「こんなことで諦めてたまるか」

京太郎「智葉姐さんが一人で頑張って来たのは知ってるけど!」

京太郎「俺には智葉姐さんの方が大事だよ!」

京太郎「無理するなって!」

智葉「五月蝿い!」

京太郎「何だようるさいって!」

智葉「私に、構うな!」


――――また数日後


京太郎「智葉姐さんが運ばれた!?」

「構えに入ったと思ったら急に腕を抱えて倒れちゃって」

「すごい汗かいてたよね」

京太郎「わ、わかりましたっ!」ダッ




京太郎「智葉姐さん!」

智葉「…………」

京太郎「……腕、大丈夫?」

智葉「病状が悪くなっていてな」

智葉「……切断するしかないそうだ」

京太郎「なんで……」

智葉「……私の方が、訊きたい」

智葉「なんで、私が……ぅ」ポロッ

京太郎「…………」

京太郎「先生!俺です!」

京太郎「以前、両親がお世話になった須賀です!」

京太郎「実は、先生に治してほしい人がいるんです」

京太郎「……壊疽だそうです」

京太郎「担当の先生は切断するしかないって……」

京太郎「…………はい」

京太郎「……俺、金は無いですけど、でも俺にできることなら何でもやります」

京太郎「あの人のため、なら」

智葉(私の腕は切断された)

智葉(利き腕の代わりに、この義手がつけられた)

智葉(血の通っていない冷たい鉄塊が私の右腕になった)

「あ、来たよ辻垣内さん」

「なんか雰囲気悪いよねー」

「勉強できていつも生真面目でウザイなーって思ってたんだよね」

「つーかあれって海賊じゃね?」

「それな、フック船長っぽくね」

「海賊っつーか女ヤクザのボスじゃね」

「それわかるー!」

「ギャハハハハハハハ」

智葉「…………」

ガンッ!ガンッ!

智葉「こんなモノ!こんなモノっ!」

「イタイ!イタイジャナイカ!」

智葉「お前……喋れるのか」

「シャベレルゼ、ナニシロキミノカラダノイチブダカラ」

智葉「何だと、義手のくせに」

「ギシュダッテ、キミノテダ」

智葉「ならば私に刀を握らせろ」

「ソレハムリダ」

「ニギルコトハデキテモ、キルコトハデキナイゾ」

智葉「私はお前のせいで海賊だとか、女ヤクザのボスと呼ばれているんだぞ」

「キミハソンナコトヲキニスルノカ?」

「ヤンクミミタイナノハドウイスルケド、ソンナヤツラハアイテニスルナ」

「ソンナノハトモダチジャナイ」

智葉「……私は、どうすればいいんだろうな」

「ナニカ、イアイイガイニデキルヨウニナルンダ」

智葉「私には居合しかなかったんだ」

智葉「……やはり、左腕だけで」

「ヤメテオケ、ヒダリウデモコワレテシマウ」

「サトハニハマージャンガアルジャナイカ」

智葉「麻雀――よくそんなことを知っているな」

「キミノコトハナンデモシッテイルヨ」

「マージャンヲベンキョウシテ、ニホンイチノジャンシニナッタライイ」

「キミナラデキル」

智葉「麻雀……か」

智葉「ロン」

メガン「参りまシタ……」

アレクサンドラ(特待生にも引けを取らない日本人)

アレクサンドラ(体験入部とは言っていたが――面白い)

アレクサンドラ(是非ともウチに欲しいな)

アレクサンドラ(団体戦は無理かもしれないが、今年であれば……)

「イヨイヨケッショウセンダナ!」チク

智葉「義手のお前が興奮してどうする、落ち着け」

「ヘヘッ、オマエナラゼッタイカテルゼ!」チク

智葉「本当にありがとう、ここまでやってきたのはお前のおかげだ」

智葉「お前はしっかり、私の一部だ」

「ソノトオリダ、オレハオマエ、オマエハオレダ」チクッチクッ

チクッチクッ

智葉(この音は……何だ?)チクッチクッ

智葉(時計――)

「コレニユウショウシタラ―――」

智葉(確か、この辺――――っ!)

京太郎「―――後は、全国大会だ」

智葉(京太郎!?)

「オマエノユメダッタゼンコクタイカイダゼ」

智葉「…………」

智葉「勝てる、だろうか」

    カテルトモ    ガンバロウゼ
京太郎「勝てるとも、頑張ろうぜ!」

智葉「……そうだな」

智葉「―――いつも、本当にありがとう」




カン