人を見下すことの多い私は、同じクラスの女子からも敬遠されることが多かった

    ……あ、いや、見下すっていうのは身長的な意味で

    家系の都合上、高く成長してしまった私の身長と並ぶ男子は同じ学年には少なく、精々5、6人程度

    バスケットボールやバレーボールには有用だけど、他の時には変に目立ってしまう

    同級生の男子には巨人とか言われてからかわれたり

    かっこいいな、と思った男子に話しかけても、その子の両手は終始握りこぶし

    私と対面になったマホちゃんが泣きそうになったこともあったし……

    そんな高い身長がコンプレックスだった私にも春が訪れた

    夏だったけど

    京太郎「うおっしゃぁ!一位だーっ!」

    京太郎「くくく、この調子で合宿から帰って来た咲たちを驚かせてやるぜ!」

    ミカ「あのー……」

    京太郎「ぇつ」

    ミカ「清澄麻雀部の部室、ってここ……ですよね?」

    京太郎「そうだけど、その制服は……」

    ミカ「あっ、私、高遠原中学校の加藤ミカと申します!」

    京太郎「やっぱり和の後輩、言われた通りだったな」

    ミカ「それはどういう……?」

    京太郎「合宿所と間違えてこっちに来ちゃう後輩がいると思うので構ってあげてください、って今朝和から」

    ミカ「私、気が抜けてるってムロちゃんに言われてて、朝寝坊も少なくなくて……」

    京太郎「つまり和は凄いってことか」

    ミカ「その通りです……」

    京太郎「俺は須賀京太郎、ピッチピチの高校一年生だ、よろしくな」

    ミカ「はい……あっ、よろしくお願いします」

    京太郎「ん、どうかした?」

    ミカ「いえ、須賀先輩、立ち上がると身長高いんだな、と」

    京太郎「よく言われるよ、ミカちゃんも高いよな」

    ミカ「……よく言われます」

    須賀先輩はお世辞にも麻雀が上手いとは言えない腕前で、見学に来た私が逆に須賀先輩に教えるようになっていて

    その日一日で私と須賀先輩は大分仲良くなって、メールアドレスまで交換しちゃったり

    それから時たま、私と須賀先輩は近くの雀荘へ行ったり、遊びに行ったり

    私の誕生日に東京から電話をかけてくれたり、東京から買ってきたという誕生日プレゼントを貰ったり

    そうして好きになって、告白して、返事をもらって、付き合い始めて……

    ミカ「こんにちはー」

    咲「ミカちゃん?受験勉強は?」

    ミカ「今日だけはどうしても来たかったんです!」

    咲「今日……?」

    咲「…………」

    咲「あっ」

    まこ「それでも京太郎の幼馴染なんか」

    咲「わ、忘れてなんかいませんよ、サプライズです!」

    まこ「こっちがサプライズじゃ」

    ミカ「それで、京太郎さんは……」

    まこ「和とネト麻しとるよ、ほれ」

    京太郎「和気和気」

    和「藹々藹々」

    ミカ「ちょっと!京太郎さん!」

    京太郎「ミカちゃん!?受験勉強は!?」

    ミカ「し、シンクロニシティ……」

    京太郎「誕生日かーすっかり忘れてた」

    ミカ「自分で忘れないでくださいよ、はい」

    京太郎「これは……Tシャツ?」

    ミカ「カピちゃんのと、京太郎さんのと、私のでお揃いです」

    京太郎「カピの分までか、ありがとな」

    ミカ「それで……その……今度また、静岡の温泉に行きませんか?」

    京太郎「んじゃミカちゃんの卒業祝いで行こうか」

    ミカ「はい!」

    和「温泉……?」

    まこ「カピバラ用の温泉が静岡にあるそうじゃ」

    咲「温泉……」

    優希「旅館……」

    和「同じ寝室……」

    まこ「同じ布団……」

    咲「重なり合う二人……」

    まこ「最近の女子中学生は進んどるのう」

    京太郎「親もいるから!変な妄想しないでいいよ!」

    京太郎「ねっ、ミカちゃん?」

    ミカ「はい、クリスマスで十分満足しましたから」

    京太郎「ちょっとー!?」

    和「」

    優希「」

    まこ「」

    咲「」

    久「大人になったのね、須賀君」

    京太郎「あんたどこにいたんすか!?」



    カン

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最終更新:2014年02月23日 14:47