松実館客間

ガララ

塞「ふぅ〜いいお湯だった」

京太郎「お前風呂長っ!? どんだけ浸かってんだよ。ふやけるぞ」

塞「良いでしょ? 温泉なんて久し振りなんだから」

京太郎「もう料理運ばれてきてんだけど」

塞「ナイスタイミングだったね」

京太郎「お前にはな」

塞「じゃあ、冷めないうちに」

京太郎「聞けよ。ったく」

京塞「「いただきます!」」

塞「ん、ん〜このお刺身美味しい」

京太郎「この天ぷらも絶品だ」


「きゃあああああああああああああああ」


塞「京太郎」

京太郎「なんだ?」

塞「今、悲鳴が聞こえたけど」

京太郎「そうか。けど生憎と俺は今この茶碗蒸しにどの角度で匙を入れるかという至上の命題について考察しているところだ」

塞「こういう温泉宿だとこう、痴情の縺れとかで殺人事件とかさ」

京太郎「ドラマや小説の見過ぎだろ」

塞「事実は小説より奇なりっていうでしょ?」

京太郎「子曰く、晋の文公は譎りて正しからず、斉の桓公は正しくして譎らず。ってか? んなアホな」

バタバタバタバタ

塞「表が騒がしいね」

京太郎「俺は客としてここにいるんだ。波風は立てない」

塞「もし本当になんらかの事件だとして、警察が介入してくると面倒だよ」

京太郎「俺達は善良な一般市民、と、は一概には言いがたいからな。聴取は受けるのは得策じゃない」

塞「京太郎は心当たりが多過ぎて絞り切れないでしょ」

塞「私に言わせれば君は不実フラグ乱立取締法違反、公然猥褻顔面罪、後はへタレ罪といったとこかしら」

京太郎「張り倒すぞ」

京太郎「ったく。なぁ塞、うちの社訓を言ってみろって」

塞「一つ、飛び込みの事件は信用するな」

塞「一つ、命懸けても金掛けない」

塞「一つ、危なくなったらさっさと逃げる」

京太郎「よろしい」

塞「そういえば、ここの女将さんすごく若い人だったね」

京太郎「へぇ」

塞「17だって。ああ、京太郎はちょうどいなかったね」

塞「こう、割と小柄で、長い黒髪に可愛らしい感じの美人で。後、胸が大きかったね」

京太郎「行くぞ塞! 困ってる人間がいたら助ける。それが俺達の仕事だろう」

塞「急にどうしたの?」

京太郎「え〜っと、ほら、アレだよ。たぶん正義とか愛とかそこらへんの心だよ」

塞「へぇ」

京太郎「そういう塞はなんでそんなに関わりたいんだよ」

塞「恩義を売って宿泊費を踏み倒して、ついでに謝礼をふんだくれたらなって」

京太郎「お前、俺より最悪だな」

塞「ご近所で私がなんて言われてるか知ってるの? 内助の功よ。誰の所為だと思ってるの」

京太郎「それで選んだ手段がこれって、人間的にどうなんだ?」

塞「君に人間性のなんたるかを説かれたくはない。とにかく超局地的世界平和、即ち私達の未来のために突き進みなさい!」

京太郎「ちっ、しゃあない。行くか」

塞「行くに決まってるでしょうが」


続かない!