「……夢?」

咲は、周囲に目を向けた。
眠っていながらも体を支えようと咄嗟にしがみついたのだろう、シーツや掛け布団がずり落ちていた。

「なんだ……夢だったんだ……」

咲は、自分の寝ぼけ加減に苦笑し、それから、なんとなく、指先を唇に当てた。
京ちゃんとキスをする。
随分とリアルな夢だった。
まだ感触が残っているような気がする。

「やだな……なんで、あんな夢見たんだろ」

京太郎とは昔からの付き合いだし、毎日顔を合わせてはいるのだが、少なくとも恋愛の対象として意識した事はない。
ない筈だが、夢に出て来るというのは、意識のどこかに、そんな願望があるからだろうか。

「京ちゃん……」

咲は、ひとり赤面しながら、もう一度呟いた。

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