~~しばらく経って

京太郎「うーん……」

初美「目が覚めちゃいました?」

京太郎「ああ、もう大丈夫です。動けます」

初美「そうですかー。それは何よりです」

京太郎「今何時くらいですか?」

初美「ちょうどお昼ですね。今お昼ご飯持ってきますよー」

京太郎「そんな、もう動けますから大丈夫ですよ!」

初美「……そうですかー?なら一緒に行きましょう」



ーー食堂

初美「おばちゃん、カレーくださいなー」

おばちゃん「あいよー。初美ちゃんも大変だねぇ」

初美「いえいえ、これも仕事ですから。半分好きでやってる事ですし」

京太郎「……カレー?」



ーー姫の部屋前

初美「姫様ー?お体の具合はどうですかー?」コンコン

小蒔「あたま いたい です……」グスッ

初美「調子に乗り過ぎですよー。神事にも差障ってるんじゃないですかー?」

小蒔「おっしゃる通りです……入ってきてもらっていいですよ」

ガチャッ

初美「それでは遠慮なく。京太郎さんも来てますよー」

京太郎「こんちわー……」

小蒔「えぇぇ!?居るなら居るって先に言ってくださいよぉ!」

京太郎「あの、なんかすいません」

小蒔「いえ全然!全然大丈夫ですよ!っいたた……」キーン

初美「それじゃ、これ持ってきましたから。食べましょう」

小蒔「うっ、この匂い……カレーですか!?」

初美「そうです。嫌いな人はほとんど居ないというあのカレーですよー」

小蒔「え、遠慮したいです」

初美「駄目ですよー。飲み過ぎる方がいけないんです」

京太郎「えっ、このカレーそんなにヤバイ奴なんですか」

初美「いーえ。ただ単に香辛料が多めの辛口ってだけですよー」

小蒔「辛いってレベルじゃ……!」

初美「議を言うなっ」スッ

小蒔「むっ……!?」パクッ

小蒔「かっ、からっ、辛過ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃlぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!お水!お水!」

初美「はい牛乳ですよー」

小蒔「っ!」バシッ

ゴクッゴクッゴクッ……

京太郎(めっちゃ喉鳴らしてる……そうだこれアレだ、ビールのCMだ)

小蒔「っぷはー……し、死ぬかと思いました」

初美「その様子だともう大丈夫みたいですね」

小蒔「はい。ですからこのカレーは」

初美「もったいないので全部食べてもらいますよー」

小蒔「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

初美「まぁまぁ。牛乳のおかわりは自由ですから。それに京太郎さんも手伝ってくれますよー、多分」

京太郎「えっ!?」

小蒔「手伝ってくれるんですか……?」ウルウル

京太郎「……はい」



~~カレー食後

小蒔「も、もふはめ……辛ひ……」

京太郎「まともに喋れなくなるかと思った……!」

初美「はい、お粗末様でしたー」

小蒔「もう辛いのは嫌です……お酒なんかもう飲みません」

京太郎(嘘だな)

初美(嘘ですねー)

初美「姫、神事の予定が詰まってますよー」

小蒔「……今日はどこでしたっけ?」

初美「種子島宇宙センターです。今度飛ばす宇宙船の安全祈願ですよ」

京太郎「へぇーっ、そういうところでも神頼みする時ってあるんですね」

小蒔「どれだけ科学が進歩しても、やっぱりどうしようもない部分はありますからね。そういう時に神頼みって便利なんですよ」フラフラ

京太郎「宇宙かぁ……」

初美「……京太郎さんも行ってみますー?多分行くだけになっちゃいますけど」

京太郎「いいんですか!?」

小蒔「もちろんですよ!是非是非、鹿児島が誇る宇宙技術の結晶を見て行ってくださいっ」

京太郎(これは……こっちに来て初めての役得かもしれない)



ーー種子島宇宙センター

京太郎「すっっっっげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!宇宙ステーションの日本棟の実物大があるー!」

『星はガス雲が集まって回転し、引力を増すことで段々と巨大化し形成されていくのです……』

京太郎「うわっなにこれなにこれ実験できんの!?薄墨さーん!小蒔さーん!こっちこっちー!実験できますよー!」

小蒔「ちょっと、予想以上に、テンション高い、ですね……」ゼーゼー

初美「男の人は、宇宙とか、技術に、弱いですからねー……」ゼーゼー

小蒔「まぁでも……無邪気過ぎて、ちょっとかわいいですね」

初美「お気持ちはよくわかりますー。これが母性って奴ですかねー」

京太郎「宇宙すげえええええええええええええええええええええええええええ!あっ打ち上げシアターがある!」



ーー神社

京太郎「あー楽しかったー!ホント連れてってくれてありがとうございました!」

小蒔「そ、それは何よりです……」

初美「元気ハツラツすればあんなに動けるんですね、京太郎さんって」

京太郎「宇宙かぁ、いいなぁ」

霞「麻雀にも宇宙ってあるんですよ?」

京太郎「岩戸さん!?……一体どこから」

霞「神社からです。それよりも、麻雀卓が宇宙と同一である……という話は聞いたことがありますか?」

京太郎「いえ、全然」

霞「古来、大きな自然としての宇宙観を卓上に表したのが麻雀だったって言う説もあるくらいですから。結構関係あるんですよ?」

京太郎「へぇー……じゃあ咲とかは引力でも持ってるんですかね」

小蒔「引力……?」

京太郎「あ、いえ何ていうか。あいつ嶺上開花やたら出来るじゃないですか。能力って言うのかな」

京太郎「卓が宇宙なら牌は星で、牌を引きつける人の力は引力なのかなって。……俺何言ってるんですかね」

霞「いえ、面白いと思いますよ」クスッ

京太郎「あーやべーなんか今すっごい恥ずかしいこと言っちゃった気がする!」

初美「録音はしてませんが、記憶の中にしっかりと肉声で残しましたよー。事あるごとに使わせてもらいますー」

京太郎「やめてください!お願いします!」

小蒔「卓が宇宙で牌が星なら……牌を引きつける人の力は引力なのかな、って」キリリッ

京太郎「神代さん!」

初美「あはははははははははははは!今日から京太郎さんは須賀☆→引力←☆京太郎に改名ですねー!」

霞「ええ、本当に、面白いと、思うわ……」プルプル

京太郎「言うんじゃなかった……」

初美「それじゃあ私達はもう休みますけど……勝手に引かれあったりしないで下さいねー……」プルプル

京太郎「しませんよっ!」

小蒔「い、引力……」プルプル

京太郎「ちくしょう皆して!」ダッ

京太郎(もう早く寝ちまおう……でも種子島宇宙センター、楽しかったなぁ。鹿児島に来てよかった)



小蒔「本当ですか!?」

老巫女「はい。姫をお産みになった母上様の元に現れ、母上様のお気を違えさせてしまったものと同一のものです」

老巫女「おそらくはご先祖様が過去に祓いそこなった低級の霊の寄せ集めでございましょうが、ここまで強大になっているとは」

小蒔(そんなものを……私、祓えるんでしょうか)

老巫女「姫はまだ若い御身、お世継ぎも御産みになっていらっしゃらない。無理をすることはありません。ここはこの婆に任せてください」

小蒔「どうするのですか?」

老巫女「私共梵百の器でも数百使い潰せば、封じることくらいは叶いましょう……」

小蒔「ダメです!」

老巫女「姫……」

小蒔「誰かを犠牲にした祓い方など認められません!……私がやります」

老巫女「何とお心の広い……!この婆、残り少ない命も姫のために使わせていただきます」バッ

小蒔(どれだけ怖くても、神代である私がやらなきゃ。そうですよね、母上……!)

ーー客室

初美「引力太郎さーん、朝ですよー」

京太郎「そんな名前の人は居ません」

初美「あれ?思ったより気にしてます?」

京太郎「自分の黒歴史の10分の9をさんざっぱら煽られたらこうもなろう!」

初美「それは申し訳ないですー。悪かったですから朝ご飯食べに行きますよ、京太郎さん」

京太郎「……ゴチになります」ゴソッ

ーー食堂

初美「というわけでご飯ですよー。はいご飯」

京太郎「随分器が大きいんですね」

初美「今日は鶏飯ですからー」

霞「あら、今日は鶏飯の日だったの」

京太郎「鶏飯?」

霞「あそこに色んな具材が乗ってるお皿がありますよね?」

京太郎「はぁ」

霞「ご飯の上に具材を好きなだけよそって、熱々の鶏がらスープをかけて食べるんですよ」

京太郎「好きなだけ!?」

初美「好きなだけですよー」

京太郎「うへぇ、朝から随分豪快っすね」

初美「ここでは朝から体力使いますからねー、しっかり食べておかないと。ほら向こうの姫なんか」

京太郎「?」チラッ

小蒔「おばちゃんおかわり下さい!」ガツガツガツガツ

おばちゃん「はいはい。……ほんに小蒔ちゃんは食べるときはよーけ食べるねぇ。太るよ?」

小蒔「太りまっ……せん!カロリー使いますから!」ガツガツ

京太郎「……oh」

初美「姫様ー、京太郎さん来てますよー?」

小蒔「はっ!?」バッ

京太郎「ハハ……どうも」

小蒔「おはようございます、今日もいい天気ですね」ニッコリ

小蒔「……じゃなくって!だから先に言って下さいって言ってるじゃないですかー!」

初美「わき目も振らずに食事してたのが悪いんですよー」

小蒔「い、嫌ですねはっちゃんったら!き、今日はもうお腹いっぱいかなー!あはははは……」

京太郎「いや小蒔さん、俺に気使ってもらわないでいいっすよ?……ほら、おかわり来ましたし」

小蒔「お願いだから弁解のチャンスを下さいぃぃぃ……普段はこんなに食べないんです。でも今日は大きな神事なんですよぉ」グスッ

京太郎「神事ってそんなに体力使うんですか?」

初美「普通の人ならそこまででも無いですけど、姫は何分特別な生まれですからね。色々神経を擦り減らすというか」

京太郎「なるほど……」

小蒔「そうなんです。仕方なく食べてるんですよ」パクパク

霞「ここで耳寄り情報。小蒔ちゃんは小さい頃から鶏飯大好きなんですよ」

小蒔「霞ちゃん!確かにそうだけどこの場でそれ言ったらなんだかとっても誤解されそうですよ!?」

京太郎「ハハハ……」

小蒔「ほらぁ京太郎さんもう完全に食いしん坊さんを見る生暖かい目をしてるじゃないですか!私の事はいいですから、みなさんご飯食べてくださいっ!」

初美「……姫、鶏肉・しいたけ・紅ショウガ・海苔・ネギの黄金比って何対何でしたっけ?」

小蒔「私個人の意見としては5:2:1:1:1ですね。」キリッ

京太郎「へー」

霞「ね?本当に好きなんです。びっくりするくらい」

小蒔「スープは…………ってもうもうもう!何言わせるんですか!ごちそうさまでしたっ!」

小蒔「うわーん!」ダダダ

バタンッ



京太郎「あ、行っちゃった」

おばちゃん「小蒔ちゃんは朝から元気ねぇ」

初美「それじゃあ、私達もいただきましょうか」

京太郎「そっすねー」

霞「……私は6:0:1:1:2かしら」ボソッ

京太郎「?」

霞「何でもないですよ~?」ニコッ



~~朝食終了後

京太郎「ご馳走様でした」ゲプッ

初美「お粗末さまでしたー。京太郎さん、今日はどうするんですかー?」

京太郎「うーん、特に予定無いんですよねー。ノリだけでここに来たし」

霞「それもそうですねぇ……」

初美「じゃあ観光ですねー。案内しますよー」

京太郎「お世話になってばっかりで申し訳ないっす」

霞「いいんですよ。初美ちゃん、誰かのお世話するの大好きなんですから」ヒソヒソ

京太郎「へー……」

京太郎(人は本当に見た目によらないんだなぁ……)

初美「……今失礼なこと考えませんでしたぁ?」

京太郎「いえ何も!」

初美「ならいいですけど。鹿児島城跡に行きますかー」

霞「あ、それはいいわね」パンッ

京太郎(城跡かー……)

初美「ふっ、京太郎さんの考えていることは手に取るように分かりますよー。城跡とか見ても何にもオモシロクナイと思ってますねー?」

京太郎「えっ!?」

初美「確かに普通の城ならそうでしょう。普通の人ならそうでしょう。が、しかし!私達と一緒に行く鹿児島城跡に関してはその認識、覆ることになりますよー」

京太郎「やけに自信あるんですね……」

霞「ふふふ……だって京太郎さん、男の子ですもの」

京太郎「?」



ーー鹿児島跡・黎明館

春「殿、生きて帰られよ!あなたは薩摩を……民草を治めるべきお方……!」

春「最早このような戦に加担する理はありませぬ!世が如何に変わろうと島津には島津の道というものがあることを、殿は御存知の筈でございます!」バタッ

春「ならぬっ!貴様もっ、貴様も帰るのだ!おまんらを見捨てて、おいにおめおめと逃げ帰れともんすか!」

春「殿。おいどんら誰一人として犬死するつもりなどなか。じゃっどん、例え生き残ったとしても……皆、殿が居なければこの浮世、生きる甲斐がなかとですたい!」

春「おいどんらが生きるには、まず殿に生きて帰ってもらわにゃいかんのです。わかってくんせ」

春「くっ…………必ず、必ず生きて帰れよッ!」バッ

春「…………行ったか」

春「これで一安心じゃあな。後はおいどんらの武者働きにかかっとるたい。……なぁ、ええ殿じゃったなぁ」

春「おうよ。あんなお人良しに仕えられたんは至上の誉れぞ、喜びぞ!」

春「こん捨て肝、絶対生き残らせちゃる」

春「殿をか?」

春「殿も、俺も、お前もじゃ!」

春「ハハハハッ!そがんごつ言わったらようよう死ねんなぁ!」

『射ち方ー、始めー!』

春「……死ぬなよッ!」

春「……応!」

霞「こうして、多数の討死者を出しながらも敵陣の中央を突破した島津は見事、80人の部下を連れて本国への帰還を成功させたのでした……」



京太郎「くっ……」ポロポロ

初美「いつ聞いてもいい話ですねー」ホロリ

霞「……京太郎さん?どう思いました?」

京太郎「臣下の身を案じる殿も゛、殿を守りながら゛、ざいごまでっ、いぎようどずる、臣下も゛、がっごいいど思いま゛しだ……!」ブワッ

霞「そうですね、誰一人として生きることを諦めなかったからこそ、この作戦は成功したんですものね」

春「……疲れた」ポリポリ

霞「はい、お疲れ様でした。……にしても、いつもながら迫真の演技ねぇ。不覚にも私もちょっと涙腺に来てしまったわ」グスッ

京太郎「うっ……うっ……」

初美「男の人ってホントにこういう話弱いですよねー」

霞「戦場は男の花道ですもの、今も昔もね」

春「バトルが好きなんだよね、要は」

初美「ですねー。ほら京太郎さん。ほかにも展示はありますから、次行きますよー?」

京太郎「はい゛……!」



~~夕方

ーー神社

京太郎「いやぁ、感動した!島津すげぇ!鹿児島すげぇ!おいどん感動した!」

初美「気に入っていただけたようで何よりですよー」

霞「もう京太郎さんも立派な薩摩隼人ですね」クスッ

春「ちょっとナヨいけどね」ポリポリ

小蒔「……」フラフラ

京太郎「あ、神代さん」

霞(あら、あの歩き方は)

初美(私達が観光に行ったのを誰かから聞かされたけど自分は仕事だったししょうがないよねと思ってしゅんとしていたら部屋に置いてあった焼酎に目が留まって少しだけ手を出した、ってとこですか。治るのは早そうですけど、絡むのはヤバイですねー)

春「……戦略的撤退」バッ

初美「祖母上ー、料理手伝いますー」タタタ

霞「お守り作らなきゃ……」パタパタ

京太郎「……アレ?皆さん?」

小蒔「きょーたろーしゃぁん?ろぉーこに、いっれらんれすかぁ!?」

京太郎(酔ってる!?)

小蒔「ろこに、いっれらんれすかぁ!」ユサユサユサ

京太郎「か、鹿児島城跡に……ちょっ揺らさないで下さいヤバイヤバイマジで」

小蒔「鹿児島城跡……皆と行ったんれすかー?」

京太郎「ハ、ハイ。案内してもらいました」

小蒔「いいなぁ、いいなぁ!皆いいなぁ!さぞや楽しひったれしょーね!春ちゃん演技上手いですし……」

小蒔「わらひなんて一日中びみょーに汗臭い中れ祝詞唱えてらんれすよぉ!?きょーたろーしゃん達が観光してるあいらずーーーーーーっと!」

京太郎「お、お疲れ様です」

小蒔「みんなずるいれすぅ……ずるすぎれすよう……しょーがらいれすけどぉ……でも、わらひだって、きょーたろーしゃんと」ウルッ

京太郎(今度は泣いた!?)

小蒔「うぇぇぇぇぇぇぇ……」ポロポロ

京太郎「えーと……あっ!じゃあアレです!今から二人で散歩でも行きましょう!」

小蒔「……え?」パチクリ

京太郎「……へ?」

小蒔(京太郎さんと?私が?二人っきりで?お散歩?)

京太郎(なんでいきなり素に戻ってるんだ?)



ーー神社の近く・星の見える道

京太郎「……」

小蒔「……」カァァ

京太郎・小蒔「「あのっ」」

京太郎「あ、神代さんから先に」

小蒔「京太郎さんからお先にどうぞ!私はその、お酒が抜け切っていないので……」

京太郎「そ、そうですか?えーと……今日はお疲れ様でした」

小蒔「あ、ありがとうございます。あのっ、さっきのは忘れてください!私どうしても酒癖が悪くて……飲んじゃダメだとは分かってるんですけど」グスッ

京太郎「ハハハ……分かりました。忘れます」

京太郎「……にしても、星綺麗ですねぇ」

小蒔「はいっ。実はここ、私の秘密の場所なんです」

京太郎「秘密の場所?」

小蒔「子供の頃、初めて降ろしてもらう時に怖くなって……家を逃げ出したことがあったんです」

小蒔「その時の野宿の場所だったんですよ、ここ。結局すぐ捕まっちゃったんですけど」

京太郎「へぇー……神代さんでも逃げちゃうくらい怖かったんですね」

小蒔「やっぱり自分の中に別のものが入ってくるっていうのは、今でも少し怖いです。私、あんまり我が強いほうじゃないですから」

小蒔「それからも怖い事が何回かあって、その度にここで一人で泣いてたんです」

京太郎「……でも、もう使ってないんですよね」

小蒔「霞ちゃん達が居てくれますから。でも、今日みたいに友達との時間が取れないと……やっぱり、段々疎遠になっちゃうのもしょうがないんですかね」シュン

京太郎「そんなことないですよ!」

小蒔「……え?」

京太郎「あ、えーとですね……俺も中学の時はかなり一緒に居たんだけど、部活の関係で高校の時から離れる時間が多くなった幼馴染がいて」

京太郎「でもそいつとは今でも親友っていうか……まだ惹かれあってる、って気がするんです」

小蒔「引力、ですか?」

京太郎「そうそうそれです!友達との付き合いって時間とかそういう物理的な事が重要なんじゃじゃなくて……お互いがお互いを信じる思いの強さが引力になると思うんです」

京太郎「そんでもって一旦力が働けばホラ、あの星とあの星みたいに、どんなに遠くに離れたところに居たって引力は0じゃない。ちゃんと作用するんですから!」

京太郎「だからお互いの事を信じられれば、どんなに遠くに行ってもまた惹かれ合えるかなー……と。だから永水の皆は疎遠にはならないって言うか、えーと」アタフタ

小蒔「その話……今急ごしらえで考えましたね?」クスッ

京太郎「す、すんません」

小蒔「でも、ありがとうございます。ちょっとだけ励まされました。……京太郎さんは、私との引力ーー感じてくれていますか?」

京太郎「勿論ですよ神代さん!だって……」

小蒔「小蒔、です。神代小蒔」

京太郎「え」

小蒔「出来れば……小蒔、って呼んでもらえませんか?」

京太郎「いや、それは、えーと」

小蒔「……」

京太郎「こ、小蒔……さん」

小蒔「はい、京太郎さん。私もーーあなたとの引力、感じられる気がします。これからも、末永く宜しくお願いしますね?」ニコッ

京太郎「俺が出来る限りのことはやらせていただきますっ!」

小蒔「ならーーもしも私が遠くに行って、困ってしまうことになったら、追いかけてきてくれますか?」

京太郎「そのくらいお安いご用ですよ!24時間365日電話一本で迎えに行きます」

小蒔「北海道でもですか?」

京太郎「そのくらい、電車乗り継いで行きますよ」

小蒔「遠い国でもですか?」

京太郎「パスポートとって飛行機で飛んで行きます。たぶん、他の皆も同じ事すると思いますよ」

小蒔「じゃあ、あの星でも……?」

京太郎「……星?」

小蒔「私が、天の上に登ってしまっても……会いに来てくれますか?」

京太郎「そうですね、その時は」



京太郎「……種子島からロケットにでも乗って、お迎えに行きますよ」

小蒔「京太郎さんっ!」ギュッ

京太郎「わっ!?……こ、小蒔サン?急に抱きつかれるとその、月並みですけど柔らかいモノがですね」

小蒔「まだ数日しか親しくしていないあなたにこんなこと言うのは不自然かもしれないですけど、でも……」

小蒔人の繋がりは時間じゃ決まらないって。どんなに長い間会えなくても、遠く離れても引力で繋がってるって」

小蒔「あなたがそう言ってくれたから。だから、私も言えます」

小蒔「ありがとうございます、京太郎さん。私、あなたに会えて、本当に良かった……!」

小蒔「私はもう、怖くないです。何も……」

京太郎「……?」

小蒔「……これ、受け取ってもらえますか。私が作ったお守りです……効果があるか分かりませんけど」

京太郎「いいんですか!?あ、ありがとうございます。俺、女の子からのプレゼントって貰ったことなくて」

小蒔「そうだったんですか!?」

京太郎「意外そうな顔をされるとこっちも反応に困りますよ……」

小蒔「じゃあ、私が初めて……か」

京太郎「何か言いました?」

小蒔「……何でもないですっ!」

小蒔「さ、帰りましょう京太郎さん。私達の社へ」ニコッ

京太郎「はいっ!」



ーー神社

初美「どこにほっつき歩いてたんですかー?」ゴゴゴ

小蒔「はっちゃん、これには深い訳が」

初美「許しませんよー?」

京太郎「自分が悪いんでごぜぇます!どうか、どうか姫には温情を!」

霞「はいそこまでです。……姫、今回だけですからね?」

小蒔「はぁーい……」シュン

初美「京太郎さんもですよー?一応ここの最高権力者で、私達の大事な友達なんですから。持ち逃げは困りますー」ギロッ

京太郎「すんませんでしたぁー!」

小蒔「はっちゃん様!お夕飯抜きだけはご勘弁いただけないでしょうか!今夜は神事なんです!」

京太郎「明日も観光なんです!」

小蒔「え、それって」

京太郎「小蒔さんも連れて行きます!」

小蒔「き、京太郎さんったらそんな、皆の前で」カァァ

初美「漫才はいいですから、ね?」

春「……二人とも、なんかシンクロ率上がってる?」

霞「初美ちゃん、とりあえずお夕食お出ししてあげましょう。姫の御体に差障ったら事だわ」

小蒔「霞ちゃん……!」ウルウル

霞「ただし夜遅いのでおかわりは禁止です」

小蒔「霞ちゃーーーーーーーーーーーーん!」

初美「姫様ー、京太郎さん隣ですよ隣」

小蒔「うっ……わ、分かりました」

京太郎(普段からおかわりしているのか……)



~~食後

ーー客室

京太郎「いやー相変わらず飯が美味しい!鹿児島最高!」

初美「それは何よりですよー、作った方も感慨無量と言うものです」

京太郎「……まだ居てくれるんですね」

初美「客人の方にはお付きするのが当然なのですよー」

京太郎「とは言っても、やることないでしょう?」

初美「……晩酌でもしますかー?」

京太郎「出来るんですか、むしろ」

初美「ええ。そのためのお酒も用意してありますから。……なんだかんだ、芋焼酎が恋しいのではないのですかー?」

京太郎「何故それを」

初美「芋焼酎は好き嫌いが分かれますからー。嫌いな人は最初の匂いだけでダメですし、好きな人は水と同じくらい飲みますよー」

京太郎「へぇー……じゃあ俺は」

初美「後者ですねー。焼酎飲みの資質がありますよー」

京太郎「そんな素質あるって言われても、あんまり嬉しくねぇなぁ」

初美「では準備してきますので、社の物見の所まで登っておいてくださいねー」

京太郎(ほんとに甲斐甲斐しいなぁ……嫁さんにするんならあんなタイプがいいんだろうけど)


ーー物見

京太郎(ここでいいのか?)

初美「お待たせしましたー。今日は月も輝いてますし、明かりは要りませんねー」タタタ

京太郎「あ……結構量は少なそうですね」

初美「姫や霞さんみたいな飲み方は阿呆のやることです。翌日の手間を増やすのは好きじゃないんですよー」

京太郎「ですよねー。その急須みたいなのはなんですか?」

初美「これは「ヂョカ」と言ってですね、前の日に作った水割りの焼酎を入れて、温めて飲む器具です。炭火ですからちょっと高いんですよー?」カチッ

京太郎「へぇー……」

初美「この神社は風も強いですし、昼間打ち水もしていますから。夜は外に出るとひんやりするんです。そこで」

京太郎「燗にした焼酎を味わって飲む、と」

初美「そういう事です。本来これが一番おいしい飲み方なんですよー」

京太郎「聞くだけで美味しそうですもん、未成年なのに」


初美「さ、座って下さい。お酌しますよー」

京太郎「え、いいんですか?」

初美「別に酌くらい嫌がったりしませんよ、セクハラ神主でもない限りは。はい、これが猪口です」

京太郎「随分大きめっすね……わざわざありがとうございます」

初美「はいはい。では……そろそろ火を消して、と。お注ぎしますよー」トクトク

京太郎「おっとと……では、頂きます」クイッ

京太郎「っ……………………ぷはああああああああああああああああああああああああっ!」

京太郎「旨いっ!旨すぎるっ!体に沁みる!これが焼酎だったのか!俺が前飲んだものはなんだったんだ!」

初美「阿呆酒ですよー」

京太郎「しかし、アレですね。ここまで美味しいお酒があるとつまみがないのが勿体ないですね」

初美「勿論用意していますよー。出来立ての薩摩揚げです」スッ

京太郎「もう至れり尽くせりで何てコメントしていいか分からないっすよ俺」ジュルッ

初美「いいんですよー。……晩酌の時間くらい身勝手で、ワガママでいいんです。後始末は私がしますから」

京太郎「あー美味いぃぃぃぃ……手が止まらねぇ」

京太郎「お酒おかわりお願いできますかー!」

初美「勿論ですよー。ささ、どうぞどうぞ」トクトク

京太郎「さっきよりちょっと少なくありません?」

初美「二杯目は一杯目の八割。三杯目は二杯目の八割。こうしていけば飲み過ぎることはありませんよー」

京太郎「なるほど……知恵って奴ですね。……でも俺これなら何杯でもいける気がするなぁ」クイッ

初美「飲む量は私がコントロールしますから安心していいですよー」

京太郎「あー…………………………ホント、いいなぁ……鹿児島」

初美「ご満足いただけてるなら何よりですよー」

京太郎「そういえば、薄墨さんは飲まないんですか?」

初美「いえ、私は」

京太郎「どうしても飲めないって言うんじゃなかったら……俺、薄墨さんと一緒に飲みたいです。それが俺のワガママって事で……ダメっすかね?」

初美「……分かりました。おつき合いさせていただきますよー」

京太郎「じゃあ、御猪口どうぞ。ささ、飲んで飲んで」トクトク

初美「ありがとうございますー。では、遠慮なく。んっ……」クイッ

初美「…………ぷはっ。うーん、美味しすぎます。お酒は魔物ですねー」

京太郎「それじゃあ、俺にももう一杯貰えますか?」

初美「はい。では酌返し返しという事で……」トクトク

京太郎「っ…………あ~美味いぃぃぃぃぃぃぃぃ……酒に溺れる人の気持ちも分かるわ。まぁ薄墨さんが居るからその心配は無いんでしょうけど」

初美「……ふふっ」

京太郎「どうしたんですかぁ?っとと……」

初美「なんだか三々九度みたいだなー、って思ったんです」

京太郎「三々九度?」

初美「何でもありませんよー。それより京太郎さん、まだ眠くはありませんか?」

初美「もう、またそうやって周りのために嘘を吐くんですから。眠いなら眠いって、はっきり言ってくれていいんですよー」

京太郎「……薄墨さん?」

初美「京太郎さんは姫と似ています。人なのに、どこか人間離れしてるっていうか……人が良過ぎるんですよー。無理してませんかー?」

京太郎「えー?俺無理なんてしてるつもりないですけどねぇ」

初美「いいえ、無理してますよー。それがあなたなりの処世術、生き方だとしても……自分を犠牲にし続けるだなんて、それは人の身で成し得ることではありませんよー」

京太郎「そんな大層な話じゃないですよぉ、俺の事なんて」

初美「そうですねー。一般的に見れば大層な話ではないかも知れません。でも、他人のために自分を犠牲にしようとするあなたを、放っておけない人だって居るんですよー?」

京太郎「えー?でもどうするんですか、俺多分そろそろ帰っちゃいますよー?……ひっく」

初美「……ならせめて、ここに居る時だけでも。私があなたの支えになりますよー。あなたが誰かのために自分の何かを犠牲にする限り」

初美「私は、あなたの苦しみを少しでも和らげるために……あなたを支え続けます。そう決めました」

京太郎「どうして、そんな、事……」

初美「あなたの事が放っておけないからですよー。何故かは、自分でも分かりませんが」

京太郎「ぅ……」ウツラウツラ

初美「眠くなりましたか?いいですよー。ほら……私の膝が空いてますから」ポンポン

京太郎「いや、流石に、それは……Zzz」

初美「いいんです。あなたは人と人を繋ぐ事が出来る。でもそのせいで、他の人よりもずっと重い物を背負っている」

初美「私にはその重荷は背負えません。でも、あなたの心を支える事なら出来ます」

初美「だから……思いっきり甘えてくれていいんですよ、京太郎さん。それで少しでもあなたが心を癒してくれれば、私は……」ナデナデ

京太郎「Zzz……」

初美「寝ちゃってましたか。……お布団敷かないといけませんね」

初美(でもーー)

京太郎「Zzz……」

初美「今はもう少しだけ、こうさせて下さい……」



ーー神社・本殿

小蒔「それでは……祓いを始めます!」

祟り神「「「「「……」」」」」

ズズズズズズズズズズズ・・・

小蒔(なんて瘴気……でも!)

小蒔「それでは各自祈祷をーーッ!?」

祟り神「……!」ビュンッ

小蒔(しまった!一匹、足の速いのを逃がしちゃった……!)

老巫女「姫!あれ単体ではまだ暴れますまい!今は目の前の大物にお気を集中させられよ!」

小蒔「分かっています……!ありがとう、婆」

老巫女「このような老体に労りの言葉など……恐縮の極みです」

ギーガ「ゲフーッ ゲフーッ! 食ベテヤル! 食ベテヤル! 地球上ノ 全テノ物ヲ 食ベテヤル!」

ブラック「神代小蒔!暗黒面が見たいってのはお前かァ!?」

ミサイル「グブッ! グブッ!ミサイルをしこたまぶちこんでやる!」

小蒔「あれは……ゲームの!?」

老巫女「憑き物が顕現しやすいように憑代を定めたにすぎませぬ、惑わされませぬよう」

小蒔「はい……!」バッ

ブラック「おォ、祓う気かァ!そりゃあいい、じゃあお前の得意な物……麻雀で勝負させてやるよ!」

ブラック「ブラ~~~~~~~~~ック・ボンビーーーーーーーーー!」ドロォォォ

老巫女「姫っ!」

小蒔「婆、大丈夫です。私は……」スウッ

老巫女「姫……?どこに行かれるのですか?姫ーーーーーーーーーーーーっ!?」



ーー???

ミサイル「グブッ!グブッ!いいだろう、麻雀だ!麻雀だ!」

ギーガ「ゲフーッ!ゲフーッ!」

ブラック「さぁ始めようぜェ神代の巫女……親は俺様からだがな!」

小蒔(驚いたけれど、麻雀勝負という事なら……女神様を降ろせば)

小蒔(……あれ?降ろすどころか、気配さえも……)



ブラック「ーー馬 鹿 が !!」

ブラック「ここは俺が作った空間だぞォ?呼ばせるわけがないだろう……そしてなァ霧島の。残念なお知らせだ」

ブラック「今までお前に味方してきた女神たちは……ぜ~~~~~~~んぶ俺様達が大事に使わせてもらうぜェ!」タンッ

ブラック「嘘だと思うんなら気配を探ってみるんだな!今まで自分が頼りにしてたものが敵になるのがどんな気分か……しっかり味わえ!ブラ~~~~~~~~ック・ボンビーーーーーーー!」

ジャラララララララ……

ブラック「それじゃ、試合開始だァ!」タンッ

ギーガ「ゲフーーッ!」ダァン

ミサイル「グブブブブゥ!気分がいいなぁ『自動操縦』ってのは!何もしなくても勝てるのか!」

小蒔(そんな……女神様が……)

ブラック「どォしたァ!?切らないんなら自動でツモ切りだァ!」ピッ

小蒔「きっ、切ります!切りますからーー」ハッ

ミサイル「もうダメーーーーーーーーーーーーーーーーー!時間切れの自動切りだ!」


ギーガ「ゲフーッ!ロォォォォォォォォォォォン!」

小蒔「きゃああああああああああああああああああああああああっ!?」

ブラック「おっと言い忘れてたが……点数はそのまま魂の数値に繋がってるぞ。尽きたら死んじまうかもなァ!もっとも……」

ブラック「俺達ァ持ち過ぎなくらい魂ってのを持ってるから消える心配ないんだけどなァ!ざっと1万5000人分」

ブラック「375000000点奪い取ればお前の勝ちだ!出来れば、だがな!ブラ~ック・ボンビー!」

小蒔「そんな……こんなの、公平じゃないです!」



ジャラララララララララ・・・

ブラック「んー?聞こえんなぁ!ハハハハハハハハ!」タンッ

ギーガ「ゲファファファファッファファ……誰が公平なルールでやると言った!元より力は圧倒的にわれらが上!我々はお前の殺し方に趣向を加えているに過ぎん!」ダンッ

ミサイル「グブブブブ……絶望しながら死んでいけ!」

小蒔(375000000点……?そんなの、どうやって削りきれば)

小蒔「っ……」タンッ



ブラック「ロォン!」

小蒔「くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」

小蒔(ホントに……私の魂が消えかかってる……!)

ブラック「いやァ『運がいい』なァ!ハハハ!女神の力ってのは最高だ!」

ミサイル(グブブブッ!もっとも、そんなものが無くても全部一発で和了れる様に細工してあるんだがな!)



ジャラララララララララ・・・

小蒔「……」

ミサイル「どうした、戦意喪失か!?グブブブブブブッ!」

小蒔(京太郎さん……)



『もし、私が天の上に行ってしまっても……会いに来てくれますか?』




小蒔(あなたが、居てくれたから……)

小蒔(私はーーーーーーーーーー!)



ギーガ「自動ツモ切りだ!早くしろ!」

タンッ・・・

ブラック「……」

ミサイル「……」

ギーガ「……」

ブラック「お、おい!誰も和了れないのか!?」

ギーガ「ゲフーッ、俺は、無理だ……」



ミサイル(ありえないっ!奴の手は全て、俺達が一発で和了れる牌の筈だ!生き残るなどと……!)

小蒔「……」

小蒔(女神様を降ろせないのなら、誰にも頼れないのなら……)



『ーー種子島からロケットにでも乗って、お迎えに行きますよ』



小蒔(私が、私自身が………………天頂へ昇る!)



ーー神社

霞「婆様、小蒔ちゃん!大丈夫ですか!?あの青い光の柱は一体……?」

老巫女「おぉ、霞……!」

老巫女「なんという……なんということじゃ……この婆の力が足りぬばかりに……!」

霞「婆様……?」

老巫女「姫は……人をお捨てになられ、神になってしまわれた!」

霞「え……」



ーー宮森

塞「うわー」

豊音「どうしたのー?」

塞「予備のモノクルが全部粉々になってる……」

豊音「うわぁー……大損だねー」

塞「またバイトかぁ……やめてほしいなぁこういうの」



ーー清澄

和「あふんっ」ビクンッ

優希「!?」ビクッ

和「宮永さんのおけつ!おけつが見えるんです!あぁ、あれがそうですね、バァーって動いてます!ぷりぷりです!ぷりっぷりです!」

優希「部長!和ちゃんがおかしなことに!」

久「いつもの事でしょ。放っておきなさいな」

優希「でも、ここまでおかしくなってしまうなんて……人類は進むべき道を間違えたのかじぇ……」ガタガタ

まこ「人の業が生み出したもの……和もその一つ。決して目を逸らしてはいかんのじゃな」シミジミ

咲(……?)ゾクッ



ーー姫松

洋榎「なぁなぁ絹、聞いて聞いてー」ウキウキ

絹恵「どしたん?」

洋榎「さっきたこ焼き食うたらな、なんと一つの中にタコが3つ入っとってん!」

絹恵「……おめっとさんです」

洋榎「あー!今『それウキウキで言う事ちゃうやろこのノータリンのおっぺけぺーが』とか思ったな!?」

絹恵「思ってへん思ってへん。思ってへんからさっさと宿題かたしいや」ハァ



ーー???

ブラック「ふ、ふん!まぁいい……」タンッ

小蒔「ロン。………………九蓮宝燈!」

ブラック「何ッ……!?」

ギーガ「!!!???」

ミサイル「やっ…………役満だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?ありえんっ!」

ミサイル「奴の手を、人間如きの手を、怨霊である俺達がコントロールしきれていないとでも言うのか……!」



ブラック(違う……あいつは)

ブラック「ーー小娘。忠告だけしておいてやる。……『それ』は人の力じゃあない……いくら勝ったところで、帰れなくなるぞ!」

小蒔「……………………」

ブラック(こいつ、もう聴覚が効かないのか……!)

ジャララララララララララ・・・

小蒔「ーーさぁ、連荘です……!」



(耳が、聞こえなくなった)

(でも、怖くない)

(もっと高く……)

小蒔「ーーツモ。天和……連荘です」

ギーガ「て、天和ォォォォォォーーーーーーーーーー!?」

ミサイル「ありえんっ!ありえんっ!ありえんっ!」



(汗の味が、しなくなった)

(怖くない)

(もっと高く……)

ジャラララララララララララ・・・

小蒔「……ツモ。天和!」

ブラック「やめろ!お前、まさか……」

ブラック「人の身で、神の頂に昇ろうとしているのかッ!?」

小蒔「連荘です……!」



(匂いが、しなくなった)

(怖く、ない)

(もっと、もっと、もっと……!)

ジャラララララララララララ・・・

小蒔「ツモ。天和!」

ギーガ「グブーッ!グブーッ!グブーッ!グブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」



(視界が、消えた)

(怖く……ない)

(あと、少しで……!)

小蒔「連荘、です……!」

ジャラララララララララララ・・・

小蒔「……ツモ、天和です……!」

ミサイル「やめろ!魂の数値の差を理解しているのか!?やめろォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」



小蒔「たとえ、貴方達が何点持っていようと。倒します。倒してみせます」

小蒔「私の宿命は……他の誰でもない。私が超える!」

(体の感覚が……消えた)

(……でも、大丈夫)

(だって、私の中にはいつだって、あなたのーーーー)

(あなたがくれた暖かな思いが、たくさんあるから)

(だからーーーーーーーーーーー怖くない!)

「「「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」」」



ーー物見

ハリケーン『ドッドド!ドドード! ドドード! ドドー!』

ハリケーン「よう、会いたかったぜ!兄弟!」

初美「……」

ハリケーン「とりあえず眠りこけてるこの男、憑き殺しちゃっていいかぁ!?」

初美「させませんよー。……絶対に」



京太郎「Zzz……んぁ?ってうわああああああああああああああああああああああああ!?何だアンタ!?ボンビー!?」

ハリケーン「俺かぁ!?俺はハリケーン!伝説の破壊神様だよ!」ゴゥッ

京太郎「うおっ……!?」

初美「京太郎さん、本殿へ行ってください。……コイツが出たという事はきっと、姫があなたの事を待ってますー」

京太郎「え、小蒔さんが!?でもこいつは……!」

初美「……ここは私に任せてくださいですよー。さぁ、早く」

京太郎「薄墨さん……」

初美「姫みたいに下の名前で呼んでもらえると雰囲気出ますね。はっちゃんでもいいですよー」

京太郎「それ、今言うことじゃないでしょう!?」

初美「……少し、悔しかったものですからー」

京太郎「……」

初美「さ、行って下さい。男の背中を守るのは……女の仕事です!」バッ

京太郎「初美さん……俺、なんかよくわかんねーけど、行ってきます!」ダッ

ハリケーン「ふんっ、ここまで来ても状況が理解できんとは……臆病な上に頭も残念なようだなぁ、兄弟の見初めた奴は!」

初美「……黙って下さい。京太郎さんは、誰かを呪う事しか出来ないあなたなんかよりずっと賢くて、強くて……優しいんですよ」

ハリケーン「ハハハ!だが俺も飛び出してきちまったせいでこのままじゃ色々と壊せないんでなぁ。兄弟の体が欲しいんだが、もらってもいいかな!?」

初美「……タダじゃあげませんよー」

ハリケーン「分かってるよぉ!俺と兄弟の仲じゃないか!ここは……兄弟の得意な麻雀で決着といこうや!」ブアッ

初美「……っ!」



ーー???

ハリケーン「そうだなぁ……二人だけだし、北と南はいらねぇか!」ゴウッ

初美「……」

初美(なるほど、そういう事ですか。こすっからい奴ですねー)

ハリケーン「なぁ、始める前に言っておきたいんだがよぉ兄弟」

初美「馴れ馴れしく呼ばないで下さいー」

ハリケーン「お前は、あの男とは……いや。すべての人と関わりを持つべきじゃあないんだ。親切心で言ってるんだぜ?」

ハリケーン「お前の宿命がな、破壊の嵐を呼ぶんだよ……仲間の輪の中にお前が居るだけで、そのチームには破壊が訪れる。お前と関わった奴は遅かれ早かれ壊れるんだよ」

ハリケーン「身に覚えがねぇ訳じゃないだろう?なんたって、桃鉄の時、誰よりも仲間の心に傷をつけて優越感に浸ってたのは」

ハリケーン「兄弟!お前なんだからなぁ!いやぁ見てて楽しかったぜ、まさか姫様に暴力を振るうなんてなぁ!普段よっぽど不満が溜まってたのか、ええ!?」

初美「……っ」

ハリケーン「それだけじゃない!あの男が俺によって不幸に見舞われた時もお前は少しもあの男の事を鑑みずに、一人で嘲笑ってたじゃないか!」

ハリケーン「お前から馬鹿にされる度に硬くなっていくあの男の自嘲的な笑みの意味も分からないまま!分かろうともしないまま!お山の大将気取ってたんだろう!?」

ハリケーン「今アイツに優しくしてるのは、恋なんかじゃなくて……そういう後ろ暗い気持ちがあるからなんじゃねぇのか!?なぁ兄弟!」

ハリケーン「予言してやるよ。例えこの場面を脱したとしても、あの男が姫様に取られたら、お前はもう一度破壊の嵐を巻き起こす。その時が神代の、本当の終わりだ!」

初美「違う!私は……っ」

ハリケーン「何が違う!?何故違う!?他人を憎み、妬み、嘲り、僻み、否定し、殻に篭り、分かり合おうともせず!その末の暴走!その果ての破壊だ!最早人間の意志で止められるものじゃないんだよ!」

初美「例え、私の宿命が嵐を呼ぶものだったとしても……!私は……!」

ハリケーン「言いたい事があるんならはっきり言えってんだよ、兄弟!」

初美「私は…………そんなものに負けたりしません!宿命の殻を破って……新しい運命を、きっと掴んで見せます!」

ハリケーン「出来るのかぁ?何かを壊し続けることしかできないお前に!」

初美「だって……そんな嵐の真ん中に居た私に、傷つきながら手を差し伸べてくれた人達が居ますから。その人達の為なら、私はどんなことだってやってみせます!」

ハリケーン「……」

初美「さぁ、かかってくるといいですよー。私は、絶対に負けませんから」

ハリケーン「……」

初美「……どうしたんですかー?」

ハリケーン「……チッ。興ざめだぜ」

初美「は?」

ハリケーン「興ざめだって言ったんだよ、兄弟。堂々と惚気やがって……もうやめだ、やめやめ。弱い奴相手ってのはこれだから……力が弱いくせになまじ意志ばっかり強くて、一丁前に息は巻きやがるんだから」

ハリケーン「あーくそっ!こんなつむじ風みたいな嵐は面白くもなんともねぇ!」

初美「……意味が分からないですよー?」

ハリケーン「兄弟、歯ぁ食い縛れ!」ゴウッ

初美「きゃあっ!?」


初美「これは……」

初美(私の気が……変化してるんですかー?)

(変化じゃねぇよ兄弟。進化だ)


初美「あなたは……!」

(手ぇ貸してやるよ。心配すんな、乗っ取ったりはしねぇよ。俺と兄弟の仲だからな)

初美「もしかして、あなたも……」

(……ああ。あなた『達』が正しいけどな。だから見てみたくなったんだよ、同じ宿命を持ったお前さんの行く末って奴を)

初美「……」

(さぁ、行ってやんな。兄弟の恋人は今頃、苦戦してるだろうからなぁ)

初美「恋人じゃありませんっ」

(なんだ、まだ告ってもいなかったのか?自信があるのかないのかわかんねぇな)

初美「……行きますよっ!」ビュンッ

(応!思う存分嵐を巻き起こせよ、兄弟!)



ーー本殿

京太郎「岩戸さんっ!」

霞「京、太郎、さん……」ポロポロ

京太郎「小蒔さんは……!?」

霞「小蒔ちゃんが、小蒔ちゃんが……」

老巫女「姫は、祟り神を祓う為に己を贄として神になられた」

京太郎「かみ、って」



老巫女「肉体は既に無い。おそらくは、自我も……」

霞「う、うぅぅ……」

ズズズズズズズズズズズ・・・

老巫女「まだ生き残りがおったのか!?」

霞「そんなっ!」

京太郎「うわぁっ!?」ガシッ

霞「京太郎さんっ!」

京太郎「あの、岩戸さん……一つ聞いておきたいんですけど」ズルズル

霞「な、なんですかこんな時に!」

京太郎「霞さん、って呼んでもいいですか。ていうか勝手に呼ばせてもらいます」

霞「呼び方なんて……今言うことじゃないでしょう!?早くっ……私の手を掴んで!引きずり込まれてしまいますよ!?」

京太郎「じゃあ霞さん……俺、行ってきます!」

シュンッ・・・



ーー???

京太郎「あいったたたたた……ここは……宇宙?」

キング「グェッヘッヘッヘッヘッ!よく来たなすが社長!」

京太郎「ちょっおまっ……ハリケーンの次はキングボンビーさんですか!?」

キング「さぁ、麻雀だ!卓につくがいい!」

京太郎「いやちょっと待っ」

キング「待たん!俺様はとろいのが嫌いなのだ!じたばたしてもどうにもならんぞ!キ~~~~~ング・ボンビーーー!」

京太郎「待てっつってんだろうが。……小蒔さんはどこだ」

キング「あぁ、あの巫女か?ーーーー消えたよ。いやぁ危なかった、こちらも三体ほど巻き込まれちまったけどなぁ!」

京太郎「なっ……!?」

キング「さぁ、無駄話はもういいだろう?麻雀を始めよう!俺様は一人でも多くの魂を食べたいのだ!」

ジャラララララララララララ・・・

『小蒔ちゃんが……』

『神になってしまわれた……』



京太郎(小蒔さん……まさか、本当に)

キング「切りたくないのなら勝手に切らせるぞ!ほれっ!」タンッ

京太郎「なっ!?卑怯だぞてめぇ!」

キング「グェッヘッヘッヘッヘッ!無気力試合をする方が悪いのだ!」

京太郎「……クソッ!」タンッ

キング「それロン!跳満~~~~~~~~~~~~!」



京太郎「か…………はっ!?」ボコッ

京太郎(なんだ、これ……体に、穴が……?)

キング「点数は魂の数値!それが消えた時、お前もまた消える!よかったなぁ、無の先で愛しのこまき社長にまた会えるぞ!」

京太郎「ふざっ……けんな……!」

キング「グェッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッ!楽しいなぁ、いたぶるのは!」

京太郎(クソっ、跳満一発でここまで響くのか……?頭が、回らねえ)



キング「回す頭もないくせに強がるなよすが社長!お前元々麻雀はどうしようもなく弱いじゃないか!」

京太郎「うるせぇっ!人のっ、モノローグを勝手に見てんじゃねぇっ!」

キング「見えてしまうのさ、俺様はそういう存在だからな!……さぁ、二局目だ!」

ジャラララララララララララ・・・

京太郎「く、そっ……」タンッ

キング「フラフラだなぁすが社長!大丈夫か!?」ダンッ



ーー清澄

咲「カン!……あれ」

優希「咲ちゃんが嶺上開花を外した!?」

和「確率的には普通ですね。ですが罰としておしり触らせてさせてください」

咲「いや……これは、普通じゃないよ」

咲(この感覚は……能力は発動しているのに、牌が私より強い力の方へ引きつけられていったような感覚ーー)




京太郎(小蒔さん……)

『小蒔です。神代小蒔』

京太郎(小蒔さん……!)

『私、あなたに会えて、本当に良かった……!』

京太郎「小蒔さんっ……!」ダンッ

『私との引力ーー感じてくれていますか?』



キング「グェッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッ!泣いても喚いてもどうにもならんぞ!時は過ぎていくだけなのだ!」ダンッ

京太郎「小蒔さんっ!」

(京太郎さんーー)

京太郎「!?」

キング「ほほう、まだ自我があったか!」

(ごめんなさい。体、無くしてしまいました……)

京太郎「小蒔さん!まだ、まだそこに居るんですね!?」

(……今の私はどこにでも居て、どこにも居ません。体がありませんから)

(でも、後悔してません。あなたと会えて……こんな終わりになってしまったけど。素敵な日々を過ごすことが出来ました)

(だから私、信じます。あなたならきっとここから生きて帰って来れるって……私の力を使って下さい)

(これで私は本当に消えてしまいますが……あなたのそばで、いつでも)

京太郎「……」

キング「グェッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッ!どうしたぁ?亡き彼女からの最期のプレゼント、もらってやればいいじゃないか!」

キング(もっとも、それは俺様が生み出した幻影……本物の自我はとうの昔に宇宙の塵だがなぁ!そいつの力を使った瞬間、お前は俺様の一部になる!)

キング(そっちから受け入れてもらった方が、魂の吸収が早く済むからなぁ!)

京太郎「……分かりました」

京太郎「俺も、信じます」

(京太郎さん……なら、この力を)

273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/08/10(金) 18:26:40.75 ID:i3p8bisB0

京太郎「小蒔さんの体も自我もまだあるって。そう信じます」

(え……?)

京太郎「初美さんも霞さんも永水の皆も無事で、誰もこんなことの犠牲になんかなってないって。そう信じます」

(いや、ちょ)

京太郎「……そうだ!俺は信じる!小蒔さんからもらったお守りが、まだ信じてほしいって言ってるんだ!」

京太郎「小蒔さんを信じる。初美さんを信じる。永水の皆を信じる。……最後の最後まで、絶対に信じる!」





京太郎「だから、俺の引力は…………今から!!!超!!!!!!強くなる!!!!!!!!!!!!!!!」



キング「何ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!?」

シュウウウウウ・・・

小蒔「えっ?えっ?えええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」ヒュー

京太郎「よ、っと」ガシッ

京太郎「約束通り迎えに来ましたよ、小蒔さん。ロケットじゃないですけど」

小蒔「京太郎さん……私、何が何だか……でも……また、会えた……」ギュッ

キング「何だ貴様!後だし能力とは卑怯だぞ!」

京太郎「……能力なんかじゃねぇよ。ただ……誰かの不幸しか喜べない奴と、最後まで何かを信じられる奴じゃな……引力が違うんだよ!」

京太郎「宿命だか運命だかなんだか知らねぇが、そんなもん俺の引力で全部いい方向に持って行ってやる!」

キング「ええい、何を言っている!今は麻雀をしているんだぞ!引力とか関係ないだろうが!」

京太郎「いいや、ある!」

京太郎「信じる力で、四角い宇宙に奇跡を起こす!それが人生……それが麻雀だ!」

キング「くぅ……意味の分からんことを!」タンッ

京太郎「ロン!七対子!」

キング「なっ……!?何故和了れる!?」

京太郎「引力に決まってんだろ!さぁ、次は俺の親だ!」

ジャラララララララララララララララララララ・・・

小蒔(凄い……牌が全部、京太郎さんのところに引き寄せられていく)

キング「まっ、待て!牌が俺様の所に来ていないぞ!これでは麻雀にならん!」

京太郎「うるせぇっ!手前だってさんざっぱらイカサマ紛いのことしてたんだろうが!配牌弄ったり!」

キング「グッ……!?何故それを」

京太郎「あー!やっぱりしてたんだなこの野郎!最低だなお前!」

キング「グッ、グググ……!」

小蒔(確証があって言ったわけじゃなかったんですね)

京太郎「行くぜえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!」

京太郎「大三元!四暗刻!小四喜!大四喜!字一色!緑一色!清老頭!後は、えーと」

小蒔「特定の手で成立する残りの役満は九連宝燈と大車輪と国士無双です!」

京太郎「そうそう、それ!……とにかく、全部まとめてぇ!」

キング「わっ、悪かった!もう悪いことはしないから!」

京太郎「食らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

キング「グエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ………………………!」



京太郎「ハァッ、ハァッ……」

小蒔「あの、京太郎さん」

京太郎「な、なんすか……」

小蒔「……どうやって、ここから脱出しましょう?」

京太郎「お、俺の、引力でなんとかしますよ……ハハハ、ハ……」フラッ

小蒔「だっ、大丈夫ですか!?」オロオロ

京太郎「す、すんません……ちょっと立ち眩みが……あれ?」ガクッ

小蒔「き、京太郎さん!えーと、えーと!私がまた天の頂に昇りますから!大丈夫ですよ!」

初美「それじゃあ元の木阿弥ですよー」

小蒔「はっちゃん!一体どうやって」

初美「まぁ色々と頑張りましたー。さ、鹿児島に帰りましょう姫様。皆姫様のことを待ってますよー」

小蒔「……はいっ!」

京太郎「……」チーン

初美「お疲れ様です、京太郎さん。後で一杯甘えさせてあげますよー。晩酌もおつき合いしちゃいます」クスクス

初美「……って気絶しちゃってますねー」

京太郎「……」

小蒔「……え?甘えさせ、え?」

初美「姫様、掴まって下さい!一気に帰りますよ!」

小蒔「は、はいっ!」ギュッ

初美「せー……のっ!」ドボンッ



ーー本殿

小蒔「ーーーーーぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!?」ゴロンゴロン

初美「あいたたたたたた……姫様、あんまり叫ばないで下さい。京太郎さんが起きてしまいますー」ドサッ

小蒔「そ、そんなこと言ったって……!あんな乱暴な戻り方ってアリですか!?」バックンバックン

初美「帰ってこれたんだから、アリですよー」

初美(ハリケーンは……途中でどこかへ行ってしまったようですねー。またいつか、会うことになるかもしれません)

老巫女「姫!姫……よくぞご無事で」

霞「初美ちゃんも小蒔ちゃんも、よく帰って来たわね……!」グスッ

春「……この気絶してる下敷き引力男については触れない方向で?」ポリポリ

京太郎「苦しいです。評価してください。後小蒔さん顔の上からどいてください、死んでしまいます」

小蒔「あぅ、ご、ごめんなさい!」

初美「む、おいしいイベントを取られてしまいましたね。でも姫様……私は負けませんよー?」

小蒔「こちらこそ。全力以上で当たらせてもらいます!」グッ

初美「おいしいイベントは一つ盗られてしまいましたが……本当に美味しいのはこれからですよー」

京太郎「これから?」

小蒔「婆、分かっていますね。祓いの後です」

老巫女「はっ。承知いたしました」

京太郎「何があるんですか?」

春「……私に聞くより、あなたと凄く話したそうな向こうの二人に聞いた方がいいと思うよ」ポリポリ

初美「……」ウズウズ

小蒔「……」チラッチラッ

京太郎「えーと小蒔さん、初美さん。これから……何があるんですか?」

小蒔「そんなの」

初美「決まってるじゃないですかー」




「「お勤めが終わったら、宴会ですよっ!」」