京太郎「なんかすいません。いきなりお家まで押しかけたうえ、お茶まで出してもらっちゃって」
玄「『お姉ちゃんは留守だから』って帰すのもなんか気の毒だし、別に大したことじゃないから」
京太郎「松実さん、今日はどこかへお出かけしてるんですよね」
玄「ちょうど旅館の会合に顔を出してるんだよ。お姉ちゃんは長女だし、次の女将さんだからね」
京太郎「女将さん、ですか」
玄「…………」
京太郎「へへ」
玄「随分と鼻の下が伸びてるみたいだけど、実の妹の前だってことを忘れてないよね。須賀くん」
京太郎「とんでもないです! 和服美人だとかうなじがセクシーだとか、そんなことは決して!」
玄「えっち」
京太郎「仕方ないじゃないですか! 松実さんすっごく美人だし、おっとりしていて可愛いし!」
玄「それは私もそう思うけど。須賀くんの口から聞かされると、なんか微妙な感じ」
京太郎「相変わらず手厳しいですね。玄さんは」
玄「…………」
京太郎「玄さん?」
玄「須賀くんはさ、やっぱりうちのお姉ちゃんのことが好きなの?」
京太郎「なんですか、いきなり」
玄「答えて」
京太郎「…………」
玄「お姉ちゃんは多分あなたのことなんか好きじゃないと思う。だから下手に傷付く前にいっそ」
京太郎「好きですよ」
玄「須賀くん」
京太郎「始めはただの憧れだったかもしれませんけど、今なら自信を持って言えます」
玄「…………」
京太郎「だから」
玄「もういい」
京太郎「え?」
玄「須賀くんの気持ちは分かったから。本当は全部、最初から分かってたことだから」
玄「だから、もういい」
最終更新:2013年12月20日 23:13