京太郎「ふわあーー……」

久「あら、大きなあくびね」

京太郎「昨日、あんまり寝てなくて……っていうか部長があんな大量に牌譜整理を頼むからですよ」

京太郎「そのせいで昨日家でやるはめになったんですから」

久「さあ、なんのことかしらー」

京太郎「くそう……これがブラックきぎょ……ふわ~……」

久「……そんなに眠いなら、ベッドで仮眠取ったら?」

京太郎「えっ……でも、部活中にそんな……」

久「しばらくしたら起こしてあげるわよ。みんなが来たら私から言っといてあげる」

久「それにそんな状態じゃ集中できないでしょ?」

京太郎「う~ん……」

久「ね?」

京太郎「じゃあ、お言葉に甘えて……」

久「ん、よろしい!」

京太郎「それじゃあ、30分くらいしたら起こしてくだs……」

久「ちょーっと待った!」

京太郎「はい、なんですか?」

久「須賀君、あなた普段女の子が寝てるベッドに、まさかそのまま入る気じゃないでしょうね?」

久「まったく……あなたの気持ちもわかるけどそれはどうかと思うわよ」

京太郎「えっ……いや、でもどうしたら……」

久「当然、シーツと枕カバー、あと布団カバーを取り換えなさい。ここに予備のやつがあるから」

京太郎「はあ……わかりました」

久「それと制服のままっていうのもいただけないわね。これに着替えなさい」

京太郎「なんでスエットなんか持ってるんですか?」

久「たまたま持ってたのよ。新しいやつだから清潔よ?」

京太郎(たまたま……部長が着るにしてはでかいような……?)

久「ベッドのほうは私が準備しておくから早く着替えなさい」

京太郎「えっ? でもそこまでしてもらうなら別に寝なくても……」

久「いいから、遠慮しないの」

京太郎「……じゃあ、どっか空き教室で着替えてきます」

久「えっ?」

京太郎「えっ?」

久「ここd……そ、そうね、悪いけどそうしてくれる?」

京太郎「え……ええ、行ってきます」

久「はーい、いってらっしゃい」チッ

………………
………

優希「部長、犬のやつを起こさなくていいのか?」

久「せっかく気持ちよさそうにしてるんだから、寝かしておきましょ」

咲「でも……」

久「いいから。きっと須賀君も雑用やらなんやらで疲れてるのよ」

まこ「それは部長のせいじゃろうが……」

久「だからこれは私からの労いなのよ」

和「……」

………………
………

京太郎「ん、うーーん……」

久「あら、おはよう。よく眠れた?」

京太郎「部長、おはようございます。あれっ、みんなは……?」

久「もうみんな帰ったわよ」

京太郎「えっ? なんで起こしてくれないんですか!?」

久「軽く起こしたけど起きなかったのよ」

久「それにあんまりも気持ちよさそうにしてるから起こすのが可哀想になってね」

京太郎「そんなあ……」

久「ふふ、可愛い寝顔だったわよ。ところで……今日も牌譜整理お願いね」ドン

京太郎「ええっ!? またこんなに!?」

久「今日の部活中にやってもらうはずだったんだから文句言わない」

京太郎「起こしてくれるって言ったのは部長じゃないですかー……」

久「それはそれ。これはこれよ。頑張ってね!」

京太郎「はあ……わかりましたよ……」

久「さ、それじゃあ私たちも帰りましょ」

久「あっ、スエットはここに置いといていいからね」

京太郎「はーい」

………………
………

京太郎「ん……ふわー……」

久「おはよう、須賀君。今日もぐっすりだったわね」

京太郎「うわっ! また終わってる!?」

京太郎「俺、この数日、全然麻雀してない……」

久「須賀君は麻雀部っていうより、お昼寝部だったわね」

京太郎「ほとんどあんたのせいでしょうが! あんたの!」

久「えー私わかんなーい」

京太郎「部活始まったら起こしてくれるっていつも言ってくれるのに……」

久「だってあんなに幸せそうにしてたらねえ……」

京太郎「もう、いいですよ……で、今日の宿題はどこですか?」

久「それなんだけどね……」

京太郎「なんですか?」

久「なんと昨日の分でほとんど終わりなのよ!」

京太郎「えっ?」

久「だから今日は持ち帰ってやってもらう分はないわ。数日間お疲れ様」

京太郎「や……やったーーーー!! これで麻雀部に戻れる! 家でぐっすり寝られる!」

久「ふふ、ほんとにお疲れ様。明日は私の代わりにうっていいわ」

京太郎「いいんですか!? あっ、でも部長は大会が近いのに……」

久「いいのよ。明日は外からみんなの麻雀を見るから、一日くらい平気よ」

久「それにあれだけの牌譜に目を通したんだもの。きっと須賀君も上手くなってるはずよ」

京太郎「部長、そのためにあんな大量に……」

久「ま、雑用の面が大半だけどね」

京太郎「ですよねー」

久「だからこそ本当に感謝してるのよ?」

久「そうだ!そんな須賀君にお礼に何か奢ってあげる」

京太郎「えっ? いいですよそんなのっ!」

久「私がしてあげたいんだから、いいの! 今日はこのあとちょっと用があるから……」

久「今度の休みの日はどうかしら?」

京太郎「ええ、大丈夫ですけど……」

久「じゃあ、決まりね! 詳しいことはあとでメールするわ♪」

京太郎「わかりました、待ってます」

久「それじゃあ須賀君も今日は帰っていいわよ」

京太郎「あれ? 部長は?」

久「さっきも言ったけどちょっと用があるのよ。だから先に帰っていいわ」

京太郎「でも、こんな時間に女の子一人で……」

久「ふふ、心配してくれてありがとう。でも大丈夫だからお先にどうぞ」

京太郎「わかりました。あっ、じゃあシーツやらスエット持ち帰りますよ」

京太郎「ちゃんと洗ってお返しします」

久「ん? ああ……それも私がやっておくからいいわ」

京太郎「え? でも、散々男が使ったあとのやつですよ?」

久「ちょうど今日洗濯しようと思って袋も持ってきてるから私に任せて?」

京太郎「いや、でも……」

久「いいから」

京太郎「……わかりました。じゃあ、お先に失礼します」

久「ええ、また明日」

京太郎「はい、また明日」

………………
………

久「ちゃんと帰ったわよね……?」

久「ふふふふ……ついに待ちに待ったこのとき来たわ……」

久「我ながらこんなに上手くいくなんて……今日はいい夢が見られそう」

和「その寝具を使ってですか?」

久「!? 和……」

和「デートの約束まで取り付けて……ずいぶん上手くやりましたね」

和「おかしいと思ったんですよ。あんなに須賀君を寝かしたままにしておくなんて……」

和「このためだったんですね?」

久「な……なんのことかしら……?」

和「数日間、須賀君が寝るときに使ったシーツやスエット……」

和「さぞ須賀君の匂いが染みついていることでしょうね」

久「……」

和「それを使って寝たら、きっと須賀君に包まれているような気分になれるでしょうね」

和「この数日の雑用がこのためだなんて知ったら須賀君はどう思うでしょうか?」

久「……なにが望みかしら?」

和「全部下さい」

久「い……いやよ! これは……」

和「なーんてことは言いませんよ。人の成果を掻っ攫うなんてはしたないマネはしません」

久「それじゃあ、何を……?」

和「私が同じようなことをしても見逃してください」

久「……それだけでいいの?」

和「もう少し言えば、サポートしてください」

久「要は一枚かませろってことね」

和「平たく言えばそうです」

久「わかったわ。私としては戦利品を失わなくて済むし、これからやりやすくし、デメリットはないものね」

和「ええ、これからよろしくお願いします」

久「こちらこそお願いね」

「「ふふふふふふふふ……」」



カンッ