界隈探して三千里、探し人は行方が知れず。
探せ探せど影さえ踏めず。
踏みし歩数に連れられて、長針はくるりと一回り。
短針半分歩いたら、頭を抱えて一捻り。
あっちに不思議、こっちに輝くお天道様。
されど見る影は何れも不正解。
何処へ行った迷い人、お前の探してたのは一体なぁに?
「なーに黄昏てるんだよ、咲。」
「あ、京ちゃん。」
寒梅厳しく身を引き締めて。
歩く姿に迷い込み、目線は不安をより語る。
生まれてこの方、この頭。
輝く姿であるならば、見るもの目印この上なし。
誰かが必要とするならば、灯台となり暮らしましょう。
帰りたければ見えるはず。
お前のランタン、仄かな導となるのかな?
「寒いんだからマフラー位してこいよ。」
「うぅ・・・また玄関に忘れたぁ・・・」
迷い人に捜し人。
片方がいるから、片方が必要なわけで。
迷った時はお互い様。
なんてことなく、手を差し出して「はい、どうぞ。」と声を掛ける。
「全く・・・しゃーねーポンコツだな。」
「ん・・・ありがと、京ちゃん。」
借りたマフラー身にまとい、北風突風なんのその。
マフラー貸して、そっぽ向き。まだまだ青い空の色。
師匠は走るこの季節、二人はゆるりと歩き出す。
歩幅はきっちり合わさって、並ぶ姿はさも自然。
今日も良いことありました、二人はそっと記憶する。
これにてカン
最終更新:2013年12月19日 00:11