春「……」

コソコソ

京太郎「なんで春のやつは急に黙祷してるんですか?」

初美「霞ちゃんに黒糖を没収されちゃったんですよー」

霞「人聞きの悪い言い方をしないでちょうだい。京太郎くん、蔵にある大量のダンボールを見たでしょ?」

京太郎「ええ、急に蔵の容積が半分になったかと思ってびっくりしましたよ。なんですかあれ?」

霞「あれ全部……黒糖なの」

京太郎「えっ……」

霞「なんでも春ちゃんが御贔屓にしている黒糖がセールだったらしくてね……勢いで買っちゃったらしいの」

巴「あの子、黒糖のこととなると我を忘れることがあるから……」

京太郎「あんなに買ったらセールで浮く分なんて余裕でなくなるでしょうに」

霞「それどころか毎月のお小遣い数カ月分も注文したのよ」

巴「だから罰としてしばらく黒糖……というかおやつを禁止したの」

京太郎「なるほど……」

小蒔「でも、いくらなんでもおやつ抜きは厳しんじゃ……」

霞「そういえば姫様、最近太ってきたんじゃないかしら? この機会に一緒n……」

小蒔「頑張ってください、春ちゃん……!」

京太郎「つまり春の黒糖中毒を直すためってことですか?」

巴「言い方は気になるけど、そういうことね」

京太郎「ふ~ん」ニヤ

初美「京太郎、何を企んでいるんですかー? 悪い顔になってますよー」

京太郎「いや、ちょ~っと仕返しをと思いまして……」

春「……」

京太郎「……」ボリボリ

春「……」チラッ

京太郎「黒糖うめ~」ポリポリ

春「……っ!」


コソコソ

巴「黙祷してる春の目の前で黒糖を食べるなんて……」

初美「自分の分の黒糖を食べられたのをまだ根にもってたんですねー」

小蒔「こんなの……もし私だったら、耐えられません……」ブルブル

霞「まあ、可哀想だけど春ちゃんには乗り越えてもらいましょう」


春「……」

京太郎「いや~、それにしてもうまいなこの黒糖。流石黒糖好きな春の自慢の一品だな」

春「……」プルプル

京太郎「しかも飽きがこない旨さだ。この分なら蔵の黒糖も全部俺一人でいけちゃうかもなあ」

春「……っ」ジワァ

京太郎「春も早く食べないとなくなっちまうぞ? あっ……今、春は黒糖を禁止されてるんだっけ?」

春「うー……」

京太郎「もったいないなあ……そうだ、これ食べるか?」

春「えっ?」

京太郎「内緒にしとけば大丈夫だろ。もしばれても一本くらいなら平気だって」

春「……」パァァァ

京太郎「ほら、あと二本しかないんだし見つからない内に早く取れって」

春「うん!」

ヒョイ パクッ

春「えっ……?」

京太郎「……」ボリボリ ゴクン

春「えっ……?」

京太郎「ダメだろ、春。こんな誘惑に負けたら」ニンマリ

春「……」


霞、初美、巴「……」

小蒔「……」ガクガク

霞「鬼ね」

初美「鬼ですよー」

巴「鬼だわ」

小蒔「鬼です……」ブルブル

巴「あとでまた春に仕返しされるわよ」

霞「黒糖でこんなにも平和が乱れるのね」

小蒔「春ちゃん、可哀想です……」

初美「あっ、はるるが立ち上がりましたですよー」

小蒔「春ちゃん、すごく怒ってます」アワワ

霞「まずい、止めないとっ……」


京太郎「よ~し……じゃあ、最後の一本を頂きますか」パクッ

春「……」スクッ

京太郎「ふぁんだよ、はふ。むりやりうはほうっていうのか?」コクトウクワエナガラ

春「……」

京太郎「あむっ……残念だったな。その前に口の中に入れてちまったぜ」モグモグ

ガシッ

京太郎「へっ?」モグ……

春「んっ」

京太郎「んんっ!」


「「「「ああああーーーーーっ!!」」」」


春「ん……あむっ……ちゅう……」モゴモゴ

京太郎「んんーーっ……むっ……んん……」

春「んくっ」ゴクン

京太郎「ふぁ……春……おま……むぐっ」

春「チュッ……レロレロ」

京太郎「あむ……んっふ……レロ……」

春「ぷはぁっ……ん、おいしっ///」トローン

初美「ちょっとはるる、何やってるですかー!?」

春「京太郎がおいしそうだったから、キスしただけ……」

巴「あなた、黒糖を欲する勢いで京太郎君に……!」

春「違う。キスしたときにたまたま京太郎の口の中に黒糖があっただけ」

春「その証拠に黒糖がなくなってからもしばらくキスしてた。黒糖は関係ない」

小蒔「春ちゃん、ずるいです! 私も京太郎君の黒糖が欲しいですっ!!」

巴「「姫様、落ち着いてください。きっといろいろ間違ってますから……」

京太郎「奪われた……俺のファーストキス……正に奪われた……」

京太郎「でも、気持ちよかったなあ……でへへ」

ガッ

京太郎「えっ……あ、霞さん」

霞「……」ニコッ

京太郎「えっと……あの……」

霞「ん」チュッ

京太郎「むぐ」

小蒔「あーーっ! 霞ちゃんもずるいですっ!」


以来、永水では「京印の黒糖」という隠語ができたという




カン