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    咲「もうっ京ちゃんのバカッ!もう出て行ってやるんだから!!」

    京太郎「何をいきなり馬鹿な事を言ってんだ咲?」

    京太郎「お前と俺は…大学を卒業してすぐ結婚してから三年……」

    京太郎「ケンカもしたけど今までここで、一つ屋根の下で一緒にやってきたじゃないか」

    咲「それはそうだけどっ――――」

    京太郎「それによぉ。俺はさ…お前の事だけは一日たりとも忘れた事も無かったって言うのによ……」

    咲「よくそんな事言えるね…京ちゃん!いつもいつも私の事を騙してばかりで……」

    京太郎「騙すって……人聞きの悪い事を言うな!」
     
    咲「どうせ私が何にも知らないとでも思ってるんでしょ?!!」

    京太郎「何の事だよ?」

    咲「私聞いたんだからね!京ちゃんが和ちゃんと浮気してるって!!」

    京太郎「!?」

    咲「ふんっ…知ってるんだからね!」ぷい

    京太郎「お…俺がのど――原村先生と……?そ…そんな根も葉もない嘘をよく言うよ」

    京太郎「良くそんなゲスい妄想出来るもんだよ?流石…文学少女だな」

    咲「……妄想じゃないよ…教えて貰ったんだもん。京ちゃんが麻雀雑誌の編集記者であるのをいい事に……」

    咲「プロ雀士の和ちゃんに言い寄って、夜の密着取材をしてるって……」
     
    京太郎「だ…誰がそんな事を……」

    咲「お姉ちゃん…だよ。ほら…証拠の写真もあるよ……」す…

    ぱらぱら

    京太郎「!?」

    京太郎<こっこれは…前に和と入ったホテルの、入る時と出る時の写真……?でも……ど…どうやって?>

    咲「驚いた?私も最初は信じられなかったけど、お姉ちゃんが探偵さんを雇って調べて貰ったって」

    京太郎「くっ……どうしてお義姉さん……宮永先生がこんな事を……」

    咲「お姉ちゃんねぇ……何年か前にあったか~い詐欺の女に好きな人を盗られたて。凄く辛い想いをしたんだって……」

    京太郎<なんだよ?…あったか~い詐欺って……>
     
    咲「それ以来…私にはそんな想いをさせたくないって、その為なら手段を選ばないって、私を見守ってくれてるの」

    京太郎<何?だとすると俺は……俺と和はずっと…あの人に監視されていたのか……>ゾー

    咲「どう?ぐうの音も出ないでしょ?あはは…ゲスいのは京ちゃんの方だったね?」

    京太郎「……俺や…原村先生を監視(ストーキング)してるお前らにだけには、言われたくねーよ」けっ

    咲「で…どうなの?これでも認めないつもりなの?」ずいっ

    京太郎「……くっ―――ああそうだよ!俺は原村先生と浮気しましたよ!!」

    咲「認めたね?認めましたね?京ちゃん」

    京太郎「そうだよ。認めたよ!で、どうしたいんだよ…お前は?俺と別れたいとでも言うのか?」
     
    咲「そ…それは……」

    京太郎「フン…結局お前はどうなっても俺と離れようとはしないんだ。結局は惚れたお前の負けなんだよ」

    咲「京ちゃん…私は……」

    京太郎「ええ?お前がモテない俺が好きって言うなら、考え直してやるけどな?まぁそんな俺は俺とはいえないけどな」ニヤリ

    咲「ばっ…馬鹿言ってないでよ!京ちゃん」

    京太郎「馬鹿言ってるのはお前だよ?咲」

    咲「京ちゃん……京ちゃんは和ちゃんに遊ばれている事にも分からない様な、可哀想な人なんだね!」
     
    京太郎「はっ!何を言っていんだよ?咲」

    咲「私…お姉ちゃんから聞いたんだよ。和ちゃんは男も女もお構いなしの、おしりが大きいのに軽い女なんだって」

    咲「だから、他の女流プロ雀士からはバイパイピンクなんて言われてるんだよ?」

    咲「そんな人が京ちゃんなんかに本気になる訳が無いよ?」

    京太郎<バイパイピンクって……バイで倍のパイで頭の中も外もピンク色の色情魔だって事かよ!!>

    咲「おまけにPMなんて呼ばれてもいるんだよ!言っとくけど午後の事じゃないよ?」

    京太郎<ピンクホルスタインって事かよ!?もう言いたい放題!貶め放題だな!!>

    京太郎<…………やっぱ女子プロの世界って怖えー…………知ってたけど……>しみじみ
     
    咲「どう?目が覚めた、モテモテのモテ男の京ちゃん?」

    京太郎「くっ…だったら……三年目の浮気ぐらい大目にみろよ」

    咲「はっ!?」カチン

    咲「京ちゃんのその…ひっ…開き直るその態度が気に入らないの!!」

    京太郎「じゃあ…どうすりゃいいんだよ?」

    咲「ふんだっ!もうっ……両手をついて謝ったって許してあげないんだからねっ!!」


    …………。

    京太郎「で…結局、お前はどうしたいんだよ?」

    咲「もうっ!京ちゃんがそんな態度を取るんだったら、私から荷物をまとめて出て行ってやるんだからっ!!」

    京太郎「は?出てく?お前が?」ぷぷ…

    咲「なっ何よ!?」

    京太郎「お前…俺が出張に行く時も、帰った時も泣いて見送る様な寂しがり屋じゃねーか」

    咲「//////うっ…それは……」

    京太郎「そんなお前が、荷物をまとめて涙も見せずに出ていけるのかよ?」

    咲「で…出来るもんっ!!」
     
    咲「……た…確かに……もうこうなったら末原さんに頼んで……」

    京太郎「末原さん……?もしかして俺達より二つ上で関西出身の?」

    咲「うん…その末原ナンとかさん」

    京太郎「てか、お前あの人とは、高校、大学何度か打ってるぐらいで、殆んど面識はないじゃねーか」

    咲「うっ!?」ぎくっ

    咲「で…でも何度もゴッ倒してるし、今度もゴッすれば言う事を聞いてくれる様な気がして……」

    京太郎「はぁ…なぁ咲さん…もうそろそろ適当に思い付きで言うのは止めろよ?」

    咲「うっ!!」どきっ

    京太郎「それにあの人は大阪在住だろ?脅して押し入ろうとしたって、追い返されるのがオチだぞ?」

    京太郎「まったく尼崎じゃないんだからさ。そんな無茶苦茶がまかり通る訳ないだろ?」

    京太郎「……ま、大阪も似た様なもんだろうけどな?知らんけど」

    咲「ううう……」

    京太郎「はぁ…だいたい交友関係の狭いお前g―――――」

    咲「―――――はっ!!」

    咲「……じゃ…じゃあっ!実家に帰らせて頂きますっ!!」

    京太郎「実家?ああ…それなら出来そうじゃないか?」

    咲「えっ!?」
     
    京太郎「いや、なに…こうなったら暫くの間。お互いに距離を置いた方が良いんじゃないかって」

    咲「きょっ…京ちゃんは私と離れたいの!?」

    京太郎「お前…何言ってんだ?お前から先に自分から出て行くって、言ったんじゃないか?」

    咲「うっ…それは……」

    京太郎「まぁ…お前が言う様に、俺が和に遊ばれているって言うんなら……」

    京太郎「まぁ俺もそれなりに浮気みたいな事もするけどさ……俺だって本気になれないだから、可愛いもんだと思わないか?」

    咲「!!」ピキッ

    咲「よくそんな事が言えるね京ちゃん!!」

    咲「いくら京ちゃんでも、こんな勝手な言葉が出てくるとは思わなかったよ!!」
     
    京太郎「そうか?」

    咲「そうだよ!!最早!京ちゃんの性根を…人格を疑うレベルだよ!!」

    京太郎「言ってくれるじゃねーか咲さんよ?だがな、俺がこうなったのも元はと言えばお前にも原因はあるんだぜ?」

    咲「どう言う事よ?」

    京太郎「どうもこうもねーよ。そりゃ…お前が沢山あったプロチームや実業団、
     強豪大学の誘いを全部蹴って……俺と同じ大学を受けるって聞いた時は、そりゃ嬉しかったさ」

    咲「そうだよ。京ちゃんと一緒の大学に行く為に、たくさん勉強したんだからね」

    京太郎「それで大学の麻雀部に入って、最初の挨拶の時にいきなりお前が、お嫁さん違いますけど彼女です――――」

    京太郎「――――なんて言い出して、いつも俺にくっついているもんだから、
     みんな妙に気を遣って俺は大学時代、殆んど遊べなかったんだからな!」

    咲「付き合っているんだから、それは当り前の事だよ?」

    京太郎「お前の場合は束縛し過ぎなんだよ。結婚した今でも、一日にニ十回以上もメールして来るし……」

    京太郎「俺はキャンパスライフをもっとエンジョイしたかったんだよっ!!」

    咲「…………」

    京太郎「それで大学を卒業して、少し羽を伸ばせるようになったから――――」

    咲「ふーん。すっごく自己中心的な考えだね。京ちゃんらしいよ」

    京太郎「お前にだけは言われたくはないよっ!」

    咲「私はただ一途ってだけだよ……」

    京太郎「一途って……物は言い様だな。全くお前は、何時も俺に甘えてばかりでさ……」

    京太郎「今でも…ちょっと俺が他の女の子と話そうもんなら、すぐ焼きもち焼くし……」

    京太郎「もうそんな事しても可愛くないんだよ。もっと大人になれよ?」

    咲「――――!!京ちゃん馬鹿な事言ってないでよ!!」

    京太郎「ふん。俺だって男だ、羽目を外したら、ハメたくなるってもんだろ?」

    咲「……………」

    京太郎「……………」

    咲「京ちゃん…………サイテー……」

    京太郎「確かに今のだけは最低だった」ぺこり

    咲「そうだよ!今のは麻雀で言ったらチョンボ並みにサイテーだよ!」

    咲「まったくこんなサイテーな京ちゃんのキョウチャンなんかチョンボしちゃうんだからね!!」

    京太郎「咲……お前…本気で俺のオレをチョンボしたいのか?」

    咲「うっ…………」じー

    咲「……………」ごくり…

    咲「……やっやっぱりそれだけは赦してあげる////////」

    京太郎「フフン。やっぱりお前は『俺』と『オレ』なしじゃいられないんだよ」

    咲「うっ……自惚れないでよっ!京ちゃん!!」

    咲「―――――それに…私にだって、その気になれば相手はいるんだからね!!」

    京太郎「へー。どこのどいつだよ?いいから言ってみろよ?」

    咲「の…和ちゃん……」

    京太郎「だから和だったら本末転倒だろうが!?何度も同じ事を言わすなよ、咲さん?」はぁ

    咲「うっ…それはそうだけど……」

    京太郎「まったく…大学時代、俺にくっ付いてばかりで、殆んど他の知り合いを作らなかったからこうなるんだぞ?」

    咲「うう……だって京ちゃんがいれば、もういいって…他に何も要らないって……思ってたんだもん……」うー

    京太郎「!!」どきっ

    京太郎「そ…そうかよ……」

    京太郎<やべっ一瞬、どきってしちまった…もう結婚して3年にもなるのにな……>
     
    京太郎<……てか、こうは言ったものの、もし咲が本気で和に近づいたら、和は喜んで受け入れそうだな……>

    京太郎<なんたってバイパイピンクとかPHとか言われてるくらいだからな……>

    京太郎<しかも、和がそうなったきっかけは、どうも咲によるものらしいしな……>

    京太郎<はっ!!もしかして和が俺と寝たのは…これを狙って……俺と咲を別れさせて、咲を俺から取り返す心算とか……>

    京太郎<つまり俺は当て馬で…本命は咲だと言うなのか……?>

    咲「?」

    京太郎<……いや…それよりも…それ以前に俺にとってこいつは…咲は……>

    京太郎<特別美味い物でもないけど、毎日食べても飽きない、一口食べるとほっとする…ご飯の様な存在なんだよな……>

    京太郎<分かっていたけど俺はやっぱりこいつの事が――――――>

    咲「ど…どうしたの京ちゃん……?急に黙りこんで……」

    京太郎「……咲…………」じっ

    咲「京ちゃん……?」
     
    京太郎「……今回の事は色々あったとはいえ、俺が悪かった…俺がバカだったよ……」

    咲「そっそうだよ京ちゃんが悪いおばかさんなんだからね……」

    京太郎「今になって俺にはやっぱりお前が必要だって思った」

    咲「京ちゃん……」じーん

    京太郎「だから咲……謝るから許してくれるか?」

    咲「…………ゆるs――――――やっぱり両手をついて謝ったって許してあげないっ」

    京太郎「じゃ…じゃあどうすれば……」

    咲「私……今すっごく欲しいものがあるの……」

    京太郎「欲しいもの?お前が俺に強請るなんて珍しいな……それを用意したら許してくれるのか?」

    咲「うん…許してあげる」にこ

    京太郎「よし!俺が用意出来るモンだったらなんだって用意してやる!!」

    咲「ほ…ほんと?京ちゃん……//////」

    京太郎「ああ。男に二言は無いぜっ!!で。何が欲しいんだ?」
     
    咲「じゃあ…じゃあ言っちゃうね……私ね……」

    京太郎<……………余り高い物じゃなければいいが……>ごくり



    咲「私……京ちゃんの赤ちゃんが欲しいなっ」



    京太郎「え?」

    咲「えっ!?」



    京太郎<…………ある意味…俺が用意出来るモノの中で一番高く付くモノだった……>



    おしまい。

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最終更新:2013年12月02日 23:31