ピンポーン! ピンポンピポンピンポン!

京太郎「はいはい。誰だよこの怒涛のピンポンラッシュは」

ガチャ

淡「来ちゃった」

玄関から顔を覗かせたのはクラスメイトの大星淡。

京太郎「なんだ淡か」

淡「なんだとはなんだ」

京太郎「いいから上がれよ。どうせ遊びに来たんだろ?」

淡「お! キョータローってば話せるぅ~」

淡「お邪魔しま~す」

断りを入れながらきちんと靴を揃えて脱ぐ淡。

そういうところはちゃんとしてるのにな。


淡「なにしてたの?」

京太郎「ん? まぁテキトーに、暇だしゲームでもやろっかなって」

淡「ゲーム! 私もやるやる!」

京太郎「って言ってもこれ一人用だけど……」

淡「良いじゃん! 一人用でも一緒にやればきっと楽しいよ」

京太郎「それもそうか」

淡「なにやるの?」

京太郎「バァァイオハァァザァァード……」

我ながら見事なネイティブ。

淡「」ピシッ

あ、固まった。

京太郎「どうした?」

淡「んん? ななな、なにが!?」

京太郎「いや、なんか固まってたから」

淡「そそ、そぉぉんなことねーですよ?」

京太郎「そ、そうか? いいならいいけど」

淡「そんなことよりほら、やろうやろう」

京太郎「おう」


久し振りにプレイするバイオハザード(GC)は相変わらず気合の入ったタイトルロゴで迎えてくれる。

京太郎「まぁ淡は初めてだろうし無難にイージーで……」

ちなみにキャラはジルにした。いや、特に他意はないけど。

淡「ええ! ノーマルで良いよ!」カチャカチャ

京太郎「え? あ、こら勝手に」

淡「イージーとかゲームじゃないから」

京太郎「言うじゃん」

淡「高校100年生ですから!」アワン!

<アノヨウカンニニゲコメ!

淡「」ガタガタガタガタ

隣に座る人がめっちゃブルッてらっしゃるんですけど。

京太郎「とりあえずファーストコンタクトとファーストコンタクトするか」カチカチ

画面の中のジルが食堂を抜けて廊下へ出る。

ズオーン!

画面一杯にアップで映るグロテスクなゾンビの顔。

淡「きゃあああああああああああああ!!」

バタバタバタ、ボフ

京太郎「……」

うん、まぁ薄々気付いてたけど。

淡「あわわっわわわわわわわ……」ガタガタガタガタ

思わず撫でたくなるような可愛らしい尻をこちらに向け、頭から毛布を被って震える淡。

取り敢えず、撫でておく。

サワサワ

淡「ひゃああ!?」

悲鳴を上げてひっくり返りそうになった淡だが、なんとか踏み止まり毛布から頭を出しさながら亀のような姿勢で睨み返してくる。

淡「なにすんの!? キョータローのアホ! エッチ! 変態! バック好き!」

京太郎「最後のは関係ないだろ! っていうか……なにしてんのお前?」

淡「…………別に怖くないし。泣いてないし」グス

京太郎「いや、そこは聞いてないけど」


京太郎「いいからこっち来い」ポンポン

淡「うう~」イソイソ

バリー<ナンダコイツハ!

ジル<ウッテ!

淡「そうだ! バリー撃って! やっつけて!」

京太郎「ノリノリじゃねぇか」

淡「キョータロ、私にもやらせてよ」

京太郎「いいけど」

淡「んん~っと」カチカチ

京太郎「真っ直ぐ歩けてないじゃん」

淡「だってこれ、操作が」カチカチ

京太郎「ああ、ああ。ジルがデビルバットゴーストみたいになってんじゃん」

淡「ちが、これは……これはそう、ゾンビを撹乱するために」アセアセ

京太郎「わかったわかった」

淡「むうう」


洋館のロビーに出ると仲間は誰もいなくなっていた。

淡「え、なんで!? バリーは?」

京太郎「ああ、ここからはジル一人なんだよ」

淡「なんで誰もいなくなっちゃうのぉ……一緒にいようよぉ……みんなで生き残ろうよぉ……」メソメソ

京太郎「いやもっともだけど、もっともだけどさ。これゲームだから」ナデナデ

淡「うう、これどっちに行けばいいの?」

京太郎「食堂と反対側の扉に行くんだ」

淡「こっち?」カチカチ

京太郎「そこの棚を動かして像の手に持ってる地図を取るんだ」

淡「んっと」カチカチ

淡「あ! 取れた取れた!」アワンアワン!

京太郎「お、やれば出来るじゃん」ナデナデ

淡「にへへ、まぁざっとこんなもんよ!」

京太郎「次に行く前にいったんそこの脇道に入ってくれ」

淡「ここだね」カチカチ

京太郎「その光ってるのはダガーナイフって言ってまぁ便利なアイテムだ」

淡「ほうほう」

用件を終え、来た道を引き返すジルさん。すると目の前にはまたもゾンビが。

淡「出ぇぇぇたあああああああああああああ!?」

淡「どどどど、どうし、どうしよう!?」ガタガタガタガタ

京太郎「落ち着け淡! これはイベントだ、大丈夫だ」

淡「ホントぅ?」グスグス

言ってる間にジルさんは今しがた拾ったダガーナイフで窮地を切り抜ける。

本当はこのゾンビを上手くスルーしてダガーを一本キープしておきたいのだがまぁ初プレイの淡には無理だろう。

京太郎「さっきの棚で道を塞ぐんだ!」

淡「う、うん!」カチカチカチ

棚が邪魔してゾンビは通路から出てこれない。

淡「バーカ! バーカ! あんたなんて別に怖くなかったんだからね!」

嘘つけ。

淡「泣いてない。涙なんかじゃない。でも、ちょっと手汗を拭きたいからタオル取って」グス

京太郎「お、おう」


それからもギャーギャー良いながらゲームを進めていく淡。

ダメージこそ受けているがまだ一度も死んでいないあたり案外こいつもやるかもしれない。

ガシャーン!

窓ガラスを突き破って現れるゾンビ犬。

淡「うああああ!? なに!? は、え、なになになに、ちょ! なにもー、ちょっとなにこれぇ!?」

パニック状態の淡。じゃれ付かれるジル。そしてあっという間のゲームオーバー。

淡「」

京太郎「……」

まぁ、うん。初見なんてこんなもんよ。

淡「……泣いてますけど!? 涙目ですけどなにか!?」グスグス

京太郎「なに逆ギレしてんだよ、めんどくせぇなぁ」

京太郎「ほらこっち来い」ポンポン

淡「うう、ギョーダロ。ごわいよぉ……」ギュゥゥ

京太郎「よしよし」

淡「ううぅ……」グシグシ

淡「ねぇ」

京太郎「ん?」

淡「もうちょっとこのままで、いい?」

京太郎「はいはい」クス


カン!