ガタンゴトン......ガタンゴトン......


咲「う……ん……あれ?ここどこ?」

京太郎「おはよう咲」

咲「京ちゃん……?」

京太郎「他の誰かに見えたのか?てか寝ぼけてんのか」

咲「ここどこ?私、授業が終わったから部室行って麻雀打ってそれから……それから?」

京太郎「それから俺と帰る最中に銀河鉄道に乗ったんだろ?お前だって乗るとき、銀座ステーションでチケットもらったじゃないか」

咲「そんなチケットもらったっけ……?」

京太郎「右ポケットに入れてるの見たぞ」

咲「うーん」ゴソゴソ

咲「あ、あった。星座の絵が描かれたチケット……これが乗車券?」

京太郎「そうだよ。ホラ、窓から景色見てみ?」

咲「うわぁ夜景が綺麗……すっかり冬だね……」

京太郎「だな」


『はくちょう座ステーション  はくちょう座ステーション』


京太郎「降りよう咲」

咲「う、うん」



――

――――

―――――――――



貴子「いいか、ここには大事な物が埋まっているんだ!もっと丁寧に、繊細に掘れ!」

池田「けど、掘れども掘れども何にも出てこないし……もう辛いし……」カツーンカツーン

池田「そもそも大事な物って何だし!いい加減教えてほしいし!」

貴子「大事な物は……!大事な物だ」

池田「もう辞めようかなこの仕事……」

貴子「まぁ待て!もう少し掘れば分かる。今やめたら何が埋まっているのか分からんぞ」

池田「でももう限界だし……大事大事って、せめて何が埋まっているのかくらい教えてほしいし……」

貴子「それは……すまん、私にも分からないんだ」

池田「……辞めてやるし!そこのお前、かなちゃんの代わりに掘っていいぞ!ほらツルハシ!」

咲「えぇ私!?力も無いし無理だよぅ」

京太郎「代わりに俺がやってやるよ。ツルハシ貸してみ」

池田「頼んだし!」

咲「ありがとね、京ちゃん」

京太郎「良いって事よ」カツーンカツーン

咲「ところで京ちゃん、さっきの人もぼやいてたけどここって何が掘れるの?」

京太郎「大事な物だろ」カツーンカツーン

――

――――

―――――――――

咲「結局、すぐ乗車時間が来ちゃって何も見つけられなかったね」

京太郎「もうちょっとで見つかる感じがしたんだけどなぁー」

咲「うん」

京太郎「なぁ咲、俺達がこの窓の外に見てるのは星?それとも思い出?」

咲「それは……思い出というなの星じゃないかな?」

京太郎「さっすが文学少女。ロマンチックだな」

咲「さ、先に振ったのは京ちゃんの方でしょ!?」

京太郎「ハハッわりぃわりぃ。じゃあさ、あのミルクを流したような川は何だ?」

咲「あれは……天の川だ!」

京太郎「……なぁ咲、俺達はみんな同じ駅で降りることは出来ない」

咲「……うん」

京太郎「でもさ、列車の中で過ごした日々は忘れない」

咲「……」

京太郎「……」

咲「もう、行くの?」

京太郎「……あぁ。俺の降りる駅が来た」

咲「私を残して行っちゃうの?」

京太郎「でもこれは仕方のない事なんだ。辛く悲しいけどさ」

咲「…………」

咲「私ね、お姉ちゃんと仲直りできた。全国大会で優勝だって出来た」

咲「全部がぜーんぶ京ちゃんが居てくれたお陰だよ?」

京太郎「俺だってそうだよ」

京太郎「お前が居てくれなくっちゃ今頃、他の駅で降りてた」


プシューガタン


京太郎『ありがとな』

咲「京ちゃん……もう窓の外に……」

咲「ま、待って京ちゃん!まだ京ちゃんに言ってない事がいっぱいあるの!」

咲「謝らなくっちゃいけないことだってあるし、お礼だって言いたいの!」

京太郎『俺だっていっぱいあるよ。でもな、これだけは覚えておいてくれ』

京太郎『たくさんの人に勇気を与えて生きるのは流れ星』

京太郎『我が身を削って人のお願いばかり聞いて、それでも流れる流れ星』

京太郎『でも!みんな意外と忘れないもんだ』


京太郎『自分一人が見た流れ星は』


咲「……行っちゃやだよ……京ちゃん……」グスン

京太郎『……ごめんな咲。お前は長生きしろよ』

京太郎『それだけが俺の幸せなんだ』


ガタン......ゴトン......


咲「あ!京ちゃん!行っちゃやだってば!私の幸せはどうするの!?勝手すぎるよ!」

咲「ヤダァ!京ちゃん!京ちゃーん!!!」


――

――――

―――――――――


京太郎「…お…き!おい咲!」

咲「ん……京ちゃん……」モゾモゾ

京太郎「ようやく起きたか。この時期の5時半はもう真っ暗だっつーの」

咲(そっか……私、休憩がてらに部室のベッドで寝てたんだ……)

京太郎「お前が寝てる間にみんな帰っちまって後は俺と咲だけだ。ほら、俺達もさっさと帰るぞ」

咲「うん……。あのね、京ちゃん」

京太郎「ん?」

咲「京ちゃんは私にとっての流れ星」

咲「迷子になったら迎えに来てくれたり、牌譜を整理してくれたり、買い出しに行ってくれたり、お姉ちゃんとの仲を取り持ってくれたり」

咲「でもね、私も京ちゃんにとっての流れ星になりたいの」

京太郎「ハハッ、咲の文学少女っぷりは久しぶりに見たぜ」

咲「もう!人が真面目な話してるのに!」

京太郎「俺しんみりするの苦手だからさー」

京太郎「あぁでも」

咲「?」

京太郎「咲とこうして一緒に居られてるから、現在進行形でお前は充分流れ星だよ」

咲「それって……」

京太郎「ほ、ほら!寒いし早く行くぞ!」

咲「う、うん!」


咲「ところで、流れ星って何回見てもワクワクするよね?」

京太郎「今までに無かったワクワクを!」


カンッ!