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久「いや、朝方ね? 校門のところで須賀くんに小包貰っちゃってさ~」

久「なんだろ? って思って教室で開けてみたらなんとチョコ。 そういえばバレンタインデーだったわね、今日」

久「男子からチョコ貰うってなんだか可笑しいけど、意外と美味しいのよコレがっ」

和「わぁっ、綺麗なチョコボンボンですね。 これ、絶対手作りですよ」

久「飾り付けから中身に至るまで、丁寧に作ってるんだって解るわ。 作り手の真心と愛を感じるわねぇ」


咲「真心と…………」

優希「あ、愛…………!」


咲「……部長……」

優希「……それ、1つ貰っても……」

久「ん? ……んー。 別にあげるのは構わないけど、あと一つしか無いのよね、コレ」


優希「咲ちゃん……覚悟してもらうじぇ……!」

咲「悪いけど……本気でいくよ…………!」


久「あれま」

咲「ハァ……ハァ……や、やるね……優希ちゃん……!」

優希「ハァ……ハァ……そ、そっちこそ……」

咲「……東発から役満決められたときは負けるかと思ったよ……!」

優希「よく言うじぇ……東風で稼いだ48000……あっという間に取り替えしといて……!」

咲「………ハハハ……!」

優希「……アハハハ………!!」


「「ハハハハハハハハ!!!!」」


まこ「……なんじゃこの光景……」

久「あら。 遅かったわね、まこ」

和「持ち点50000の半荘一回。 咲さんと優希の二人麻雀です」

まこ「今日日直だったわ。 ……しかし、なんでンなことに」

久「時に女は、どうしても引き下がれない時がある。 ってことかしらね」

まこ「……さっぱりわからん」

咲(次はオーラス……!)

優希(点差は五分……!!)


咲・優希「「負けられない!!!」」 ゴッ!


まこ「……あ、そうだ」

まこ「さっきそこで……」ゴソゴソ

まこ「京太郎からチョコ貰ったわ」スッ


咲「えっ」

優希「えっ」


久「あら奇遇ね。 私もよ」

まこ「かんわええ装飾じゃのぅ。 食べるのが勿体無いくらいじゃ」

久「ホントねぇ。 でも食べたほうがいいわよ。 すっごく美味しいから」

まこ「ほぉほぉ。 そりゃ楽しみじゃなぁ」


咲・優希「「…………」」

咲(え? どういうこと? 部長一人だけじゃない……の?)

優希(あれ……ということはあのチョコは……タダの……)


咲・優希「「義理?」」


咲「……あ……あはは……あははははっ!」

優希「な、なーんだっ! タダの義理チョコだったんだじぇ! 義理!」

咲「ホントッ! 焦って損したー! 思えば京ちゃんが異性に恋するなんて姿見たこと無いし!」

優希「その通りだじぇ! あー馬鹿らし! チョコ1つで本気出すなんて!」


咲・優希「「あはははははははっ」」


まこ「なんじゃあいつら……今度は笑っちょる……」

久「誰も本命だなんて言ってないのに……。 んっ、美味しっ」

まこ「あっ!ウチの取ったなっ! 自分の分あるじゃろが!」

久「これはうちに帰ってから楽しむ分~♪」


和「……めでたし、なのかしら……」

ガチャ

京太郎「ういーっす」


「「あはははははははっ!!」」


京太郎「え、なにこれ」

和「あ、遅かったですね須賀くん」

京太郎「あ、うん。 ちょっと色々と回ってきてた」

和「……あぁ、なんとなく想像つきました。 お疲れ様です」

京太郎「サンキュ。 んー……本来なら可笑しいかもしれないけど、世話になってるし」ゴソゴソ

 スッ

京太郎「はい、和。 貰ってくれるか?」

和「……確かに、ちょっと可笑しいですね」

和「でも、はい。 ありがとうございます。 喜んで頂きますねっ」

京太郎「ハハ、そんな大したもんじゃないって」

和「ふふっ」

咲「あっ! 京ちゃんだ!」

優希「ホントだじぇ! 京太郎だ!」

京太郎「おう。 なんだそのテンション」

優希「あはははは!! せっかくのバレンタインデーだってのに、チョコが貰えない京太郎だじぇ!」

咲「あははは!! しょうが無いから自分でチョコ作って周りに義理チョコ振舞ってる京ちゃんだ!」


咲・優希「「あはははははははっ!!」」


京太郎「……どうしたんだ、こいつら」

久「緊張が抜けると誰でも笑っちゃうでしょう? ドッキリとか。 あれと似たようなもんよ」

京太郎「はぁ……。 なんかあったんスか?」

まこ「その当事者じゃよ」

京太郎「えっ?」

和「ふふっ」

久「ああ、須賀くん。 チョコ美味しかったわよ」

京太郎「あ、ホントですか? チョコレートボンボンなんて簡単な奴でしたけど」

まこ「んなぁことないわ。 飾り付けも味付けもとても良くできちょる。 ありがとな」

京太郎「いえいえ。 日頃の礼です」

和「あ、美味しい……。 店で売っててもおかしくない出来ですよコレっ」

京太郎「て、照れるな……」


咲「ふふふふっ。 さすがは京ちゃん、お菓子作りは一級だね!」

優希「あはははっ。 こんなことぐらいでしか活躍の場ないからなっ!」

京太郎「うっせ。 麻雀できなくて悪かったなっ」

咲「まぁまぁ。 そう怒らず怒らずっ」

優希「そうそう。 素直に素直にっ」

 スッ

京太郎「……?」

京太郎「なんだよその手は」

咲「またまた~。 そう照れなくていいのに~」

優希「そうだじぇ~。 ここまで来といて恥ずかしがる必要ないじぇ~」

京太郎「……? なに言ってんだお前ら」

優希「……はぁ……」ヤレヤレ

咲「……んもぉ、しょーがないなぁ~」


咲「チョコ。 ちょーだいっ!」スッ

優希「貰ってやるじぇ!」スッ


京太郎「……え?」


咲「……」ニコニコ

優希「……」ニコニコ


京太郎「……何言ってんだ?」

京太郎「お前らにやるチョコなんてないぞ?」






咲・優希「「 」」

咲「 」

優希「 」

京太郎「?」


久「ちょ、ちょっとちょっと!」

まこ「京太郎……お前それはいくらなんでも……」

和「ひ、酷いんじゃないんですか!?」

京太郎「え?」


咲「 」

優希「 」

ジワッ.....


咲「……うっ……うぅ……」ジワジワ

優希「うぅ……うぅぅぅぅぅぅ……」ジワジワ



「「うぇええええええええええええええええん!!!!!!」」

咲「えぐっ……えぐっ……っ」ヒックヒック

優希「あうっ……うぁぁぁ……っ」スンスン

まこ「おぉよしよし。 泣くな泣くな」ナデナデ


京太郎「ま、まさかそんなに欲しかったなんて……」

久「……なんであげなかったの?」

京太郎「え? いや、だって……」

和「私にはくれたじゃないですかっ! どうして二人には!」

京太郎「? 最初っから和にあげるつもりも無かったぞ?」

和「……えっ?」

久「? どうして?」

京太郎「いや……だって……」


京太郎「バレンタインデーで同級生にチョコあげるのはオカシイでしょう?」


久「はっ?」

和「えっ?」

―――――
――――
―――
――


京太郎「バレンタインデーって世話になってる目上の人にチョコ渡す日じゃないんですか!?」

まこ「違うわ……。 どっからどうしてそうなんじゃ……」

和「……あぁ、だからあの時、可笑しいかもって……」

久「須賀くん。 バレンタインデーってのは、全国の恋する女子が好きな人にチョコを渡す、乙女の日なのよ」

京太郎「え。 えええぇ!?」

京太郎「そんな! 俺、そんなつもりじゃっ!」

久「んまぁ別に。 意識する異性だけじゃなくて、あくまで友人として渡すチョコってことで『義理チョコ』ってのがあるけど」

まこ「ワシはてっきりそれかと思ったがのぅ」

和「まぁ本命にせよ、義理にせよ。 私達だけ貰えて自分だけもらえないってのはちょっと……」

京太郎「あぁ……」チラッ


咲「うぅ……」

優希「……ぐすっ……」

京太郎「……咲……優希……」

咲「……京ちゃぁん……」

優希「京太郎ぉ……」

京太郎「ごめんな……俺、まさかバレンタインデーがそういう日だなんて知らなくて……」

咲「……」

優希「……」

京太郎「和にあげたのは、上げる予定だった先輩が休みでたまたま余ってたもんなんだ」

京太郎「だから、嫌がらせでお前らにチョコを用意しなかったってわけじゃないんだよ……」

咲「うん……わかったよ……」

優希「仕方ないじぇ……うん……仕方ない……」

京太郎「…………はぁ……しょうがねえなぁ……」


京太郎「咲と優希……お前ら、放課後俺んち来いよ」

京太郎「良いもん見せてやっから」


咲・優希「「……えっ?」」

――須賀宅


京太郎「じゃーんっ」

 スッ


優希「わぁぁ……!」

咲「綺麗………!」

和「なるほど。 チョコレートケーキですかっ」

久「これはすごい……随分手の混んでるわねぇ」

まこ「これ、全部一人で?」

京太郎「はいっ。 麻雀部員用、俺特製チョコレートケーキですっ」

京太郎「……本当は明日持ってくる予定だったんですけどね」


咲「きょ、京ちゃん! 食べていい!? 食べていい!?」

京太郎「まぁ待てって。 今切り分けて……」

優希「うまーい!!」

京太郎「おいコラッ!」

和「……最初からコレを持ってくればよかったんじゃ?」

京太郎「ん。 んー……ボンボンのほうが小分けしやすいからなぁ」

京太郎「……それに」


優希「この1万点棒はアタシのもんだじぇー!」ガッ

咲「あーっ!それ、私も食べたかったのにー!」

優希「早いもん勝ちだじぇ~。 はむっ……ん~♪」

咲「うあぁぁ……」

久「あっ、この千点棒チョコ美味しい……」

まこ「……一索チョコ……細かい所まで良く出来とるのぅ……」


京太郎「……ケーキならこうやって皆でワイワイできるしね」

和「……なるほど」フフッ

京太郎「ほら、和。 一応6人分を想定して作ったけど、早く喰わなきゃなくなるぜ」

和「そうですね。 ……私も頂きますっ」

京太郎「あぁ、召し上がれ」

京太郎「おーい、咲。 優希ー」

咲「あ、あに?」モグモグ

優希「んぐっ?」ムグムグ

京太郎「……美味いか?」

咲「んむんむ……。 うんっ! 凄い美味しいよ!」

京太郎「そうか。 そりゃ良かった」ニコッ

優希「ふぉんふぁふぃうふぁいふぉふーふぁふぃふぇふぇ」ムグムグ

京太郎「食うか喋るかどっちかにしろ」


久「……ところで須賀くん。 バレンタインデーが擬似敬老の日だなんて、どこで教わったの?」

京太郎「えっ……いや……そりゃちょっと……」

久「……あら? 言えないの?」

京太郎「……はい。 すいません……これだけはちょっと」

久「……ふぅん?」


京太郎(……言えないよなぁ……『アノ人』から言われたなんて……)

――白糸台高校 麻雀部

菫「……何? コレ」

照「チョコレート」

菫「いや、まぁ……見りゃわかるけど……」

淡「うわぁ! スゴイスゴイ!チョコレートボンボン! テルー! これ、食べていいの!?」

照「自分の名前のだけね」

尭深「……全員分?」

亦野「おお、私のもある……」

菫「誰からこんなに……」

照「……はむっ」

菫「ちょ、ちょっと! そんな勝手に!」

亦野「あ、美味しいなこれ」

尭深「ホント……。 店ものみたい……」

菫「あ、アンタらまで……」

淡「~~~~~~~~!!!!! うーまーいーぞーーーーー!!!!!!!」

菫「おぉい…………」

照「菫も、食べて」

菫「……食べて大丈夫なんだろうなぁ……。 あ、美味しい……」

照「でしょ?」

菫「こんな美味しいの……一体誰から?」

照「……」


亦野「あっ! コラッ、淡! 私の分だってコレは!」

淡「いいじゃないですかくださいよー!!! もーっ!」

尭深「……お茶に合う……」


照「……」

菫「……?」

照「秘密」

菫「……あ、そう……」

照「……はむっ」

照「…………」

照「……美味しい……」



照(……騙す形だけど……毎年この日だけの楽しみ……)

照「……今年も美味しいよ。 京ちゃん……」

菫「?」



淡「テールー!」

照「あげない」

淡「ぶー!!!」






―――カンッ!