http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1347473720/





優希「おっと、いかんいかん、つい昔の口癖が出てしまった」

優希「んっ」

優希「それにしても京太郎遅いな…」

「オギャーオギャー」

優希「あーどしたどしたチビちゃん。おっぱい…あ、うんちか」

チビ「オギャーオギャー」

優希「はいはい、今取り替えてあげるからねー」


~作業中~

優希「はい、おっけー、さー、もうねんねの時間だからねー、寝ようねーチビ」

チビ「キャッキャ」


ガチャガチャ、ギィー、バタン!

優希「あ、ちびー、パパが帰ってきたよ」

ガチャ

京太郎「ただいま」

優希「おかえり…って!酒臭っ!京太郎お酒飲んできたんでしょ!!?」

優希「私が、どんだけ待ってたかわかってんの!?」

京太郎「うるせーなー、しょーがねーだろ!仕事の付き合いなんだから!」

京太郎{って。お前も飲んでんじゃねーか!チビにおっぱいあげるんだから酒はダメだって医者にも言われてんだろ!」

優希「私だって、たまには飲みたいのよ!あんたみたいに毎日のように酒臭いわけじゃないし!」

優希「だいたい、チビの面倒だってほとんど私が見てるだけ…じゃな…いっ」ウルウル

優希「仕事の、付き合いって、いうけど、私なんてっ…朝からチビの」

京太郎「だあああ!!!うっせーんだよ!チビチビチビチビ!」

優希(ビクッ!)

京太郎「俺だってお前とチビ養うために必死に働いてんだよ!」

京太郎「だいたいおまえは…」

チビ「ギャー!オギャーオギャー!!!」

優希京太郎「!!?」

チビ「オギャーオギャー!オギャーオギャー!」

優希「あああ、ごめんね、チビ、おとーさんとおかーさん怖かったねーよしよし」

優希「ちょっと、京太郎」

京太郎「あ、ああ、………。すまん、優希、俺、つい」

優希「グスッ、ううん、いいの、私も言い過ぎた」


京太郎「ああ、ううん、俺が悪かった、ごめん優希、ごめん…」


そう言って私を見つめた京太郎の瞳は高校時代大好きな人の瞳だった…


翌日

優希「それじゃ先生、チビよろしくお願いします」ぺこり

保育士「はい、須賀さんもお仕事頑張ってくださいね」

優希「はい、では」

優希「じゃあチビ、いい子にしてるんだよ、おかーさん夕方に迎えにくるから」

チビ「キャッキャ」


会社

優希「おはよーございまーす」

女子社員「あ、須賀ちゃんおはよう」

女子社員「あれ?須賀ちゃんその目、どうしたの?」

優希「え?ああ、昨日子供の夜泣きが酷くてさ、あんま寝てないんですよ」

女子社員「そうなの?やっぱ子供育てるのって大変よねー、まぁ、私は作ったことないんだけどさー」

女子社員「大体、結婚なんて罰ゲームみたいなものよねー、旦那なんてどうせ育児の手伝いも家事の手伝いもしないんだから」

女子社員「まぁ、私はまだまだ独身貴族を謳歌しようかな♪」

優希(…。心配しなくてもあなたはまだまだ謳歌できますよ。深堀さん…」


この会社に就職して3年。

仕事にはとっくの昔に慣れ。

一つ上のお局よりかは会社には貢献していると思う。

京太郎と結婚してからも育児休暇もほぼとらずに仕事をしている。

最も、育児休暇を取ろうにも旦那の稼ぎのほうが心配で取れるものも取れないのが実際のところだ。

でも、こんな日常はあの頃は…まだ麻雀をしていた時は考えられなかった。

夢も、まぁ、あったかな?

でもまぁ、半分くらいは叶っていると思いたい。

でも、代わりに何かをなくした気もする。

そんな気が大人になったせいかもしれない。

もしくは大人になったつもりの子供の抵抗心かも知れない。

夕方

深堀「はー疲れたー。須賀ちゃんこの後一緒に御飯でも行かない?文堂にも声かけてさ」

優希「あ、すみません、今日はチビの定期健診なんですよ…」

深堀「あー、そうなんだ。それはザンネン」

優希「はい、じゃあ私はこれで」ぺこり

深堀「はーい、じゃ、また明日ー」


保育園

優希「チビー迎えに来たよー」

保育士「あ、須賀さん。お疲れ様です。チビちゃーん。ママがお迎えにきまちたよー」

優希「やだ、美穂子さん「きまちたよー」なんて可愛いじぇ///」

美穂子「あ、ちょっと優希ちゃん、ここでは先生か福路で呼んでくださいって」

優希「へへへーなんかいきなり昔懐かしくなっちゃったんだじぇ」

美穂子「…。ねぇ、優希ちゃん、昔のよしみで聞くけど…間違ってたらごめんなさい、最近旦那さんと何かありました?」

優希「え?」

美穂子「最近の優希ちゃん…なんだかつらそうな顔してるから…」

優希「…。ヌフフフフ、アッハッハッハ!美穂子さん何言ってるんだじぇ!」

優希「この私に、限って…そんな…ことは…ない、じぇ…み、美穂子さんの目もっ、衰えてしまったんっだな!」ちょっとナミダメ

美穂子「優希ちゃん…。」

美穂子「…。ねぇ、優希ちゃん。昔、私がプロだった頃、あなたとリオの大会に出たこと覚えてる?」

優希「…。じょ?」グスッ

美穂子「優希ちゃんがまだ駆け出しのプロにしてリオの東風フリースタイルで優勝した時の事」

美穂子「あの時のあなたは凄かったわ、元々東風が強いのは知っていたけどあの時のあなたは本当に凄かった」

優希「…」

美穂子「あなたはまだ三年生で、まぁ団体戦全国1位で個人戦3位の成績はあったけども」

美穂子「あれは一介の日本の高校生が優勝できるレベルの大会では無かった」

美穂子「私があの時ベスト32で敗退してしまって」

優希「愛の力」

美穂子「うん」

優希「私が美穂子さんを飛ばして勝ち上がった時の話…ですよね」

美穂子「うん…」

美穂子「あの時、私は負ける気なんてさらさらなかった。でも、あなたに負けてしまった」

優希「わたしが好きになったくらいの人だから、あの人が…京太郎がが選んだ彼女はきっとステキな人じゃないといけなかった」

美穂子「そ。」

美穂子「羨ましかった」

美穂子「妬みに聞こえるかもしれないけど、私にはあの時そんな人はいなかったから」

美穂子「愛の力。フフッ。不思議よね、私が3年の時はその愛の力で頑張れて」

美穂子「実力が認められてプロにもなれたのにね」

美穂子「その愛の力が私のプロ人生も終わらせちゃうなんて」

美穂子「そして、私を終わらせた人はというと、プロなんかならないよっていって、普通の企業に就職して」

美穂子「そして、結婚した」

優希「み、美穂子さん!」

優希「あの、なんといいますか…」

美穂子「フフッ、ごめんさい、ちょっと話がずれちゃったね」

美穂子「いいの、私は、多分元々プロなんか向いてなかったし」

美穂子「もし、あのまま続けてたって…あの人が私のもとにかえってk」

優希「美穂子さん!」

美穂子「あ、…。ごめんなさい、私…」

美穂子「ふぅ、話がかなりずれちゃったね」

美穂子「私が言いたいのは、ね、」

美穂子「今の優希ちゃんからあの時のような愛の力が全く感じられないってことなの」

美穂子「去年までは、さ、いろいろお話してくれたのに最近はあまり聞かないし」

美穂子「昔はあんなにあった旦那さんと撮った絵葉書だって最近はあまりみないじゃない」


優希「ちょ、美穂子さん!」

美穂子「だから…ね、優希ちゃん。」

美穂子「プロに…ならない?」

優希「え?」

美穂子「知り合いに、実業団の監督が何人かいてね」

美穂子「あなたの実力なら3年のブランクなんて大した問題じゃないと思うんだけど」

優希「…。う、うーん?美穂子さん?」

優希「私、たぶんもう強くないと思うよ?確かに高校時代の私は負ける気なんてしなかった…だけど今は…」

美穂子「ふふふ、やっぱり旦那さんとうまくいってないのね」

優希「あ、」

優希「そん、いや、私は…まだ京太郎を愛してるよ、たぶん…でも京太郎は…」

美穂子「まぁ///『愛してる』なんて優希ちゃんこんなところで大胆な発言ね」

優希「美穂子さん!からかってるんですかっ!?」

美穂子「ふふ、ごめんなさい、別にからかったわけじゃないし、あなたが今でも強いと思うから言ってるの」

優希「…。一方通行じゃ、私は、強くない…じぇ」

美穂子「あら、あなたを心から愛してる人がここにいるじゃない」

チビ「キャッキャ」

美穂子「ほら、ね?」

優希「…」

美穂子「私の目は衰えたとは言えまだわかるのよ?あなたにとってチビちゃんの存在が今は力になってるの」

優希(プロ…か、確かにプロになれば上手いこといけば収入は今と比べものにならない)

優希(私の知ってる人でプロになったのは和、池田、吉留さん)

優希(正直、3年のブランクがあるにしても今でも勝てないとは思わない)

優希(収入だって、みんな我が家の年収の最低1,5倍はある…)

優希(それでも、私は…)

美穂子「優希ちゃん?」

優希「美穂子さん…ごめんなさい、私にはその話魅力的じゃないです」

美穂子「…。そ、まぁ、そう言うと思っていたわ」

美穂子「はい、じゃあ、この話はおしまい!」

優希「あ、うん」

美穂子「でもね、私の気持ちは本当よ?心配なのよ、年下の子が元気ないのは」

優希「あはは、やっぱり美穂子さんは優しいじぇ」

優希「じゃあ、もう行きますね、今日はチビの定期健診なんですよ」

美穂子「あらそうだったの?ごめんなさい、長話になって」

優希「いいんですよ、少し元気出ました」

美穂子{そう?そういってくれると嬉しいわ」

優希「じゃあ、また明日」

美穂子「ええ、車に気をつけてね」

優希「はい、では」



優希「プロ…かぁ…」

優希「なりたいことは、なりたかった、んだよね」

優希「でも、京太郎のお嫁さんになるって夢のほうが大きかったし」

チビ「キャッキャ」

優希「かわいい」

優希「笑ったところとか京太郎にそっくりだなー」

優希「…。この子は、守ってあげたいな…」

優希「私、プロになってたらどんな人生だったんだろう…」

優希「今より、幸せだったのか…いいや、そんなことは絶対ないよね」

優希「うん、きっとそう」

優希「ふー、何考えてるんだろ私」

優希「さ、早く病院行って夕飯の支度しなきゃ」


数時間後 街

優希「さーて、スーパー行っ…て、」

優希「あれは…京太郎?」









と、咲ちゃんが手をつないで歩いていた。

優希「え?え?え?何?」


そのまま二人はピンクのHOTELに消えていった


優希「きょ、う、たろ…。さき、ちゃん…」


その夜 須賀家

京太郎「ただいまー」

優希「…。」

京太郎「おーい、今帰ったぞーって…!?」


家の中は物が散乱し、テーブルや床には大量のお酒の空き瓶が転がっていた

もう子供出てこないかもだけど名前つけるか。何がいい?

京太郎「お、おい、優希?優希!!」

優希はテーブルの上で眠っているようだった

京太郎「どうしてんだよ、全く…」

京太郎「あ、れ?優希…?」


その後須賀優希は病院に搬送された。

急性アルコール中毒との診断が下った。

幸いにも命には別状はなかった。


病院

優希「ん?まぶしい…」

目を覚ますと見知らぬ天井があった

優希「ここ、どこ?私、確かお酒飲んでて…」

ガチャ

京太郎「あ、目覺めたか」

優希「京太郎?」

京太郎「急性アルコール中毒だってよ」

優希「え?」

京太郎「家、凄い事になってたんだけど…どうしたんだ?優希」

優希「…」

京太郎「ゆうすけのおむつも取り替えてなかったし、俺が帰った時は寝てたけど凄い泣いた痕があったぞ」

優希「京太郎」

優希「私、見たんだ、京太郎と、咲ちゃんが、HOTELに入っていくの」

京太郎「え?」

優希「あれは、何?京太郎咲ちゃんは何してたの?」

優希「最近、夜遅かったけど、いつも、咲ちゃんと会ってたの?」

京太郎「あ、あれは、別に、何も無かったよ、ト、トイレ借りに入っただけだから」

優希「…。嘘」

京太郎「嘘じゃないから!咲とは偶然あって、昔話とかしてたら急に腹の具合が悪くなって、それで」

優希「ふふ、相変わらず、京太郎は嘘つくの下手だよね、嘘つく時はすぐ目をそらすもん」

京太郎「」

優希「浮気、してるんでしょ?咲ちゃんと」

優希「私、ね、京太郎のこと、好きだよ、愛してるよ、一生楽しく笑って過ごせると思ってた」

京太郎「優希」

優希「…。ねぇ、京太郎」

京太郎「え?」

優希「別れよう」

優希「私、ね、もうだめみたい」

京太郎「ちょ、お前何いってっ」

優希「私、疲れちゃった。」

京太郎「ま、待てって、優希、別れるってお前、」

優希「私達、まだ若いし、やり直せるよ、お互い」

京太郎「別れるって言ったて、お前、ゆうすけはどうするんだよ!」

優希「私が養う」

京太郎「養うって、お前、」

優希「プロになる」

京太郎「は?」

優希「私、プロになる、ゆうすけのために」

京太郎「…。」

京太郎「ふぅ、なぁ、優希、お前少し落ち着けって」

京太郎「あー、今日はもう遅いから、俺は一旦帰るから、頭冷やそうぜ、な?」

優希「…。」

京太郎「ゆうすけだって寝かさなきゃだから、うん、また明日来るから、その時に、な?」

優希「…。うん、わかった」

京太郎「よし、じゃあ、今日はゆっくり休め」

優希「うん。」

京太郎「じゃあ、な」

優希「うん、じゃあ」

優希(はぁ、言っちゃったか、はは、これで良かったのかな?)

優希(…。うん、良かったんだよきっと。)

優希(長い、一日だった。)

優希(ゆうすけが生まれてから1年か、早かったな、あっという間だったな)

優希(ふふ、おかしいな、一日をこんなに長く感じるのに)

優希(一年があっという間に過ぎてしまう)

優希(一年をこんなに早く感じるのに)

優希(私はこれからの長い一生をどんなに上手く生きれるのかな)

第一章 須賀優希(21歳) カン!


第2章 宮永咲(20歳)「京ちゃん…愛してる」

第1章から遡る事1年前

咲「今日は高校の同窓会かぁー」

咲「久しぶりだなーみんなに会うの」ワクワク

居酒屋

ガヤガヤ

同級生女1「うーっわ!宮永さん久しぶり!」

同級生女2「サッキー!美人になったねー!」

ガヤガヤ

咲「えー?そうかなー?」

同級生男1「おお!魔王の降臨だ!」

同級生男2「よ!わがクラスの麻雀魔王様!」

咲「ちょ、魔王は止めてよ!もう麻雀してないんだからー!」

京太郎「うーっす」

同級生男1「お!須賀ぁ!おめぇコラァ!」

京太郎「うおっ!なんだよ!」

同級生男2「魔王様、王子が来たぞー」

京太郎「王子っておまえ…」

咲「あ、京ちゃん…」

京太郎「お、おう、咲、久しぶりだな」

咲「うん、そうだね…。優希ちゃん、元気?もうすぐ生まれるって聞いたけど…」

京太郎「ああ、あいつ妊婦のくせに相変わらずタコスばっか食ってるんだぜ?変わんないよなんも」

同級生男1「あーっと魔王!略奪愛に入ったあああぁ!」

同級生男2「これはいけない!これはあああ!」

咲「ちょ、話しただけで何でそうなるのよっ!」

京太郎「そ、そうだぞ!なんだよ略奪愛って!俺が優希を裏切れるわけねーだろ!」

咲(…。)

同級生女1「ちょっとあんたら何言ってるのよ!」

同級生男1、2「うへぇ~」

咲京「ははは、」

京太郎「咲、最近どうよ?」

咲「え?うーん、ぼちぼちかな?京ちゃんは?」

京太郎「ああ、まぁ、幸せかな?子供生まれるし、優希といるのも楽し、あ…」

咲「…。」

京太郎「その、すまん」

咲「ん?何が?」ニコニコ

京太郎「お前と優希の事、最近聞いたよ…」

咲「え?何の話?」ニコニコ

京太郎「まぁ、何がどうしてかは聞いてないけど…優希と縁を切ったって…」

咲「…。うん。そうだね」

京太郎「今日も来ないか?って聞いたけど、なんだかんだで俺だけ楽しんでこいって言われたし」

咲「そーなんだ」

京太郎「なぁ、咲、お前と優希に何があったか…教えてくれないか?」

咲「それは、ね、京ちゃん。言えないよ」

京太郎「うーん、やっぱそうか」

咲「はい、このお話はおしまい!折角集まったんだから楽しもうよ!ね?京ちゃん!」


同窓会終了

同級生女1「あー楽しかった!久しぶりに笑ったはこんなに」

同級生男1「だな、全く社会人になってからはこんなに楽しい事なんてそうそうないからなー」

同級生女2「そうそう、あ、でもいいこともあるんじゃない?ねぇ須賀君?」

京太郎「え?なんでそこで俺に振る?」

同級生男2「もうすぐ生まれるんだろ?お前と片岡の愛の結晶がwww」

京太郎「ちょ、なんだよ愛の結晶って!それにそれ社会人云々関係無いじゃん」

咲「大人になったってことなんだよ…」ボソッ

京太郎「え?」

同級生男1「おお!さすが魔王さん!」

咲「魔王は止めてってw」

京太郎「わかんねーな、みんななにいってんだか…」

同級生女1「あはは、自覚ないのは須賀君らしいわ」

同級生女2「だね、あ、もうこんな時間か、じゃあみんなここで解散ってことで」

一同「おー」

解散後

咲「ねぇ京ちゃん」

京太郎「ん?なんだ咲?」

咲「このあと時間ある?」

京太郎「ん、まぁあるけどどうした」

咲「へへへ、久しぶりに会ったんだから遊んでもらおうかなと思って」

京太郎「おう、わかった、んじゃ、どうしよっかこのあと」

咲「とりあえずどこかで二次会で良くない?」

京太郎「じゃあ、そのへんの居酒屋入るか」

咲「うん♪」

居酒屋

咲京「カンパーイ」

咲「ふー、それにしても久しぶりだね、京ちゃん」

京太郎「ん、そうだな、卒業してから会ってないもんな」

咲「だねー、3年か、長いな」

京太郎「咲、今何してるの?就職したって聞いてるけど」

咲「うん、しがないOLだよ。毎日同じ事の繰り返しでさ、つまんないのよねー」

京太郎「そっか、まぁ俺も似たようなもんだよ、会社と家の往復さ」

咲「でも、京ちゃんは家族がいるじゃない」ニコニコ

京太郎「あ、そういえば、咲、お姉さんとはどうなったんだ?」

咲「お姉ちゃん?上手くはいってるよ、でも、あの人同級生の菫さんと結婚するんだって言って今は二人で海外に住んでるよ」

京太郎「えぇ?なにそれ?」

咲「おかしいよねー、女の子同士なんて、しかも一緒になるために海外いっちゃうんだし…」

京太郎「ははは、」

咲「…。ねぇ、京ちゃん、さっきの話なんだけどね」

京太郎「え?」

咲「私と優希ちゃんの話、聞きたい?」

京太郎「そりゃまぁ、聞きたいけど、言いたくないならいいよ、優希も言いたがらないし」

咲「そっか、優希ちゃん、約束守ってくれてるみたいだね」

京太郎「約束?」

咲「そ、約束したの三年生の時、個人戦の前に」

咲「その約束ってはね、個人戦でいい成績残したほうが京ちゃんと結婚する権利」

咲「負けた方は卒業したらもう京ちゃんと会わない」

咲「そしてこの話を京ちゃんに話してはならない」

咲「この3つ」

京太郎「え?」

咲「ふふ、私って最低だね、3つのうち2つも破っちゃった」

咲「私ね、ずっと好きだったんだよ?京ちゃんのことが」

咲「京ちゃんは鈍感だから気づかなかったみたいだけど」

咲「悔しかたったなー、個人戦なんて余裕で勝てると思ってたけど、原村さんに負けちゃって」

咲「準決勝で負けて、決勝に進んだ優希ちゃんが自動的に勝利ってなっちゃた」

咲が手を握ってきた

咲「いーなー、この指輪」

咲「もしかしたら、私とお揃いの指輪してたかもしれないと思うと、やりきれないなー」

京太郎「なぁ、咲」

咲「ん?」

京太郎「今だから言うけど、俺も、その、好きだったよ、咲のこと」

咲「え?」

京太郎「あの頃は幸せだったよ、好きな人と毎日会えて、さ、」

京太郎「だから、咲が突然俺に対して冷たくなった時は悲しかった。その後優希に支えになってもらって結婚までした」

咲「そっか、それは聞けてよかった」

咲「…。私もね、2年生くらいまでは毎日今さえあればいいって思ってたんだけどね、そうじゃなかったんだよ」

咲「優希ちゃんも京ちゃんの事好きだってことは知ってたし、優希ちゃんも私が京ちゃんの事好きだってのはずっと知ってた」

咲「だから、勝負したの。結局、そのせいで大切な今を無くしちゃったんだよね、私」

咲「ね、え、京ちゃん」

(いけない)

咲「もし良かったら、私と」

(言っちゃいけないっ、その言葉は)

咲「不倫しない?」

(今の京ちゃんは私がいなくても)

咲「好きなの…今でも」

(好きな人の幸せを)

咲「だから、ね?」

(壊してはいけないのに)

咲「…。抱いて」

京太郎「さ、咲…?」

京太郎「あ、の、その、だな…」

咲「なーんてね」

咲「嘘よ、嘘、ちょっとからかっただけだって、本気にしないでよ!」

(そうだよ)

(ここで京ちゃんと何かあったら)

(私の願いは叶うかもしれないけど)

(優希ちゃんを泣かしてまで叶えたいとは思わないよ)

京太郎「…。なぁ咲」

(あ、やばい)

京太郎「咲は、凄いよ、俺には理解できないほどにさ」

(京ちゃんの目が)

京太郎「俺だったら、好きな人のためでもそんな我慢、できないよ、好なものはしょうがないじゃん」

(ああ、私、なんてこと言っちゃったんだろう)

咲「うん、京ちゃんのたった一人になりたくて、少し、我慢しすぎたかな?」

咲「自分の幸せ願うことって、わがままではないよね」

京太郎「ああ、そうだと思うぞ」

咲「…。」

その夜、私は。

人生で最も。

最低の事をした。

私の涙は乾いたけれど。

結果的に優希ちゃんを泣かせることになった。

このまま、最低のまま、私達の関係は続いた。


1年後

携帯「♪~」

咲「ん?京ちゃんから電話?」

咲「はい、もしもし、どうしたの京ちゃん?」

京太郎「バレた…」

咲「え?」

京太郎「優希に、俺らのこと、バレた」

咲「え?それ…」

京太郎「今日帰ったら。優希が、酒飲み過ぎて急性アル中で倒れてて病院に運ばれたんだ」

咲「!?」

京太郎「どうして、そんなになるまで飲んだんだって聞いたら、見たんだって、俺らがHOTELに入っていくところ」

咲「…。」

京太郎「別れるって、言われた」

咲「そう…。とりあえず、電話じゃあれだから今から会える?」

京太郎「あ、ああ」

咲「じゃあ、いつもの場所で」ガチャ

咲「…。はぁ、ついに来るべき時が来たか…」

咲「…。ふふ、何も悪いとは思わないなんて、人って1年ポッチで変わるものなんだなー」

咲「さ、行こうかなそろそろ」

居酒屋

京太郎「なあ咲、俺、どうしたらいいのかな…」

咲「…。京ちゃん。こんな時にひどいこと言うかもしれないけど」

咲「優希ちゃんと別れて、私と一緒になって欲しい」

咲「そのほうが、きっと京ちゃんにとって幸せだと思うから」

京太郎「…。うん、俺もそう思う…。別れたほうが優希が幸せになれるとも思うし」

京太郎「あいつ、別れてプロになるんだってよ」

京太郎「あいつ、あんなに麻雀強かったのに、俺と一緒になる為に麻雀捨てたんだ」

京太郎「俺がいなくなれば、あいつはなくしたものを取り戻せるはずだもんな」

京太郎「はは、何俺最後まで人のせいにしてるんだろ。全部オレが悪いだけなのにな」

咲「ううん、そんなことないよ」

咲「京ちゃん、これから少しだけ大変になるかもしれないけど、私が支えになるから」

咲「ずっといっしょにいようね」

私の願いは叶った。

優希ちゃん、今どうしてるかな、泣いてるかな。


数日後

TV「きーまったー!原村和!タイトル初制覇です!」

京太郎「おー、和ついにやったかー!」

咲「…。そうだね」

京太郎「ん?あんま嬉しそうじゃないな」

咲「そんなことないよ」

咲「ねぇ、京ちゃん、そんなことより幸せを確かめたいからちょっと抱きしめてみて」


あの時、私と和ちゃんの願いは叶わなかった。

今は、私と和ちゃんの願いが叶った。

みんなの願いは同時には叶わない。

京ちゃんがそっと抱きしめた。

咲「京ちゃん…愛してる」


第2章 宮永咲(20歳) カン!

第三章 原村和(19歳)「勝てない」

プロになって1年。原村和はスランプに陥っていた。

和「はぁ」

池田「よぉ、和。どうしたため息なんてついて」

和「あ、池田さん、お疲れ様です、最近麻雀の調子がよくなくて…」

池田「ニャハハ、調子なんて言葉、オカルトじゃないのか?」

321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13 22:35:25 ID:ULcRij2P0
和「はぁ、何年もそんなオカルトありえませんって言ってきたけど」

和「世の中には不思議な人がたくさんいましたからね」

和「さすがの私も多少は容認するようになってきたんですよ」

和「こんなので落ち込むなんて昔は考えられませんでしたよ」

池田「ニャハハ、和、そんなんでメゲテたら華菜ちゃん1000回くらい自殺してたし!」

池田「元気だせよ!昔、コーチが言ってたんだけどな」

池田「昨日より今日が素晴らしい日なんだぞっ池田ァ!て」

池田「あの時はよくわからなかったけど今ならわかるし」

池田「まぁくよくよすんなってことだし!」

池田「じゃあ、私はこれからみはるんと用があるからこれで、じゃあな!」

和「はい、さようなら…」

和「はぁ、昨日より今日が素晴らしい日、か」

和「そんなこと当たり前のことじゃないですか」

和「でも、昔のほうが、私は、良かったのかもしれませんね…」

和「宮永さん…」


約1年前

アナウンス「続きまして長野県代表原村和さん、長野県代表宮永咲さん、
兵庫県代表森垣有香さん、北大阪代表二条泉さんの試合です」

咲「和ちゃん、お互いがんばろうね!」

和「はい、お互い勝っても負けても恨みっこなしですよ」

私の願いは宮永さんと結婚することだった。

団体戦で優勝した日の夜に告白した。

答えはどっちとも取れるような内容だった。

だから私はひとつの条件を出した。

もし、個人戦で私が優勝したら優勝したら、改めて付き合ってもらう。

もし、優勝できなかったら私は宮永さんを諦める。

了承は得られた。

だから私は負けるわけにはいかなかった。

優勝すればトッププロへの道がひらけて宮永さんを養えると思ったからだ。


アナウンサー「決まったー!決勝へ進むのは長野県原村和と兵庫県森垣有香だぁ!」

アナウンサー「団体戦MVP長野の宮永咲!敗れました!」

和「ふぅ…」

咲「あ…あぁ…」


控え室

和「宮永さんに勝てるとは正直思いませんでした」

和「やっぱり、私と宮永さんは結ばれる運命みたいですね」

咲「う、うん。原村さん本当に強かったよ。おめでとう。決勝頑張ってね」

和「はい、必ず優勝して見せます!」

アナウンス「決まったー!原村和!個人戦優勝です!では、原村選手のインタビューです」

和「全中で優勝できて、高校でも優勝できるなんて夢にも思っていませんでした。みなさん応援ありがとうございました」

アナウンサー「以上、原村和さんのインタビューでした!」

和(早く、宮永さんに会いたいっ)


控え室

和「宮永さん!私、やりましたよ!優勝したんですよ!」

和「あれ?宮永さんと…優希?」

咲優希「…。」

和「どうしたんですか?ふたりとも?」

優希「なんでもないじぇ、ちょっと出てくるじぇ」

和「あ、はい」

ガチャ

和「…。」

咲「…。」

和「宮永さん、優希と何かあったんですか?」

咲「ん?別になにもないよ」ニコ

和「そうですか」

咲「そんなことより原村さん!優勝おめでとう!凄かったよ!」

和「え?ああ、そうですよ!宮永さん!私優勝しましたよ!」

咲「凄かったよ!原村さん!鬼気迫る闘牌だったよ!」ニコ

和「はい、私、頑張りました!それで、あの、宮永さん…」

和「あの時の約束、覚えてますか?」

咲「…。うん」

和「それじゃ…」

咲「ごめんなさい、原村さん、少し考えさせて欲しいの」

和「え?」

咲「やっぱり、さ、付き合ったとしてもこれからの事が心配なんだ私」

咲「女の子同士なんて、他の人には理解できないことじゃない?」

咲「だから、さ、もっと認められるようになってからでも遅くはないと思うんだ…」

咲「もし、さ、和ちゃんがプロになってタイトル優勝でもできたら、さ」

咲「改めて私に告白して」

咲「わがままかもしれないけど、和ちゃんとの関係を世間に認めさせたいの」

和「宮永さん…」

和「分かりました、私、プロになります!プロになって偉くなって必ず宮永さんを迎えに来ます!」


回想終わり

そして私はプロになった。

卒業してから宮永さんとは会っていない。

宮永さんには何度か連絡は取ったけどあちらも忙しいようで合う機会が無かった。

和「宮永さん…」

プロになったことで私は東京に出てきた。

宮永さんは長野で就職したのでなかなか会えないのはわかる。

でも…。

和「やっぱり…女の子同士なんて、おかしいのかな…」

和「さすがに…避けられてるとしか思えないですよね…」

和「はは、私、何をしてるんでしょう…」

和「何年も、一人で、舞い上がって、頑張って、悩んで」

和「はぁ、悩んでも仕方ありませんね、宮永さんがどう思っていようと、私は約束は果たしたいですね」

和「意地、ですかね、これは」

和「そのためにも、私はもっともっと強くならないと」


1年後

私の不調は未だに続いていた。

監督「原村、どうした?このままだとチームにはおいておけないぞ」

和「申し訳ありません、監督…。」

監督「ふぅ、実を言うとだな、お前にトレードの話が持ち上がっているんだ…」

和「え?」

監督「オーナーから直々の話だそうだ。どこのチームかは聞いていないが山陰のほうらしい」

和「そんな…わたし…。」

監督「お前がチームを離れたくないっていう気持ちは十分承知のうえだ」

和「嫌です!しかも山陰なんて…」

(ますます長野から遠ざかってしまう)

監督「おそらく、広島の佐々野とのトレードのだと私は考えている」

監督「うちのオーナーは人気選手を取りたがる。今や人気は佐々野のほうが上だ」

和(え?それって…もしかして私は…)

監督「酷かもしれんが、君は実力よりも人気で取られた選手だ」

監督「実力もなく、人気もなくなった君をおいておくようなところではないということだよこのチームは…」

監督「まぁ、全中、高校で輝かしい成績を残した君に対して失礼な言葉ではあるが」

監督「はっきり言って、私も、君からはそれほど凄いものを感じなかった」

ポロポロ

監督「っ…。すまない、とにかく、いつ言われるかもわからない、ここに残りたかったらもっと努力するんだぞ」

和{…。はいっ…」ポロポロ


そして私は。牌のお姉さんになった。

和「みんなー!こんばんは~!」

和「今日から、先代はやりおねぇさんに変わって牌のおねえさんになった」

和「のどっちです☆仲良くしてね☆」

和「さーて、今日の麻雀のおべんきょーのコーナーわー???」

私は牌のおねえさんとして生まれ変わった。

はっきり言って恥ずかしい。

私は、何をしているんだろう…。

つじつま合わせるだけで精一杯で。

なんて不細工なんだろう。

監督「良かったな、原村、どうやらトレードの話は流れたそうだ」

(それでも私は)

監督「しかし、キャラとは言え、普段とはギャップすごすぎだぞ、牌のおねえさんよー」

(生きていく)

監督「本業の麻雀も、これを基に上向くといいな、原村」

和「…。はい」

昨日より今日が素晴らしいなんて嘘じゃない。

手をとりあって。肌寄せあって。

ただなんかいいなあ。

って空気があって。

あの頃は、幸せだった。

実況「リーグ最終戦、牌のお姉さん、のどっち!大逆転です!」

解説「のどっち、調子を取り戻してきましたねー」

実況「今季は後半から徐々に調子を上げ、リーグ7位まで追い上げました」

解説「過去最高順位ですね」


そして、21歳になった。

和「みんなーこんばんわー☆」

(もう、嫌だな、こーゆーの)

和「今日の牌のお勉強のコーナーはこ、ち、らっ☆」

(いつの頃からか、宮永さんの事、諦めたのに)

和「この場合、デジタルで対応するならば1ピン切りがもっとも効率がいいです☆」

(それにしても)

和「こうすれば、ピンズはどこが入っても対応できます☆」

(期待したり、諦めたり)

和「更には打点も他の手順と比べると☆」

(私の本当の気持はどこに行ったんでしょうか)

その年の最終戦

実況「きーまったー!原村和!タイトル初制覇です!」

解説「3年目でリーグ優勝は史上2位の記録ですね」

実況「いやー、やはり、原村は強かった!スーパールーキーの名は伊達ではなかったようですねー」

解説「まぁ、今の肩書きは牌のおねえさんですが」

アナウンサー「それでは、優勝した原村和さんのインタビューです」

アナウンサー「原村さん、今のお気持ちをどうぞ」

和「えっと、調子の悪い時期もありましたが、おねえさんは頑張りました☆」

和「こうしておねえさんが頑張れたのも、皆様のおかげです☆」

和「本当にありがとうございましたー☆」


控え室

和「やった、ついにやりましたよ。宮永さん…」

和「…。でも、果たして宮永さんはあの約束を覚えているのでしょうか…」

和「怖い…。連絡したいけど…」

電話「プルルルル」

和「着信?み、宮永さん!?」

和「ど、どうしましょう…。心の準備が…」

和「…。ええい、どーにでもなーれっ☆」

ピッ

和「はい、もしもし、原村です」

京太郎「いよーう!和!久しぶり!」

和「え?須賀君?ど、どうして…?」

京太郎「見てたぞー、優勝おめでとう!」

和「は、はあ、ありがとうございます、でも、どうして宮永さんの携帯で…?」

京太郎「え?ああ、今俺咲と暮らしてるんだ」

和「」

京太郎「おめでとうが言いたくてさ!俺は和の番号知らなかったから、咲の携帯からかけてる」

和「み、宮永さんはそこにいらっしゃいますか?」

京太郎「咲?ああ、今、風呂に入ってるよ」

和「お風呂ですって!!?」

京太郎「あ、ああ、そうだけど、それがどうかしたか?」

和「い、いえ、別に、ところで須賀君」

京太郎「ん?」

和「あなたは、優希と結婚したはずですよね…何故、今宮永さんと…」

京太郎「え?ああ、そのことなんだけどさ」

京太郎「俺、優希と別れて、今は咲と付き合ってるんだ」

和「」

和「そ、それは…」

和「そーれーはー?男女の仲でって意味かな☆」

京太郎「え、え?の、和?」

和「そーしーて、須賀くんは今宮永さんに無断で宮永さんの携帯を使ってのどっちにお電話してるのかなっ☆」

京太郎「あ、ああ、和、今そのキャラで話すなよ…」

和「ん?一つも答えになってないよ☆」

和「須賀君さぁー、頭悪いのは知ってるけど、いい加減にしないと、おねーさん怒っちゃうよっ☆」

京太郎「お、おっしゃるとおり…」

和「…。そっかー☆」

和「うん、分かった☆宮永さんによろしくね☆お幸せに☆」

プッ

和「…。」

和「フフフ、ウフフフフッ、アッハッハッハ!」

和「私はっ、私は、本当にっ今まで何をっしていたのでしょう…っ!」

和「私は、ただっ、一緒に入られるっ、だけで、よがったのにぃ…」

和「遠回りしてっ、うまれがわっで…えぅっ…」

和「昨日より、今日が、すばらじぃなんてっ…」

和「なんで、私、女に生まれたんだろうっ…」

和「勝てない」

第3章 原村和(19歳) カン!


第4章 染谷まこ(22歳) 「夏も終わりかのー」

テレビ「太平洋高気圧は勢力を弱め、真夏のピークはさったようです」

まこ「あー、暑っ、嘘じゃろーが東横さんよぉー」

9月も半ばに差し掛かったが長野はまだ残暑を思わせる厚さだった。

常連客1「まこちゃん、テレビに文句言ってもしょうがないべー」

常連客2「んだー、こんな可愛い子に文句言ってもしょうがないさー」

まこ「この子は。わしの知り合いだからいいんじゃよ、それよりあんたらそれどこの方言じゃ?」

カランコロンカラーン

まこ「いらっしゃ、って、なんじゃ、牌のおねえさんじゃったか」

和「先輩、その呼び方止めてください」

まこ「はは、すまんの、性分じゃけぇ、で、今日はどうした?」

和「いや、呼び出したのは先輩じゃないですか!?こっちは忙しい中来たんですよ!」

まこ「ははっ、ジョークじゃよ、ジョーク」

和「全く」プンプン

まこ「ちょっとまちんしゃい、もう一人来るから」

和「?」


数分後

優希「じゃじゃじゃーん!登場だじぇ!」

和「優希!?」

優希「おぉー!?おっぱいのおねーさんだじぇ…」

和「おっ、ゆ、優希!」

まこ「お、きよったな。ほいじゃ、ぼちぼち行きますかね」

和「行くって、どこへですか?」

優希「花火だじぇ!」

和「花火、ですか?」

まこ「そうじゃ、花火じゃ」

まこ「あんさんは、去年も一昨年もこんかったけど、毎年部のみんなで集まって行っとったんよ」

まこ「まぁ、全員集まった時はないんじゃけどな」

まこ「今年はこのパーティで見に行こうってことじゃ」

まこ「それにしても、今年は和が来てくれて本当によかったわ」

和「?」

まこ「ひょっとしたら、一生会えないんじゃないかと思っててな…」

和「そんな、大げさですよ」

まこ「…。はは、そうじゃの、確かに大げさじゃった」

優希「そうだじぇ!私がいるからには来年も集まってもらうじぇ!」

まこ「そうじゃの、ほんとにみんなで集まれたら楽しいじゃろな…」

優希「あ…。」

和(優希?)


4年前

まこ「すまんの、みんな、部長であるわしの力不足のせいで、今年は全国に届かんかったわ…」

優希「何言ってるじぇ…今年の戦犯は私だじぇ…」

ムロ「私が足引っ張ってしまって…申し訳ありませんでした…」

咲「しょうがないよ…今年の龍門渕のみんなは本当にすごかったもの…」

和「そうですよ、先輩が悪くありません!」

まこ「…。そういって貰えると少しは気が収まるわ…ありがとう、みんな」

まこ「ま、団体では行けんかったけども、咲と和は個人戦で全国じゃ」

まこ「しっかりバックアップしちゃるけん、しっかり練習するんじゃぞ」

咲和「はい!」

放課後

まこ「はぁ…。わしの夏も終わりか…」

まこ「去年は久に連れて行ってもらって…今年は久からもらったものを全力で出しきって恩返ししたかったんじゃが…」

まこ「わしゃあ、ホント使えんやっちゃのー」

電話「プルルルル」

まこ「ん?だれじゃ?」

着信 竹井久

まこ「…。どうしよーか」

まこ「…。」

久「ちょっとぉ!なんで出ないのよ!」

まこ「うわああああっ!」

まこ「ひ、久、おったんか!」

久「そ、見かけたから脅かしてやろうと思って」

ちなみにさっきおさるさんなっちゃったからまたなるかも

久「ひさしぶりね、まこ」

まこ「そ、そうじゃの…」

久「あら?歯切れが悪いわね、まこらしくもない、何かあったの?」

まこ「…。あんさんならわかっとるんじゃろーが」

久「…。県予選、残念だったわね」

まこ「そうじゃの、まぁ咲と和が全国行けてよかったわ」

久「でも、まこ、あなたも行きたかった。たぶん、5人の中で最もその思いは強かった」

まこ「はは、やっぱあんさんには隠し事なんてできんのー」

まこ「…。久、すまんの」

まこ「去年、久から部を託されて、わしなりにやってみたんじゃがの」

まこ「やっぱり、わしには荷が重かったみたいじゃ…」

久「まこ。」ギュッ

まこ「ちょ、久っ!」

久「まこは頑張ったよ、私でも今年は無理だったよ、あなたは頑張ったんだから、泣かないで」ナデナデ

まこ「な、泣いてなど、おらん!」

久「ふふ、そうやって強がるところも好きよ、まこ」

まこ「な!?」

久「顔は見ないでいてあげるから、すっきりするまでこのままでいいから、だからね、まこ」

まこ「すまんの…」ツー

数分後

まこ「久、ありがと」

久「いいの、じゃあ、私はこれから用事があるから行くね」

まこ「ああ、楽になったわ、じゃあまたの」

久「あ、まこ、ちょっと待って」

まこ「?」

久「まこ、9月の中旬って暇?」

まこ「ん?まぁ、その時期なら全部終わっとるから大丈夫じゃが…」

久「そ、じゃあ、空けといて貰える?近くなったらまた連絡するから」

まこ「わかった」

久「ありがと、じゃ、またね」


9月

個人戦も終わり、わしは部を後輩に託し引退した。

まこ「ひまじゃのう…」

電話「プルルル」

まこ「お?久からじゃ」ピッ

まこ「もしもし?」

久「あ?まこ?私よー」

まこ「はいはい、今月の中旬の話かの?」

久「そうだけど、いきなり事務的すぎない?普通は最近どうとか聞くものじゃないかしら?」

まこ「ああ、そーじゃの、で、最近どうなんじゃ?」

久「特になにもないわ!」

まこ「ほーかー、だったら言わせんなっ!」

久「ふふふ、ごめんない、ちょっとからかっただけよ」

まこ「全く、で、いつ何をするんじゃ?」

久「日にちは今週の土曜日よ夕方くらいにあなたのうちにいくわ」

まこ「ほーかー、して、なにをするん?」

久「その日、何の日か知らないの?」

まこ「今週の土曜日?ああ!そうじゃ、花火の日じゃな?」

久「せーかーい!よくできました」

まこ「ほーじゃったら、みんなも誘って行こうかの」

久「だーめ」

まこ「なんでじゃ?」

久「まことふたりきりで行きたいからに決まってるでしょ?」

まこ「なんじゃそれ?」

久「みんなを連れて行きたかったら来年にして、今年は私がまこを独占したいのっ」

まこ「まぁ、久がそう言うなら…」

久「ホント?ありがとう!まこ、大好き!」

まこ「馬鹿なこと言っとらんと」

久「じゃ、土曜日にね!楽しみにしてるから!じゃあね!」ガチャ


土曜日

テレビ「オホーツク海高気圧の勢力が強まり、真夏のピークは去ったようです」

まこ「夏も…終わりか」

まこ「さて、そろそろ久が来る頃じゃ、支度せんと」

まこ「さーて、何を来ていこうかのー」

ピンポーン

まこ「おっと、来てしまったかな?」

トットットット、ガチャ

久「はーあーい、まこ」

まこ「いらっしゃい…って、久!?どうしたんじゃその格好!!?」

久の格好は相当露出の高い今時のギャルのような格好じゃった。

久「ん?おめかししてきたのよ、まこはこーゆーの嫌いだったかな?」

まこ「いや、別に、そーゆーのに偏見はないが…単に驚いただけじゃよ」

久「よかった、頑張ったのよ?これでも」

まこ「なんで頑張る必要があるんかはわからんが、まぁ、すごく可愛いとは思うぞ」

久「まこもこんな格好してみる?化粧だって大人用にしてあげるわよ?」

まこ「わ、わしゃええて、どうせ似合わんって」

久「そんなことないと思うんだけどなー、ザンネン」

まこ「じゃあ、少し待ってて貰えるかの?わしも着替えてくるから」

久「はーい、お店の方にいってるわね」

まこ(驚いたのー久のあの格好)

まこ(あん人があんな格好するなんて知らんかったぞ)

まこ(社会に出ると、人ってかわるんかのーやっぱ)

まこ(…。とりあえず、この辺で無難じゃろ)


店内

ペチャクチャペチャクチャ

まこ「久、おまたせ」

久「はいはーい」

久「じゃ、皆さんまたどこかで!」

常連客1「おー、ほならなー」

常連客2「久しぶりに話せておじさん楽しかったで!」




久「んー、長野も涼しくなったわねー」

まこ「そうじゃのー、今年も暑かったしのー」

久「でも、街はまだ落ち着かないような感じね、夏の名残を感じるわ」

そういった久の目は、なんだろう、遠い目をしている気がした。


キンコーンカンコーン♪

久「あ、なつかしー5時のチャイムだわー」

まこ「なつかしい?」

久「え?ああ、高校の頃はよく聞いてたけど最近はあまり聞かないからね」

まこ「ああ、ほーなんか」

まこ(んー、やっぱなんかおかしいのー今日の久は)

まこ(というか、こないだの電話の時点で違和感がバリバリ最強NO1じゃ)

まこ(しかし、聞いたところでこん人はきっとはぐらかすじゃろうなー)

まこ(んー、じゃが、ダメ元で聞いてみるかの)

まこ「なぁ、久」

久「ん?何?」

まこ「そういえば最近の近況聞いてなかったけど、どうなんじゃ?」

久「近況?こないだも言ったけど、特に何もないわ」

まこ「いや、今聞いてるのはそーゆーのじゃなくてな、もっとこー具体的な…」

久「あー!」

まこ「な、なんじゃ?」

久「金魚すくいよ!金魚すくい!まこ!やりましょうよ!」

まこ「き、きんぎょ?」

久「私、得意なのよねー金魚すくい!いっぱい取ってお店で飼いましょうよ!」

まこ(ふむ、やっぱりはぐらかしてきよったか…)

まこ(まぁ、言いたくないのなら無理に聞く必要もないけぇ…)

まこ(…。わしには、そーゆー隠し事せんで欲しいもんじゃけどもな…)

まこ「はいはい、あんさん、たまーに子供っぽくなるなー」

久「ん?なーに言ってるのよまだ花の10代よ?まだまだ許されるはずだわ」

まこ「まー、そーじゃけどなー、あんさん昔から大人っぽく見えてるからギャップがあるんよ…」

久「…。大人なん…ろく……んで…………」コゴエ

まこ「ん?すまん、よく聞こえんかったわ大人がなんじゃって?」

久「ん?あぁ、大人なんかなりたくないよーって言ったのよ」

久「おじさーん、二人分ねー」

金魚屋「あいよー、」

久「さー、まこ勝負よ!」

まこ「はいはい、」

久「負けないわよー」


数分後

久「うぅ…まこ、金魚すくい巧すぎよ…」

まこ「うちの客に金魚屋のおっちゃんがおってな、その人にちっちゃな頃教えてもらってん」

久「なーんだ、そりゃ勝てないわ、あなたのところの人みんな仲いいわよねー」

まこ「まーなー、そのおっちゃんによく抱いてもらってたわ」

久「えっ!?」

まこ「?なんじゃ?」

久「抱いてって…」

まこ「いや、だからちっちゃい頃の話や、だっこしてもらったって話じゃって」

久「え、ああ、そうよね、そりゃそうよねーははは、びっくりしたわ…」

まこ(ん?なんじゃ、この取り乱し方)

まこ「うちのお客はみーんなわしがちっちゃい頃からの常連じゃけぇ、みんな兄貴かオトンみたいなもんなんじゃって」

久「あはは、盲点だったわーごめんなさい変なこと想像させて」

まこ「あぁ、わしもわかりにく言い方で申し訳なかった」


ぴゅーどん!

まこ「おー、始まったみたいじゃ」

久「きれいねー」

まこ「この花火大会来たのなんて小学校低学年以来じゃ」

久「私も似たようなものね」

久「ねー、まこ、もちょっと人少ないところで見ようよ」

まこ「ん、じゃあ、たぶんあのへんがいいかの」

移動

まこ「おお、やっぱり誰もおらんわ」

久「ほんとだ、そしてかなり花火が見やすい絶景ポイントじゃない」

そのへんに着席

ぴゅーどん!ぴゅーどん!

まこ久「…。」

まこ久「……。」

まこ(なんか、ぼーっとしてしまうのー)

久「ねー、まこ」

まこ「ん、なんじゃ」

久「人生相談、してもいい?」

まこ「かまわんが…なんじゃ、改まって…」

久「…。」

久「私ね、今、好きな人がいるの…。その人の為なら命だって投げ出せるくらい好きな人が」

まこ「ほう」

久「その人がね、人生最大のピンチに陥ってたとするでしょ?」

久「そりゃ私はなんとか助けようとするわ、人生をかけてでも」

久「ここまで人を好きになったのなんて初めてでさ、私今結構頑張ってるのよ」

まこ「おーおー、妬けるのー、あんさんにそんだけ思われるたぁ」

久「でしょ?でもね、私がいくら頑張ってもその人のピンチは続いてるの」

久「しかもね、最近は状況だけじゃなくてその人自身も…ああ、心の話ね?ピンチなように感じてるの」

久「私さ、その人の支えになりたくてさ、あ、ちなみに両想いだからね、私からの一方通行の愛じゃないからね」

まこ「おう」

久「でさ、その人ってすっごい優しい人でね、ホント天使みたいな人でね、笑顔がとっても似合うのよ!」

久「そんな人がね、最近よくこっそり泣いてたりするのを見るのよ」

久「その人、私の前では、絶対泣かないのよ?私が姿表すと何もなかったかのように振る舞うの」

久「そんなの見てると私もう、心が潰れそうな感覚になるのよ」

久「この人を泣かせたくない、この人には笑顔でいて欲しい、作り物の笑顔じゃなくて本物の笑顔が…」

まこ「………。」

久「うん、ごめんなさい、全然相談にはなってないわね、誰かに聞いて欲しかったのよ」

久「こんな相談できるの…あなたしか思いつかなかったのよ」

まこ「そいつは…喜ぶところなんかの?」

久「喜ぶ…は、ちょっと違うかな?とにかく、絶対の信頼は置いているわ」

まこ「その言葉はちと嬉しいのぅ」

久「でね、最近思うようになってきたのよ」

久「何もかも上手くいかないのって結局運命なのかなーって」

まこ「運命…ね…」

久「分の悪い賭けも待つのも慣れっこだけどさ、もうどうにもならない時ってあるじゃない?」

久「そんな時思うのよね…ああ、これも運命かって」

まこ「うむ…らしくないこと言っとるの…」

久「ふふ、私もそう思うわ…それくらい追い込まれちゃってるのかもね…」

ピューイドォォォン!ボン!ボン!

久「おお!おっきい連続花火ねー」

まこ「ああ、たしかありゃ最後の花火じゃけぇ」

久「あー、もう終わっちゃうのかー」

久「ねぇ、まこ」

まこ「ん?」

久「私これから用事があってね、その…大好きな人絡みの用事なんだけどね」

まこ「ほうか…」

久「うん、それそれいかなきゃなんだ…」

まこ「うむ、」

久「もし良かった来年もさ、一緒に来ない?」

まこ「ん?まあそれはええが、」

久「ホントはね、もっと頻繁に会いに来たいんだけど…私今東京に住んでるの」

まこ「えぇ!?そうじゃったか!?」

久「そうなのよ…、だからね、いつでも来れるわけじゃないのよね」

まこ「わかった。来年も一緒に…出来れば二人だけで…」

久「そうね、二人だけで!」

帰り

久「じゃあねまこ!来年楽しみにしてるわ!」

まこ「ああ、たまには電話してきんさい」

久「うん!時間あったらねー、じゃ!」

まこ「じゃーのー」

まこ(言ってしもーたか…)

まこ(…。好きな人…ねぇ…)

まこ(羨ましいのぉ…)

まこ(帰るか…)


それから1年、染谷まこ(19歳)の夏の終わり

テレビ「清澄高校は団体戦優勝、個人戦原村和選手1位、片岡優希選手3位、宮永咲選手8位という輝かしい成績をry」

テレビ「続いてはお天気です、真夏のピークは去って、秋雨前線の影響で全国的に雨になるでしょう」

まこ「雨は嫌じゃのう…」

今週の土曜は例の花火大会じゃ。

跡で知ったが長野で最後の花火大会らしい。

1月ほど前久から連絡があって今年はどうしても外せない用事ができたらしく行けないとのことじゃった。

仕方がないんで、今年は引退した3人といくつもりじゃった。

ピポパ トゥルルルル

まこ「おー、優希か?久しぶりじゃのうー。元気か?」

優希「久しぶりだじぇ!どうしたんだじぇ?」

まこ「今週の土曜って空いとるかのぉ?」

優希「あー、ごめんだじぇ…その日は日本にいないんだじぇ…」

まこ「は?なんでじゃ?」

優希「ちょっと海外大会の遠征選手に選ばれてその試合があるんだじぇ」エッヘン

まこ「えっ、ほんまかぁ!?すごいな優希」

優希「だじぇ!今の私は負ける気がしないじぇ!絶対優勝しちゃうじぇ!」

まこ「そうかーがんばりなー、じゃあ帰ってきたら一回会おうかの」

優希「もちのロンだじぇ!あ、ちょっと呼ばれたからもう切るじぇ!」

まこ「おお、わかったー、じゃあの、がんばりや」

優希「ありがとうだじぇ!じゃあまたー」

ピポパトゥルルルル

まこ「おー、和か?久しぶりじゃのー。元気か?」

和「お久しぶりです先輩、何がごようですか?」

まこ「今週の土曜って空いとるかのぉ?」

和「土曜ですか…申し訳ありません、その日は用事がありまして…」

まこ「あー、そうか…」

和「申し訳ありません」

まこ「ああ、それはそうと優勝おめでとう。すごいな、個人戦も勝ってしまうとは…」

和「あ、ありがとうございます。先輩に部を託されて…先輩や久部長の教えがあったからですよ」

まこ「はは、嬉しいこと言ってくれるのぉ、じゃが、わしは大したことはしとらんて、凄いんはあん人じゃけぇ…」

和「そんなことはなかったですよ。先輩だけの教えも物凄く生きましたから」

まこ「はは、ありがとぉ、そーいや、お前さんプロにはなるんかい?」

和「ええ、実は土曜にプロチームの面談があるんです」

まこ「ああ、そうじゃったか、それなら絶対そっち優先じゃな」

和「はい…。あの、もし良かったら今度お会いできませんか?」

まこ「おお、いつでもいいぞ、どうせわしのやることは店番くらいじゃから」

和「ありがとうございます、ではまた」

まこ「あいよ、がんばりや」

ピポパトゥルルルル

まこ「おー咲か?久しぶりじゃのー。元気か?」

咲「先輩、お久しぶりです。まぁ元気ですよ」

まこ「ほーかー、ところで今週の土曜って空いとるかのぉ?」

咲「土曜ですか?はい、大丈夫ですよ」

まこ「ほーかー、ほんなら一緒に花火でも行かんか?」

咲「花火ですか?うーん、他に誰か誘いました?」

まこ「ん、ああ、和と優希を誘ったが用事があるらしくての、断られてしもうた」

咲「あ、そうなんですか。じゃあ、二人で行く感じですか?」

まこ「そうじゃのう」

咲「わかりました、えっと、じゃあ当日どうしたら良いですか?」

まこ「そうじゃのー、夕方うちに来てくれるかの?」

咲「わかりました。じゃあ土曜の夕方で」

まこ「おう、」

土曜日

咲「先輩、お久しぶりです!」

まこ「おー、久しぶりじゃのーなんじゃか少し大人っぽくなったのー」

咲「そうですか?自覚はないんですけど…」

まこ「なんかこー言葉は悪いが荒んでるというか…」

咲「…。先輩のイメージする大人って、なんか嫌ですね…」

まこ「いやぁ、上手い表現が見つからんのー。うーん、美人さんになったわ?」

咲「唐突に褒められでも、なんて返したらいいかわからないですよっ」

まこ「うーっん」首かしげ

まこ「とにかく、雰囲気が変わったって感じかの」

咲「んー、そうですかねー?」

まこ「うん、その…。まぁええわ、さて、行きますかの」

咲「あ、はい」


花火がよく見える場所

咲「うわー、いい場所ですねここ」

まこ「じゃろ?人もいないし、眺めもええと着たもんだ」

まこ「どっこいしょ」スワリ

咲「先輩、どっこしょって」スワリ

まこ「んー?ちと婆くさかったかの」

咲「先輩は変わらないですね」

まこ「ほうかー?でもまぁ、それもええことじゃろ?」

咲「ねぇ先輩、人生相談してもいいですか?」

まこ「!?ん、まぁええがなんじゃ?」

咲「…。私って酷い女なんですよ」

まこ「?」

咲「実はある人と男の取り合いになってしまいまして、その男の人を賭けの賞品にしたんですよ」

咲「賭けの結果は、まあ、私が負けちゃったんですけでね、
でもその賭けの代償が大切な人2人との縁を断ち切る結果になってしまって」

咲「それと、もう一人と賭けをして…結果的には負けてしまったんですけど。
その賭けの約束を事実上反故にしてしまったんですよ」

咲「それで、反故にしたうえで、また賭けをさせてしまったんですよ…その賭けっていうのが…
その人の人生をも巻き込んでる賭けで…今思うと私、とんでもない事をしてしまったって思ってるんです」

咲「それで、その人がその賭けに勝っても私はまた約束を破ってしまいそうなんですよ…」

まこ(…。思った以上に重い話じゃのう…)

まこ「ほう、それで?」

咲「私はどうしたらいいかなって、先輩の意見を聞きたいんです」

まこ「…。そうじゃのう…」

まこ(返答に困るのぅ…)

まこ「うーん、まず2つ目の賭けの話は咲、やっぱりお前さんが良くない。約束を破るのは…まぁ、いいことじゃなかろーて」

まこ「わしかて、そんな成人君主みたいな生き方はしてこんかったが常識の範囲内ではまっとうにしてきたつもりじゃ」

まこ「うーん、なんじゃろ。とにかく、その2つ目の人を傷つけてまで、
人生を賭けさせてまでの賭けなんじゃろ?そんなら、今すぐやめさせるか、
もしその賭けが成就したら、あんさんはどんなことがあろうともそれに答えなきゃならんとわしは思う」

咲「…。今辞めさせたところでその人は絶対に傷つきます。そして、二度と会えなくなってしまいます。きっと」

まこ「そうなんか…うーん、難しいのぅ…」

咲「その人のことは…本当に大好きで…失いたくない、かけがえのない人の一人なんです…」

咲「…。実際のところは、自分ではもう決意はあるんです、ただ、誰かに聞いて欲しくて先輩に話したんです」

まこ「…。ほうか…。」

まこ(去年の久といい、十代の終わりってのは悩み多き年頃なんかの)

咲「一個目は…どう思います…?」

まこ「1つ目は…そうじゃの、まぁ筋はとおっちょる。それに、賭けるっちゅう事はだ、負けたら何かを失うもんじゃからの。」

咲「そう、ですよね」

まこ「わしは、そういう事があるから賭けごとは嫌いなんじゃよ」

咲まこ「…。」

ピューイドォォォン!ドン!ドン!

咲「あ、花火…すごいたくさん」

まこ「ああ、ありゃあ最後の連続花火じゃのう…」

まこ「なぁ、咲、このあと時間あるかの?」

咲「え、はい、大丈夫ですけど」

まこ「ほんなら、わしも人生相談あるから付き合ってくれんかの」


まこ家

咲「おじゃまします」

まこ「あいよー、ところで咲は酒飲めるかの?」

咲「え?はい、ちょっとなら」

まこ「よし、じゃあ今日はわしの酒に付き合え」

咲「ええ?い、いいですけど…」

まこ「よっしゃ!今日は飲み明かそう!」

数時間後

まこ「ほんでのーほんでのー!わしはもう悲しくてしょうがないんじゃ」ナキ

咲「センパーイ、成人君主もいいところじゃないですかぁ~」ニヤニヤ

わしは去年の話を咲にしとった

まこ「わしゃーのーさきー、ホントに久の事がだいっすきでのー」ナキ

まこ「じゃけんども、わしらおんなどうしじゃろー?無理なもんは無理なんじゃよぉぉおぉぉ」オオナキ

わしの気持ちを

咲「センパーイ、そうなんれすよー、このくにはー、おんなのこどうしじゃー、むりなんれすよぉぉ」ケタケタ

咲「でもねー、うちのおねーちゃんなんかすごいんれすよー、
どぉーきゅーせーのスミレちゃんと結婚するんらーっていっていまは海外なんれすよー」ゲラゲラ

まこ「おおおお?そうなんか?ほんじゃーわしもひさちゃん連れてこくがいとーぼーじゃなー」ケタケタ

咲「でもねー、でもねー、せんぱい、おねーちゃんくらいしゃかいてきちぃがある人れもーやっぱいろいろたいへんみたいでさー」

酔っ払うと人は変わるもんじゃの

普段は恥ずかしゅうて言えんことも

こんなに素直に吐いてしまう

まぶたを閉じて浮かべてみる

会ったらいえるかの

言えないかな

言えないよな

きっとね

いないよな

翌日

咲「それじゃあ先輩、昨日はありがとうございました。飲んで笑って泣いたら少し吹っ切れました」

まこ「はは、そりゃ、わしもじゃけぇ」

咲「また、こーしてお話したいですね」

まこ「そうじゃの、うちはいつでも大歓迎じゃ」

咲「はい、それじゃあまた」

それからまた1年 染谷まこ(20歳)夏の終わり

テレビ「今年も暑い夏に見舞われましたが、今週でそれも一段落しそうです」

まこ「今年も夏が終わるのー」

まこ「今年も花火行くかのー、久のやつめ、今年は電話もよこさんと…」

まこ「わしの方からかけてみるかの」

ピポパ

電話「おかけになった電話番号は、現在使われておりません」

まこ「は?」

まこ「…。」

プッ ピポパ

電話「おかけになった電話番号は現在使われておりません」

まこ「…。ひどいのぉ…久…。」

まこ(いや、さすがに、そこまでの人を小馬鹿にする人じゃなかろーて)

まこ(冷静に考えたら、久に、もしくは久の携帯になんかあってって線じゃろーな…)

まこ(まぁ、あの人の事じゃけぇ、そのうちぽっと顔出すじゃろ)

ピポパ

まこ「おー優希か?結婚式以来じゃのー?」

優希「あ、染谷先輩!お久しぶりです…だじぇ!」

まこ「子供生まれたんじゃってな?おめでとう!」

優希「お陰様でだじぇ!」

まこ「京太郎は元気かの?」

優希「京太郎はあいかわらずバカ犬だじぇ!まったくあいつは私がいないとダメなんだじぇ」

まこ「はは、幸せそうでなによりじゃ」

まこ「ところでおぬし、今週の土曜は空いとるかの?」

優希「土曜?大丈夫だじぇ」

まこ「ほんならなー花火でも見にいかんかの?」

優希「花火か?いきたいじぇ!息子と京太郎も一緒でいいか?」

まこ「おお、ええよ」

優希「やったじぇ!あ、それと、他にだれか誘ったか?」

まこ「…。いや、誘っとらんよ、咲と和にこれから電話しようかと思っておったところじゃが…」

優希「あ、そ、そうなのか」

まこ「…。まぁ和は今東京におるし、咲もこないだ電話したら最近忙しいみたいな事言っとったから期待はしとらんけどな」

優希「わかったじぇ、じゃあ、土曜日どうしたらいいかな?」

まこ「そうじゃの…夕方くらいにうちの店に来てもらえんか?」

優希「分かったじぇ!じゃあ土曜日に!」

まこ「あいよー」

その後、和と咲に連絡をとったが二人共忙しいようで断られてしもーた。

咲に至っては、まぁこれは予想しとったしはっきり言ったわけじゃないが優希に会いたくないような感じじゃった。

そして今年も花火大会の土曜日がやってきた。

優希「じゃじゃーん!優希ちゃん参上!」

まこ「おー、久しぶりじゃのー」

優希「今日は、よろしくだじぇ!」

まこ「あれ?ダンナは?」

優希「京太郎は急な仕事が入ったとかで来れなくなったじぇ…ザンネンだじぇ…」

まこ「ほーかー、それは残念じゃな…」

優希「その代わりに、私と息子のゆうすけが先輩のお相手するじぇ」

まこ「おー、かわええのー」

優希「だじぇ!」


花火がよく見える場所

優希「わー、綺麗だじぇ!花火がよく見えるじぇ」

まこ「じゃろ?ここぁ、一昨年は部長と、去年は咲と来たんじゃよ」

優希「あ、そうなのか…。」

まこ「…。なぁ、優希、おまえさん、咲となんかあったのか?」

優希「!?」

まこ「ありそうじゃの」

優希「まぁ、あるにはあるじぇ…」

まこ「去年な、咲といろいろ話したんじゃよ」

優希「!?咲ちゃんまさか話したの!?」

まこ「ああ、その反応で十分じゃ」

まこ「咲の名誉のために言っとくが、あいつは優希とは一言も言っとらん、
あいつが言ったのは自分が誰かと男を賭けて、そいで負けて大切な人を
二人も失ったっちゅう後悔をしちょるっていう話をしただけじゃ」

優希「そんなの…大体答え言ってるようなもんだじぇ…」

まこ「まぁ、そうだけどもな、あいつかてそーとー苦しんでおったぞ」

優希「…。先輩、この話は辞めましょうよ」

まこ「ほうじゃの、もう終わった話じゃしな」

ピューイドォォォン!ドン!ドン!

まこ「最後の花火じゃな…」

優希「…。ねぇ、先輩」

まこ「ん?なんじゃ」

優希「先輩は、好きな人のためならなんでも出来ますか?」

まこ「ん、そうじゃのっておぬし、いつもの喋り方じゃないのー」

優希「私ももう子供も生まれて、働いてます。昔のままじゃただの痛い子じゃないですか」

まこ「はは、優希も大人になったのー」

まこ「んー、好きな人のためならなんでもできるか、か。」

まこ「そうじゃのー」

まこ「………。できる…いや、わからんってことにしとく」

優希「…。」

まこ「わしは、臆病じゃし、強い心の持ち主でもない」

まこ「答えを出せんから優柔不断でもあるかの、優希はどうじゃ?」

優希「私は…多分、できます。実際できました、これからもそういった何かを判断しなくてはいけない時は出来ると思います」

まこ「はは、やっぱ優希はもう立派な大人じゃのぉ…」

優希「でも、辛いです。本当に辛かったです。」

まこ「ほーか」

ゆうすけ「オギャオギャ」

優希「あ、ゆうすけ!どうしたどうした、よしよし」

まこ「…。ほいじゃ、そろそろ遅いし帰るかの」

優希「あ、はい」

帰り道

まこ「それじゃあの優希、体に気をつけるんじゃぞ」

優希「わかったじぇ!先輩も気をつけるだじぇ!」

まこ「ああ、また会いたいもんじゃ」

優希「私は長野にいるからいつでも逢えるじぇ!今度は家族みんなで遊びに来るじぇ!」

まこ「ああ、そうじゃの、楽しみにしとるよ、ほいじゃあの」

優希「おぅ!じゃ!」


それからまた1年 染谷まこ(21歳)夏の終わり

テレビ「きょ、今日からお天気を担当することになりました、
ととと、東横桃子です!な、長野の皆さんよ、よろしくお願いします」ペコリ

テレビ「そ、それではお天気です!今年はな、夏のピークが過ぎました!」

まこ「なんじゃこん人、緊張しすぎじゃなー」


結果から言うとこの年はみんなダメじゃった

久は相変わらず現れん

優希は仕事

咲は用事

和は牌のおねーさん

じゃったからだ

花火大会の土曜日 花火がよく見える場所

まこ「結局、一人じゃが来てしまったの」

ピューボン!

まこ「きれーじゃのー、4年目にして初めてまともに見とる気がするのー」

ピュードン!

まこ「…。」

ピュドン!

まこ「わしって、変わっとらんのー」

久「でも、それがまこのいいところでもあるんじゃない?」

まこ「!?」

まこ「あ、あんた」

久「ひさしぶりね、まこ」

いつの間にか後ろに久がおった

まこ「…。ああ、久しぶりじゃの」

久「元気?」

まこ「ああ、わしは、あい変わらずじゃ。そーゆーお主はどうじゃったんじゃ?電話も通じんし連絡もよこさんと…」

久「うん、ごめんね、まこ、今日はその話をしに来たの」

久「私も、いろいろあってさ」

まこ「ほうか、で、今はなにしちょるんじゃ?昔言っとった問題は解決したんかの?」

ああ、なんじゃろ、このかんじ

久「問題の方はね、もう、いいの、終わっちゃったから」

わしゃきっと、まずいことを聞いてしまった

久「そして、今何してるかというとね、」

いわないで、そんなことば、あんたから、ききたくない








久「死に場所を探してるの」

いやだ、いやだ、いやだ

まこ「…。死に場所って、あんた…何、いっちょるんよ…」

久「まこ、私、もう、だめなんだ、」

久「…。疲れちゃったのよ、もう」

久「もう、私が生きてる意味なんてなくなっちゃの」

久「だから、ね、死ぬの」

久「今日はね、お別れを、言いに来たの」

久「まこ、今まで、ありがとう、」

久「元気でね」

久「私を、忘れないでね」

久「ごめんね、突然きて、こんなこといって」

久「まこには、さよなら言いたかったから」

久「ごめん、まこ、ごめん」

まこ「…。ふざけんな…。」

まこ「何言い出すかと思えば、死ぬじゃと!?ごめんじゃと!?さよならじゃと!?」

まこ「ぬしは…ぬしは、ホント昔っから!…突然訳のわからんこと言いよって!飄々としよって!自分勝手でっ!」

まこ「期待させて…そんで、はぐらかして!ぬしはわしのなんなんじゃ!?なんっなんっじゃ!?ゆーてみー!ひさぁ!」

久「…まこ。あなたは私にとってかけがえのない大切な人よ」

久「私の人生でたった二人しかいないのよ」

久「一人は、もう、私の元を、去って行ったわ」

久「かけがえのない人が一人いなくなっちゃったんですもの、私の人生を支える人が一人いなくなった」

久「それだけで、私にとっては、十分死ぬ理由なの、」

久「でもね、もうひとり、まこがね、あなたがいるから…」

久「ね、え、まこ、お願い、私を、嫌いになって」

久「もっと、怒って、私を、嫌いになって」

久「もう、私の顔も見たくない、ってくらいに嫌って」

久「それだけが…私の、この世の、心残り」

まこ(何かいわなきゃ)

久「ねぇ、まこ、」

まこ(こん人このままだと)

久「…。私、もう、いくね」

まこ(!?)

久「じゃあ、まこ、元気でね」

まこ「ま、まちぃ!ひさ!」

久ダッシュ

まこ「あ、おい、久!待てってゆーとろーが!」


ブロロロロ

まこ「バイクじゃと!?」

まこ「ひさぁ!ひさぁ!待ってくれ!ひさぁああああ!」

まこ「はぁはぁっ!ひさぁ!ひさぁあああああああ!!!」

ガッ!(躓く音)

まこ「うわっ!!!」

ドンッ!ゴロンゴロン!!!(思いっきり転んで転がった音)

まこ「うっ…あぁ…。ひさぁ…ひさぁ…」

まこ「うっ…うぅっ…」

まこ「わしは…大馬鹿もんじゃぁ…」

まこ「言いたいこともっ、言えずに…っ」

まこ「ひさぁ…」

ピューイドォォォン!ドンドン!

最後の花火に今年もなった

まぶたを閉じて浮かべてみる

まいったな

言えないかな

言えないよな

言えないとは思ってた

でも

言うべきだった

もうすべてが遅いかもしれないけど

まこ「…。」

擦りむいた全身を庇い 私はそっと歩き出した

染谷まこ(22歳) 夏の終わり

あれから1年、わしなりに、いろいろ調べた。

久があんなふうになってしまった原因も、検討がついた。

久の姿は見ていないが、おそらくは生きていると思う。

わしが、まだ、久のことを好きだからじゃ。

あの人はそんな薄情な人やない。

だから今年もあの場所に行こうと思う。

久は来ないかもしれん。

じゃが、もし、来たら。

わしは言える。

その言葉を聞く証人じゃって二人おる。

久よ、この二人は強い子じゃぞ。

今年も最後の花火が始まる。

最後の最後の花火が終わったら。

私らは変わるかな。

また、同じ空を見上げれるように。


第4章 染谷まこ(22歳) カン!

竹井久(19歳)「んんっ、はぁ、はぁっ、んぁっ、いいっ!」

久(大人って、ホント最低の生き物…)

久(汚い、きたない、キタナイ…)

監督「はぁはっ、久ちゃんっ、気持ちいいっ!?」

久「んんっ、はあっ!ええっ、とってもっ」