まこ「ロン、3900」

京太郎「ぐっ……」

優希「ドンマイだじぇ!」

和「須賀君、頑張ってください」

まこ「ロン、8000」

京太郎「ぐはっ……」ドサッ


優希「京太郎!」ガタッ

和「須賀君!?」ガタタッ

久「須賀君!まだ東場も終わってないわよ」

京太郎「……は、はい!」ググッ

まこ「ロン、1000」

京太郎「うぼぁっ……」


京太郎「ぜぇ!ぜぇ!」

久「…………」

優希(京太郎……)

和(役を覚えたばかりの人には辛すぎます……)

京太郎「と、東4局!」


和(ただでさえ、部の雑用で体力が減っている状態)

和(コンディションが良くても私たちから上ることはまず無いに……)

和(…………)チラッ

京太郎「ぜぇ!ぜぇ!」

和「……」スッ

京太郎「ロ、ロン!」

優希「おおっ!やったじぇ!」


      フ リ コ ミ
久「和!手伝うのは禁止よ!」


京太郎「……っ!」

和「そ、そんなことは――」

久「他家からの情けで上れて終わると思っているの?」

京太郎「ぜぇ!ぜぇ!」

久「一回でもいいから!自分の力でツモってみなさい!」

京太郎「……はいっ!」

久「やり遂げるまで終わらないわよ!」


――部長が鬼に見えた


俺は毎日叱られた

『辞めたい』

麻雀はいっこうに上達せず

容赦の無いワカメにはサンドバックにされ

満足にできるのは雑用のみだった

久「あら?今日はまだ三麻?」

久「須賀君は何処に行ったのかしら?」

優希「外で吐いてるじょ……」

和「……」

久「……また、ね」


――――


京太郎「うぐっ……ぐぅ……」

久「……大丈夫?」

京太郎「…………」

京太郎「もう……辞めます……」

久「…………」

久「誰でも一度はそう思うものよ」

京太郎「毎日思ってます!」

京太郎「……1年だって続きません!」

久「……」

京太郎「いっつも怒られて……雀力も上らないし……」

京太郎「和や優希の足手まといになるだけだ!」

久「……」スッ

久「口を拭いなさい……」

京太郎「…………」ブルッブルッ

久「…………」

京太郎「自分は影が薄いただの雑用男ってネットで笑われても知ってる」ツゥ

久「……!」

久「私が清澄高校麻雀部の部員になって三年目」

久「今年、部を支えれる初めて男子部員を得たわ」

久「それは貴方よ、須賀君」

京太郎「…………え?」

久「影が薄い?結構じゃない」

久「体力や雑用スキルを身につけさすことはできるわ」

久「でもね――」

久「貴方の影を薄くすることはできない」

京太郎「…………!」

久「私がどんなに教えるのが上手い先輩でもね♪」

久「立派な才能よ」ニコッ

京太郎「……」

久「須賀君……」

久「貴方が今度の大会までに一人前の雑用係になれたら」

久「清澄高校初の全国大会出場!」

久「そんな夢を見ているの……」

須賀「……!!」チラッ

久「てへっ、おかしいかな?」

須賀「い……いえ!いいえ!!」

久「ふふっ、さぁ!練習に行きましょうか!」

須賀「はい!」スクッ


――その夏、清澄高校はIHの切符を手にしたのであった

カン!






――――


久「てな感じでどうかなー?」

京太郎「…………」

久「かなー?」

京太郎「その前にいいですか、部長」

久「ん?なになに?」

京太郎「そのエピソードは一体何なんですか?」

久「来年の男子部員獲得の為のPRエピソードだけど」

京太郎「うん、おかしいですよね」

久「そうかな~?」ウーム

京太郎「まず麻雀やって吐くとかどんだけですか」

久「腕斬られたり血を抜かれるよりはよっぽど現実味があると思わない?」

京太郎「そんな特殊な例を挙げられると返答に困ります」

久「でも、うちの部って基本ユルユルじゃない」

久「こう、熱血!とかそういう方面で攻めるのもありかなーって」

京太郎「一理あるとは思いますが……」

久「ね!ね!」

京太郎「『影を薄くすることはできない』ってのはなんですか!」

京太郎「影が薄いのどこが才能なのかも分かりませんし」

久「あ、そこ指摘しちゃう?」

京太郎「指摘しますよ!」

久「だって良い言葉が思い浮かばなかったし~」

京太郎「その状態でPR作成しようとするのはある意味凄いです……」

久「まっ、私にはこんなことしかできないからさ」ポリポリ

京太郎「……え?」

久「な、なんだかんだ言って須賀君には感謝してるわよ」

久「貴方が咲をうちに連れてこなかったらきっとIHにも行けなかったし」

久「まこのストレス解消を一年女子じゃなく男子にぶつけれたし」

久「面倒なのは須賀君に丸投げできたし」

京太郎(うわっ、ひでぇ)

久「……私を……信じ……ついてきて……れたし……」ゴニョゴニョ

京太郎「ん?何か言いました?」

久「なーにもっ!」

久「二年後までには男子で団体戦できるくらいにしたいのよ」

京太郎「あ、ありがとうございます」

久「…………」

久「でも、須賀君もよく残ってくれたわね」

久「私もさっきのは大げさに言い過ぎたかもしれないけど」

久「実際、麻雀はほんの少ししか上達しなかったじゃない」

京太郎「うっ、確かにほんの少しですけど……」

久「男の人はやっぱプライドがねぇ、気にしなかった?」

京太郎「まったくではありませんでしたけどね」

久「プライドよりも女の子たちとのtoloveる優先したと」

京太郎「ええ、まぁ…………あっ!」

久「へぇ~、そっかぁ~」ニヤニヤ

京太郎「……知りません」

久「やっぱり男の子ねぇ、で?誰を狙ってるのかな?」ズイズイ

京太郎「黙秘します……」

久「うーん、◎:和 ○:咲 ▲:優希 ってとこかしらね~」

京太郎「…………」


――――


久「え!うちに入部する!?」

久「いやいや、駄目じゃないの!驚いただけ!」

ワ「部長にとっては初めての男子の後輩じゃな」

久「嬉しいな、私の名前は竹井久♪」ニコッ

久「よろしくね、須賀君」パァアア




京太郎「…………」

久「須賀君?」

京太郎「……もうすぐIHですね」

久「あはは、ほんとにすぐね~」

京太郎「当然、優勝を目指しますよね?」

久「ま、折角だからね」

京太郎「絶対に、優勝してくださいよ」

久「ええ!全力でいくわ!」グッ

京太郎「おお、珍しく燃えてますね!」

久「そういう須賀君だって珍しいんじゃない?」

京太郎「何がですか?」

久「わざわざ、優勝してくださいなんて」

京太郎「…………」

そりゃ そうですよ

俺の 俺の一番の願い

それは 部長の笑顔を見たいから

貴女の最高の笑顔を見たいから

だから麻雀を続けようと思ったのは不純過ぎって叱られますかね?

たとえ その笑顔が俺に向けられるものではないとしても

俺にとって 大切なものに違いないのだから


京太郎「…………」

久「あー、何か良からぬことを企んでおるな~」

久「和の○っぱい?咲の○もらし?優希の○パンツ?」

京太郎「ちーがーいーまーすーよー」

久「むむむ~、怪しいなぁ」

京太郎「俺のことはいいですから、優勝してくださいね!」

久「ええ、任せなさい!」

必ず優勝してみせる

それが私の誓い 決意ですもの

かっこよくしていたいじゃない 特に好きな人の前ではね

ずっと自信のなかった私

みんなに比べて 女子力が劣ってるのは分かってる

でも ここで頑張れば私でも自信が持てそう

そしたら君に伝えられるかな?

私の この気持ちを――

久「…………」

京太郎「……部長?」

久「指きりしましょう」

京太郎「……え?」

久「守るわよ、約束」

京太郎「はっ!はい!」





せーの!


『清澄高校全国制覇!』



本当にカンなのよー