京太郎「ど、どうしたどうした」

咲「どうしたもこうしたも! これ!!」ズイッ

京太郎「……弁当箱?」

京太郎「あー……今日の弁当は口に合わなかったか?」

咲「そんなこと無いよ! 超美味しかったよ!!」

京太郎「おお、そうか。 今日は和風にしてみたんだが」

咲「そうそこ! そこだよ!!」

咲「おかずの玉子焼き! 焼き加減が私に超ドストライクだったんだけど!!」

咲「朝漬の塩っぱさとかキンピラごぼうの硬さとかぜーんぶ私に合いすぎだったんだけど!!」

咲「こういうのホント困るんだけど! お昼どころかずっと一生作って欲しくなっちゃうじゃない!!」

咲「ヘタしたら結婚だよ結婚!!」

京太郎「お、おお……すまん」

咲「全く……しっかりしてよね! もうっ!」

京太郎「おう……」


京太郎「………キンピラの硬さはあれぐらい、と……」メモメモ


咲「ちょっと京ちゃん! また勝手にチェアの高さ変えたでしょ!!」

京太郎「ん? ああ、掃除ん時にチトな」

咲「そうだとしても!! 勝手に変えた事実は変わらないでしょ!!」

京太郎「でも、椅子の高さ位くらい自分で適当な高さに……」

咲「ピッタリなの!」

京太郎「あん?」

咲「京ちゃんが変えてくれた高さが私にピッタリなの!」

咲「配牌も理牌も打牌も全部しやすすぎる高さになってるの!!」

咲「狙ってやったんじゃないかってくらい有ってるの!!」

京太郎「あ、うん」

咲「これから麻雀する時どうするの!? 毎回京ちゃんに椅子の高さ調整してもらうことになっちゃうかもしれないじゃない!!」

京太郎「ご、ごめん」

咲「全くもう………。 また勝手に変えたら、今度は京ちゃんが私専用の椅子になってもらうからね!!」

京太郎「す、すいませんでした……」


京太郎「えーっと……座高低めだったっけなぁ、咲は……」キコキコ ←高さ調整中


ドタドタドタ

バンッ

咲「京ちゃん!!」

京太郎「扉は静かに閉めろって」

京太郎「で……どうした?」

咲「あ、そうだよ京ちゃん!! 勝手に私の上履き変えたでしょ!!」

京太郎「はぁ? そんなこと俺してねえぞ?」

咲「そんなわけないでしょ!! 京ちゃんの仕業じゃなかったら前よりこんなにフィットしてないもん!!」

京太郎「あぁ、それか。 中敷きボロボロだったから新しいのに変えただけだって」

咲「あ、そうなの?」

京太郎「前より全然いいだろ?」

咲「うん! さっき走ってたけど動きやすいよ!!」

京太郎「そうかそうか」

咲「……って!! やっぱ勝手に変えてたんじゃない!!!」

京太郎「あ、うん、ごめん」

咲「ちょっと京ちゃん!! お風呂上がったよ!!」

京太郎「なんで怒ってんだよ」

咲「湯加減最高だったんだけど!!」

京太郎「今の時期だと少し温めが好きだったよな、咲は」

咲「お風呂上りの牛乳が私の大好きなメーカーだったんだけど!!」

京太郎「お前がCGC派なのはこの前言ってたろ」

咲「なんでお風呂上がりの牛乳がちょっと温いの!!?」

京太郎「冷蔵庫から出したばかりの牛乳飲むと腹壊すんじゃなかったっけ?」

咲「そうだよ!! その通りだよ!!なんでそこまで知ってんの!? 京ちゃんは私の主夫なの!?」

咲「私のことなんでも知ってるの!? 博士なの!?こんなことされると困るんですけど!!!」

咲「コレ以上好きになったらどうするの!! そーゆーの困るんですけど!!!」

京太郎「………」


京太郎「とりあえず、風呂入るわ」

咲「いってらっしゃい!!!」

咲「ちょっと京ちゃん!!」

京太郎「夜だから少し静かにな。 どうした?」

咲「私のシーツ、夏物になってるんだけど!」

咲「私が最近暑くて睡眠不足になってるの知っててやったの!?」

京太郎「いや、そろそろ暑いと思ってたから春物は取っ払ったんだけど……」

咲「お陰でものすごく心地いいんだけど!!」

京太郎「よかったな」

咲「ホントだよ!」

咲「それと! 枕も変えたでしょ!! お日様の香りがするんだけど!!」

京太郎「嫌いだったっけ」

咲「大好きだよ!! ところでさっきからいい匂いするんだけど!! なんなの!?」

京太郎「夜食に煮込みうどん作ったんだけど、食うか?」

咲「食べる!!」


咲「おかわり!!!」

京太郎「もう寝ろって」

咲「zzz」

咲「むにゃむにゃ……」

咲「zzz……」

ジリリリリリリッ !!

咲「ッ!?」ビクッ

咲「あ……朝かぁ……。 って、まだ5時じゃん……」

咲「二度寝二度寝……。 ……ぐぅ……」


ピピピピッ ピピピピッ

咲「んっ……6時……。 起きよう……」

咲「んっんー! 二度寝のお陰か調子がいいなぁ……」グイイイ

咲「……あれ……私、時計2つもつけたっけ……」



京太郎「え? だって朝早いんだろ? 二度寝もすりゃ寝起きがいいだろ」

咲「完璧だよ!!!!」

京太郎「?」

咲「いただきます!」

京太郎「いただきます」

咲「あ、京ちゃ」

京太郎「ホイ、醤油」スッ

咲「……うん……」

咲「っと、京ち」

京太郎「ほれ、シーザードレッシング」

咲「……」

咲「ごくっごくっ……ふうっ」

京太郎「茶、注ぐぜ」スッ

咲「あ、うん……」

京太郎「片付けやっとくから先行ってろ」

咲「は、はい……」


テクテク

咲「…………もぅ!!!」プンスカ

咲「ちょっと京ちゃん! こっち来なさい!!」

京太郎「あん? なんだよ?」スッ

咲「……あのね、京ちゃん」

咲「私の隣に来る時は私が道路側に出ない様にしたり!」

咲「人が多い道では私が人とぶつからない様に少し前を歩いたり!」

咲「雨の降ってる日は風向きと逆の方に傘をさして私に雨が当たらない様にしたり!」

咲「そういう気遣いって普通は気付かないものなんだからね!!」

京太郎「はぁ」

咲「私だからちゃんと京ちゃんの気遣いに気付いてあげられるんだからね!!」

咲「他の人じゃそんな些細なところ見ないんだから!!!」

京太郎「……」


京太郎「つまり何が言いたいんだ?」

咲「いつもありがとうってこと!!!!」

京太郎「はい」

咲「zzz」

京太郎「……」

咲「zzz」

京太郎「……」

ピンポーン

京太郎「!」

オトドケモノデー

京太郎「ッ!」ダッ


京太郎「荷物ありがとうございます。 印鑑ここですね。 はいそれではさようなら。
車はゆっくり静かに走らせてくださいね。くれぐれもうるさくしないように」


京太郎「……」ソローリソローリ

京太郎「……」チラッ

咲「zzz」

京太郎「……」

京太郎「……」ホッ...

京太郎「zzz」

咲「……」

ピンポーン

咲「!」

オトドケモノデー

咲「ッ!」ダッ


咲「あれ!? 印鑑どこだっけ!? 二段目の引き出しに入れといたハズなのにー!!」ドタドタ

咲「うわひゃあ!! 中身落ちちゃう落ちちゃうう!! ていうか少し落ちてるぅうううう!!」バタバタ

オトドケモノデー

咲「待って!! もうちょっとだけ待ってくだしぁ!!」

京太郎「配達お疲れ様です。 印鑑ココですね。 では」スッ

咲「あっ……」


咲「…………もう!!!!!」

京太郎「? ……ふわぁぁ……」

咲『ちょっと京ちゃん! 予報と違って雨降ってきたんだけど!!』

京太郎「そうだと思ってカバン中に折りたたみ入れといたぞ」

咲『知ってるよ!! なんで3つもあるのかが聞きたいの!!』

咲『なんか変にカバンが重いから何かと思ったら!! なんなの!!? 嫌がらせなの!!?』

京太郎「2つは和と優希の分。 部長は生徒会の仕事を家でやるっていってたし、まこ先輩はバイトだし」

京太郎「多分和は傘は持ってきてるだろうけど、この前見た感じだと柄の部分が壊れてたからな」

京太郎「優希は天気予報なんて見るわけねえし。 つーわけで貸しといてやれ」

咲『京ちゃん!!!』

京太郎「なんだよ」

咲『二人共、"ありがとう"だって!!!』

京太郎「あいよ」

咲『京ちゃん!!!』

京太郎「なんだよ」

咲『ありがと!!!』ピッ

京太郎「…………なんで怒ってんだよ……」

咲「京ちゃん!!! また私んちの雀卓、勝手に掃除したでしょー!!」

京太郎「ああ。 この前お前が昼寝してたとき、ちょっとな」

咲「点棒表示のバグとか洗牌の騒音とか全部直ってるんだけど!!!」

京太郎「よかったな」

咲「良かったよ!! それで!!? いくら必要なの!!?」

京太郎「あん?」

咲「無料で雀卓修理してもらうなんて訳にはいかないでしょ!! いくら払えばいいの!!?」

京太郎「いや、いらないって。 金目当てじゃねえし」

咲「でもこっちがお礼したいのー!!!」

京太郎「うーん……あ。 じゃあ明日の弁当のおかずは何がいいか聞いていいか?」

咲「ハンバーグ!! ケチャップで!!」

京太郎「あいよーあんがと。 んじゃまた明日なー」

咲「どういたしまして!! また明日ねー!!」


咲「……あれ?」


――
―――

咲「ほら、起きてよ京ちゃん。 もう7時だよ」ユサユサ

京太郎「あー……あと5分……」

咲「だーめっ。 朝ごはんも冷えちゃうよ。 ほら、京ちゃんっ」ユッサユッサ

京太郎「先行ってろって……テキトーに飯食ってテキトーな電車乗って行くから……」

咲「いいわけないでしょー! さっさと起きるっ!」ガバッ

京太郎「んが……。 ……うおぉ……」フラフラ

咲「ちょ、そっちは壁だよ京ちゃん! こっちこっち!」グイッ

京太郎「うおぉっ……!」バタッ

京太郎「……いってぇ……」

咲「……もう……」


咲「ホント、京ちゃんはいい加減なんだから~」

―――
――

咲「もぉ……京ちゃんはぁ……」

京太郎「おい」

咲「私がいないとダメダメなんだから……」

京太郎「おい咲。 起きろっておい」ユサユサ

咲「んぅ……。 ……あれ? 京ちゃん?」

咲「……えっ……ゆ、夢ぇ!?」

京太郎「何いってんだ……。 もう7時だぞ。 はよ飯食って歯磨いてこい」

京太郎「今日はお前の好きな和風にしといたぜ。 多分今起きれば玉子焼きがお前の好きな温度になってるはず」

咲「は、はわっ」

京太郎「歯磨いた時間入れて家出れば……電車付く5分前には間に合うだろうし」

咲「い、急がなきゃっ……わっ!!」バタンッ

京太郎「……おいおい……」

咲「あうぅ……」

咲「ご、ごめん京ちゃん! ちょっと時間かかりそ……」

京太郎「制服」スッ

咲「あっ」

京太郎「靴下」スッ

咲「いっ」

京太郎「鞄」スッ

咲「うっ」

京太郎「寝癖」スッ

咲「はわっ」

京太郎「ほっぺにご飯粒」スッ

咲「ひょえっ」


京太郎「準備いいか?」

咲「だ、大丈夫……です……」

京太郎「よし。 じゃあ行くか」

咲「…………うぅ……」

咲「……もう……」 

咲「……ほんと……ほんっと……」

咲「……京ちゃんは……! 京ちゃんはぁ……!」





咲「『いい加減過ぎる』んだからー!!!」













―カンッ